四葉の息子は劣等生   作:十六夜翔

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それでは本編どうぞ!


九校戦編
九校戦編Ⅰ


 数日後、達也が指導室に呼ばれたと聞いて、深雪以外のメンバーが達也を向かえに指導室まで向かった。一科生と二科生が一緒に行動しているので元々目立っているのだが、それ以外の理由でもこのメンバーは目立っているのだ。

 エリカ、ほのかは深雪と並び誰もが美少女と認めるだろうし、雫も十分美少女のラインだし、美月はその大人しい性格から先輩たちからの人気が高い。そしてレオも彫りの深い顔立ちと日本人離れした顔立ちでそれなりに人気があるのだ。このメンバーがゾロゾロと歩いていれば、やはり相当目立つのだ。

 それでもまだ、絶世の美少女と評される深雪と、色々と有名人な達也が居ない分騒がしくはなって無いのだが……

 

 

「「失礼します」」

 

 

 指導室から出てきた達也達を見つけて、一斉に達也の許に駆け出す6人、それを気配で感じ達也は振り向きざまに呆れた声を出した。

 

 

「如何したんだ皆、そんな大勢で……」

 

「如何したはこっちのセリフだぜ達也。指導室に呼び出されるなんて何があったんだよ」

 

「実技試験の事で尋問を受けていた」

 

「尋問? 随分と穏やかじゃないわね」

 

「それで、如何して達也さん達が尋問されなきゃいけなかったんです?」

 

「簡単に言えば、手を抜いたんじゃないかと疑われた」

 

「俺はそれと同時に据え置きのCADを凹ませたことについてのお小言も」

 

 

 一高では試験成績優秀者を学内ネットで発表するのだが、総合成績は深雪、ほのか、雫が上位を占め、実技の成績でも深雪、雫、ほのかが上位を独占した。だが理論になるとちょっと様子が違ったのだ。

 一位はこのメンバーの予想通り達也と零司だったのだが、その点数が驚きだった。全教科満点のぶっちぎりトップ、二位の深雪と平均点で10点以上の差をつけての一位だったのだ。

 

 

「理論には一科生と二科生の差が無いとは言え、トップ3に二科生が三人も入ってるのは教師陣も驚きだったようだな」

 

 

 深雪の下、三位には二科生で達也たちのクラスメイトの吉田幹比古と言う男子がランクインしている。ちなみにほのかが四位、雫が八位、美月が十二位でエリカが十七位、エイミィが二十位とメンバーでレオ以外が上位二十位に名を連ねているのだ。

 

 

「おっ、漸く見つけた」

 

「委員長? 何か御用でしょうか?」

 

「頼みたい事があってな、試験前ということもあり、なかなか言い出せなかったんだ」

 

「なにをすれば?」

 

「実は風紀委員の引き継ぎの資料を作らなくちゃいけないんだが…知っての通り、私はそういう事が苦手でな」

 

「いいですよ。今からですか?」

 

「あぁ、夏休み入る前には終わらせたいからな。それじゃあ達也君と零司君を借りてくぞ」

 

「悪いな、また明日」

 

「また明日〜」

 

 

 摩利に引っ張られてくように連れて行かれる

 風紀委員会本部に連れて来られた達也達は、委員長引継ぎの為の資料を作らされていた。

 

 

「すまないな。君達が居なければ我々はまた同じ轍を踏むところだった」

 

「苦手なのは仕方ないですが、丸投げは止めてほしいですね」

 

「いや~それにしても君達が居てくれて助かった」

 

「こっちは終わりましたよ」

 

「こっちも終了しました」

 

「ありがとう、いつも感謝してるよ」

 

「いえいえ、これくらいお易い御用ですよ」

 

「自分は余り仕事を増やしてもらいたくはないですね」

 

「ぜ、善処しよう」

 

 

そういい達也と零司は風紀委員室をあとにする。その日の夜、達也と深雪は九重の寺でミラージュバットの練習をするといい家を出た。

 

 

「さてと、兄さん達が帰ってくる前に例のCADを完成させようかな」

 

そういい零司はまた地下室にこもる。数時間後達也達が帰ってきたと同時にプログラムが完成した。その後帰ってきた達也達から小野遥が公安のオペレーターだと知る

 

 


 

 

 試験が済んだからと言って、授業が無くなる訳では無い。そして魔法科高校にも体育と言うものは存在しており、1-Eは現在体育中だ。

 

 

「オラオラ! 退きやがれ!!」

 

 

