波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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封印崩壊

 森のダンジョンは、特にギミックがありそうな感じではなかった。

 ただし、至る所に霊亀のしもべが徘徊しており、厄介なダンジョンであることには変わりなかった。

 

「行くぜ! 炎の流星槍!」

 

 そしてなるほど、元康が楽勝でこのダンジョンを攻略できた理由もわかる。

 あの広範囲の炎の雨に貫かれれば、いくら耐久力の高い魔物も容易く殲滅できるだろう。

 

「ツヴァイト・サンダーブレーク!」

 

 俺も、広範囲を殲滅できる魔法で元康を援護する。

 直接対面で撃破する戦闘は、皆無だった。

 なのでやることは援護射撃ぐらいなものだった。

 

「きゃー! 元康様ー!」

 

 羨ましくない黄色い声援に後押しされて、どんどん突き進む元康。

 俺は撃ち漏らしを、魔法で潰していった。

 いや、確かにこれは元康だけで十分だろう。

 

「ふぅ、MP切れだ。ちょっと休憩だな」

 

 元康はそう言うと、人数分の切り株の椅子を槍で作る。

 切り倒した木で長椅子を作り、当たり前のように3人のビッチは座る。

 感謝の言葉もないのか……。

 

「ほらよ、お前も座れよ」

『あ、ああ。ありがとうな』

 

 俺はつい、日本語で返してしまう。

 まあ、元康が日本語で話しているのだ。ついつられてしまうのは仕方がないだろう。

 

「ん? ソースケ様、何を?」

「あ、ごめんごめん、つられてな」

 

 俺はアーシャに軽く謝る。

 やはり、元康一人だけ日本語を話している光景は、変な気分がするな。

 他の連中にはその一番理解できる言葉で聞こえるのは、妖精の加護ってのの凄さがわかる。

 俺と投擲具は完全にリンクが切れてしまっているので、翻訳機能は完全に失われている。

 盾の勇者のような、一時的に失われている状態とは違うのだ。

 ステータスも、勇者補正は成長補正の分は残っているが、結局は装備の基礎ステータスが異常に高い勇者装備には劣ることがよくわかる。

 四聖武器の補正を考えれば、おそらく尋常じゃない補正の差があるだろう。

 なるほど勇者はこの世界ではチートそのものだなと改めて感じる。

 

「宗介、お前も飲むか?」

 

 元康はそう言うと、MP回復薬である魔力水を放り投げる。

 それ自体はありがたかったので、俺は魔力水を口に含めた。

 

「よし、それじゃあこっから後半戦だ。ちょっとばかし敵が強くなるから覚悟しておけよ!」

 

 そう言って、元康は立ち上がる。

 俺も、腰から剣を抜く。魔物の殺気が近づいていたのは、アーシャも同様だった。

 

「ソースケ様」

「ああ」

 

 突然殺気を出した俺たちにビビったビッチどもが、騒ぎ出す。

 

「ちょっと、何なのよ? 元康様?」

「敵だ!」

 

 元康が槍を素早く戦闘用に変化させて、突然出現した霊亀のしもべとの戦闘に入った。

 

 ──戦闘自体は特に苦労はしなかった。

 元々俺は1対多での戦闘が得意だったからだ。

 全員無事に、種を植え付けられることなく切り抜けた俺たちは、たやすく最奥の祠までたどり着いたのだった。

 

「ボス魔物のは出ないのか?」

「ああ、戻りが本番だからな」

「……へぇ」

 

 俺の質問に、元康は気安く答える。

 元康にとって俺は別に敵じゃあないようだった。

 ま、俺にとっても今はまだ敵じゃあ無いけれども……。

 万が一、やり直しの元康が憑依したら、バーストランスで消滅させられてしまうだろうけれどね。

 この世界が可能性の世界であるならば、元康がやり直し憑依もあり得るのだ。

 

「あれ?」

 

 元康が素っ頓狂な声を上げる。

 

「どうしたんですの? 元康様」

「すでに封印の祠が壊れてやがる……? 錬か樹がこっちの方を先に壊したのか?」

 

 俺も、祠に入ると、封印の施された石碑が大きく割れていた。

 いや、今もヒビがバリバリと入っている! 

 

「なーんだ、じゃあ次の場所に……」

 

 元康がそう言って、石碑から離れて距離が離れた途端、まるでタイミングを見計らったかのように石碑が粉々に砕け散った! 

 

「石碑が!」

 

 それと同時に、激しい地震が発生する。

 とてもじゃあないけれども、立っていられない! 

 

「のぅあ?!」

「ぐっ!」

「「「きゃああああああああああ!!」」」

 

 それぞれが悲鳴を上げる。

 全員がその場にしゃがみ込み、地震に耐えていた。

 

「なるほどね! 霊亀がボスだと!」

「いいや、違う! 勝手に封印が解けたんだ!」

「元々解くつもりだっただろうが!」

 

 霊亀の封印が完全に解けたな。

 

『オモシロドラゴン?』

 

 オモシロドラゴンが割って入る。

 

 いや、我の名前は『サティオン』だぞ。

 一回名乗ったであろう!

 

『オモシロドラゴンはオモシロドラゴンだろう! いい加減にしろ!』

 

 ……! 我悲しい……! 

 

「元康、立てるか? 行くぞ!」

「お、おう! みんなも行こう! 霊亀を倒して尚文やメルロマルクの奴等を見返すんだ!」

「そ、そうですわね、元康様!」

 

 揺れがだいぶマシになったので、俺たちは祠を出て、外に出る。

 霊亀のしもべは雑魚しか出てこなかったので、森のダンジョンから出るのはそんなには苦労しなかった。

 ただし、ダンジョンの入り口には霊亀のしもべのキメラ体が待ち受けていたわけだが。




宗介にとってオモシロドラゴンは、オモシロドラゴンのままです。

そろそろ仲間になるグリフィンでも出そうかな?
案としては、グリフィン族の姫様の妹かなぁって考えてる感じ。
ただ、ラヴァイトに文句言うだろうけどなぁ。
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