俺はメルロマルク城下町に2日滞在することになった。
次に行くところは、魔物商のテントである。
レイファは何度か足を運んだことがあるようで、案内されたのは大きなサーカスのテント小屋のようなところであった。
「ソースケ、ここが魔物商のテントよ。メルロマルクで一番質のいいフィロリアルを排出する魔物商として有名なの」
「あー……」
頭の中でフィーロが過ぎる。
確かにフィーロは……フィロリアルクイーンは珍しいからな。
勇者が魔物紋の親になる事がキーになっていたっけか。
つまり、俺が育ててもラヴァイトはフィロリアルキングにはならないという事であるが。
しかし、あの癖のありそうな人か……。
商才のある人や奴隷使いの才能がある人を気にいる質だっけか。
そう言えば、合気道の先生にも商売をやっている人がいたな。
まあ、いまの俺には関係のない話である。
「さ、行こう。ラヴァイト、おいで!」
「グアー」
俺はレイファに手を引かれて、魔物商のテントの中に入場したのだった。
「これはこれは珍しいお客様だ。そのフィロリアルはドラル氏のラヴァイトでございますね。そして、貴女はドラル氏の娘のレイファ嬢でございますね!」
ドラルさんは結構有名だったのだろうか?
ニヤニヤ顔の紳士……奴隷商は手を揉みながらそう言う。
「はい、お久しぶりです」
そんな怪しい奴隷商に対しても、レイファは天使であった。
「そして、これはこれは驚きましたでございます。首刈りのソースケ、賞金金貨50枚お方がこのような純真なレイファ嬢と一緒とは……。もしかして……?」
「何を勘ぐっているのか知らないが、俺たちの用事はラヴァイトの魔物紋登録の更新だ。持ち主のドラルさんが亡くなってな。主人をレイファに移したい」
「ふむ……。そのようなご用件でございましたか、ハイ」
なぜ残念そうなのだろうか?
「てか待て、俺は賞金首なのか?!」
「ええ、首刈りのソースケ。数多の冒険者を返り討ちにし、悉く首を刎ねて殺害するその手口から、そう名付けられましたです、ハイ。屠った冒険者の数は50名にも及ぶとか」
「……あれ、そんなに少なかったっけ?」
もう10人は殺した気がするんだがなぁー……。
「……恐ろしいお方です、ハイ」
奴隷商に言われて、自分の感覚がずれている事に気付かされた。
ふと見ると、レイファも苦笑をしていた。
「まあ、今回のお客様はレイファ嬢ですので、問題にはなりませんが、私共も信用で取引をしておりますので、ソースケ殿にはお売りすることはできないのです、ハイ」
ん? その言い回しだと、俺になにかを売るつもりだったのだろうか?
俺がジトッと見ると、奴隷商はニヤニヤと俺を見つめる。
「いやはや、賞金首でなければ、私どものいいお客様になっていただける素質があると言うのに、残念でございます、ハイ」
遠回しに、サッサと賞金首から復帰しろと言っているようなものだ。
「……とにかく、サッサと魔物紋の手続きを済ませてしまおう」
「わかりましたです、ハイ。では、こちらのインクにレイファ嬢の血を」
部下に準備をさせていたのだろう。
いつの間にか出ていた契約の魔法に用いるインクと、切るためのナイフが用意されていた。
「はい」
レイファは指を少し切ると、血を垂らす。
「ソースケも一緒にね」
レイファはそう言うと、俺の血もインクに混ぜてしまった。
その、血の混じったインクに奴隷商が筆をつけて、ラヴァイトの魔物紋の部分にくるっと重ね書きをすると、ラヴァイトが少し苦しそうに鳴く。
「ふむ、いいフィロリアルですな。健脚で温厚。羽の具合もなかなか整っている。いい環境で育っている証拠です、ハイ。万一売る事になった場合は是非、私どもの方で銀貨350枚で引き取らせていただきますです、ハイ」
「売らないです!」
レイファはピシャリと言う。
持ち主はレイファだし、俺からは特に言うこともないかな。
ラヴァイトは家族だし俺としても売るのはどうかと思うがな。
「はい、出来ました。お代は銀貨15枚になりますです、ハイ」
俺が出す。
ちなみにこの金は戦利品として俺が殺した連中の懐から奪ったものだ。
レイファには言っていないがな。
俺は生き残るためならなんだってするつもりだ。
既に俺の両手は血に塗れているのだ。
手段なんぞ選ぶ意味はなかった。
「ヘッヘッヘ、確かに頂きました! それでは、今度は魔物のご購入を頂けますよう」
原作を読んでいても思ったが、気味の悪いおっさんである。
ラヴァイトの再契約も終わったので、俺はフードを深く被り、レイファと共に宿の部屋を確保に向かった。
「私、あの人苦手かも……」
「いやー……得意な人なんて居ないと思うがな」
「ソースケは何故か気に入られたみたいだけれどね」
多分、奴隷商的な直感なのだろう。
今の俺なら奴隷を購入したら、どのようなプランで運用するかまで考えきれてしまう。
日本にいた頃のような甘さは既にあの時に自らの手で殺してしまったのだろう。
商人としてではなく、奴隷使いとして気に入られた気がするんだよなぁ。
「ああ、レイファ。そう言えば言うの忘れていたが、俺のことは街中では景虎と呼んでくれ」
「……賞金首らしいからね。わかったわ、カゲトラ」
俺は小手を装備した両手で拳を作った。
押し殺した殺気が俺の後を付いて回っていたのだ。
テントを出てしばらくした後なので、奴隷商のところではないだろう。
「……レイファ、先に宿を確保しておいてくれないか? 野暮用ができた」
「……? わかったわ。遅くならないようにね!」
レイファはうなづくと、ラヴァイトに乗って先に行ってしまう。
さて、俺を追っている奴の正体を確かめますかね。
俺はわざと人気の少ない裏路地へ足を踏み入れた。
今の非情に徹しきれる宗介は気にいるだろうなと思いました。
合気道を続けている人は資産家だとか公務員が多いイメージです。
経営やっている人もいるかな?
なので、その人たちと話す機会も多いイメージです。
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