「なるほどな」
尚文はラフタリアの話を聞いてそう呟いた。
馬車を止めているスペースは人通りは少ないが、馬車が止まっていてもおかしくない場所に止めてあった。
これは当然ながら尚文の提案である。
「腕利きの冒険者を集めて護衛ね。勇者じゃないところがポイントだな。樹が食いつきそうな案件だが、クズ王の依頼で北にいるのならば、駆けつけては来ないだろう」
「はい、実際に剣の勇者様以外には打診はしたらしいのですが、優先順位の問題で王の依頼を優先するそうですよ」
「錬には打診してないのか……。改めて、景虎のハメられた話が正しい事が分かってイライラするな」
「んー?」
勇者が来ていないのならば、障害としてはそこまで大きくはなさそうだ。
なんと言っても、俺はすでにクラスアップ済みで、阿呆を2人殺したせいかその分多くの経験値を得たからな。
尚文達にはそこまで経験値が入っていないところを見ると、波の尖兵が波の尖兵を殺害した際のメリットと言ったところか。
「景虎の強さはわかっている。が、敵もそれを警戒して、戦力はかなりあるようだな。ターゲットはクソ女でいいんだな?」
「ああ、間違いない。ミリティナがミナ……俺をハメた女だな。そいつがターゲットだ」
「オーケー」
と、そうだそうだ。
勇者装備をパクれる波の尖兵達を尚文達に戦わせるわけにはいかなかった。
まあ、聖武器を表層だけでもパクれるのはタクトだけであるから、そこまで心配する必要はないかなとは思うが。
なので、提案する必要があった。
「そうそう、岩谷は基本的に女を相手にしてくれれば良い。男は俺が殺す」
「ん、何かあるのか?」
当然疑問に思うよな。
うまい具合に誤魔化すとしよう。
「ああ、岩谷達に使命があるように、ああいう傲慢な連中を殺すのが、俺がこの世界にやってきた使命なんだと思ってな」
「……この世界でもリア充爆発させるのか」
「ま、気に食わないのも認めるけどな」
まあ、アイツらは基本ハーレムだしな。
リア充爆発ってのは間違っていない。
素っ首叩き斬ってミンチにするだけだから、爆発はしないがな。
「……是非ともあのクズ王も暗殺してほしいものだな」
「それは、勇者様の仕事だろう? 愚かな王は魔王も同然だからな。魔王を倒すのが勇者様の役目だ」
「ハッ、言ってろ」
俺の勇者ジョークに、尚文は半笑いで肩をすくめる。
クズは殺すわけにはいかない。
それは、書籍版やweb版を読んだものの常識だろう。
アニメしか見てない人にとってはただの邪魔なだけのゴミに見えるが、覚醒イベントを発生させると諸葛孔明に変貌するからな。
「それに、王様は岩谷の敵なんだろう? 岩谷が自分で決着をつけなきゃ、岩谷自身が前に進めないさ」
「わかってる。クズ王とあのビッチ王女は俺がギタギタにしてやらないと気が済まないからな!」
「カゲトラさんがナオフミ様と凄い勢いで意気投合していって、複雑な気持ちです……」
この世界に復讐心を共有する剣みたいなものは存在しないので、それぞれお互いの敵と戦うのが一番である。
ミナ……俺をここまでコケにしてくれたんだ。
必ずぶっ殺す!
俺は決意を新たにする。
この街に波の尖兵が集まっているせいか、俺は殺意が滾っていた。
「それじゃあ、作戦を話す。ラフタリア、フィーロ、景虎。上手く動けよ」
尚文の作戦は、潜入作戦である。
警戒されていない尚文達が潜入し、警戒されている俺が囮である。
フィーロは俺と共に暴れる側で、尚文ラフタリアは屋敷へ潜入、敵を掃討して俺たちが侵入するための経路を確保する手はずになった。
俺がいなければ、ミナの確保はできないため、当然のことだろう。
「顔の割れている景虎が囮には適役だ」
「うん、フィーロも武器の人と一緒に暴れるね!」
「ああ、フィーロ、頼む」
フィーロは幼女形態で話を聞いていた。
「ラフタリア、俺たちは景虎の道を切り開く」
「お任せください、ナオフミ様。フィーロもカゲトラさんも気をつけてくださいね」
「うん、ラフタリアおねーちゃんも気をつけて!」
「ありがとう」
俺たちは作戦を開始したのだった。
作戦は実は悩みました。
何が尚文らしい作戦かですね。
宗介の方針ではないのでアンケは無しです。
章タイトルは有名タイトルのパクリですね。
レイファの行方は?(お好みの展開で)
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ミナに囚われの身(貞操は無事)
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転生者どもに嬲られた後
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既にシルトヴェルト
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実はまだ捕まっていない
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既に死亡