それと戦闘描写が難しいです。つたない文ですが、お楽しみ頂けたら幸いです。
今日もヒーロー活動を効率的に行う為、魔法使いはオールマイトの肩に担がれて空を駆け巡る。
いつも通りに日常が始めるかと思いきや、今日のオールマイトは普段と違う行動をする。それはヒーロー活動する前に、あることを自身のブログに書き込んだのだ。
【最近黒猫の魔法使いについて、色んな意見がありますが、私は黒猫の魔法使いの考えに全面的に賛成しております。なので、私は、彼女の考えを一緒に広めていきたいと思います。そして、黒猫の魔法使いやそれを関するものへの誹謗中傷及び迷惑行為は止めて下さい。お願い申し上げます。】
No.1のヒーローの影響力は凄まじく、いつも国といたちごっこをしていたあの動画は、それ以降、上げられることはなかった。
この件に感謝した魔法使いとウィズは、オールマイトが聞き飽きる程のお礼を言う。
後、このまま騒ぎが収まれば、No.2であるエンデヴァーとの共闘が始めることが出来るらしい。それに続いて、他のトップヒーローとの共闘も始まる。
オールマイトが自分達の為にここまで頑張ってくれたのだから、絶対にこの狂った世界の考えを変える!と魔法使いは強く、何度でも数えきれないほど誓った。
オールマイトのブログの件で、マスコミが騒ぎを起こすことは明白であった。そこで今日は、人目のつかない場所で活動することになった。
今は逃走している敵(ヴィラン)を追いかける為、目撃情報があった廃トンネルの中を歩いている。
「キーーッ!オールマイトと黒猫の魔法使いが来やがった!!」
たった一日で魔法使いの知名度は一気に上がり、有名人になっていた。
もう既に敵(ヴィラン)に見付かったらしく、野太い男性の声が誰かに知らせるように叫ぶ。
その声はとても五月蝿くて耳が痛くなる程反響する。相手はトンネルの奥の方にいるらしく、魔法使いとオールマイトは目配せをしてから、オールマイトは魔法使いを抱えて最高スピードで走り出す。
トンネルの中央辺りまで辿り着くとそこには...
腕が足首近くまで伸びている猿顔の男性敵(ヴィラン)と、黒髪ロングの若い女性敵(ヴィラン)が待っていた。女性敵(ヴィラン)の方は袋を抱え込んでおり、武器なのか奪った物なのかは一目見ただけでは分からなかった。二人は何故か、眼鏡をゴツくしたような黒い物を額に掛けていた。
「やって来たわね」
女性は驚く程落ち着いていた。
猿顔の男性もニヤニヤと嗤っている。まるで勝利を確信しているかのようだった。
その嗤い顔を見た魔法使いとウィズとオールマイトは嫌な予感を感じる。
どこからか"呻き声"が聞こえ、不気味な現象に背筋が凍る。更に周囲には錆びた鉄のような臭いが漂う。呻き声と血の臭いに二人と一匹は、勘に導かれるままに上を見上げる。
見上げた瞬間、女性敵(ヴィラン)がくすりと嗤う。
端から順にバッンと、乾いた音を鳴らしながら照明がついていき、薄暗がりからオレンジ色に染まる。
二人と一匹はゾッとする。何故なら──
傷だらけの人が逆さまにぶら下げられていたからだ。
派手な格好をした男のヒーロー、まだ十代前半の少年少女、子供たちの母親と思わしき三十代前半の女性、計五人が吊るされていた。
特にヒーローの状態は酷く顔の原形をとどめていなかった。しかも、傷は顔だけではなく、足や腕にも痛め付けられており曲がってはいけない方向に折れてしまっていたのだ。
彼らが吊るされている下には、小さな水溜まりが血でできていた。これには、感情を押さえつけることは出来ずに、魔法使いは苦々しげに言う。
「なんてことを...!!」
何か策があって余裕があるのか、それとも怒っている様子を面白がっているのか、二人の敵(ヴィラン)は嫌みな笑みを浮かべている。
「...さあ!オールマイト!黒猫の魔法使い!人質を解放して欲しければ...ガフ!!?」
男性敵(ヴィラン)は怒りが頂点に達したオールマイトに力いっぱい殴られ、遥か彼方まで吹き飛ばされる。躊躇なく殴りにくるオールマイトに先程までの余裕は消えてなくなり、女性敵(ヴィラン)は慌て出す。
「待ちなさい!オールマイト!下手に動いたら!その風圧で人質が傷付くわよ!!ヒーローが人質を傷付けてもいいの?!!人質がこれ以上傷付く前に!大人しく!私達の言うことを聞きなさい!!」
「残念だったな!敵(ヴィラン)!私はどんな時でも"個性"調整を出来るようにしている!人質を傷付けずに、敵(ヴィラン)を倒すことなど朝飯前だ!ミーズリーー...スマッシュ!」
