波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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厄災の波

 ゼルトブルでウェポンコピーをしてきた勇者たちは、波の刻限の5時間前に自前に転送スキルで戻ってきた。

 

「ふっ……、隕鉄の剣を手に入れたぞ」

 

 よほど嬉しかったらしく、錬は隕鉄の剣のままにしている。

 あれは解放をしているのかな。

 流星剣は便利だもんな。

 

「こっちは任せたと言われたから、準備をしていたが……城の兵士から錬サマに渡してくれって言われたアイテムがあるから渡しておくぞ」

 

 俺は、信号弾を投げ渡す。

 信号弾はちょうど、銃のような形をしている。

 錬は片手でそれを上手くキャッチした。

 

「ふむ、これは……」

「信号弾だ。波が発生したら、それを天高く打ち上げて欲しいんだと」

「俺じゃなくてウェルトやテルシアでもいいんじゃ無いのか?」

「レン様、射撃系の支援具でもレベルによるステータスの差で飛距離が変わるんですよ。私たちの中ではレン様が一番ステータスが高いので、レン様にお願いしたいのです」

「……わかった」

 

 錬はそう言うと、自身の防具袋の中に信号弾をしまう。

 やはり、武器として使用する目的では無いならば、伝説の武器は弾いたりはしないようであった。

 

 00:03

 

 3分前。

 俺たちは武装を整えて、街中に立っていた。

 周りには武装した兵士が囲っている。

 勇者の出立を見送るのと無事を祈るためらしい。

 

「勇者様がた、どうか手早く波を鎮めてください!」

「もちろんだ。そのために俺たち勇者が呼び出されたんだからな」

 

 元康……道化様が自分の槍を振り回しながら、悠々とそう言う。

 

「ええ、僕たちの責務です。最善を尽くしましょう」

 

 樹が胸に手を当ててそう言う。

 

「ふん、やれるだけの事はやるさ」

 

 錬も応じる。

 しかし、全員が全員隕鉄シリーズなのな。

 現在解放中ってところか。

 ゼルトブルまで行かなくても、錬には入手する手段はあったと思うが、まあ、ヒミツだ。

 

 0:02

 

 俺たちの周囲が光に包まれる。

 まるでサーヴァントが去るときのような……ってFate/シリーズやってないとわからない例えだな……。

 

 今回、俺は全ての武器をフル装備している。

 槍は、錬が渡してくれたドロップであるニアフェリーランス。ニアフェリーボアと言うイノシシのような魔物を討伐した時のドロップである。

 剣は、親父さんの店で購入した短剣を装備した。アーマードナイフと言ったところだろう。短剣ほどある長さだが、ナイフである。扱い方は軍のコンバットナイフのような感じだろうか? 接近した時に使う。

 弓は、腰にクロスボウをぶら下げている。親父さんが作ってくれたもので、イメージを伝えただけで作ってくれるとはさすがであった。これは遠距離で牽制する時に使う。

 小手ももちろんアップグレードしている。錬から貰ったドロップ品でニアフェリーガントレッドだ。

 鎧もアップグレードしてあり、見た目は若干豪華になっている。

『人間無骨』は一応依頼したが、親父さん曰く、

 

「はぁ……、対人用のエグい構造の槍だな。まあ、防御貫通まで再現できるかわからねぇが、試してみるか。盾のアンちゃんの分もあるから少し時間がかかるが、大丈夫か?」

 

 という感じで、波の後に完成することになっている。

 

 0:01

 

 さて、俺は基本的には錬達の露払いだ。

 村は尚文達に任せることになる。

 波の中心でキメラを討伐するが、これは勇者に任せれば大丈夫なはずだ。

 

「勇者様ー!」

「波からお救いください!」

「勇者様ー!」

 

 と、大仰な見送りがあり、時刻が訪れた。

 

 0:00

 

 ──ビキン

 

 音が響き、一瞬で景色が変わった。

 お、尚文とラフタリアもいる。

 

「行くぞ!」

 

 錬の声に続いて、一斉に駆け出したので、俺は後を追って走り出した。

 

「リユート村近辺です!」

 

 ラフタリアが焦るように何処へ飛ばされたか分析する。

 

「ここは農村部で、人がかなり住んでいますよ」

「もう避難は済んで──」

 

 尚文はハッと気づいたが、もう遅かった。

 

「ちょっと待てよ、お前等!」

 

 そんな尚文の制止する声が聞こえたのは、それなりに離れた後であった。

 錬は信号弾を上に構えて放つと、その場から煙の柱が上がる。

 近くのリユート村だし、30分もあればこれるだろう。

 内心悪いなと思いつつ、早速湧いて出た波の魔物をクロスボウで撃ち落とす。

 戦う前に打ち落とせば、数は減らせるだろう。

 弓の勇者様はそんなことには気づかない様子である。

 誰が一番初めに波の麓に到着するか競っているように、目の前に現れる魔物を討伐していた。

 

『力の根源たる俺が命ずる、理を今一度読み解き、我らに戦う力を与えよ』

「アル・ツヴァイト・ブースト!」

 

 自分のパーティメンバーのみを対象に、俺は支援魔法をかける。

 どうせこいつらは、俺の話は聞かないだろう。

 なので、尚文のためにも露払いだけやっておく。

 

『力の根源たる俺が命ずる、理を今一度読み解き、彼の者等を打ち滅ぼす雷の嵐を呼びおこせ』

「ツヴァイト・サンダーストーム!」

 

 俺が魔法を発動させると、ファーリーが驚いたように俺を見る。

 

「ソースケ、アンタ何してんのよ! 魔力を消費して!」

「経験値稼ぎだ。気にするな」

「気にするわよ! 援護魔法をかける時に魔力が足りなかったらどうするのよ!」

 

 俺は太もものポーチを指差す。

 

「俺はここにポーションと魔力水は携帯しているから、気にするな。それより、波が近づいてきたせいか、魔物の数が増えているぞ。気をつけろ」

「むー、それもそうね。ソースケがブーストかけてくれたおかげで身体が軽いし」

 

 ファーリーは早速攻撃魔法を唱えて、襲ってくる魔物を討伐する。

 それぞれ、元康の女ども以外の仲間達は魔物に攻撃を開始したのだった。

 

「ほら攻撃が来るじゃないの! 守りなさいよ!」

「もう! 役に立たないわね!」

 

 今この場では、先頭に立って戦っている燻製の方が、喚き散らしているヴィッチ達よりも役に立っているなと感じる俺であった。




波のボスとの戦いは次回やります。
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