波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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暴君霊亀

 いよいよ持って報告からメルロマルク王国の領内にまで霊亀は進撃していた。

 現在、霊亀は人の多い地域を重点的に回っているらしい。

 わかっていたことではあるが、前回よりも強力な攻撃を放っていて、被害が甚大になっているようである。

 

「現在、霊亀はメルロマルク国内に侵入、少しずつ城に向かって移動しているとのことです」

「そうですか……」

 

 馬車の中で女王陛下が地図を広げて霊亀の所在と進行先を指し示す。

 それは現在地点から近く、まもなく目視できるであろう位置まで接近していた。

 

「既に国内でも相当の被害が出ています」

 

 悔しそうに女王陛下が告げる。

 まあ、あんな攻撃、一般人が耐え切れるほどHPを持っているわけじゃ無いからな。

 俺でも瀕死になるレベルならば、一般人なら一瞬で蒸発するだろう。

 

「で? 霊亀は正しい倒し方でないと止まらないんだったな」

「はい」

「前回は頭を飛ばして仕留めたが、心臓と同時に頭を消しとばす必要があると?」

「方法については失伝していますので、確かとは言えません」

「しかし、頭を飛ばしても再生するのか……」

「連合軍からも同様の報告が上がっていますね。切断された霊亀の胴体から頭が生えて起き上がったと言う話です」

 

 尚文は女王陛下の報告にため息をつく。

 

「で、他の七星勇者の方はどうなっているんだ? わかっているやつ……例えばタクトだったか? も居るんだろう?」

「霊亀が封じられた国で調査をしていたために、こちらに駆けつけるには時間がかかるとのことで……」

「役に立たないな……」

 

 タクトはともかく、この頃の七星は小手と馬車以外は何をしていたんだろうね? 

 タクトはどうせ、知ったこっちゃないと言うか、この頃に他の七星武器の回収でもしていそうだけれどね。

 なので俺も首を横の振る。

 

「なあ女王」

「なんでしょうか?」

「投擲具以外の七星勇者はどれぐらい強いんだ?」

 

 尚文の問いに女王陛下は考え込んだ。

 現時点で言うならば、尚文が一番強いだろう。

 タクトもまあ、雑魚だけれども、麒麟を一撃で仕留められるので、それなりの強さはありそうだ。

 対人戦はあまりにもお粗末で、金剛寺と戦ったとしたら、一瞬で粉砕されるだろうけれども……。

 おや、金剛寺と比べたらダメだな。次元が違いすぎる。

 

「正直に申し上げてよろしいでしょうか?」

「ああ」

「イワタニ様ほどの強さは、私が見た限りではありません。匹敵しそうだったのがソースケ様でしたが、現在では七星勇者ではありませんので除外させていただきますが……。もちろん、全ての実力を見たわけではないのでわかりかねますが」

「……そうか」

「少なくとも、ラフタリアさんやフィーロさんほどの強さはあるかと思われます」

 

 タクトに関してそうならば、俺はどれぐらい強いのだろうか? 

 まあ、俺は対人戦特化だし一概に比較するのは難しいのだろうけれどね。

 ……ラフタリアと戦うのを想像して、少しワクワクしてしまった。

 いかんいかん。

 

「前回と同じく──」

 

 と、尚文が切り出そうとしたところ、フィーロが声をあげる。

 

「ごしゅじんさま! あれ!」

「なんだフィーロ?」

 

 おそらく、霊亀ミサイルが発射されたのだろう。

 全員が馬車からフィーロの指さす方向を見る。

 ……それにしても、この馬車広いなぁ。

 あたりの森から鳥型の魔物が羽ばたく音が聞こえる。

 ヒュ────────っと音がしたかと思うと、何かが着弾した音が聞こえる。

 そして、その衝撃で馬車が揺れる。

 数瞬後、連続で

 ドムゥォ────────────────

 と、まるで核爆弾でも爆発したかのような音が響いてくる。

 

「な、何が起こっているんだ?」

 

 個人的には、ゲッターミサイルや地のディノディロスの攻撃を思い出させる。

 

「ふぇぇ……怖いですぅ」

「リーシア、脅えてはダメだぞ」

「そうですじゃ、どうやらワシ達はあの爆発が起こったところへ行くようですじゃ」

「ふぇえええ!」

 

 リーシア、エクレール、婆さんが話している。

 婆さん、俺を見た瞬間に悲しそうな目をして、「気の修行は十分ですじゃ」と寂しそうに呟いたのは、なんだったのだろうか? 

