波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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3つの依頼

「さて、勇者たちよ」

 

 盾の勇者が去ったからかクズは元の落ち着き払った声音に戻る。

 今更取り繕ってもな……。

 

「折り入って頼みたいことがある。聞いてはもらえんかな」

「クエストか」

 

 クエストの発生と聞いて怒気を緩める勇者たち。

 そうだよなー、どうせゲーム内のことだもんなー。

 

「勇者様方の言葉を借りればその通りです」

「今、3つの難題がこの国を蝕んでおる。既に勇者たちは知っておるかも知れんがな」

 

 クズは咳払いをすると、クエストの内容を開示した。

 

「先ずはモトヤス殿への依頼だ。南西の地域で飢饉により食糧不足が発生しておるようだ。原因の調査と解決を依頼したい。報酬についてはギルドを通じて渡そう」

「おう! 任せておけよな。俺が行って軽ーく解決して見せるぜ」

 

 元康は自信満々にそう言う。

 あー、あの尚文が尻拭いした件か。

 

「武に優れるレン殿には、ドラゴン退治の依頼を任せるとしよう。東のミルソ村近辺でドラゴンが生息をしていると言う。ドラゴンは生態系にも影響を及ぼす悪しき魔物だ。これを討伐していただきたい」

「フン、それぐらい朝飯前だ」

 

 錬はカッコつけてそう言う。

 昨日の夜に言っていた話だな。

 最弱の竜帝……ガエリオンの討伐だ。

 

「イツキ殿には調査依頼だな。何やら北部地域で不穏な動きがあるらしい。それの調査を依頼したい」

「調査ですか。……わかりました。受けましょう」

 

 錬は具体的であったが、三人ともクエストの内容はわかった顔をしている。

 これもゲーム知識なのだろうか? 

 アイツらがどういうゲームをやっていたのかは知らないんだがな。

 

「では、勇者諸君。この国の……世界の未来を頼んだぞ」

「任せとけ!」

「ふ、いいだろう」

「わかりました」

 

 各々、異なる返事をする勇者たち。

 でも、実際元康以外はメルロマルクを守る意味は薄いだろうなとは思う。

 

 と言うわけで、俺は武器屋に来ていた。

 単独行動のため、兜は外している。

 

「おう、あんちゃんじゃねぇか。あんちゃんの槍、完成してるぜ」

 

 気の良い親父さんが、槍を持ってきてくれた。

 十卦の槍で、穂先が開く仕掛けが施されている。

 

「穂先が開く機構は、あんちゃんが魔力を通すと起動するようにした。性能的には【対人攻撃力上昇中】と【無敵貫通】、穂先を開いた状態で【防御無視】ってのが付与されている」

 

 なかなかに凶悪な武器になってしまったようだ。

 装備して、槍に魔力を通すと、穂先がパカっと開く。

 

「すっげー……!」

 

 この槍は、俺はある目的のために作ってもらった。

 勇者パーティを抜けた後に俺がやるべき事だろう。主にそれに使う。

 

「じゃあ、この槍を下取りにして購入するよ。いくらだ?」

「へぇー、こいつもなかなか良い槍だな。そうだな、銀貨120枚だな」

「わかった」

 

 俺は料金を支払う。

 

「まいどあり! 他にもオーダーメイドで作ってやっても良いぜ」

「そうだな……小手とか頼めるか?」

「良いだろう。あんちゃんは格闘術を使うみたいだし、手首の関節が動きやすいものでも作っておくさ」

「まあ、しばらくは勇者様の護衛で来れないだろうから、気長に頼むさ」

「あいよ」

 

 という感じで、俺は新しい装備を入手した。

 銘は『人間無骨』。森可長が愛用した、人間を容易く殺す槍だ。

 流石にこの槍は、元康にウェポンコピーさせるわけにはいかないだろう。

 こう言った、勇者の世界にある伝説の武器というのはこの世界のとある場所に集められていたりする。

 22巻までしか読めていない現状、それを入手できるかどうかは知らんな。

 錬たちの元に戻ると、錬が俺の槍を見てギョッとする。

 

「……なんだその物騒な槍は」

「俺専用の武器だ」

「対人攻撃力上昇とか言うスキル、初めて見たぞ……」

「気にするな、敵以外には向けないからさ」

「……まあ良い」

 

 錬も鑑定スキルを持っているようである。

 そういうのは便利だなと思う。

 俺はあいにくと持っていないため、実際に装備して能力値の増減で測るしかないがな。

 

 俺たちは、こうしてメルロマルク城下町を後にしたのだった。




実質の第三幕の開始ですね。
この後は各地を転々としながら、ミルソ村を目指します。
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