波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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被害甚大

「ちょっと! ソースケ! アレどうすんのよ!」

 

 ラヴァイトの馬車に戻ったところ、リノアが大慌てで詰め寄ってきた。

 連合軍の馬車では、再度作戦会議が開かれている。

 移動しながら、情報を整理すると言うことらしい。

 俺ができることは特に何もないので、自分の馬車に戻ってきたと言うことだった。

 

「落ち着け、リノア」

「落ち着いてらんないわよ! あんなの、どうやって倒すって言うのよ!! 死ぬ! 本当に死んじゃうわよ!」

 

 リノアが泣きじゃくりながら騒いでいるおかげで、他の全員が少なくとも冷静になれているようだった。

 とは言っても、この馬車に乗っているのは俺とレイファ、リノアとアーシャだけだが。

 

「大丈夫だ。盾の勇者様が何とかしてくれるって。まあ、俺も微力ながら手伝うけれどね」

「……ソースケ」

 

 俺の言葉に、リノアは眉を顰めて忠言する。

 

「ソースケ、あんたは別に休んでも良いのよ? 盾の勇者様に全部任せて、逃げたって誰も文句は言わないと思うわ」

「うん、私もそう思うよ、ソースケ」

 

 流石の今回はどうしようも無い。

 こんなのリアルで見れば諦めの雰囲気が出るのもわかる。

 だが、力あるものの責務と言うものも存在するのだ。

 確かに、盾の勇者に任せてしまっても問題ないだろう。

 そう、何も問題は無い。

 だが、逃げた奴はどう思われるだろうか? 

 ただでさえ、《首狩り》のソースケと呼ばれるほどには有名なのだ。

 それに、俺の存在意義は戦いの中にある気がする。

 逃げると言う選択肢は俺には無かった。

 ただ、レイファ達を逃すのは、それは問題ないと思う。

 

「……じゃあ、レイファ達だけで逃げるか?」

 

 俺がそう言うと、3人とも否定する。

 

「それはダメだよ! ソースケを見捨てるなんて!」

「そうよ! ソースケ、一人にしておくなんてできるわけないじゃ無い!」

「私も、ソースケ様の側を離れるつもりはありません」

「お、おう……」

「それに、ライシェルさんもソースケの事を心配していたよ?」

 

 うーん、何故だか心配されすぎている気がする。

 それこそ、俺を見捨てて逃げても問題ないのにね。

 

「オイラも、ソースケをまもるよ! ゴシュジンサマといっしょにね!」

 

 ラヴァイトも馬車を引きながら、そう言う。

 まったく、お節介だなぁなんて思いながらも、俺が守ると改めて決める。

 恩には恩で返すのだ。

 そして、改めてあの戦いでキョウをぶち殺そうと決める。

 だが、運命的には結局最後の最後で取り逃しそうな気もしないでも無いが、最低でも腕の1本は切断するつもりだった。

 

「わかった、頼りにしているよ」

 

 なので、俺はこう返す他なかった。

 と、フィーロの引く馬車が近づいてきた。

 

「宗介、作戦を伝えるからこっちに乗ってくれ」

 

 作戦会議が終わったらしい尚文が、俺に声をかけたのだった。

 

「ああ、わかった」

「私も行くわ」

 

 俺はうなずいて、フィーロの方の馬車に乗りうつった。

 リノアも、身軽さを利用して飛び移る。

 

「それでは、私とレイファはこちらに残りましょう」

「よろしく頼む」

「うん、任せて!」

 

 ラヴァイトの馬車をアーシャとレイファに任せて、俺は尚文達と打ち合わせをすることになった。

 尚文に作戦を軽く説明を受ける。

 まあ、何も決まっていない事が改めてわかっただけだったが。

 それにしても、またまたこんなにも本編に食い込んでしまったな……。どうなっているんだ、俺の運命は? 

 

「もう少し進んだところで挑むことになった。次に霊亀が歩き始めるのが作戦開始の合図だな」

 

 尚文は霊亀の様子を馬車の中から確認しながら、最終的なまとめに入った。

 俺が盾の勇者の馬車にお邪魔していると言うことは、つまり俺も先制攻撃隊の一員なのだろう。

 霊亀が立ち止まった周囲で起こっている事をオストが開示する。

 

「大地の力を吸収して、あの攻撃を放つための準備をしているようです。ご注意ください」

 

 完全に尚文に向かってそう言うオストは、誰がこの物語の主人公であるかを理解しているように感じた。

 そうなんだよ。俺はこの物語の異物、二次創作のオリ主的立ち位置なんだよ。

 

「あの攻撃って背中の棘を射出するやつか?」

「はい」

「今のうちに打って出たほうがいいか?」

「……すぐに打って出られるなら望ましいですが、無理ならやるべきではありません」

「なんでだ?」

「もう少し移動すれば大地の力が少ない場所です。そこなら補充されることも少ないからです」

「ほう……ところで大地の力とやらはなんだ?」

「人間の言葉で言うならば経験値……そして大地に溶け込む魔力の二つです」

「じゃあ、待ったほうが得策だな?」

「はい、できる限りこちらも準備をしていった方がいいかと思います」

「わかった」

 

 そんな、重要そうな会話を尚文とオストはしていた。

 リノアは、二人の話を聞いて身震いする。

 

「……ホント、世界の危機じゃなかったら、こんな戦いに参加するのはごめん被りたいわね」

「まったくだ。勇者の力も無くなった今、俺にできることなんて高が知れているだろうにな」

「……そんな事は無いと思うけど」

 

 リノアがなんでそんな事を言ったのかわからないが、ここまできた以上は俺たちはどう足掻いても暴走霊亀との前哨戦を生き残る必要があった。

 あんな核ミサイルを乱発してくる相手に、戦う必要があるのである。

 フィトリアが来るまでの時間稼ぎとはいえ、俺にとって苦しい戦いになるのは間違い無いだろう。

 俺は焦燥を感じながら、尚文の馬車の中で霊亀のいる方角を見るのだった。




遅くなりました!
今後は不定期に更新しますが、最低月1は更新しますのでご了承をば!
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