波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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ここはどこ

 さて、決意を固めた俺に次の問題が降りかかる。

 ここはどこだ? 

 万が一メルロマルクであるならば、バッドだろう。

 メルロマルクは【三勇教】と言う、剣、弓、槍の勇者を崇拝し、盾の勇者を悪魔とする宗教なのだが、実はこの【三勇教】は冒険者や所在不明な人間を厳しく監視するのだ。

 要するに、メルロマルク内で活動するのは非常に面倒臭いのだ。

 だからこそ、序盤で勇者たちは転生者に襲われないし、順当にレベル上げできたのだ。

 ラルク達【狩猟具の勇者】の世界の勇者達が冒険者としてこの国を訪れたのも、グラスと言う【扇の勇者】から【盾の勇者】の情報を聞いていたからもあるが、女王が復権し、【三勇教】が邪教として表舞台から姿を消したからこそメルロマルク内で活動をするに至ったのだろうと推測する。

 また、シルトヴェルトであるならば、最悪である。

 この国は逆に【盾教】であり、盾の勇者を崇拝している亜人国家だからだ。

 つまり、人間は奴隷狩りに会う可能性が高いと言う事である。

 最良のはゼルトブル、次点がフォーブレイだろう。真ん中がちょうどシルトフリーデンか。

 ゼルトブルならば、あの国は闇の深い国であるから活動しても何ら支障はないだろう。

 フォーブレイは、過ごしやすい国だがあの国は転生者があちこちにいる国だ。独善的でわがままで人の話を聞かないゲーム感覚連中の集まる国ならば、生き残るには問題ないかもしれない。だが、あの国にはタクトがいる。つまりはそう言う事だ。

 シルトフリーデンも同じ理由だ。あの国はネリシェンと言うアオタツ種のタクトのハーレムが治めている国だ。

 

「どちらにしても、人里を探さないとな……」

 

 俺は木の棒を装備する。太くて長くて頑丈そうなものを選んだ。

 すると、ステータスの攻撃力が+2される。

 勇者ではないので視界に映る項目はそこまで多くはない。

 スキルは確か、勇者専用だったっけ……? 

 ちなみに、服は【異世界の服】で防御力は0である。

 これは、わかっていたことではあるけれどね。

 

 しばらく歩いたが、たまにバルーンに遭遇する程度で安全に散策することができたのは行幸だろう。

 盾の勇者である尚文ならば、わんさか出てくるのだろうが、あいにく俺にはそう言う能力はない。あるのは【勇者の武器】を奪うスキルぐらいだろう。

 お酒も飲んだら普通に酔うしね。【弓の勇者】の世界で言う異能力だったか。そう言うものは俺の世界にはなかった。

 今の首相も安倍晋三だし、VRは普通に存在するが、Mixed Realtyレベルである。まだいわゆるVRMMOはあいにくと存在していない。

 最近はVtuberとか流行っていたし、まさに俺の住む世界は平均的日本なのだろう。

 

 そんな事を考えながら森を進んでいくと、一軒の小屋にたどり着いた。

 雰囲気から、人が住んでいそうである。

 

「すみませーん」

 

 俺は言って気づいた。アレ、日本語って通じなくないか? 

 案の定通じなかったらしく、よくわからない言葉で中に居た女性が話しかけてくる。

 

「%▽×◯□」

 

 オウフ……。仕方ない。

 海外で困ったらボディランゲージである! 

 幸いにしてここに住む女性は人間に見えた。

 

「スミマセン、ここは、どこ、ですか?」

「▽□××%◯」

 

 あー、全く分からなかった。

 相手の女性もそれに気づいたのか、少し考えると日本語の発音とは異なるがこう言った。

 

「メルロマルク」

「メルロマルク?!?!」

 

 俺は驚いて尻餅をついてしまった。これは最悪だ。なにせ、本編の舞台であるからだ。

 少しでも干渉すれば、波は解決どころの話ではなくなるからだ。

 それに、盾以外の四聖勇者にヘタに干渉しても不味いだろう。関わり合いにならないためにも、メルロマルクから早急に出た方が良かった。

 

「えっと、さ、サンキュー!」

「%$◯▽□▽!」

 

 女の子に腕を掴まれた。

 彼女もジェスチャーをしてくれるおかげで何を言いたいかが理解できた。

 

「これからすぐに暗くなるから、今夜はここに泊まっていって」

 

 と言っているのだろう。まあ、多分であるが。

 周囲を見渡すと、確かに暗くなり始めていた。

 しかし、女の子が一人でこんな小屋に何故暮らしているのだろうか? 

 疑問はすぐに解消された。

 家主である、女性のお父さんが帰ってきたのだ。

 

「はじめ、まして! 旅人です! えーっと、迷子、です! 今晩は、ここに、泊めてください!」

 

 ジェスチャーを交えながらなんとか相手に伝わり、家主のおじさんは首を縦に振ってくれた。

 勇者というのは精霊が翻訳してくれるらしいので言葉に困らないが、異世界転移の俺はそういうものはないらしく、言葉の壁にぶち当たっていた。

 俺は言葉の分からぬまま、部屋に案内された。

 ここで休めという事だろうか? 

 俺がジェスチャーをしながら確認をすると、首を縦に振ってくれた。

 伝わるまでに10分少々かかるのは不便である。

 だが、なんとなくではあるが法則性がみえては来ていた。メルロマルク語はおそらく英語に近いのだろう。ジェスチャーでやり取りするうちに、主語とか述語とかの位置と、一人称と二人称についてはなんとなくわかってきたぞ! 

 俺はこの優しい二人に言葉を習おうと決めた。それ以外に適任がいるだろうか。

 この機会を逃すすべはない。

 俺は女の子に色々と物を聞いて回ることにしたのだった。




最初にぶつかる壁はやはり言葉です。
ただ、話せないとどうしようもない状況なので、異様に習得が早いです。
ちなみに、チートを拒否らなければオマケで異世界言語解析/会話を覚えられました。
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