波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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戦い

 俺は、路地から出て街の中央に出る。

 このあたりでいいだろう。

 俺は被っていたローブを脱ぎ、宣言する。

 

「我は毘沙門天の化身! 菊池宗介! 我を悪と断じる悪がいると聞き推参した! 菊池宗介、推して参る!」

「びしゃもんてーん!」

 

 まあ、これでスルーされたら悲しいけどね。

 こんな目立つ場所で名乗りを上げれば、当然ながら色々と出現するのはわかっていたことである。

 

「居たぞー! 犯罪者だー!」

「ははは、悪が堂々と現れるか! 成敗してくれる!」

「「「きゃー頑張ってー! ──様ー!」」」

 

 ううん、やっぱり波の尖兵の名前は聞き取れなかった。

 まあいい、殺すか。

 と、思ったが、尚文からはなるべく戦闘不能で抑えるように指示があった。

 本格的に殺していいのは、元凶を捕獲した後の方が良いとの事だ。

 まあいい、殺そう。

 

「ははははははははは!!」

「ぎゃあああああ!!」

「フィーロも楽しい! はははははははー!」

「ぎゃああああああああああ!!」

 

 俺とフィーロは暴れ回る。

 流石に衛兵や女は殺しはしないが、波の尖兵とヴィッチっぽい女は素っ首を刎ねて回る。

 兵士は石突きで叩きのめし、短剣やクロスボウで適度に痛めつける。

 合気道で地面に叩きつけたりもするがな。

 波の尖兵の冒険者はもちろん、起動させた人間無骨でバンバン首を刎ねていく。

 

「ははははははは!! 成敗!!」

「ははははははは! せーばい!」

「うわああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 フィーロは尚文の指示を守り、蹴り飛ばして遊んでいるだけだが、俺は明確に殺意を持って、波の尖兵をぶっ殺して回った。

 波の尖兵など所詮害悪だしな。

 なんだか楽しくなってきて、フィーロと暴れ回ったのだった。

 

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 俺たちはアールシュタッド領の館まで接近した。

 盾はすでにキメラヴァイパーシールドに変化させてある。

 俺は奇妙な縁で出会った復讐者の手伝いをしているところだ。

 そうすけ……漢字にすると宗介だろうか? 今は景虎と名乗っているが、アイツも俺と同じようにビッチ王女と似たような奴に貶められた奴だった。

 既に、その精神は破綻しており、まさにその血塗られた槍『人間無骨』の持ち主である森長可や偽名である長尾景虎……上杉謙信と同様に戦闘狂の殺人鬼と化していた。

 この国の連中は人を貶めないと気が済まないのだろうか? 

 

「ぎゃああああぁぁぁぁ……」

 

 遠くから叫び声が聞こえる。

 景虎達は上手くやりすぎていそうである。

 その叫び声を聞いた衛兵が、わらわらと館から出てくる。

 

「キクチソウスケが現れたぞ!」

「謎の鳥と一緒に暴れまわっているらしい!」

「捕まえろ!」

 

 俺は隙をついて、ラフタリアと共に館に侵入をした。

 館は、スタンダードな洋館であった。

 敷地内を歩いていると、館の作りはまるで学校のように部屋が分かれているように見える。

 

「さて、まずは構造を把握することが先決だな。親玉は屋敷の奥、最上階に居ることが定番だが……」

 

 俺は周囲を見渡しながら、侵入できそうな場所を探す。

 もちろん、身を隠しながらであるが。

 

「ナオフミ様」

「どうした?」

「あちらを見てください」

 

 ラフタリアの指をさす方向を見ると、窓の中から何かが見える。

 近寄って覗き込むと会話が聞こえてきた。

 

「……全く、消したと思ったのになんで今更出てきますの?」

「申し訳ございません。我々も尽力しましたが、途中で行方知れずになってしまいまして……」

「ふん、どの道犯罪者になった彼には用はありませんわ。波のボスを討伐した時には使えるかなと思いましたのに……」

 

 この話し方はビッチ王女を彷彿とさせるものがある。

 声音は異なるものの、似た性格の奴なのだろう。

 この女が、景虎を陥れた奴と言うことか。

 

「ふ、そうカッカするな。可愛い顔が台無しだぜ? ミナ」

「ああ、──様素敵ですわ」

 

 丁度名前が聞こえるところで、外から騒音が入り、名前を上手く聞き取れなかった。

 装備を見る感じだと、おそらく錬や元康程には強いのだろうという事がわかる。

 金髪の腰までかかるロングヘアがボサボサな感じの髪型をしており、顔立ちは整っている。

 だが、嫌な目をしているのは遠くから見てハッキリとわかる。

 そして、そいつの取り巻きも女ばっかりだ。

 まるで元康を見ているかのようで非常に不愉快である。

 他の連中は別の場所に居るのだろう。

 

「ラフタリア、あの部屋までの経路を探るぞ」

「はい、わかりました」

 

 俺とラフタリアは移動する。

 現在の俺たちのレベルはこんな感じだ。

 

俺 Lv34

ラフタリア Lv37

 

 効率のいい狩場など知らない俺たちは、行商をしながらも着実に力をつけていた。

 盾の補正もあるし、油断さえしなければどんな苦境でも切り抜ける自信がある。

 俺達は見つからないように姿を隠しつつ、経路を探っているその時だった。

 

「なんだ、盾か。なんで盾がこんなところにいるんだ?」

 

 そいつは黒い鎧を着込み、黒い剣を装備した奴だった。

 明らかに強い。

 

「チッ」

 

 俺は舌打ちを打って、盾を構える。

 

「ナオフミ様!」

「ああ、敵だ」

 

 これが俺達が盗賊以外での初めての対人戦となった。




今回は尚文視点です。
上手くかけているかなぁ?

ちなみ、外では宗介が首を刎ねまくり、フィーロが蹴飛ばしまくっています。

レイファの行方は?(お好みの展開で)

  • ミナに囚われの身(貞操は無事)
  • 転生者どもに嬲られた後
  • 既にシルトヴェルト
  • 実はまだ捕まっていない
  • 既に死亡

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