 

「なあ……もしかして、アレって霊亀の攻撃か?」

 

 俺を見て、聞いてくる。

 そんな俺の回答を遮るように、女王陛下が見解を述べる。

 

「ええと……集団合成儀式魔法に『隕石』と呼ばれるものがあります。先行した連合軍が行ったものだと思われます」

 

 女王陛下は冷や汗を流しながら、そう誤魔化すような回答をした。

 その回答に、俺は首を横に振る。

 そそて、フィーロも違うと指摘する。

 

「んー? あのね、ごしゅじんさま」

「なんだ?」

「多分、違うと思うよ。魔法とは何か違う感じがするよ」

「いやいや、幾らなんでもアレが魔法じゃないならなんだってんだ。俺の世界でも重兵器クラスだぞ!」

「まさか……」

 

 オストがワナワナと震える。

 言いにくそうなので俺が端的に答えるとしよう。

 

「その通りだ、尚文。アレはそう言うものだ。あの兵器で、爆撃した地点の命を刈り取っているんだよ」

 

 全員が、オストは顔を青くしていたが、全員が驚愕の表情をしていた。

 ついてきているレイファ達を連れてきて大丈夫かなと、少し不安になった。

 やはり、あの時逃さずにキョウをぶち殺すべきだったよなと思う。

 満身創痍だったので、正直アレが限界だったが。

 

 馬車が開けて見晴らしのいい場所に辿り着いたので、全員が降りて被害状況の確認をする。

 そこには、綺麗に空いたクレーターは複数、まるで本当に何度も隕石が落下したかのように、ぽっかりと出来ていた。

 そこにあったはずの村や街は当然ながら蒸発していることだろう。

 魔物の集落さえ、消滅していた。

 

「おい。霊亀ってあの山のように大きな……ただ歩くだけで災害を起こしているような魔物じゃなかったのか?」

「私の本体は乗っ取られております……。どうか盾の勇者様、私を倒してください」

 

 クレーターの間を悠々と歩く霊亀。

 その姿は、悍ましいものに変貌していた。

 まるで狂犬病にでもかかったかのように口を開けてよだれを垂らしながら、目を赤く光らせてドスンドスンと地鳴らしをしている。

 背中の甲羅には、霊亀ミサイルが多数搭載されており、トゲが覆っていて元々あった遺跡は殆どが剥がれ落ちてしまっていた。

 

 勝てる見込みは無いだろうね。

 少なくとも、全ての質量兵器の回避前提なら勝機はあるだろうが。

 

 全員が唖然としてみていると、暴走霊亀が不意に立ち止まる。

 

「なんだ……?」

 

 その直後、霊亀の背中からミサイルが放たれる。

 こんな遠く離れた場所でもヒュ────────ンと音がして着弾し、周辺を爆散させていく。

 ビリビリと音の衝撃がものすごい。

 アレは直撃を貰えば消滅するな……。

 

「よし! 連合軍はどこだ?」

 

 尚文は気持ちを切り替えたのか、女王陛下にそう尋ねる。

 

「あちらです!」

 

 女王陛下が指さす方を見ると、連合軍は霊亀を遠巻きにして分散陣形を取り移動しているようだった。

 おそらく優秀な奴が、霊亀の命の多いところを狙う習性を見抜いて、分散してターゲットが固まらないようにしているようだ。

 

「とりあえず合流を急ぐ。フィーロ!」

「うん!」

 

 俺達は各自馬車に乗り込み、急いで連合軍の陣地まで移動を開始したのであった。




これ、ほとんど原作まんまやん!!
て思った方、おおよそその通りです…
とは言っても、地の文は宗介目線だけどね!!!
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