それは甘くもほろ苦い、ひと時の味わい。
(´・ω・`)
初めましての方は初めまして、ご存じの方はお久しぶりです。リメイルです。
本日はツイッターで募集されていた「バンドリ杯」に参加させていただきます。
テーマとしましては『イチャイチャ』なのですが、私の小説はシリアスあってのラブコメ、ですので、必然的にシリアス多めになってしまいました。申し訳ございません。
しかしながら後悔はしていません。
このお話についてですが、初めてご覧になる方に説明させていただきますと
1.主人公は一人称をしゃべらない。
2.主人公視点ではセリフに「」がついていない。
3.若干の性格変更あり。
という3点をご理解いただけると幸いです。
「こいつら、やってんなあ!」という声が聞こえるよう、頑張ります!
それでは、本編に参りましょう。どうぞ
「ゆ......ゆゆゆゆゆゆゆっ友希那が!チョコを作る!?」
周囲の目を気にせず、信じられないものを見たかのように、幼なじみのリサが大声をあげて立ち上がった。
「.....そんなに大袈裟に反応しなくてもいいじゃない。さすがに失礼よ」
「た.....確かにね~........ご......ごめんなさい!」
私とリサは、いつものファミレスで、新曲のフレーズの相談していた。
一旦休憩を挟んだとき、ふと目に入ったカレンダーの赤い印。
2月14日。
そう、バレンタインデーだ。
私が「彼にチョコを贈ろうかしら」とボソッと口にした時、
リサが先程の反応をしたのだ。
「だってさ~友希那、料理そんなにできないじゃん!......っていうか全然できないじゃん!」
「失礼ね。私も彼と付き合いだしてからは、勉強しているわ」
かつての私は、音楽のことしか考えていなかった。
そのため、年相応の経験をしてこなかった。
実は密かに、お母さんにお願いして、料理や家事を勉強しているのだ。
リサには内緒だけれど。
「......こんな気持ち、初めてなの.....自分で誰かのためにしようと思うのは」
胸の前で両手を握り、俯く。
彼と出会ってから、ずっと貰ってばかりだった。
こんなことを彼が聞いても、「気にしなくていい」とほほ笑むと思う。
けれどやっぱり、なにかしてあげたい。
「だからリサ.....協力してくれないかしら?」
それを聞いたリサは、真剣な面持ちから一変し、口角を上げる。
「もちろん!喜んでくれるように、頑張ろう!」
「ありがとう......リサ」
「じゃあ!早速始めよっか!」
相談から数日、リサの家のキッチンにいた。
「これがお父さんにでしょ?それでこれがあこ達~。こっちが部活のみんなで」
「ところでリサ」
リサはテキパキと、渡す人数分に板チョコを分けていた。
それは毎年見る光景だが、ふと気になったことがあった。
「ん?どうしたの友希那?」
「リサ、あなたは本命のチョコはあるのかしら?」
振り向いた状態でしばらく固まり、次は顔を真っ赤に染めた。
「と........とととととととと突然どうしたの!?」
「....動揺しすぎよ。私はよく彼との話をするけど、リサからそういうのは聞かないからよ」
私以外のメンバーだと、最近は紗夜から聞く。燐子は時折スマホの画面を気にしているので、いずれは何か進展がありそう。
あこは..............まだよくわからないわ。
「あ....あたしは......その......」
羞恥で顔を赤く染め、その反応が可愛らしい。
普段はからかわれているから、いつもと逆の立場になり、自然に頬が緩む。
「あ,,,,,,あたしのことはいいじゃん!!ほらっ!始めるよ!」
これは.......あるわね。
「ふふっ。ええ、お願いするわ」
そしてバレンタイン当日。
結局リサの恋愛事情は聞き出すことはできなかったけれど、リサの知らない面を見れただけでも良かった。
朝はいつものように手をつないで登校。
教室内は、いつもと雰囲気が違う気がする。
女子生徒が多いからか、特にバレンタインは女子にとって大事なイベントなのだ。
実際に私もその一人だ。
放課後になり、彼のいる教室に向かう。
「先輩!これを」
それは、1年生であろう女の子から、チョコレートを受け取っている彼の姿だった。
頭が真っ白になった。
手の力が抜け、持っていた包みが床に落ちる。
その音に気付いた彼がこちらを向いて、驚いた表情をした。
顔を見られるのが嫌で、その場から逃げるように走りだした。
「.....っ!?友希那!!」
私はその場で堂々と、彼のところに行くべきだった。
話をきちんと聞くべきだった。
「えっ.......友希那!?」
自分のクラスの教室から出てきたリサの横を通り過ぎて、そのまま走り去った。
「...........っ!」
私が冷静でいれば、こんな気持ちにならなかったのに.......