 コートを所狭しと駆け巡るレオ、レッグボールと言われるフットサルから派生した競技が今日の内容だ。

 

 

「達也!」

 

 

 まともに受ければ昏倒するほどの勢いでパスを出したレオ、達也はそれを上に蹴り上げて跳ね返ってきたところを踏みつける。そして味方の一人の動きを確認して壁に向けてパスを出す。思いがけない動きに敵は反応出来なかったが、パスを出した相手はしっかりとその動きを読んでいて、冷静にシュートを放った。

 

 

「へぇ、アイツなかなかやるな」

 

「動きも良いし読みも悪く無い」

 

 

 一学期も終わりに差し掛かっており、達也もレオもクラスメイトの顔と名前くらいは把握している。だが二人共その相手とは話した事が無かった。

 試合が終わり、休憩中に達也とレオは例の相手との接触を図った。

 

 

「ナイスプレー」

 

「意外とやるじゃねぇか、吉田」

 

「幹比古だ。苗字で呼ばれるのは好きじゃ無い」

 

 

 名門吉田家の直系が、苗字で呼ばれるのを嫌うのに、達也は何となくの心当たりがあった。

 

 

「おう、分かった。それじゃあ俺の事もレオで良いぜ」

 

「司波零司だ、零司でいいよ」

 

「俺も幹比古と呼ばせてもらって良いか? その代わり俺の事も達也で良い」

 

「オーケー達也。実を言うと君とは話してみたかったんだ」

 

「実は俺もだ」

 

 

 理論分野で一位と三位、お互いが意識していても何もおかしく無いのだが、幹比古は達也が自分の何処を気にして話してみたかったのか不思議に思っていた。

 

 

「何だか疎外感だな……」

 

「レオとも零司とも話してみたかったよ。何せあのエリカとまともに付き合えるんだからね」

 

「何か釈然としねぇな……」

 

「同意」

 

「幹比古はエリカと前からの知り合いなのか?」

 

 

 何気無い質問だったのだが、幹比古が顔を顰めたのを見て質問を取りやめるつもりだった。だが横からの割り込みで達也の心遣いは不発に終わる。

 

 

「所謂幼馴染ってやつ?」

 

「エリカちゃん、何で疑問系なの?」

 

「知り合ったのが十歳の時だからね。幼馴染って呼べるか微妙なところだし、最近は避けられてるからね。ねぇ、達也君は如何思う?」

 

「幼馴染で良いんじゃないのか」

 

 

 いきなり現れてマイペースに物事を進めるエリカに、達也は呆れながらも答える。一方のレオと幹比古は、エリカの格好を見て固まってしまっていた。

 

 

「え、エリカ、何て格好をしてるんだ!?」

 

「何って、伝統的な女子用体操服だけど?」

 

 

 エリカの剥き出しの太ももを見て顔を真っ赤にしている幹比古に、エリカは気にした様子も無く答える。

 

 

「伝統!? そんなのが伝統だと言うのかい!?」

 

「そんなに変か? 変ったデザインのスパッツだとは思うが」

 

 

 焦る幹比古を他所に、達也は普段通り淡々と話している。その態度にエリカも安心して話を続けられるのだ。

 

 

「スパッツじゃないわよ」

 

「でもアンダースコートって訳じゃないだろ」

 

「あのね達也君、いくらアタシだってスコート無しでアンダースコートは穿かないわよ。これはねブルマーって言うのよ」

 

「ブルマー? 箒みたいな名前だな。昔はそんな格好で掃除してたのか?」

 

 

 達也のボケとも取れる発言にエリカは興奮したように答える。

 

 

「そんな訳無いじゃん! てか、女子用体操服だって言ったじゃん!」

 

 

 エリカが怒鳴ったおかげか如何かは分からないが、此処でレオが現実に復帰した。

 

 

「ブルマーって言うとあれか、昔のモラル崩壊時代に女子中高生が小遣いほしさに親父共に売っていたと言う……」

 

 

 だが復帰しなかった方が彼の為だったかもしれな。

 

 

「黙れバカ!!」

 

 

 

 


 

 

 

 

 魔法科高校にとって九校戦とは、秋の論文コンペティションに並ぶ一大イベントだ。華やかさでは圧倒的に九校戦の方がある。スポーツタイプの魔法競技で争われる対抗戦で各校クラブのレギュラーを揃えてくる。

 

 

「かと言って全部のクラブを平等に扱うのは難しいのよね……」

 

「得て不得手があるからな。そこら辺は選手も分かってるだろ」

 

 

