ふむ、ここはアニメで見た決闘場の入場口だな。
尚文が武器に触って弾かれたものも置いてあるし、間違いなさそうだ。
あと数分で元康との決闘が始まる。尚文と違って攻撃手段のある俺なら余裕で片付くだろう。
瞬殺するのも一興だが、そんなことで奴が納得なんてするわけがない。それに俺自身も楽しみたいという気持ちもある。
「んー」
俺はなんとなくステータス画面を開いて、様々な武器やスキルを眺める。
なーにか面白そうなものはないかなー?
「……おや?」
ふと、あるスキルに目が止まる。
これは……、ほほう。なかなか面白そうなスキルじゃあないか。これなら
ガラガラガラ
そんなことを考えていると目の前の門が上がり、俺は舞台へと足を運んだ。
辺りには松明が焚かれ、宴を楽しんでいた者達が皆、勇者の戦いを楽しみにしている。
当然ながら元康には期待の視線、俺には蔑むような視線で注目している。
「では、これより槍の勇者と書物の勇者の決闘を開始する!勝敗の有無はトドメを刺す寸前まで追い詰めるか、敗北を認めること」
俺はコキコキと首を鳴らしながら元康を見る。
「ハッ!女にいいようにされる道化勇者サマよぉ、自信の方は如何かな!」
「誰が道化だ!バカにするのもいい加減にしろ!」
「いやいやお前なんかバカにしてねーよ。お前の仲間がお前をいいように操ってんのが滑稽なだけだ」
「仲間は関係ないだろ!貴様、絶対に許さないぞ!」
元康が殺気立って俺に槍を向ける。
おーおー威勢だけは良いこった。いつまでその虚勢が張れるかな?
「ではーー勝負!」
「でりゃあああああああああああ!」
元康が槍を構えながら走って俺に一突きしようとしてくる。
俺はその場に突っ立って何もせずそれを静観する。
「乱れ突き!」
元康の槍が一瞬にして何個も別れて飛んでくる。
この程度、避けるまでもないがおちょくる意味も込めて一応動くか。
「動きは悪くないな。だがーー」
強化を十分にしてる俺にとって、全部軌道が見えるから余裕で避けられる。
ガシィ!
「んな!?」
「この程度の力量で俺に勝とうとは、愚かにもほどがあるぞ?」
俺は最後の一突きをあえて避けず、片手で槍を掴んで攻撃を防いだ。
「くそ、離せ!」
「いいよ、離してやるよ。離せるもんならなぁ!」
俺は槍を両手で掴み、その場で回転し始める。
「うおおおおおおおおおおおお!」
「うわああああああああああ!?」
たかがこの程度で悲鳴を上げるとは情けない。
ブンブンと元康ごと槍を振り回すも元康は一向に槍から手を離そうとしなかった。
否、離そうとしても離れないと言ったほうが正しいか。元康は既に手をパーにしているが槍はまるで強力な接着剤でもついているかのように手から離れなかった。
伝説の武器は体から離れないという性質があったのが不幸だったなぁ!
「そら、ご希望通り離してやるよ!オラァ!」
「うわあああああああ!」
俺はハンマー投げの要領で槍を、元康をぶん投げる。元康は無様な悲鳴を上げながら飛んでいく。
俺は尚文同様に物理攻撃が効かない、このまま壁とかに激突してもダメージは入らないだろう。魔法で追撃をする。
戦闘不能にならないように、かといって弱すぎない程度にいくぞ。
「ツヴァイト・アイスバレット!」
無数の氷の弾丸が元康に向かって放たれる。
「ぐはあああああ!」
ドォン!
空中だから避ける暇もなく元康に全弾命中し、その勢いで反対側の壁に激突して仰向けに倒れた。
観客席がざわつく。
当然だ、応援している勇者が劣勢で目の敵にしている奴が押しているのだからな。
「どうした元康ぅ!この程度でやられたなんて俺は思ってないぞ!」
俺が大声でそう言い放つと元康は槍を杖代わりにしてフラフラと立ち上がる。
結構効いているみたいだな。中級魔法でなく初級魔法にしておけば良かったかな?