後悔するのが遅かった。
彼女は人一倍傷つきやすいとわかっていたのに。
いつも通り、彼女の友希那と登校した。
昨日家に行こうとした際、「用事があるから」と断られた。
理由ははぐらかされたが、教室で親友に「今日は何日だ?」と、聞かれて気が付いた。
朝のHRからずっとそわそわしていた。
放課後、友希那のクラスに行こうとすると、教室の外で部活の後輩が待っていた。
1年生の女の子で、よく相談に乗っていた。
一体どうしたんだ?
「先輩......これを」
彼女が渡してきたのは、可愛らしい包装をされた物だった。
これは?
「チョコです!これを....友希那先輩に渡してほしいんです」
.......え?友希那に?
少しでもドキリとした気持ちを返してほしい。
話を聞くと、どうやら中学の頃から友希那にあこがれを持っており、Roseliaの大ファンである。
ここの高校を受けたのも友希那がいるからだ。
なるほどね。でも、なんで直接渡さないの?
そう言うと彼女は慌てたように言う。
「いやいやいや!そんなの恐れ多いですよ!友希那先輩と目が合うだけでもう........」
.......理由は察した。こんなファンが現実にいるのなんて、思わなかったが。
「だから先輩!これを」
再度チョコの包みを差し出した。
その時————————
ガサッ、と廊下で物音がした。
そちらに視線を向けると、そこには
「......っ!?友希那!!」
気づいたころには、すでに友希那は背を向けて走り出していた。
.......最悪だ。
さっきの光景を見て、友希那がどう思ったか、わからないわけがない。
とにかく、誤解を解かなければならない。
「先輩!?急にどうしたんですか!?」
ごめんっ!必ず渡すから、下駄箱に入れておいてくれ!
返事は聞かず、急いで友希那を追う。
昇降口を出て、必死に頭を回す。
彼女の体力を考えると、そこまで遠くに行かないはず。
「ちょっと!はあ.....はあ....もう!友希那も君も!いったい何が」
思考をしている間、リサが息を切らして駆けてきた。
り......リサ。それが.......
リサにこれまでの経緯を説明すると
パァン!!!!
左の頬に痛みが走る。
リサからビンタを受けたのだ。
「.........あたし言ったよね......友希那を悲しませないでって」
.......ああ
「......約束したじゃん......なのに.....」
リサとの約束。
『友希那をもう二度と悲しませない』。
それを破った。
......もう一度チャンスをくれないか?
先ほどの痛みで、目が覚めた。
「今回はあたしでも....友希那の場所はわからないよ?」
リサは冷めた目で、こちらを見ていた。
.....大丈夫だ......わかる
正直、確実とは言えない。
それでも—————————————
もう失望はさせない
————————ここで終わらせたくない。
ひたすら走り続けた。
誰もいないところに行きたかった。
私の心を表すように、雨が強く降りしきる。
「はあ......はあ........はあ」
体力もないくせに、必死に走っていた。
自然にたどり着いたのは、あの時の公園。
彼と恋人となった場所。
灰色の空を見ながら、思う。
会いたい
あの腕の中で、抱きしめられたい。
ちゃんと、謝りたい。
どうしようもないほど、愛しい気持ちが溢れ出てくる。
「でも......っ!」
こんな顔を見せたくない。
彼の優しさを知っていても、会うのが怖い。
今の私は矛盾だらけだ。
雨はさらに激しさを増す。
「はあ、はあ.......やっぱりここ居た」
そんなに暗い気持ちに、日が刺した。
「......なんで......」
彼は、私の元に、必ず駆けつけてくれる。
私の望みを叶えてくれる。
必ず......私の救ってくれる。
「なんとなく.......ここにいると思って」
びしょ濡れな状態も気にせず、彼の胸に飛び込んだ。
「.......あそこで私が.....冷静でいられればよかったの」
雨は晴れ、雲の隙間から太陽が顔を出す。
隣に腰を下ろした彼に、ポツリと語る。
「でも......胸が痛くて......苦しくて.......逃げ出したくなった」
思い出しただけで情けなく思う。
私の想いを知った彼は、静かに口を開く。
「ここに来る前、リサに怒られたよ。友希那を悲しませるなって........約束してたんだ。でもそれを破った」
「........約束」
「浮かれてたんだ.......今までの人生で、こんなに幸せなことなんてなかったから」
浮かれていた。
自分だけではなかったことに、少しうれしく感じる。
「.....そういえば、あの女の子はいいの?」
と、ここに来る前に彼といた女の子のことを思い出した。
彼女にも迷惑をかけてしまった。
「ああ。彼女もそうだけど、今日渡せれたやつさ......全部友希那に渡して欲しいって言われたものなんだ」
「......え?」
思いがけない事実に、思わずぽかん、となる。
「まさか本当にそうしてくる人か実際にいるなんて.......タイミング悪すぎ」
じゃあ.....全部私の.......勘違い?
