提督「…本日の戦果を発表する。」
大淀「…」
明石「…」
提督「…2-5海域を突破するも、3-5海域にて水雷戦隊が大敗を喫す。報復の為武蔵改二率いる主力艦隊で突入するも、北方棲姫に悉く返り討ちにされる。」
大淀「…提督、153あった高速修復材がもう100しかありません。最低保持在庫数です。」
明石「でも、まだ大破艦が3隻、中破艦に至っては8隻も残ってます!現在私が小破艦3隻の修復に当たっていますが、前述の11隻については…どうにも…」
間宮「我々給糧艦も、もう提供できる甘味が私と伊良湖ちゃんで2つずつしかありません。」
提督「…もう一押しだったんだ…しかし、精鋭駆逐隊が全滅、雷巡も全てが傷付いてしまった今、最早3-5に対抗する手立ては有るまい…」
提督「…降伏しよう。」
大本営「めっちゃ深刻な感じで語ってるけど、単に海域攻略しくじっただけだよね?」
提督「アッハイ」
明石「しっかし武蔵さんは本当に硬いですね…加賀さんや飛龍さんが戦闘不能になって北方棲姫に敗北した戦いでも小破でしたよ。」
提督「しかも小破で出したしな。」
大淀「治したれよ鬼畜か。」
提督「2-5はあんなに簡単に突破できたのに…」
明石「提督の中で多摩戦場の女神説が立った瞬間であった。」
提督「だって木曾から多摩に代えたら無事故でボスも撃破だぜ?もう一種の呪いだろ。」
大淀「重婚は?」
提督「しない。多分新しい鎮守府に移籍したときに結婚艦を多摩にする。」
明石「暁ちゃん可哀想…ちんぽこ可哀想…」
大淀「ってかまた移籍するんけ。」
提督「知らんよ。まあもし移籍したらこのクソみたいな見切り発車小説は打ち切る。」
明石「今打ち切れ。」
提督「あぁんひどぅい。」
提督「ところで、そろそろ艦娘を虐待しないとタグ云々の奴で消されそうなんだよね。知らんけど。」
大淀「消されちまえ。」
提督「ってことで明石さん。」
明石「はい。」
提督「羽黒を連れてこい。」
明石「道具は?」
提督「取り敢えず電気椅子とペンチ持ってきて。あと、電気椅子の電流は艦娘が気絶した時に起こせる程度に設定しといて。」
明石「了解!」
大淀「やっと重い腰を上げるんですね。」
提督「実は2-1とか2-3でも負けててな。鬱憤が溜まってるんだ。」
大淀「グロ描写できるの?」
提督「これ書きながら練習する。」
大淀「わーお初手実戦で訓練方式。」
提督「まるで我が艦隊みたいだぁ…(直喩)」
明石「羽黒さーん。提督がお呼びでーす。」
羽黒「は、はい…」
彼女、羽黒は酷く怯えていた。
3-5で、三度も撤退の原因となってしまったからだ。
北方棲姫の火力の前では、重巡洋艦の貧弱な装甲は粘土の如くねじ曲げられてしまう。
その為、彼女は今回のみならず、幾度となく一撃大破の憂き目を見る羽目になっていた。
それまでは叱責だけで済んでいたが、今回はこの鎮守府では貴重な甘味や高速修復材を大量に投資した作戦だった。
それ故、このような失態の連続は、絶対にあってはならなかったのだ。
つい最近育成が再開された妙高、改装されてから一度も手を付けられていない那智、そもそも改装すらしていない足柄は、妙高型で最も練度の高い羽黒をただ慰める他なかった。
少しして、執務室の扉が四度叩かれた。
羽黒「失礼します…」
震えた声で入室するのは、妙高型重巡洋艦四番艦、羽黒。
提督「…来たな。まあ座れよ。」
提督に指示された椅子は、鉄製の見たこともない椅子だった。
羽黒「あの…これは…」
提督「座れ!」
羽黒「!!」
提督が声を荒げる。
それ以前も提督が大破撤退で発狂することはあったし、報告の際に喜怒哀楽の暴走によって荒ぶる事もあった。
しかし、今回のそれは、明らかに普段の怒鳴り声とは異なっていた。
羽黒は、全身を小鹿の様に震わせつつ、提督の指示に従った。
提督「なんで呼ばれたかわかるよな?」
羽黒「はい…」
提督「戦場で居眠りでもしてたのか?なんだあれは。」
羽黒「ごめんなさい…」
提督が立ち上がり、机上に置かれたペンチを手に取る。
もう片方の手には、結束バンドが握られているようだった。
羽黒「あの、提督…?」
提督は、今にも泣き出しそうな彼女の不安をよそに、テキパキと彼女の四肢を椅子に固定し始めた。
羽黒はこれから起こる事を察したのか、不安そうな顔は、みるみる青ざめていった。
羽黒「提督、許してください…それだけは…」
提督「…」
羽黒「許してください…何でもしますから…」
提督(ん?今何でもするって言ったよね?)