 生徒会室で頭を抱えながらぼやく真由美に、摩利が慰めの言葉を掛ける。

 

 

「選手の方は十文字君が手伝ってくれたおかげで何とかなったのだけど、問題はエンジニアよ」

 

「何だ、まだ揃ってないのか?」

 

「二年生はあーちゃんとか五十里君とか、優秀な人材が揃ってるのだけれどもね」

 

 

 話題に上がったあずさは小さく拳を握った。彼女もエンジニアとしての自信は相当あるようだ。

 

 

「五十里か……アイツも専門は幾何の方だろ? 調整はそんなに得意じゃ無いと聞いていたが」

 

 

 摩利が不思議そうに首を傾げていると、真由美は更に深く頭を抱えてつぶやくように言う。

 

 

「せめて摩利が自分のCADくらい自分で調整出来れば良いのだけれど……」

 

 

 あてつけのように視線を摩利の方に向ける真由美。摩利はその視線を受け気まずそうに視線を逸らした。

 

 

「深刻な問題だな……」

 

「ねぇリンちゃん。やっぱりエンジニアやってくれない?」

 

 

 再三要請しているのだが、市原は首を縦には振らなかった。

 

 

「無理ですね。私の腕では中条さんたちの足を引っ張るだけです」

 

 

 机に突っ伏した真由美を見て、達也はアイコンタクトで零司に合図を出した。このまま生徒会室に居ると自分に都合の悪い展開になると分かっていたからだ。そして腰を浮かしかけたところで、達也の勘は的中した。

 

 

「だったら司波君に頼むのは如何でしょう?司波さんのCADは司波君が調整しているようですし」

 

「……そうよ! 盲点だったわ!」

 

 

 あずさの言葉が徐々に浸透したのか、ゆっくりと立ち上がったのに言葉の勢いはもの凄いものだった。

 

 

「そうか、私としたことがうっかりしていた」

 

 

真由美は羨望の眼差しを達也に向ける。その光景に我関せずの零司は楽しそうに眺めていた

 

 

「1年生が技術スタッフになった例は過去にないのでは?」

 

「なんでも最初は初めてよ」

 

「前例は覆すためにあるんだ」

 

 

進歩的な2人を前に達也もさすがに諦められない

 

 

「進歩的なお二人はそうお考えかもしれませんが、1年生の…それも二科生。しかも俺は色々と悪目立ちしていますし」

 

 

4月のブランシュの件も然り、最近では二科生にしては筆記は満点。これを悪目立ち以外なんと言おう

 

 

「CADの調整はユーザーとの信頼関係が重要です。選手の反発を買うような人選はどうかと思いますが」

 

 

 屁理屈をこねたところで、結局は面倒事を引き受けたくない達也の心情を理解してる二人は、如何やって攻撃(口撃)して引導を渡そうかをアイコンタクトで話し合っていた。だが二人の計画は第三者の所為で(おかげで?)必要無くなった。

 

 

「私は九校戦でもお兄様にCADを調整して頂きたいのですが……ダメでしょうか?」

 

 

 深雪のお願い(上目遣いと涙目でのだ)に達也はガックリと肩を落とした。まさか自分の妹が止めを刺しに来るとは思って無かったのだ。

 

 

「そうよね!信頼出来るエンジニアがいると心強いわよね、深雪さん!」

 

「はい!」

 

 

深雪は嬉しそうに返事をする

 

 

「じゃあ、放課後に準備会議があるから…そこで相談しましょ?」

 

 

もはやエンジニアの参加は決定だと思い達也は大きく肩を落とす。

 

 

「兄さんがんばって」

 

「何を言っているんだ、キミも参加するに決まっているだろう?」

 

「冗談ですよね?」

 

「本気だ」

 

「いや、今の流れは兄さんがエンジニアに抜擢、これで人員不足は解決、万々歳。ってオチですよね?」

 

「ん?そんなことは言ってないし、それに人員は多いに越したことはないだろ?」

 

「会長〜〜…」

 

「私は零司君の技術力を見てみたいな〜なんて…」

 

「はぁ…」

 

 

肩を落として思いっきり落ち込んでしまう

 

 

「零司、諦めろこうなった時の2人はもうとめられん」

 

 

零司は達也のその言葉の裏には「お前も道連れだ」としか聞えなかった

 

「どうなっても知りませんからね」

 

「望むところだ」

 

 

〜to be continued〜




実は期末試験の勉強会の話を書こうかと思っていたのだが、思ったより長くなりそうなので割愛させていただきます。

それではまた次回!
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