ガクッと力が抜ける。
彼はすぐに腕を掴んで、支えてくれる。
「なによ.......最初から.....私の.....」
もうさっきまでの暗い気持ちはなかった。
安心と羞恥、色んな感情が混ざりあっている中で、何よりも喜びが溢れ出す。
目から涙は出てくる。
「っ!友希那!?」
彼が涙を拭いてくれた。
「....ありがとう」
「うん。誤解が解けてよかった」
しかし.......
「......せっかく作ったチョコ......結局渡せなかったわ」
リサにしっかり謝らないと。
「これのことか.......」
すると、懐から私が渡すはずだったチョコの包みを取り出した。
「!?.......どうしてそれを」
「.......食べていいんだよな?」
そう言って、リボンを解いて、中を開ける。
中から、歪な形のチョコレートを取り出し、口に運ぶ。
「どう.......かしら。うまくはできなかったけれど」
それを聞いた彼は、こちらを向いて微笑んだ。
「そんなことない、美味しいよ」
顔が赤く染まる。
その笑顔を向けられたのは、初めてではない。
私の大好きな笑顔。
「そう、ありがとう」
微笑み返す。
すると、彼は私の肩を抱き、唇を重ねた。
「..........ん......」
口の中に甘さが広がる。
彼に首に両手を回し、体を預ける。
お互いの存在を確かめるように、深いキスをする。
しばらくして、体を話し、立ち上がる。
「帰ろう.....みんなのところに」
差し出された手をつかみ、歩き出す。
「そうね。行きましょう」
その後、校門前で待っていたリサにからお説教を受けたのは、いうまでもない。
リサによるお説教を受けた後、
友希那とリサ、さらにずっと待ってくれていた後輩を連れて帰路に立っていた。
後輩についてだが、自分の所為だ、と涙目になっていたところをリサに発見されたそうだ。
本当に申し訳ないことをしてしまった.......。
そのことでも相当に怒られたが、彼女は———————————
「全然気にしないでください!」
と笑顔で言った。
なんていい娘なんだ!
その後憧れの友希那とご対面して、とんでもない表情をしたのはここだけの話としておく。
前を仲良く歩く3人を見て、改めて周囲の皆のありがたみを感じた。
二人と別れた後、当たり前のように友希那の部屋を訪れていた。
友希那母から、「今日もお泊まり?」と笑顔で言われた。
別にそのつもりはなかったが、友希那が腕を抱きしめて離してくれない。
どうやら今日もみたいです
「.....私.....嫉妬深いし、独占欲が強いのね」
自室のベットの上で、友希那がそうつぶやく。
バックハグをしながらだ。
さっきの出来事を踏まえてだろう。
多分、自分も友希那の立場だったら、同じ感じだったと思う
そう返してあげた。
「あなたも?」
友希那はクスクスと笑う。
「今回はお互いに、ダメなところがあったみたいね」
そう言うと友希那は体を離し、正面に回った。
「......キス.......しましょう?仲直りのキス.....」
抱きしめ合いながら、お互いの唇を重ねる。
「....ん.....ちゅっ.....んんっ」
ひたすらに求め合い、ただひたすらにキスを続ける。
.....ん!?
突然友希那が舌を入れてくる。
「.......好き.......好き......大好き.....」
息が苦しい、頭が回らない。
理性の壁に亀裂が走る。
しばらくして、ようやく唇を離す。
頬を赤く染め、潤んだ瞳はこちらを真っすぐ見据える。
その表情はいつもよりも美しく、目が離せない。
首にちくりと、痛みが走る。
「......ふふっ......付けちゃったわ....キスマーク」
いたずらが成功したように笑う彼女は、年相応の少女のようだ。
「.....きゃあ!」
いつの間にか彼女を押し倒していた。
「もう.....そんなに焦らなくても、私はどこにも行かないわ」
友希那がどこに行こうが、絶対に見つけるよ
「.....そう......ありがとう」
再びキスをする。
「ねえ.....しましょう?」
その言葉と表情が相まって、理性の壁は完全に崩壊した。
「......ぎゅって.......して?」
"愛というものは、どれだけ多くのものを与えたかではなく
そこにどれだけの思いやりが注がれたか、ということなのです"
かつてマザーテレサがそのような言葉を残した。
愛は回数ではなく、一つひとつへの想いが大切なのである。
会えない日々があるかもしれない。
会えない時が多いかもしれない。
それでも、気持ちを大切のすることが重要なのだ。
それを今.....心に刻むのだった。
その後、部屋の外から聞こえた友希那母の声で、現実に引き戻されるのであった。
バレンタインエピソード [完]
さて、いかがだったでしょうか。
地の文に悩みながら、どうにか書ききれました。
うまく表現できてるとうれしいです。
イチャイチャって書いていると、精神がすり減るんですよね。どうしてでしょうかね?()
劇中のマザーテレサの名言ですが、バレンタインの起源を調べていたら見つけたものです。
問題ありましたら変更しますので、よろしくお願いいたします。
また次回お会いいたしましょう。ありがとうございました!
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