波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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館突入前

 俺は、誰も恐れて襲ってこなく無くなったので休憩をしていた。

 俺の周りには、首と死体、血液が散らばっている。

 フィーロには食べないように指示を出している。

 ははは、大虐殺だな。

 無関係な冒険者は石突きや短剣、クロスボウで怪我だけで済ませているし、あとはフィーロが蹴り飛ばしただけだ。

 俺の怒りのバロメーターは既にだいぶ治まっており、少し落ち着いている。

 挑発する気分でもないので、こうやって座って、携帯用の水筒で悠々と水分補給をしていた。

 

俺 Lv67

 

 それなりに経験値を獲得できており、うまあじである。

 何人殺したっけなぁ? 

 

「んー、フィーロ退屈ー。武器の人ー、いつまで待てばいいのー?」

「岩谷が帰ってくるまでだな」

「わかったー」

 

 フィーロはそう言うとフィロリアルクイーン形態のまま周囲の散歩を始めた。

 警戒しているが、衛兵も冒険者達も遠巻きに見つめて警戒しているだけである。

 暴れすぎちゃったかなぁ……? 

 尚文からはフィーロは人間の姿になるなと言明されているので、フィロリアルクイーンの姿のままである。

 

 と、視界の隅に光が見えた。

 ラフタリアのファスト・ライトの光だろう。

 

「フィーロ、行くぞ。岩谷が呼んでいる」

「ごしゅじんさまが! うん、わかったー」

 

 俺はフィーロに乗り、光が見えた方向に進む。

 人を飛び越える際に、俺はこう、喧伝しておく。

 

「ははははは!! 天誅! 毘沙門天の名の下に、世に悪が栄えた試しはないのだ! ははははははは!!」

 

 そうして、俺達は尚文の元に戻ったのだった。

 

「でねー、武器の人、いっぱい首を飛ばして遊んでたのー。だからフィーロもいっぱい蹴って遊んだのー。ごしゅじんさまにいわれてたから、死んじゃわないかんじで蹴ったのー」

 

 フィーロの話を聞いて、尚文は微妙な顔をする。

 どう言う顔だろうか? 

 

「景虎……。一応言っておいたはずだが、殺すなと言ったよな?」

「そうだな。だが、目の前に殺したいほど憎い奴がいて、殺せる状況で殺すなと言うのが難しくないか?」

「うん、武器の人は狙って首を飛ばしてたよ」

「……お前はマトモだと思ったんだがな」

 

 今はだいぶスッキリしているが、開始直後は殺意が滾っていて、自分でも制御できなかったのは事実だ。

 だいたい波の尖兵な冒険者の1/3殺したところでだいぶ落ち着いたけれどな。

 

「既に俺はマトモじゃないのは自覚しているさ。首を刎ねるのに、僅かな躊躇いすら無くなっちゃったしな」

 

 最初に遭遇したあいつは、骨を折ったが殺してはいない。

 俺の殺人への躊躇いや拒否感を破壊したのは、三勇教の連中だ。

 

「……普段の会話はマトモだから良いとしよう」

 

 尚文はため息をつくと、話を変えた。

 怒っても仕方ないと思ったのだろう。

 

「さて、俺たちの方は館の偵察だが、景虎の目的らしい女の居場所は突き止めた」

「ええ、ですが、かなり強い冒険者達がいることが分かっています」

「一人と戦って倒したんだが、あのレベルが複数人で来られたら、流石の俺達でも叶わなかっただろう。幸いにして、連中は連携するつもりはなさそうに見えたがな」

 

 ですよねー。

 

「まるで、自分の力を試したいと言った感じの方でした」

「なるほどな。まあ、アイツらはそう言う連中だから仕方ないね」

 

 俺は同意する。

 アイツらの事だ、恐らく人質をとったりする事だろう。

 タクトのように人質を殺そうとする場合もある。

 俺の場合はレイファやドラルさんが該当するな。

 可能性として見積もっておくべきだし、上手く立ち回る必要があるだろう。

 

「岩谷、もしかしたら人質がいる可能性がある」

「……ありえるな。あの女と似たような奴だったから、その可能性は高いだろう」

「んで、思った通りにいかなきゃ人質を殺す可能性がある」

「……流石に連中もそこまでアホじゃないだろう。だがまあ、最悪の事態は考えておくべきだな」

 

 とりあえず、尚文に忠告しておくのはこんなところだろうか。

 

「よし、それじゃあ、館に突入する。強敵が出た場合はお互いに連携する事。あと、景虎はくれぐれも殺してくれるなよ?」

「あいよ。まあ、ラフタリアさんもいるし、自重するさ」

 

 フィーロは楽しんでいたみたいだがな。




次回は長くなるんで短めで勘弁してください。

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