明石≪提督さぁん?私皆にバラしちゃいますよぉ~?≫
提督「…」
執務室には、幾つかの隠しカメラが仕掛けられていた。
これから始まる惨劇を捉える為に、明石が設置したものだった。
提督「羽黒。」
提督が口を開く。
羽黒「は、はい。」
提督「手ぇ開け。」
羽黒「は、はい?」
彼女が聞き返した瞬間、彼女の体が跳ね上がる程の電流が走った。
羽黒「ッ!!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
提督「竹咥えさせときゃ良かったかな。鼓膜が吹き飛んだ。」
明石≪悲惨すぎる。≫
大淀≪音量注意≫
提督「激遅注意喚起くん嫌いだけど好き。」
提督が羽黒に視線を戻すと、彼女はほとんど気絶しかかっていた。
提督「早くなぁい?お楽しみはまだこれからだぞ…」
提督は弛緩した彼女の右の手の平を肘掛けに押し付けると、そのままペンチで中指の第一関節をへし折った。
羽黒「ああああああ!!!痛い!!!痛い!!!」
提督「うるせえ。」
彼は生き残った左耳の鼓膜を守る為に、羽黒の喉を殴る。
羽黒「カヒュッ…ゲホッゲホッ」
如何な貧弱とは言え、彼も立派な男性だ。
少なくとも、艤装解除状態の重巡洋艦よりは力も強い。
その力で、喉によく入り込む小さな拳で喉笛を撲られたのだ。
その苦痛や呼吸困難は想像に難くない。
羽黒「ていと…」
提督「次いこうぜ。」
羽黒はなんとか許しを乞おうとしたが、提督はそれを遮るかのように、今度は薬指に狙いを定めた。
羽黒「~~~~~!!!!」
彼女は提督を怒らせないよう、必死に声を抑える。
艦娘とは不思議な生き物だ。
艤装を付けていなければ人間並みの力しか発揮できないのに、その耐久性はどんな野生動物をも凌駕する。
史実の船の様に、サルベージさえ出来れば例え沈没しても修復でき(尤も、その場合は多くが深海棲艦化してしまうため、復旧はほぼ不可能だが)、頭が無くなっても曳航すれば"生還"することができる。
彼女らを殺すには、解体する他無い。
つまり、一人の人間如きに痛め付けられた所で、そうそう死ぬことはないのだ。
その事は、羽黒も提督もよく理解していた。
羽黒「やだ…ごめんなさい…提督…」
彼女の腿には、両目から溢れ出した雫が水溜まりを作っていた。
この折檻ができるだけ早く終わるよう、半ば祈るように掠れた声で許しを乞う。
だが、リョナラーである提督にとって、それはTDN精力増強剤でしかなかった。
提督「いい反応してんねぇ!道理でねぇ!」
羽黒は目をぎゅっと瞑り、次に折られるであろう小指から、できるだけ意識を遠ざけようとした。
しかし、彼女は全く想像しなかった衝撃で、意識を現実に叩き付けられることとなる。
提督から放たれた右ストレートは、羽黒のへその上数センチ、所謂みぞおちと呼ばれる部分に着弾した。
羽黒「う゛っ…!?」
彼女は油断しきっていた腹部への攻撃と、込み上げてくる吐き気に必死に耐えた。
だが、今度はそれが気に食わなかったようで、提督は無慈悲にも、二、三発目の拳を彼女の腹に打ち込んだ。
羽黒「お゛っ…く゛っ……お゛え゛っ…」
羽黒は艦娘の頑丈さをもってして、なんとか空気を吐き出すに留めた。
提督はそれを見て満足そうに殴るのを止めたが、彼女は最早限界に近く、冷や汗が全身から噴き出し、震える唇からは粘性の高い涎が垂れ落ちそうになっていた。
提督「ヒュー…やっぱ人間で遊ぶのって楽しいけど、結構体力使うな。」
明石≪初めてですし、そろそろ終わりますか?≫
提督「ん?…あぁ、まあこいつらは初めてだもんな。うし、今日は終わろう。」
明石≪お疲れ様でした。後片付けは私達がやるので、提督は怪しまれないように私室にでも戻っておいてください。≫
提督「うい、お疲れー。」
明石「それにしても、羽黒さんって結構丈夫なんですね。てっきり腹パンどころか、指を二本折られた時点で吐くかと思ったんですが。」
大淀「失禁もしてませんでしたし、壊しがいがありそうですね。」
明石「…なんか目的変わってません?」
大淀「フフフ…」
天龍「…なんか今俺のキメ台詞パクられた気がする。」
龍田「天龍ちゃん?」
天龍「…気のせいか。」
羽黒は、夜の廊下を一人とぼとぼと歩いていた。
あの後、明石と大淀が拘束を解き、そのまま工廠にて応急措置を施してもらった。
一応指は治ったが、殴られた腹の違和感や、提督のあの狂気に満ち満ちた瞳への恐怖・トラウマは、決して簡単に払拭できるものでは無かった。
妙高型の部屋に戻ると、足柄が心配そうな顔で彼女の帰りを待っていた。
他の二人はもう寝てしまったようだ。
足柄「大丈夫だった?」
羽黒「足柄姉さん…」
足柄「随分長いこと呼ばれてたけど…」
羽黒「…私は大丈夫。明石さん達に慰めてもらってただけだから…」
足柄「そう?それならいいけど…」
彼女には、提督に暴力を受けたなどと白状できるほどの勇敢さや無謀さは備わっていなかった。
羽黒自信が提督に酷く怯えてしまったというのもあるが、もしそれを白状して足柄が抗議にでも行ったならば、今度は妙高型の皆が同じ目にあってしまうかもしれないと考えたのだ。
彼女はいい子だ。
優しくて大人しい、典型的な優等生。
それ故、このような仕打ちを受けても、誰かに打ち明けるということができない。
提督もそれを理解していただろうから、今回指の二本で済んだというのは、むしろ幸運であったのだろう。
彼女は足柄に軽く挨拶を済ませ、明日に怯えながら眠りについた。
これ書き始めたの二年近く前ってマジ?
あと最後若干雑になった。スマソ。