「さて」
俺はVIP席入り口で槍を構える。
俺の後ろにはリノアと、切り刻み、引き裂いた兵士の死体が転がっていた。
「皆殺しの始まりだ!! リノア、離れるなよ」
「う、うん。わかったわ……」
俺は次から次へと襲ってくる兵士を、片っ端から殺していった。
襲ってこない奴は無視だが、襲いかかってくるイコール死にたいという事だ。
心臓を突き、胴体と下半身を泣き別れさせ、首を刎ねる。
剣を持っている手を切断し、弓を打ってくる奴の目をクロスボウで撃ち抜く。
頸動脈を切り裂き、喉を潰し、頭蓋をかち割る。
俺の通った後は血溜まりと肉塊の地獄が出来上がっていた。
「ふふふ、ふはははは、あはははははははははは!!」
楽しい楽しいタノシイ!
まさに、俺に取ってのボーナスステージである。
斬首、斬首、斬首、斬首、斬首!!
騎士団全員を皆殺しにすべく、俺は殺して回る。
当然ながら、恐れおののき命乞いをする連中には、命の対価として情報を提供してもらう。
だが、後ろから撃とうという魂胆が見え透いている奴は容赦なく殺すがな。
「そ、ソースケ?」
「どうした、リノア」
「やり過ぎなんじゃ……?」
リノアの顔色は青い。
地獄を作ると言った以上は俺は辞めるつもりはないがな。
さて、ついにVIPルームに到着した。
「な、なんだ貴様!」
「俺はぁぁ、死だぁぁ」
見張りの二人は抵抗する間も無く、俺に殺された。
「ふん!」
俺はVIP観戦ルームの扉をけ破る。
バンっと大きな音を立てて、俺は乗り込んだ。
「な、なんだ貴様は!」
ドスっと音を立てて、貴族っぽいブ男の頭にクロスボウの矢が突き刺さる。
お、突き刺さったが息があるようだ。
この辺りはステータス魔法の恩恵なんだよね。
HPが残っていれば、よほどの状態ではない限り生き残ってしまうのだ。
俺が殺した中にも、上半身と下半身を分断したにも関わらず息があった奴もいた。
俺の攻撃はHPを削りきらなかったが、切断に至ってしまったパターンである。
状態異常の切断になって、スリップダメージで結局死ぬけれどな。
「さて、全員殺される覚悟はできたか?」
俺は歪な笑みを浮かべていたと思う。
この醜い連中が、絶対安全から一転して、殺されるかも知れないと言う恐怖に変わった時の絶望の顔が見れて、俺は非常に心が踊った。
「では、死ね」
次は、VIPの会場で屍山血河を築きあげる。
この醜い連中は、波の尖兵と同様に醜い心の持ち主だ。
メルロマルクなら忖度するが、ここはメルロマルクではない。
「ソースケ、その人は殺してはダメ!」
「あいよ」
リノアの指示があった人物を残して俺は殺害する。
残した人物はレジスタンス側の人間らしい、と言うのを後で聞いた。
「お、お前は何だ! お前はああああ!!」
「俺はぁぁ、死だぁあぁぁ……!」
何気に気に入ったセリフだったりする。
中二病再発だけれど、実際死を築き上げている俺は、連中にとってはまさに【死】だろう。
目の前の豚を三枚におろす。
「何事だ!」
と、波の尖兵様がご到着になられたようであった。
ソイツは俺が作り出した地獄に顔をしかめると、剣を抜いた。
「き、貴様がやったのか?!」
「ん、ああ、そうだが?」
俺がスマイルをすると、取り巻きの女達が後退りをする。
「む、無辜の民を虐殺するなんて許されない!」
ソイツは俺を指差してそう宣言する。
「この、ユータ=レールヴァッツがお前の悪魔の所業を止めてみせる!」
ん?
今何つった?
「はあああああ!」
「「「頑張って! ユータ様!」」」
眠くなる剣だ。
俺は片手でヒョイっと力を流してやると、地面に剣が突き刺さりズバッと切れる。
なるほど、攻撃力はなかなかのものなのか。
「せりゃあああああ!!」
「はいはいっと」
俺はユータの剣をアーマードナイフで受け流す。
酷く単調だし、当てる気のない攻撃にあくびが出てしまう。
「おい! なぜ欠伸する!」
「そんな眠くなる攻撃してたら、退屈だからだ」
「ぐっ!」
俺はカウンターでナイフで切り裂く。
首筋、手首、太ももを切り裂いたが、防御力が高いのか大したダメージは与えられなかった。
「うわああああああ!!」
「「ゆ、ユータ様ああああ!!」」
ユータは尻餅をついた。
情けない奴め。
「ユータ=レールヴァッツって最近有名な冒険者じゃない! 何でこんな所に?!」
「リノア、知っているのか?」
リノアはうなづいた。
「いくつものダンジョンを踏破して来た冒険者よ。ソースケ相手だと雑魚にしか見えないけれど、かなりの実力者には違いないわ」
「ふーん。じゃ、殺しちゃおう」
ま、本編に出てないし良いよね。
俺はサクッと殺すことに決めた。
波の尖兵は殺さなければ気が済まない。
「リネル!」
「わかりましたわ、ユータ様!」
ユータは立ち上がると、リネルの所に駆け寄り、濃厚なキスを始める。
「ソースケ、気をつけて。ユータは女の子とキスをすると強くなるって噂があるの」
「そうかい」
アイツの攻撃程度ならば、どんな武器が来ても避けられるだろう。
だが、慢心はいけないからな。
俺は槍を構え直す。
「プハッ! ありがとう、リネル!」
「ユータ様のお力になれれば幸いですわ」
「悪魔め、俺の本気を見せてやる!」
ユータはそう言うと、手を天に掲げる。
光り輝き、ユータの手にはアクセサリーのついた投擲用ナイフが握られていた。
「あー! そうか! なんか聞き覚えのあるなと思ったら、そうだったわ! お前コーラだな!」
俺はようやく思い出した。
コイツやり直しのフォーブレイ編で出てくる波の尖兵じゃねぇか!
ちょろっとしか出てこないし忘れていた。
「コーラ? 俺の名前はユータ、ユータ=レールヴァッツだ! この武器でお前を倒す!」
「俺は菊池宗介だ。覚えなくても良いぞ」
俺が名前を告げると、コーラが驚いた顔をする。
「お前がお告げで言われた最低最悪の犯罪者、菊池宗介か!」
コーラはどうやら女神が呼び寄せたらしい。
「俺は絶対にお前を倒してみせる!」
「好きにしな。俺はお前に死をくれてやるよ」
こうして、俺は眷属器持ちの波の尖兵と再び相見えることになったのだった。
悪人度が上昇しまくる宗介。