景虎が駆け出すのが、戦いの合図となった。
赤い鎧を着た槍を使う奴、黄色い鎧を着た弓を使う奴、緑の鎧を着た剣を使う奴、まるで三勇者を相手にするような構図になり、俺は苛立ちを抑えられない。
「ナオフミ様、来ます!」
「アル・ツヴァイト・ブースト!」
ラフタリアの声と、景虎の支援魔法は唱え終わるのはほぼ同時だった。
支援魔法のおかげか若干ステータスが上昇する。
「亜人ちゃんを寄越しな! 盾えぇ!」
槍の赤い奴……元康亜種が槍で俺を狙って攻撃してくる。
槍を俺は盾で受け止める。
キメラヴァイパーシールドの効果が発動し、装飾の蛇が元康亜種に噛み付く。
「毒かよ! 舐めんな!」
「フィーロ!」
「いっくよおおお!!」
回復などさせる気は毛頭もなかった。
思いっきり元康亜種をフィーロが蹴り飛ばす。
「あの人、なんか嫌い!」
「ああ、元康を連想させるからな!」
ラフタリアは錬亜種と戦っている。
戦闘自体はどちらかと言うと、錬亜種の方が優勢に見える。
チッ!
樹亜種が矢を放ってきた。
「エアストシールド!」
エアストシールドで俺はラフタリアを守る。
ガンッと音を立ててエアストシールドに当たると、エアストシールドにヒビが入った。
それほどの威力なのか!
「フィーロ! 先に樹亜種を倒すぞ!」
「樹亜種ってどんなネーミングセンスだよバーカ! アローレイン!」
「セカンドシールド!」
俺は最近習得したばかりのスキルを使って、空中に盾を設置して、矢の雨をやり過ごす。
「隙あり!」
元康亜種が槍で突撃してくるが、景虎の方が槍の扱いは上手いだろう。
若干扱い方の系統が違う気はするが、景虎の槍の使い方はまるで手の延長で、盾にもなるし、腕にもなる。
俺は矛先を逸らすように受け流す。
ガインと音がするが、ダメージはない。
剣士の方が何倍も強いだろう。
「ふんっ!」
こんな未熟な槍の使い方では、元康よりも弱いかもしれない。
「フィーロ!」
「はーい! はいくいっく!」
フィーロの姿がブレて、元康亜種を蹴り倒す。
「ぎゃああああああああ!!」
元康亜種の鎧が砕け散り、そのまま樹亜種の方に飛んでいく。
「はっはー! やるじゃねぇの! ま、そいつは雑魚だからな。今度はこっちの手番だ!」
樹亜種はそう言うと、モーニングスターを取り出した。
「俺は弓も得意だが、本業はこっちでね!」
樹亜種の宣言通り、モーニングスターで攻撃してくる。
「いいなー、あのじゃらじゃら。フィーロも欲しい!」
そう言いながらも、フィーロはモーニングスターを回避して樹亜種に蹴りを入れる。
「あぶねっ!」
樹亜種はフィーロの素早い動きに対応してやがる。
なので、回避の邪魔をしてやる。
「エアストシールド!」
「何?!」
エアストシールドにぶつかった樹亜種はそのままフィーロの連打にノックアウトされた。
あれだけまともに喰らったのだ。
しばらくは動けないだろう。
ラフタリアの方を見ると、錬亜種と善戦をしていた。
「行きます! たあああ!」
「くっ、なかなかやる!」
不意に殺気を感じて俺は盾を構えた。
「ふかああああつ!」
「チッ!」
ギンっと音を立てて、元康亜種の槍を盾で受け止める。
「雑魚が! すっこんでやがれ!」
「雑魚じゃねええええ! 盾風情が偉そうにしやがって!」
元康のスキルを真似た……乱れ突きだったか? 攻撃をしてくる。
俺は盾で丁寧に槍を捌きながら、槍を掴む。
「なっ?!」
「フィーロ!」
「はーい!」
フィーロは樹亜種の持っていたモーニングスターを元康亜種にぶん投げる。
「な、離せ!」
「誰が離すか! くたばれ!」
俺は槍を固定して、頭に直撃するように誘導する。
「うわあああああああああ!!」
ぐチャァ!!
俺の目の前で元康亜種は頭が砕け散った。
良い様だ。
「わーい! すとらいくー!」
「フィーロ! 一応殺すなと言っただろう!」
全く、フィーロのせいで見たくもないものを見てしまった。
まあ、所詮は鳥だ。
人間の価値観と異なるのは当然だろう。
それに、撃ってもいいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。
俺は怒鳴りつつも、持ち主のいなくなった槍を放り投げて、ラフタリアの援護に向かう。
「ナオフミ様!」
「援護に来た!」
俺は盾を構えてラフタリアと錬亜種に割って入る。
剣士に比べれば、こいつらなど雑魚同然である。
ダメージも通らないし、動きは剣士に比べれば緩慢である。
俺は白刃どりの要領で剣をキャッチする。
「ぐ、離せ!」
「ラフタリア!」
「はい!」
ラフタリアは剣の腹で錬亜種の頭部を殴る。
「かはっ?!」
そのまま吹き飛ばされて、地面に倒れこんだ。
ん? 元康亜種を殺した時の経験値がかなり大きいぞ……。
人を殺すと貰える経験値がでかいのか……嫌なことを知ってしまった。
「よくやった、ラフタリア、フィーロ」
「ごしゅじんさま! 武器の人、たいへん!」
フィーロの指摘に、俺は景虎の方を向く。
そこには、白い鎧のいけ好かないやつ……見た目だけは似てるから、昏倒野郎と呼ぶか、そいつが斧を掲げているところだった。
「……そして、その誇りとともに、死ぬがよい」
そう宣言すると、昏倒野郎は一瞬で景虎を木を切り倒すように斧で凪いだ。
景虎は吹き飛び、壁に激突する。
「景虎!!」
「カゲトラさん!!」
俺たちはフィーロに乗り、景虎のところに急ぐように指示を出した。
「フィーロ!」
「うん!」
あの強力な攻撃だ。
最悪の場合を考えなければならないかもしれない!
俺たちは急いで景虎のもとに向かうのだった。
普通に尚文達は強キャラです。
信頼を受けると強くなる効果で基本的に硬いですしね。