波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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最高の懇親会だったぜ!

「おまたせ」

 

 私達がお話をしていると、槍の勇者様がそんな事を言いながら入ってきた。

 ちなみに、部屋はマインさん達とは別室で隣の部屋である。

 

「どうされました、槍の勇者様」

「俺たち、これから一緒に戦うわけじゃん? だから、懇親会みたいなのを開こうかと思ってさ!」

「はぁ? 波の前日なのよ? 本気で言っているわけ?」

 

 槍の勇者様の考えに、早速口答えするリノアさん。

 実際、言いたい気持ちはわからないでも無い。

 だけれども、ソースケやエレナさん、盾の勇者様がマインさんを注意しろと言うのは非常に重たいだろう。

 だから、私はリノアさんを小突く。

 

「え、あ、そそそ、そうね。仲良くなるのも重要だものね」

 

 リノアさんの言葉を聞いて、良かったと安堵する槍の勇者様。

 リノアさんもエレナさんの忠告を思い出したらしい。

 

「で、どこに行くの?」

「ああ、メルロマルクの一流レストランを予約してあるんだ!」

 

 え、ええ! 

 そんな豪華なところなんか恐れ多くて入れないよ! 

 

「えー、あー……ドレスコードとかは大丈夫なわけ? 私やレイファはそう言う衣装は持っていないわ」

 

 リノアさんの最もな指摘に、槍の勇者様は親指をぐっと立てる。

 

「もちろん、お嬢さん方に合ったドレスをレンタルしてるよ」

「え……、サイズとかどうしたのよ……」

「企業秘密さ。それじゃあ先にお召し替えと行きますか!」

 

 私達が連れられてやってきたのは、ドレスを販売・レンタルするお店だった。

 リーシアさんみたいな貧乏貴族はドレスを購入するのが難しい場合もあるため、レンタルショップと言うのは重宝されるそうだと、リノアさんから教えてもらう。

 ……世の中、私の知らないことだらけだ。

 

 ドレスレンタルショップでメイクアップされる私とリノアさん。

 本当に寸法がぴったりで驚く以外無かった。

 ソースケがまだ牢屋の中なのに、こんな事をしている場合では無いと言うのが正直な意見であるが、槍の勇者様が囲いたいのは意見を鵜呑みにする女性なのだろう。

 はぁ、何というか、窮屈だなぁ。

 このドレスのように私は感じる。

 腰回りを細く見せるために、コルセットと言うものが入っていて、締め上げてくるので苦しいのだ。

 

「おお! 三人とも素材がいいから凄くピッタリ似合っているよ!」

 

 と槍の勇者様は褒めてくれる。

 確かに、メイクアップされた私は綺麗だし、ソースケに見てほしい。

 けれども、慣れないヒールやコルセットが苦しいやらでどうしようもなかった。

 

「うぅ……キツイです……」

「我慢しなさい。こんなの、すぐに慣れるわ」

 

 リノアさんは平気な顔でそんな事を言う。

 確かに、リノアさんは着慣れた感じがある。

 アーシャさんも、着慣れた感じである。

 

「しかし、レイファちゃんは着られている感じがするわね」

 

 アーシャさんの指摘は最もである。

 ドレスアップしたマインさん、レスティさん、エレナさんも似合っていて美しかった。

 

 槍の勇者様は意気揚々と私達を席に案内してくれる。

 私達が席に着くと、メルロマルク料理のフルコースが運ばれてくる。

 最初は前菜、次にスープ、魚料理、口直し、肉料理と出てくる。

 こんな高級店で食べたことがなかったので、私はリノアさんやマインさんを見よう見まねでマナーを真似して食事をした。

 正直、この時何を話したかなんて覚えていない。

 ソースケから安易に相槌をうたないようにと言われていたので、私は返答を慣れているリノアさんに丸投げして、緊張とマナーと戦っていた。

 味は高級店って感じだったことしか覚えていなかった。

 

 

 

 翌日、俺は保釈された。

 長い事拘束されていたため、身体はバキバキである。

 運動時間に一応運動はしていたけれどね。

 こう、ほとんどの時間がベルトで固められると、凝ってしまう。

 

「お前がキクチ=ソースケか」

 

 入り口で待っていたのは、ゴツい鎧を身に纏った男だった。

 

「えーっと、アンタが俺の見張り?」

「そうだ。俺の名はライシェル=ハウンド。王命により貴様の監視を仰せつかった」

「ライシェルさんね。まあ、退屈な任務だとは思うが、よろしく頼む」

「……」

 

 何故か、意外そうな表情で俺を見るライシェル。

 どうしたと言うのか? 

 

「どうしたんだ?」

「いや、てっきり狂気にまみれた人格破壊者だと思っていた」

 

 うーん、既に百数十人殺している殺人鬼が正常に問答できる方が狂気だと言うこともできると思うが。

 まあ、俺の場合はモンスターと変わらない認識だけどな。

 言葉は理解できても分かり合えない連中を同じ人間とは思いたくない。

 だから、こう答える。

 

「俺は自分を十分狂人だと思っているさ。狂っている方向性が、違うだけだ」

「ふむ……」

 

 ライシェルさんはそう言うと、俺にパーティ申請を飛ばしてきた。

 なので、俺はそれを承認する。

 

「では、槍の勇者様のところに案内する」

「よろしく頼む」

 

 こうして、保釈された俺は波と戦うために、元康のところに足を向けることになった。

 少なくとも、編隊を貰わないと波に挑めないしな。




レイファのイメージを描いてみました!
ルリアのイメージを少し改造した感じですね。


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