四葉の息子は劣等生   作:十六夜翔

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書き溜めっていい文明…

それでは本編どうぞ!


入学編Ⅸ

達也は闘技場での一件を報告する為に部活連本部に呼ばれていた。聞かれた事は始めから仲裁に入らなかった理由と、魔法を使用したのは桐原のみかの二点だった。

 

 

「仲裁に入らなかったのは、両者が主張している問題の現場を見てなかったからです。それに、怪我程度で済めば自己責任だと判断したからです」

 

「なるほど……適切な処置だな。それで、本当に魔法を使ったのは桐原だけなんだな?」

 

「はい」

 

「先輩方に大人しくしてもらっていたので大事にはならなかった…と思います。」

 

「それで、十文字。風紀委員としては桐原を追訴するつもりは無いが、お前は如何だ?」

 

「俺も風紀委員の処置に従おう。せっかくの温情を無駄にするつもりは無い」

 

 部活連会頭、十文字克人を前に、達也は感嘆の息を吐いた。服の上からでも分かるほど隆起した筋肉と、それ以上に凄まじい威圧感を放っている

 

 

「失礼します」

 

「失礼します」

 

 

部活連本部の報告を終え昇降口でいつものメンバーが既に集まっていた。そのまま達也の奢りでお店に行くのであった。

 

 

「そう言えば達也、剣術部の相手は殺傷ランクBの『超音波ブレード』を使ったんだろ?超音波酔いを防ぐために耳栓をする術者もいるって聞いたけどよく無事だったよな」

 

「『高周波ブレード』は有効範囲の狭い魔法だからな。触らなければ如何とでも対処出来るさ。刃に触れられないだけでそれ以外は真剣相手と変わらないからな」

 

「それって、真剣の対処が簡単って言ってるようなものですよね…」

 

「単に真剣を相手しただけではないんですよ。お兄様、キャストジャミングをお使いになりましたね?」

 

「深雪には隠し事ができないな」

 

「深雪はお兄様のことならなんでもわかりますの」

 

 

兄妹とは思えない発言にレオがツッコミを入れる

 

 

「それ、兄妹の会話じゃないぜ」

 

「「そうかな(かしら)?」」

 

 

 ツッコミに対して声を揃えて不思議そうな顔を浮かべた兄妹に、ツッコミを入れたレオが崩れ落ちる。

 

 

「アンタじゃこの二人には太刀打ち出来ないわよ」

 

「俺が間違ってたよ」

 

 

 同情するようにエリカが慰めると、レオも自分が間違ってたと認めた。

 

 

「その表現は甚だ不本意だな」

 

「良いじゃありませんか、お兄様。私とお兄様が強い兄妹愛で結ばれてるのは事実なのですから」

 

 

 冗談を重ねるように、深雪は達也に擦り寄って肩に頭を乗せる。その行動にレオだけでは無くエリカまで机に突っ伏した。その光景を零司は楽しそうに眺める

 

「零司君は驚いたりしないのね」

 

「慣れてるから…もーらい!」

 

「あ、ちょっと!」

 

 

零司はそんなこと言いながらエリカが食べてるパフェからいちごを取り上げる

 

「返しなさいよ!」

 

「いいよ、ふぁい」

 

 

エリカが食べてたパフェについてたいちごを口にくわえて不敵な笑みを浮かべる。その光景にエリカと美月が顔を真っ赤にする

 

 

「じょ、上等じゃない!動かないでよね!」

 

「零司、エリカをからかうのも程々にな」

 

「はーい、『パクッ』うーん、美味」

 

 

エリカはからかわれたことに少しムッとしたがすぐに話題を戻す

 

 

「そう言えば深雪、キャスト・ジャミングって言った? それって確か魔法の妨害電波の事よね?」

 

「電波じゃねぇけどな」

 

「ものの例えよ! でも確か特殊な石が必要なのよね。えっと……アンティ何とか」

 

「アンティナイトよ、エリカちゃん」

 

 

 名前が出てこなくてテキトーに誤魔化したエリカを、美月がフォローした。

 

 

「そうそれ! アンティナイト」

 

「達也さん、アンティナイトを持ってるんですか? あれってかなり高価なものだったと思うのですが……」

 

 

 キャスト・ジャミングを使うにはアンティナイトが不可欠、この事は常識だと思っていた美月は、達也がアンティナイトを所持してるものだと思いこんでいた。しかし達也の答えは常識を覆すものだった。

 

 

「いや、持ってないよ。価格以前にあれは軍事物資だからね。一般人が持てるものじゃないさ」

 

「でも、キャスト・ジャミングを使ったんでしょ?」

 

 

 今度はエリカの質問に、達也は身を乗り出して答えた。

 

 

「これはオフレコで頼みたいんだが、俺が使ったのはキャスト・ジャミングの理論を応用した、特定魔法のジャミングなんだ」

 

 

そうして達也が剣術部の桐原に使った魔法についての説明を始めた

 


 

 

 

 

達也の魔法による説明会を終えた頃にはもう外は暗くなってた

 

 

「さて、そろそろお開きにしようか」

 

「待って!」

 

「どうかしたか?エリカ」

 

「零司君!ふぁい!」

 

 

エリカは仕返しとばかりに最後に残してたいちごをくわえ、零司に取るように促す

 

 

「エリカ…零司に仕返しはやめた方がいい」

 

「ん?何か言った、達也君?」

 

 

エリカが零司から達也に視線を外すと零司の方に無理やり視線を戻される

 

 

「エリカ…動くなよ?」

 

「れ、零司君!?」

 

 

零司は右手でエリカの顔を固定し顔を近づける。零司とエリカの顔がどんどん近づく

 

