波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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二日間休んで気力全開です!


【高難易度】ミナゴロシ・タイム

 アルマランデ小王国に到着した俺たちは、その瘦せぎすの男に案内を受けて、レジスタンスのアジトに向かっていた。

 国を出るときに口うるさく言われるかと思ったが、弓の勇者がいるおかげですんなりと通ることができたのは幸いだろう。

 それに、瘦せぎすの男とアイコンタクトをしているようにも見えた。

 おそらく関係者なのだろう。

 

「ふふふ、ヒミツですよ」

 

 と言って去るのは悪い癖だろうな。

 ラヴァイトが痛い人を見る目で樹を見ている。

 正直、このまま逃亡したいところではあるが、男性は馬が引く馬車、女性はラヴァイトが引く馬車に分かれているためそれはできなかった。

 当たり前ではあるが、こっちの馬車は空気が最悪だ。

 燻製と俺がいるのだ。悪くならない理由がない。

 

「まだ着かないのか?」

「は、はい、マルド様」

 

 ちなみに、燻製はマルド様などと呼ばせている。

 どんだけ傲慢なんだろうか。

 これもうわかんねぇな。

 一応、リーダーを燻製にしているらしく、図に乗っている感じがする。

 

「……おい、侍」

「俺はカレクと言う! カレク様と呼べ、犯罪者」

 

 やはりムカつく。

 なんでこいつらこんなに偉そうなのだろうか? 

 

「覚えてどうする。お前らって格付けあるよな、どうやって決めたんだ?」

 

 原作を読んでいる上で出てくる当然の疑問だろう。

 リーシアに関しては途中加入だから下っ端であると言う理屈ならば、燻製なんかは当然ながらリーダーと言うのはおかしな話であるからだ。

 

「マルド様が言い出した事だな。リーシアが入る前は、レベル順でつけていたぞ」

「ほーん、そうだったんだな、なるほどねぇ」

 

 燻製発案なら納得か。

 だが、普通に考えてこいつらが今の順位で納得しているとは思えなかった。

 ……何かこの連中が納得させる要素があるのだろうか? 

 燻製は一応、偉い貴族の息子らしいから、そう言うのもあるのかも知れないな。

 

「今は新入りはすべからく最低ランクからだな。イツキ様親衛隊に入りたいならいつでも歓迎するぞ」

「はっ、錬ならまだしもだな」

 

 正直、こんな連中とつるみたくない。

 なぜ、わがままで自己中な大人になりきれていない大人のクズと関わらねばならないのか。

 と言うか、本気でこの世界の連中は、こう言うクズが多すぎである。

 メガヴィッチの影響なのかな? 

 

 そんなこんなでしばらく進んでいると、外の様子が荒野になっている地帯に突入した。

 そもそも、メルロマルクを出てからしばらくしたら、皮の剥がされた枯れ木の森を抜けていたので今更であるが、完全に荒野である。

 枯れ草ぐらいしか生えておらず、とてもではないが、中世ヨーロッパですらこの光景はお目にかかれない程に何も生えていない。

 

 と、ぞろぞろとフルフェイスのヘルメットを被った連中が出てきた。

 国が変われば言葉が変わるのは通りであるが、どうやらこの国はメルロマルクと言語体系が近いのか、理解できたのは幸いだろう。

 

「貴様ら、何者だ!」

 

 マルドが出て、代表者面をする。

 

「我々はメルロマルクから来た冒険者である。お前たちこそ何者だ?」

「我々はマリティナ聖王国の騎士団だ! メルロマルクより入国は許可されていない! 即刻立ち去るが良い!」

 

 え、さっきの守衛さんは通してくれたけど……ってあれは弓の勇者の権力で通ったんだったな。

 それに、瘦せぎすの男と顔見知りだったし、レジスタンス側なのだろう。

 それにしても、マリティナ聖王国か……。頭悪いのかな? 

 

「マリティナ聖王国とはなんだ? ワシは聞いたことがないぞ? ここはアルマランデ小王国では無いのか?」

 

 燻製の質問に、騎士団は笑い始める。

 

「ハハハハハ、いや、すまない。メルロマルクはまだ知らされていなかったんだな。この国はアルマランデ王家の処刑を行い、先日マリティナ様が国王としてこの国を治めることのなったのだ」

「故に、マリティナ聖王国と国号を改められたのだ!」

 

 なるほどね。

 この国のヴィッチは国の掌握に成功したのだろう。

 陰謀に長けた魔女だからな。

 メルロマルクも現女王がいなければ、こうなってしまうことがよくわかる。

 

「……なるほど、これだけでもハッキリとわかりますね。ここは懲らしめておくべきでしょう」

 

