さて、自らの妄想と願望を詰め込んだ話を、欠乏症の方狙いと適当なことを言っているこちらの作品ですが。
フォロワーさんからシチュエーションを頂きましたのでそれを組み込んでいこうと思います。しかしながらそれのみ、となるとかなり文字数が限られます。
そこで、せっかくなのでオリ主君と友希那の出会い(馴れ初め)を数話に分けて語らせていただこうと思います。
皆様は、いつも通りオリ主君を自分に当てはめて想像してみてください。
今回は短めとなってしまったので、それに関してはご了承ください。
それではどうぞ。
彼女と出会ったのは一年前。
ただ同じクラスで、隣の席だった。
窓際の1番後ろに彼女。その右に座る。
窓から教室に吹き込む風は、彼女の綺麗な髪を揺らした。
その光景を何度、夢に見ただろうか。
それほどに、美しく、つい見とれてしまっていた。
彼女はあまり人付き合いが得意なわけではなく、当時から注目を集めるボーカリストだったためか。
仲のいい人はほとんどおらず、教室では1人窓の外を眺めていた。
昼休み、彼女はリサに呼ばれて椅子から立ち上がる。
自然に目で追ってしまう。
その視線に気づいた彼女は、こちらに振り返り怪訝そうな表情を向けて教室を出ていった。
「お前.......湊はやめた方がいいぞ」
近くにいた親友が、やれやれと大袈裟に息を吐きながらこちらに寄ってくる。
どういう意味だ
「湊に気があるのか知らんが、お前とは住んでる世界が違う。話しかけることすら叶わないと思うぜ?」
別に気がある訳では無いが、確かに言われてみればそうだ。
圧倒的な歌唱力、しなやかなプロポーション、溢れ出す気迫、美貌。
それに比べてこちらはどうだ。
別に成績優秀な訳ではなく、ごく平均的な点数。
顔は整っていると、よく言われた。自分ではよくわかんないが。
そんなことは兎も角。
同じ人間なのに、この差はなんなのだろうか。
「まあ、そんなわけでよう。あんま関わらない方がいいぜ?っても隣の席だから厳しいか......」
彼女は自分にも、他人にも厳しい。決して妥協はせず、必ず成し遂げる。
それ故に、冷たい言葉をぶつけ、傷つけてしまうこともある。
他人とは関わらない『孤高の歌姫』。
そうなってしまったのにはきっとなにかある、そう感じていた。
隣だからこそ視線に入る、時折見せる悲しい表情。
どうにかしてあげたかった。でも自分に何が出来る?
話すこともできないのに。
しかし、きっかけは意外とすぐにあった。
彼女がバンドをしていることを知った。
親友がよくライブハウスに通っており、そのことを聞いた。
今日までで何度かライブをしているらしい。
彼女のことはよく知らないが、それを聞いて嬉しくなった。
孤高なんて言われていた彼女が、バンドか........
近いうちにまたライブをするらしく、親友に誘われた。
ぜひステージ立つ彼女を、この目で見たいと思った。
そもそもライブハウス自体、行ったことがない。
音楽とは無縁なのだ。
ライブハウスの名は「CiRCLE」。
入口を抜け、中に入ると大勢の人で賑わっていた。
主に女子が多い。
開演までまだまだ時間はあるのに、もうここまでか
正直帰りたい気持ちもあるが、ここはせっかく誘ってくれた親友のためにも耐えよう。
それに、彼女の歌声も聴きたい。
一言で言えば『圧巻』だった。
それ以外に表現ができない。否、一言とは言ったものの、上手く表現できない。
それほど彼女達の演奏はこちらの心に衝撃を与えたのだ。
「なあっ!すっげえだろ!Roselia!」
興奮した面持ちで話しかける親友の声で、現実に引き戻される。
Roselia。
それが彼女達の名前だそうだ。
ああ........そうだな
彼女達の人気がよくわかった。
ステージの真ん中に立つ彼女の歌声が、周りの歓声をより盛り上げる。
正しく歌姫の名にふさわしかった。
『これが最後の曲です。聴いてください━━━━━━━━━』
アンコールを経て、彼女達の演奏は終わった。
ライブがあった日の次の週。
教室内はその話で持ち切りだった。
それはまさにアイドルの如く。
クラスメイト達が友希那に話しかけては、
「そう....それはよかったわ」
と、一言で会話を切られる。
同じように話しかけようとしたが、そのめんどくさそうな表情にそんな気持ちはなくなった。
結局話しかけられないまま時間がすぎた。
失礼しました
日直の仕事を終わらせ、職員室から退出する。
下駄箱に足を進めると
?......あれは
床に、可愛らしい猫の刺繍が入ったハンカチが落ちていた。
拾って誰のものか確認するが、名前は書いていなかった。
近くに持ち主がいるかもしれない
そう思って立ち上がる。
「あ........」
ふと後ろから声が聞こえた。
振り向くと、そこには見覚えのある少女。
友希那だ。
彼女の視線はこちらの手元に向いていた。
どうやら彼女のもののようだ。
近づいて渡そうとしたが、なぜか少し怯えた表情をしていた。
なにかしただろうか?
とりあえず気にせず、表面を払ってハンカチを渡す。
見つかってよかったよ
そんな一言に、彼女は驚いた表情をした。
意外とコロコロ変わるんだな。
「........なにも言わないの?」
おそるおそる、といった感じか。口を開いた。
どうして?
「だって........私のイメージじゃないでしょ?ニャ........猫なんて」
確かにそう言われればそうだ。
しかし言われるまで考えてなかった。
だから。
別にいいんじゃない?
「え......」
また驚いた表情をした。
人の好きな物を、他人が兎や角言う筋合いはないと思う
「..............」
だからなにも気にする必要はないよ
そう言って笑ってみせる。
彼女の頬が少し赤くなり、その顔を隠すように下を向いた。
不安にしていたあの表情は消えていた。
そして
「...........ありがとう」
小さい声ではあったが、彼女から初めてお礼を言われた。
その姿は窓から差し込む夕日に照らされ、よりその魅力を引き出していた。
あの時のように、つい見惚れてしまった。
その視線に恥ずかしくなったのか、これから練習だから、と言って小走りに帰っていた。
彼女の背中が見えなくなるまで、そこに立っていた。
その出来事以降、友希那と2人で話す機会はなくなった。
いかがだったでしょうか。
今回、オリ主君の発言部分の語尾を無しにして区別させています。
時系列は2章の前の出来事と思ってください。そう考えると友希那の性格が違うのがわかるんじゃないでしょうか。
つまり、次回は2章の内容になるということです。オリ主君がどう絡んでくるのか、よく見ていてくださいませ。
また、現在私は就職活動に向けて取り組んでおります。しばらく投稿していないのは、そういうことです。落ち着いたらまた執筆時間があると思いますので、どうかよろしくお願いします。
それではまた次回お会いしましょう。読了ありがとうございました。
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