波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

42 / 186
アンケートの結果、フィロリアルの聖域に連行が決定しました!


勇者パーティを追放されたので、英雄譚(笑)を謳歌する連中を皆殺しにします
プロローグ


「うぐっ……!」

 

 身体中の痛みで目が醒める。

 反射で俺は、ポーチを弄ろうとした。

 もっさりとしたものを鷲掴みする。

 

「ん?」

 

 目を開けると、俺はフィロリアルに埋まっていた。

 

「って暑苦しい!」

 

 俺はフィロリアルの群れの中なら這い出る。

 あ、身体めっちゃ痛い……! 

 

「無理に動いちゃダメ」

 

 幼い少女が現れて、俺を捕獲する。

 そして、瓦礫のそばに立てかける。

 

「お前は……」

「気にしないで。ただの気まぐれ。勇者の仲間の気配がするから助けた」

 

 フィトリアは俺の顔を覗き込む。

 

「でも変。勇者の仲間なのに、勇者の敵の気配もする」

 

 不思議そうな表情で俺を覗き込むフィトリア。

 

「あなたはどっち? フィトリアには判断できない」

「……さあな。俺にもわからん」

「そう。あなたにも判断できないの。変なの」

 

 そう言うと、フィトリアはひょこひょこ歩きながらうろつく。

 

「で、ここは何処だ?」

「ここはフィロリアルの聖域。普通の人間はここには来れないし、フィトリアも連れて来たりはしない」

 

 と言うことは、俺は普通の人間じゃないと言いたいのか。まあ、あたりではあるけれども。

 

「ここで傷が癒えるまで休んでもいいか?」

「構わない。ただ、奥には勇者しか入れない。フィトリアの気まぐれで連れてきた。だから傷が癒えるまでならいい」

「俺がフィトリアに見つかった場所は?」

「人間至上主義の国の東側。フィトリアは次の波の場所に向かっていた」

「邪魔しちゃった?」

「問題ない。すぐに鎮めた。そう言えば、あなたの名前を聞いていない」

「俺は……菊池宗介だ」

「ソースケ。フィトリアは忘れっぽいけど、これだけは覚えている。そう言う系統の名前は、勇者しか名乗らない。あなたは誰?」

「さあな」

「少し待って」

 

 フィトリアはそう言うと、遺跡の奥に言ってしまう。

 そして、黒い小瓶を持ってきた。

 うぐっ、俺の中の何かが過敏に反応している。

 

「本来は、人間に与えるものではない。フィトリアが次期女王に与えるもの。だけど、きっと、ソースケには必要」

「あ、あれだろ。そ、それは不死薬だろ! ち、近づけるな!」

「なんで知ってる? 不思議。だけど、飲ませはしない。こうするだけ」

 

 フィトリアはそう言うと、一滴を指に垂らして手に広げ、俺の傷口に塗りつけた。

 途端に、世界が暗転する。

 

「あ、が、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 俺は激痛に悶絶する。

 何かが、俺の、魂を、攻撃する!! 

 

「は、あ、があああああああああああああ!!」

 

 苦しい、苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ!!! 

 

 どれぐらい悶絶していただろうか。

 気がつくと、俺はフィトリア達から観察されていた。

 

「驚いた。人間の傷口に塗ると、こんな事になるなんて」

「……うぅ」

「大丈夫、身体には変化はない。ただ、驚く事があっただけ」

 

 一体何が起きたんだ?? 

 

「一体何が起きたのか、フィトリアにもわからない。何か黒いものが一部消滅しただけ」

 

 黒いもの……? 

 

「それが何かわからないけれど、きっといい事。今はゆっくりお休み」

 

 ああ、そうだな。眠たい。

 俺は再び意識を失った。

 

 

 翌日……なのか? とにかく俺はフィロリアル羽毛布団の中で目を覚ました。

 一部記憶が曖昧だが、俺がフィロリアルの聖域に来ている事は覚えている。

 俺はポーチからポーションを取り出して飲む。

 うん、HPはだいぶ回復した。

 状態異常も今はかかっていないようだ。

 

「ソースケ、起きた?」

 

 フィトリアがトコトコやってくる。

 

「ああ、なんかすごく気分がすっきりしている!」

 

 本当に、すごくすっきりした感じだ。

 まるで、初めてこの世界に来たときのようだった。

 

「そう、良かった。何もなくて。3日も目を覚まさないから心配した」

 

 ホッとした様子のフィトリア。

 俺はあれから3日も寝たままだったのか……。

 一体何があったのだろうか? 

 

「栄養は心配しなくていい。寝ながら食べさせた」

「どう言うこと?!」

 

 一体何をどうやって食べさせたのか、非常に気になってしまう。

 

「それじゃあ、ソースケを人里の近くまで送る。乗って」

「ああ、わかった」

 

 フィトリアはそう言うと、何処からともなく馬車を取り出した。

 俺はそれに従う。

 あの馬車は、眷属器だ。つまり、ポータルでどこかに連れて行ってくれるのだろう。

 

「ポータルキャリッジ」

 

 フィトリアがそう宣言すると、転送剣と同じ感覚がした。

 どうやら、何処かの森らしい。

 

「フィトリアはここまで」

「ああ、なんか助かった。ありがとうな。さようなら!」

「さようなら、ソースケ」

 

 恐らく、二度と会うことはないだろう。そう思ってさようならと言った。

 さて、まずはここが何処かを把握しなければならないだろう。

 レイファに会うためにも、そしてメルロマルクの他の波の尖兵を殺すためにも、俺は決意を新たにしたのだった。

 

「よし、今日も一日、頑張るぞい!」




宗介の女神の制約が軽くなった!
宗介が日本人とバレても死ななくなった!
これまでに溜まっていた女神の呪いが解除された!

いよいよアールシュタッド領、どうやって攻略する?

  • 宗介単身で乗り込む
  • 宗介単身で忍び込む
  • 尚文と協力する
  • 尚文から協力を申し入れられる
  • 皆殺しする

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。