波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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宗介超強化

 翌日、俺とレイファはラヴァイトを伴い、レベル上げに向かう。

 レイファのレベルは10、ラヴァイトのレベルが21なので、とりあえずは経験値稼ぎである。

 こっそりと討伐系の依頼書を確認して、めぼしい魔物は見繕っていたので、ギルドに報告せずに討伐だけしてしまおうと言う算段だ。

 これは悪いことであることは認識しているけれどね。

 依頼書ってのは指標になるので、活用させてもらう。

 場所は、ラファン村……尚文が最初に行こうとした、初心者向けのダンジョンがある場所だ。

 依頼内容は、勇者たちによって生態系が変わった影響か、強い魔物が出現するようになったので、これを討伐してほしいと言う内容だ。

 前半の部分はボカされているけどね。

 

「グアー!」

「ファスト・ウインドショット!」

 

 俺は後方でレイファ達のレベル上げの様子を見ながら、周囲を警戒していた。

 ラヴァイトが積極的に攻撃してくれるからね。

 俺の出番はない感じである。

 

「ふふっ、ラヴァイトすごーい!」

「グアー♪」

 

 ラヴァイトも、レイファの事を妹のように思っているのだろうか? 

 依頼対象のアークルライガーの討伐も、レイファに一匹も近づける事なくラヴァイトが倒して行く。

 

「……ふんっ」

 

 なんとなく、俺も手近のアークルライガーをぶん殴ってみる。

 ブシャアァァと首が吹き飛んだ。

 

「…………」

 

 これがレベルによる補正の差かぁ……。

 吹き飛んだ首はベチャっと音を立てて、木に命中する。

 

「キャイィイイイン!!」

 

 ライガーなのにまるで犬のような鳴き声をしながら、俺から逃亡していった。

 

「………………」

 

 強くなりすぎた感じだな、こりゃ。

 

「グアー! グアグアグア!」

 

 なぜかラヴァイトに怒られる。

 何となく言いたいことが察せられるのがポイントだ。

 

「あー、ハイハイ、悪かったよラヴァイト。俺はもう攻撃しないよ」

「グア!」

 

 しかし、レイファやラヴァイトと居ると、心が洗われる感じがする。

 うんうん、やっぱり異世界冒険譚ってのはこうだよな! 

 何で中盤で巡り会うような陰謀なんかに巻き込まれなきゃならねぇっての! 

 だいたい、時期的に見ても2巻の中盤ごろだろ? 

 バイオプラントと戦っている時期なのではと推測する。

 道化様もメルロマルク城下町まで戻って来ているしな。

 

 そんな久し振りにゆとりある時間を俺は過ごしたのだった。

 

 レイファ達のレベル上げも終わりメルロマルク城下町に帰る。

 レイファのレベルは12に、ラヴァイトは変わらず21のままでレベル上げを終えた。

 夕暮れ時になり、レイファに宿を任せて俺は、武器屋に赴く。

 いや、すっかり常連だな。

 最初はそこまで使うつもりはなかったのだが、オーダーメイドだし何より品がいいのだ。

 

「お、あんちゃんじゃないか」

「親父さん、もう出来ている感じ?」

「おうよ。もちろん出来てるぜ」

 

 親父さんはそう言うと、武器と鎧を取り出した。

 鎧は、前のメルロマルク兵の装備する鎧を独自に発展させた形である。

 フルフェイスの兜はオミットされ、さらに動きやすいように再設計されていた。

 腕の部分は小手を装備するために何も無いが、全体的に防御力のたかそうな装備だ。

 短剣は、さらに鋭さや硬さが増した感じがする。

 

「隕鉄ってやつを使った短剣だ。以前試作品を作ってたのを思い出してな、材料を取り寄せて作成したんだ。今のあんちゃんなら使いこなせると思うぜ」

 

 握ってみると、確かに良さそうな感じだ。

 基本構造はアーマードナイフのままだが、隕鉄の刀身になっている。

 

「名付けて、隕鉄のアーマードナイフってな。まあ、ナイフにしては刀身は長めにしているがな」

 

 クロスボウは、黒い木を使ったものに変わっていた。

 

「そいつはフォーブレイで採取される黒トリネコで作られた木材を使っている。どんな奴が使ってもワンランク上の威力が期待できる代物になってるぜ」

 

 クロスボウの機構はちゃんと維持されているみたいで、簡単に引き絞れるし、ボタン一つで矢を発射できる。

 リロードはより簡単になっているのがポイントだろうか。

 

「すごいな……さすが親父さんだ」

「まあな、俺はそれが仕事なんでね、お客さんの望むものを提供するのが俺の仕事なのさ。で、次が問題児だ」

 

 そう言うと、真っ黒な槍を取り出した。

 見た感じだと、人間無骨? 

 

「なかなか厄介な代物だったが、カスタマイズをした結果、真っ黒になっちまった。スキルは『対人攻撃力上昇上』『無敵貫通』『首切断』『防御チャージ』、穂先の展開時は『防御無視』『防御力無視』『ブラッドチャージ』『ソウルアタック』だな」

「何というチート武器だ……」

 

 殺意が高すぎるだろ、この槍。

 しかし、『防御チャージ』や『ブラッドチャージ』とは一体? 

 槍には三つぐらいの穴が空いているが。

 

「『防御チャージ』はどうやら、防御するたびに攻撃力が上がるスキルみたいだな。『ブラッドチャージ』は名前からして血を吸ったら攻撃力が上がるとかそんなんだろ」

「もはや呪いの武器だな」

 

 ただ、あの禍々しいデザインが無くなり、黒くてシンプルな槍になったのはさすが親父さんである。

 刀身は鈍色に輝いており、持っただけでこの槍が血を欲しているのを感じる。

 うーん、この。

 ますますこの槍を道化様にコピーさせるわけにはいかなくなってきたぞ! 

 

「名前は、人間無骨+でいいだろ。まあ、呪いの反作用も収まったみたいだし、あんちゃんにとっては使いやすいと思うぜ」

 

 振るってみると、まるで羽のように軽く、思った通りに扱えるいい武器になっていた。

 

「こいつはすごいな……!」

「それ、本気で危ないからあまり店の中で振らないでくれよ」

「そうだな。とにかく親父さん、ありがとう!」

「おうよ! それであの嬢ちゃんを守ってやんな!」

 

 俺は装備して、サムズアップで武器屋を後にした。

 なんかますます人を殺害しやすくなってしまった気がするが、まあいいだろう。

 どっちみち、波の尖兵は皆殺しする予定だから、問題ない気はするけれどもな。

宗介達は第二の波に参加する?

  • 参加する(ボスに向かう)
  • 参加する(街を防衛する)
  • 参加しない

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