 

「ね、ねぇ零司君?ほんの冗談だから、本気?本気じゃないよね?」

 

「エリカが取ってみろって言ったんだろ?」

 

 

お互いの顔が残り数センチまで来たところで達也が止める

 

 

「零司、美月の顔が真っ赤だからその辺にしてやれ」

 

「はーい」

 

 

零司はエリカがくわえてたいちごを左手の人差し指で押し込む

 

 

「ほんの冗談だよ、ごちそうさま」

 

 

そういい左手の人差し指を自分に唇に当てて先に帰って行った。その光景にエリカは放心し美月は顔を真っ赤にしてレオは首を傾げた。それから、クラブ勧誘合戦は大変な1週間だった。乱闘に向かう途中で妨害を受けたり、決闘を申し込まれたりしたが取りあえず地獄のような1週間は過ぎていった

 

 

「達也ー、今日も委員会か?」

 

「いや、今日は俺も零司も非番だ」

 

「すぅ…すぅ……」

 

「零司君、ずっと寝てる」

 

「今や有名だよな〜、魔法も使わずに上級生をなぎ倒す謎の1年風紀委員コンビって」

 

「なんだよ、その『謎の』ってのは…さてと」

 

「あれ?達也君何処か行くの?」

 

「深雪の所だよ、俺は非番でも深雪は生徒会の仕事があるからな。零司が起きたら一緒に帰ってやってくれないか?」

 

「それは構わないけど」

 

「そうか、頼む」

 

 

そういい達也は教室を出ていった。それから数分後零司が目を覚ます

 

 

「う、う〜ん…あれ?兄さんは?」

 

「深雪の所よ、さーて零司君も起きたし私達も帰ろうかな」

 

「あれ?俺が起きるまで待ってくれてたの?」

 

「そういうこった、んじゃ帰ろうぜ〜」

 

 

達也が壬生に部活勧誘されている間その事を知らない零司は3人に食事をご馳走していた。翌日達也と零司と深雪は生徒会室で昼食を取っていた

 

 

「ところで達也君、昨日剣道部の壬生をカフェで言葉責めにしてたのと言うのは本当かい?」

 

「委員長も年頃の淑女なんですから言葉責めなんてはしたない言葉はやめた方がいいですよ」

 

「ありがとう、私のことを淑女扱いするのは達也君ぐらいだ」

 

「自分の彼女を淑女扱いしないとは、先輩の彼氏は紳士的ではないのですね」

 

「そんな事ない! シュウは……何故何も言わない」

 

「なにかコメントした方が良かったですか?」

 

 

 言ってから失言だったと気付いた摩利は、立ち上がりかけた格好で固まった。その隣では真由美は噴出すのは必死に堪えているのを、摩利は視界の端で捉えていた。

 

「……それで、君が壬生を言葉責めにしてたと言うのは本当か?」

 

「そんな事実ありませんよ」

 

 

達也は誤解を解く為に昨日紗耶香と話した内容を全員に聞かせるように話した。

 

 

「そんな事が……」

 

「しかしそれは壬生の勘違いだ」

 

 

 摩利が言うように、風紀委員は完全なる名誉職であり、内申に影響する事も無いのでしがみついてまで就く役職では無い。その事を知っていた達也は、紗耶香が誰かに洗脳されているのを疑っていたのだ。

 

 

「そのようなデマを流してるヤツらに心当たりは?」

 

「ううん、噂の出所なんて探しようが無いでしょ」

 

「あれば注意してるさ」

 

「俺が聞いてるのは末端である事無い事吹き込んでるヤツらでは無く、その背後の連中の事です。恐らくですが、『ブランシュ』が絡んでると思われます」

 

「どうしてその名を!」

 

「秘匿情報のはずなのに」

 

「秘匿情報と言っても噂の出所を全て塞ぐ事は出来ませんよ。こう言った事は隠さずに全て公開した方が良いのですが」

 

「そう…よね……なのに私たちはこの事から避け…いえ、隠そうとしてる」

 

 

 達也が言った事を自分でも思っていた真由美は、落ち込んだようにそんな事を言う。

 

 

「仕方ないですよ」

 

「え?」

 

「此処は国立の施設で、国の方針に縛られるのは仕方ないと思いますよ。会長や市原先輩のお立場では、隠すのは仕方ないでしょう」

 

「司波君……慰めてくれるの?」

 

「達也君も隅に置けないな。落ち込んでる女をしっかりと慰めてハートを鷲掴みにするんだから」

 

「でも、追い込んだのも司波君では?」

 

 

 あずさの発言に、摩利が便乗するように言葉を続ける。

 

 

「自分で追い込んで慰めるか、凄腕ジゴロだな」

 

「ジゴロ……凄腕の……」

 

「落ち着け深雪、あれはあの人たちの冗談だ」

 

「さてと、そろそろ時間ですし、俺は教室に帰ります」

 

「あぁ待て、最後に一つだけ」

 

「何です?」

 

 

 立ち上がった達也に、真由美とじゃれあっていた摩利が静止の声を掛けた。

 

 

「壬生の誘いに、君は何て答えたんだ?」

 

「答えを待ってるのは俺の方ですよ」

 

「答えを聞いて、君はどうする?」

 

「俺は自分が出来ることをするだけです」

 

 

 達也の答えを、満足そうに頷き、未だにじゃれ付いてきている真由美を宥めに入った。そんな姿を見て、達也は呆れたように生徒会室から出て行った。そんな達也に深雪は黙ってつき従ったのだった。

 

 

〜To Be Continued〜

 




思ったより長くなった?そうでも無い?

それではまた次回!
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