波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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情報収集

 裏路地に入ると、俺を追っていた殺気が俺を追って入ってきた。

 やれやれだ。

 

「ヘッヘッヘっ……」

「えーっと、めんどくせぇなぁ……」

 

 気配は、普通の冒険者と言ったところだ。

 ゴロツキ冒険者か? 

 

「お前が【首刈りのソースケ】だな」

「大人しくお縄につけ。ヘッヘッヘ……」

 

 うん、ただのゴロツキだったわ。

 俺はボコボコのボコにしてやる。

 雑魚戦なんて省略してしまって良いだろう。

 

「つえぇぇぇ……」

「手も足も出ないとは……ぐふっ」

 

 やれやれ、面倒くさい事だ。

 俺はフードを被り直すと、急いでレイファを追う。

 まあ、俺はこんな感じで軽くあしらってしまっているが、賞金首であると言うことは、色々な奴等から命を狙われると言う事実であった。

 金貨50枚……銀貨5000枚の賞金首である。

 アールシュタッド領では法律的には不問にされたが、ギルドの方では冒険者を大量に失ったわけで、その損失もでかい。

 つまり、俺はギルドから指名手配される賞金首と言うわけである。

 そして、レベル68の俺を確保する難易度は高いため、当然ながら勇者案件になると言うのは自明の理であったことを、俺は完全に失念していたわけだ。

 

 俺はレイファと合流して、宿に入る。

 ラヴァイトはレンタルの鳥舎に泊まる事になっている。

 

「それにしても、すごい二つ名だよね。首刈りって……」

「確実に仕留めるために首を刎ねるのが一番手っ取り早いからなんだがな」

 

 ちなみに、首や心臓を狙ってもHPが残っていると切れない事がある。

 その場合は裂傷と出血のバステでスリップダメージを受けるので、苦しんで死ぬことになるようである。

 当然だが、人間無骨だと防御無視のため腕で防いでもすり抜けて攻撃が入るため、回避するか、白い奴みたいに柄の部分と鍔迫り合いをする以外に防ぐすべはない。

 無敵貫通は、防御結界をすり抜ける効果がある。

 すり抜けるだけで、破壊しないのがポイントである。

 シールドプリズンを貫通して攻撃できるし、おそらく流星盾なんかも貫通して攻撃できると言うイメージだと思ってもらえれば良いか。

 

「私としては、そう言う殺生は良くないと思うんだけれどね」

「……わかっちゃいるさ。なるべく無駄な殺生はしないようにしてる」

 

 もちろん、ボコボコにはするけれどな。

 命を狙ってくる以上は、当然ながらやり返す。

 しかし、賞金首ねぇ……。

 どうやったら解除されるのかねぇ? 

 やっぱ、冒険者として波と戦うとか? 

 だけれども、波の尖兵連中を皆殺しにするのは確定しているしな。

 難しいところである。

 

「しかし、ギルド的な賞金首って捕まえたらどうするんだろうな?」

「流石にそれはわからないよ。私は冒険者じゃないもの」

「それもそうか。流石に金貨50枚だと処刑かな?」

「ええっ! 嫌だよ!」

 

 不安そうな顔をするレイファ。

 あり得るのが困ったところである。

 もしくは、波に対抗させるための手段として行使するかだ。

 こっちは俺としても利害が一致するので、交渉するならこちらだろう。

 

「もしくは、波の戦いに強制参加かな。強い冒険者って人材だし、服役させるよりは良いだろう」

「そ、それも危ないよ!」

 

 どちらにしてもだ。

 波を鎮める冒険者として俺は手柄を立てる必要があるわけだ。

 そのためには、メルロマルクから出る必要があった。

 

「それじゃあ、情報収集にでも行きますか」

「うん、私、ソースケの分まで頑張るね!」

 

 と言うわけで、俺たちは情報収集をお互いにすることになった。

 レイファは表で雑談しながら、そして俺は何故かギルドに向かう。

 灯台下暗しって言うじゃない? 

 レイファには言ってないからセーフだよ。

 基本的にローブ深くかぶっているしね。

 ちなみに、メルロマルクだとローブを被った連中は基本的に亜人の冒険者だ。

 

 さて、俺は特に怪しまれることもなくギルドに入る事ができた。

 警備は居ないからね、仕方ないね。

 ざっとクエストボードを閲覧する。

 基本的には高い報酬のクエストだな。

 いや、受けないんだけれどね。

 単価が高いクエストは基本的に勇者専用のところがあるし、多少はね。

 ざっくり見ている中で目立ったのは、やはり賞金首だろうか。

 おおよそ普通の賞金首で、銀貨800枚とかその辺りだ。

 俺の手配書も貼ってあり、報酬レベルだと上位に当たる。

 

「うへぇ……」

 

 思わず変な声が出てしまった。

 人相書きは似ていないが、生死を問わずとある。

 完全に魔物扱いだ。

 よく読むと、自信のないものは出会ったら目を合わさずに逃げる事を推奨するとまで書かれている。

 猛獣かよ! 

 

 それなりに滞在していたが、俺がキクチ=ソースケだと案外気づかないものだなと思う。

 まあ、メルロマルクのギルドはほぼ使ったことないから仕方ないね。

 錬がギルドからとってくるのも依頼書だけだったし。

 耳をすませていると、色々な噂話が入ってくる。

 その中でも、一番聞く噂は剣と槍の勇者の噂か。

 あとは、神鳥の聖人の噂も聞く。

 剣の勇者の噂は、東の村でドラゴンの討伐をした他、強力な魔物の討伐をしたなどの、討伐系の噂がほとんどである。

 槍の勇者は、南西の飢饉を神聖な種で解決したと言う噂の他には、どこかの領地の問題を解決したとか、そう言う系の噂が多く、剣の勇者ほどは武勇伝は聞かなかった。

 神鳥の聖人の噂は勇者ほどではないけれど、耳にする。

 商売をしながら神の奇跡を各地に振りまいている、だとか、聖人が飲ませた薬でもう治らないと言われた病を治したとも聞いた。

 

 そして、弓の勇者の噂は、まるで耳にしなかった。

 

 それぞれ、勇者連中は頑張っているなぁと思いつつ、俺はギルドを後にしたのだった。

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