書物の勇者?何だそれ   作:名無しし

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プロローグ

俺は星守刹那、20歳の大学生だ。

一応、俺はオタクという自覚はある。アニメや漫画をはじめ、様々なジャンルに金をつぎ込んで毎日のように遊んで過ごしている。だからといって留年なんてしたくないからちゃんと勉強もしているし、金もバイトで稼いでいるぞ。

そして、俺がハマっているのは異世界モノだ。

 

事故で死んで異世界に転生、または召喚されて転移してチート使って俺TUEEE!キャー主人公万歳!ハーレム築いて何人もの女の子と毎晩のようにベッドを軋ませたりするなんて夢みたいじゃないか。

だが、現実は無情である。こないだもせっかく勇気を出してネットで可愛い女の子と会う約束して実際に会ったら男だったし……

 

女の子とリアルで会話することなど、せいぜいサークルやバイトで事務的な会話くらいしかない。

ああ、彼女が欲しい。そして童貞を卒業したい、いっそ本当に異世界にでも行きたいものだ。

 

まあそんな暗い話は置いておいて今日も俺は一人、部屋で異世界モノのラノベを読み漁る。最近俺がハマっている作品は『盾の勇者の成り上がり』だ。

 

主人公の岩谷尚文が、異世界に四聖勇者の一人である盾の勇者として召喚されるが早々に冤罪をかけられ、どん底から這い上がって成り上がっていく話だ、序盤がなかなかキツいから好き嫌いの分かれる作品だが俺は好きだ。

アニメ化してこの間まで放送もしていたし、知名度の高い人気作品だ。

 

web版ではもう完結していて、外伝である『真・槍の勇者のやり直し』が今も連載中で、そっちも読み込んでいる。本編と違って序盤からぶっ飛んだ展開で、槍の勇者が尚文をお義父さんと呼んだり、邪魔する者は躊躇なく殺していくしで本編を読んでない人にとって訳の分からない展開が進んでいく。

 

「ん、ふわーあ」

 

気がつけばもう日付が変わっていた。また徹夜してしまったか、腹も減ったしコンビニで何か買ってくるか。

おもむろにラノベを棚に戻すと俺は支度をして家を出た。

 

「そういえば新刊の情報ってもう出てんのかな?」

 

俺はスマホを取り出し、歩きながらラノベの新刊情報を見漁る。

 

「ああこの作品も来月に出るのか、予約しておこう。あーでも、これ以上は今月厳しいな……来月バイトのシフト増やすか……?」

 

ブツブツと独り言を言いながら歩きスマホをしていると、いつのまにか車道に出ていることに気がつかなかった。

その時ププーっという音が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

クラクションに気がついた時には目の前にトラックが迫ってきており、そこで意識が途絶えた。

 


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