波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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新章突入です!


影の正義のヒーローになりたくて!
プロローグ


「ラヴァイト! もっと速度を上げるんだ!」

「グアー!」

「ソースケさん! すぐそこまで来ています!」

 

 俺たちは全力で逃亡していた。

 三勇教の連中ならば皆殺しにするし、波の尖兵も同様である。

 つまりは、殺してはいけない人物から追われているという事だ。

 

「待ちなさい! 菊池宗介!」

 

 流暢な日本語に聞こえるそいつは馬に乗って追って来る。

 弓を番えて放ってきた! 

 

「チッ!」

 

 俺は舌打ちをして、槍で矢を切り落とす。

 いくら()()()()()()()()()とは言え、切り落とせばその効果は失うみたいだった。

 そう、俺を追っているのは、弓の勇者である川澄樹だった。

 

「そうだ! イツキ様、あの犯罪者を討伐して正義を示すのだ!」

「黙れ燻製! いつのまにテメェ弓の勇者様の仲間になってんだ! ふんっ!」

 

 俺は矢を払う。

 切り落とさなければ、命中するまで飛んでくるのだからタチが悪い。

 

「黙るのはそっちの方だ! だいたいワシの名前はマルドだ! 燻製などでは無い! 前からお前は気に食わなかったのだ!」

 

 燻製はいつのまにか、樹の仲間になっていた。

 果たしてどのタイミングだろう? 

 

「ふえぇぇぇ!」

 

 この声は、リーシアだろうか? 

 つまり、北の問題はすでに解決済みなのだろう。

 

「いい加減に止まりなさい! そして、その女性を解放するんです!」

 

 俺に弓の攻撃が通じないと見てか、警察のように説得に入る。

 なぜ、こんなことになっているのかと言うと、話の始まりは1週間前に戻る。

 

 

 旅の準備を済ませて、家を戸締りした俺たちは早速、メルロマルク城下町に向かった。

 理由は簡単、俺の装備を整えるためである。

 もちろん、家のあったローブは俺だけが羽織る。

 尚文を見習って、レイファに御者をさせ、俺は馬車の奥に引っ込んで移動する。

 2日もあれば、メルロマルク城下町に到着した。

 

「いらっしゃい、お嬢ちゃん。どんなご用で?」

 

 俺はいの一番に武器屋の親父さんのところにきていた。

 

「ん、そこのローブの野郎は……!」

「久しぶりだな、親父さん」

 

 俺はローブのフードを脱いだ。

 

「おお、あんちゃんじゃねーか! 無事でよかったぜ!」

「おかげさまでな」

「まさか、盾のあんちゃんと同じく犯罪者扱いになるとは思っても見なかったぜ」

「俺もだ」

 

 と、親父さんがレイファの方を見る。

 

「で、そこの嬢ちゃんは……?」

「俺の妹のレイファだ」

「ふふ、レイファです。ソースケがお世話になっていたみたいですね」

 

 親父さんは呆れたように俺を見つめてくる。

 レイファは俺の妹だ。

 異論は認めない。

 

「妹と言うには、似てなさすぎだろ……。盾のアンちゃんのように歪んじまったのか?」

「ソースケが私を妹扱いするのは元からですよ」

「まあ、歪んだのは否定しないさ」

 

 俺は肩をすくめる。

 人を殺す忌避感はとうに霧散している。

 例え波の尖兵やヴィッチじゃなくても、俺は俺に害する連中を殺したところで罪悪感など微塵もわかないだろう。

 そこまで歪んでいることは自認している。

 

「まあいいさ。お互い大切な存在なんだろ。で、あんちゃんは今日は何の用だ? 一応、指名手配されてるから、あんちゃんが店に居座るのは流石に困るんだが……」

 

 まあ、商売だもんね。

 なので、手短に要件を伝える。

 

「ああ、俺の防具はすでにボロボロなんで、修理と新しい武器の調達がしたいんだ」

「どれ、見せてみな」

 

 俺は、武器一式と鎧を置く。

 

「うーん、確かにあんちゃんにとって心許ない感じだろうな。うわ、鎧なんてほとんど使い物にならねぇじゃねぇか。こりゃ修理より新品作った方が安上がりだぞ」

「だろうな」

 

 鎧は三勇教の影に襲われた時に出来た穴や、白い奴と戦った時の切断部分でもはや鎧として機能していなかった。

 実際、防御力も+15とか元の数値から見ればかなり低い状態になっていた。

 

「なるほどねぇ。これだけであんちゃんが何度も死線をくぐり抜けてきたってのがわかるぜ。それじゃあ、あんちゃんには鎧もオーダーメイドで作ってやるか。短剣は打ち直し、小手は以前作っておいたオーダーメイド品で十分か。弓は少しカスタムすりゃよさそうだな。傷んだパーツを取り替えてあげれば少しはマシになるだろ」

「お金はかなり稼いでるから糸目はつけないぞ」

「あんちゃんこれからの生活もあるだろ? ここはマケにマケといてやるよ。銀貨700枚ってところだな」

 

 さすがは親父さんである。

 それでも銀貨700枚は高いがな。

 

「ありがとう、助かるよ」

「ああ、指定する素材を持っているんだったら、もう少し安くしておくぜ。調達費も含んでいるからな」

 

 親父さんが指定した素材は、鉱物以外なら持っていた。

 くる途中に討伐した魔物の素材だったからね。

 

「なるほど、なら、銀貨530枚だな」

「あいよ」

 

 俺は前払いで銀貨を渡す。

 

「まいどあり! 量が量だけに2日はかかる。あんちゃん用の小手はもう出来ているから、それだけでも装備していきな」

「ああ」

 

 俺は小手を装備する。

 手首が今までのものとは異なり、かなり動かしやすい。

 

「そう言えば、槍はどうした? 槍も同じ時期に作ったから、そろそろチューンナップが必要だろ」

「あー……」

 

 人間無骨は、もはや別物へと変貌していた。

 呪いの槍だが、成長しているためか、俺が装備するのに丁度いい状態になっていたのだ。

 だが、見た目は禍々しい。

 

「とにかく見せてみな。見ないことにはどうしようもねぇからな」

 

 俺は、呪いの槍を親父さんに見せる。

 

「……おいおい、マジか。完全に呪いの装備に変貌しているじゃねぇか。この槍で何人殺したんだ?」

「さ、さぁ……?」

「となると、アールシュタッド領で起きた冒険者虐殺の主犯はあんちゃんだったんだな……」

 

 親父さんはため息をつく。

 

「まあ、冒険者をやっている以上は、賞金首を狙う以上は返り討ちにあっても文句は言えないからな。仕方ねぇことだが、やりすぎは良くないぜ?」

 

 まあ、確かに調子に乗っていたし、やりすぎ感が否めないのもある。

 刎ねた首の数なんて、覚えていないほどにはやらかしたのだろう。

 

「ふむ、だがこの槍、カスタマイズできそうだな。少し借りるが大丈夫か?」

「それは構わないぞ」

「なら、銀貨50枚だ」

「あいよ」

 

 俺は人間無骨と、銀貨50枚を渡す。

 一体全体、親父さんはあの槍をどう改修するのか見ものではあるな。

 

「じゃ、あんちゃんは官憲に気をつけて過ごしなよ」

 

 という感じで、俺たちはメルロマルク城下町に少し滞在することになったのだった。




今回は終始終われ続けます。

キャラクターデザインしてほしいキャラはいる?(100超えたキャラ描きます)

  • 菊池宗介
  • レイファ
  • ドラル
  • ミリティナ=アールシュタッド
  • その他(メールして)

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