「ぐ、くそぉおおおお!」
「おー、流石は勇者だ。この程度でやられるわけないと信じてたよ」
「俺は、負けるわけには……いかないんだぁああああ!」
威勢よく元康は立ち上がって俺に槍を向けるも、立つのがやっとみたいな様子だった。
側から見れば最後まであきらめず勇ましい、まさに勇者って感じだな。
「エアストジャベリン!」
元康がスキル名を叫ぶ。確かこれは光で出来た槍を投擲するスキルだったかな?
すると思った通り、光の槍が俺に向けて投擲される。
「ふむふむ、中々いい攻撃だな」
俺はあえて何もせず、そのまま攻撃をくらってみる。槍は俺の胸にガン!と当たるも、音を立てただけでかすり傷一つ負わなかった。
「この程度か、これで勇者とは呆れるな」
俺は元康を挑発する。
さてと、そろそろ俺も仕掛けさせてもらいますかね!
「ぐ、くそ!」
「いいか?攻撃ってのは……こうやるんだよ!」
俺は書物を『四聖武器書』へと変化させ、スキルを発動する。
「槍ノ章、乱突!」
俺がそうスキル名を叫ぶと、書物のページが槍となって、先ほど元康が放った乱れ突きと同じスキルが元康へと飛んでいく。
「んなっ!?これは……ぐはぁああああ!」
元康は驚愕し、そのまま避ける暇もなく攻撃をくらう。
「まだまだ!槍ノ章、投擲槍!」
書物のページが元康のエアストジャベリン同様、光の槍となって飛んでいく。
「うぐ……うりゃあああああ!」
ガキィン!
ほう、今のを弾くか。さほど強くないスキルなのかな?
元康が乱突を受けた直後、なんとか立ち上がると自身の槍で光の槍を弾いた。
「ゼイ、ゼイ……な、なぜ……俺のスキルを……」
肩で息をし、槍を杖代わりにしながら立っている元康がそう口を開く。
まだ立ち上がれるだけの力が残ってるとは、意外と根性あるな。まあ女が絡んでるし奴は諦めんだろ。
「簡単なことだ。俺はスキルを一度見たら、何でもコピーして使えるんだよ!」
俺が発動したスキル、それは以前魔法屋でウェポンコピーした四聖武器書のスキルだ。まさかこれが置いてあった上に、こんなチートなスキルが付属されているなんて思いもしなかったぜ!
ーーーーーーーーー
四聖武器書 0/300 LR
能力解放済み……装備ボーナス、能力『スキルコピー』
専用効果 十二位一体
ーーーーーーーーー
専用効果がよくわからんが、おそらく四聖と七星ーー眷属器の勇者も含めた何かだと思われる。
「な、なんだよそれ!チートじゃねえか!」
「チートもクソもない!そろそろ、仕舞いにしてやるよ!」
そう宣言し四聖武器書を開いた瞬間、背中からバスッと何かが当たるような感じがした。
これは、振り返るまでもないな。どうせヴィッチの野郎がウイングブロウを放ってきたのだろう。
案の定、審判は効果がないことに対してうろたえているように見えた。
「ツヴァイト・ヘルファイアV!」
巨大な炎の塊が元康目掛けて飛んでいく。いくら勇者とはいえ、この魔法で騎士団長らを殺したから万が一のことがないように弱めに放った。
「ぐ、くそっ!」
元康が攻撃から逃れようと、その場から逃げ出そうとする。
「逃さん!盾ノ章、一ノ盾!」
「ぐはっ!ギ、ギャアアアアアア!!」
俺はそれを逃すまいと、エアストシールドを元康の逃げ出そうとした方へと出現させ、元康はそれにぶつかると同時に炎の塊が命中する。
「ぐ、は……」
元康がその場に崩れ落ちて意識を失う。
はい俺の勝ち。
「……おい審判、槍の勇者が気絶したぞ。俺の勝ちだろう。それともまだ勝負はついていないのか?それなら追撃するまでだが」
「あ、く、書物の勇者の……勝利とする」
俺は手に魔法を生成しながらそう言うと、審判は慌てながら俺の勝利を宣言した。