 樹がそう言うと、侍と戦士が立ち上がる。

 

「待ってください。ここは、宗介さんの実力を測りたいので、宗介さんとレイファさんに任せましょう。良いですね?」

「は?」

「キサマ、イツキ様に口答えするのか?!」

「あー、ちょっと待ってくれ。レイファは非戦闘員だ。俺単独で行く。それで良いだろ?」

 

 実際、レイファには魔物退治以外をさせるつもりは無かった。

 人を殺すだけで、精神にドロッとした何かが溜まるのだ。

 今回の場合だと、偉そうなやつ以外は殺してしまう必要があるので、レイファにその手伝いはさせてはいけないだろう。

 

「……いいでしょう。では、マルドさんと共に懲らしめてください。既にマルドさんは戦闘に入っているようなのでね」

 

 樹の目線を追うと、既に燻製は斧を構えて一触即発な状態になっていた。

 

「わかった。情報収集する必要があるから偉そうな騎士だけ生かして、残りは殺すとしよう。では行ってくる」

「え、ちょ、待って」

 

 俺は樹の制止を無視して、馬車を飛び降りる。

 

「犯罪者!」

「樹からの指令だ。悪く思うな。皆殺しだ」

 

 俺は槍と剣を構える。

 

「ムカつく野郎だな! マリティナ様に逆らうなら、女以外殺せ! マリティナ様も俺たちが楽しむ分には美女でも問題ないと言ってたからな!」

 

 俺と騎士団10人との戦闘が始まった。

 

「燻製、その偉そうなやつ相手してろ。俺は他の連中を消す!」

「言われなくとも! はあああああ!!」

 

 燻製と騎士団の一番偉そうな騎士団が鍔迫り合いを始めたところで、戦闘開始の合図となった。

 

「生意気言いやがって! 死ね!」

 

 俺は突っ込んで来た間抜けの心臓を狙って槍を突き刺す。

 防御無視、防御力無視のこの槍は容易くそいつの心臓を抉る。

 

「ふん」

 

 横に薙ぐと、そいつは、胸から上と下に別れかけた格好になり、絶命した。

 

「アスマー!! キサマ!」

「次に死にたいやつからかかってこい。皆殺しだ」

 

 その後はつまらない虐殺劇となった。

 首を刎ね、心臓を穿ち、真っ二つに叩き斬る。

 

「ぎゃあああああああああ!」

「うわあああああああああああ!」

「た、助けっ!」

 

 俺は作業的に9人を殺した。

 楽な仕事である。

 手加減の方が難しいな、この槍は。

 

「ふぅ、おい、燻製、そっちはどうだ?」

 

 俺が見ると、案の定苦戦していた。

 拮抗している感じである。

 あの連中、まだクラスアップした感じはしなかったのだが、隊長は別なのだろうか? 

 

「キサマ、後で殺してやる!」

 

 俺を睨みながら良い勝負をする燻製と隊長。

 だが、時間がないので、俺は槍を構えると、隊長の手足を切断した。

 

「ぎゃあああああああああああああ!!」

 

 いや、良い声でなくな。

 ふふふ、はははははははは。

 

「おっと、いけない」

 

 俺はヒールポーションを切断面にかける。

 すると、血が止まり、肉が盛り上がる。

 回復すると言うことは、生きている証拠である。問題ないな。

 

「……」

「おい、どうした燻製」

「……な、なんでもないのである」

 

 燻製がドン引きしていた。

 俺をこうしたのはお前のせいだろうにな。

 呆れつつ、肉ダルマにした隊長を俺は蹴り起こす。

 

「おい、起きろ」

「ぎゃん! ひいいいいいいいいいいいいい!!」」

 

 起きて早々悲鳴をあげる阿呆。

 

「死ぬならせめて情報吐いて死ね」

「ひいいいい!! 助けてください! 助けてください! なんでも喋りますので!!」

「ん? 今なんでも喋るって言ったよね?」

「はいはいはいはいはい!」

 

 よし、これで情報がいくらでも引き出せるようになったな。

 

「樹、終わったぞ」

 

 俺が樹を呼ぶと、馬車からドン引きした樹と男性メンバーが出てきた。

 

「宗介さん、僕はここまでしろと言いましたっけ?」

「特に言わなかったから、裁量は俺の判断だ。逃すと面倒くさいから、情報持っているやつだけを残して殺したまでだ」

「……今度からなるべく、殺さないようにお願いしますね」

「ま、樹がそう言うなら善処しよう」

 

 呆れる樹に対して、俺はあっけらかんとそう答えるのだった。




独自解釈ですね。
公式で解釈が出たら変更すると思います。

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