オールマイトは自信満々に宣言をすると、女性敵(ヴィラン)の後頭部に手刀を打ち込む。
オールマイトの並外れた力に堪えきれず、女性敵(ヴィラン)は呆気なく地面に倒れる。二人の敵(ヴィラン)を無力化にしたオールマイトは急いで人質を縄から解放をする。
「黒猫の魔法使い!回復を!」
じっと見ていた魔法使いは敵(ヴィトン)が殴られる否や、走り出して傷付いた人達の下に行き回復魔法を掛ける。淡い緑色の光が幻想的にトンネルの中を照らす。
無事に回復を終えた後は敵(ヴィラン)二人の身柄を警察に渡し、傷付けられていたヒーローと一般人は念の為病院で検査をすることとなった。怪我人達を無事に病院まで届けると、魔法使いとオールマイトは、また次の現場に向かう。
「来たね!オールマイト!黒猫の魔法使い!」
「私達はそう簡単に捕まらないわよ!」
「食らいなさい!」
今度は四十代の女性(ヴィラン)が三人組となって、オールマイトと黒猫の魔法使いに襲い掛かってくる。
彼女らは銀行強盗から帰りで、丁度空を飛んでいたオールマイトに見付かってしまったのだ。最後の悪足掻きとして"個性"で反撃をする。
自分や周囲の影を伸ばして拘束をしようとし、霧を発生させて姿を隠し、霧の中から鋭い葉っぱが凄まじいスピードで襲い掛かる。
並みのヒーローなら一溜りもないだろうが...
この二人には関係はなかった。
魔法使いが魔法を唱えて炎を出し、影を火で弱らせ、鋭い葉っぱも炎で跡形もなく燃える。
「テキサス...スマッシューー!!」
そしてトドメといわんばかりに、オールマイトのパンチが、霧ごと三人の女性敵(ヴィラン)を吹き飛ばす。まるでごり押しの手本を再現をしているようだった。
この事件の後もオールマイトの超スピードを活かして、現場に赴き数々の事件を解決していく。溺れている人を助けて、迷子の子供共に母親を探して、山や海岸に置かれていたゴミを片して、どこにでも出没をする敵(ヴィラン)を赤子の手を捻るように倒していく。
魔法使いがオールマイトを魔法で強化しながら、ヒーローの仕事をこなしていくのであった。
その日の夜。
ヒーローも敵(ヴィラン)とも関係ない、ただの一般市民の家で、一人の女性が鼻唄を歌いながら、黒いスマホをいじっている。
くすんだ灰色のショートカットの髪、髪の毛に対比するかの如く鏡の様な銀色の瞳。
その瞳は爛々と輝いていた。
「...ふ~ん。流石に止められちゃった。元々、消されやすいらしいのねこの動画。...まあ、私は興味なくて観てなかったけど...。"先生様"が気に止めろって言われてから、調べ出したのよね...。こんなことになるのなら...動画が出てからすぐに、調べておけば良かっ...ううん...いくら"先生様"の言い付けで、こんなことをしていても、自分からヒーローに関わりたくないのよねえ...」
女性は自己反省会を開きながら携帯を操作していく。
携帯を操作しているので、顔は俯いて表情は伺えないのだが、声色だけで忌み嫌っていることが容易に伝わってくる。
「しかし...こんなにも、"先生様"の興味を持たれるなんて、私からすれば羨まし~い。..."先生様"と似ている"個性"だからかな?考えても分からないなあ...。...あ~あ、調べに行かないと駄目なのかな?"個性"を悪用する時の言い訳を考えないといけないのだから、面倒くさいのよねえ~。しかも私の"個性"の効果じゃ、気付かれないようにするのは無理なのよねえ~。............ほんと......」
「嫌になっちゃう」
増悪の全てを一言にして吐き捨てる。
どうして、何を、嫌っているのかの答えは、すぐにでも吐き出される。
「今更、なんで、弱い人の味方のふりをするのかしら?貴方達ヒーローは、人の不幸が大好きな最低な人達でしょ!今更!!弱い人の味方なんてしないでよ!!!気が付くのが遅すぎるの......いや、これは...気が付いているのではないわ。ヒーローが多すぎて、目立つ為に、新たな路線を作っただけなのよ!きっとそう!そうに違いないわ!あっははは!!だとしたらなんて馬鹿なの?!先輩達が作ってきた自ら道を否定するなんて!なんて馬鹿なの!皆が面白がっているのよ!そんなこと分かっていないの?!あっははは!!こんなの...!まるで...」
「白部!?どうかしたの!?大丈夫?!」
女性の狂った笑い声が下の階まで響き、女性の母親を心配をさせる。
心配をした母親の声が女性を正気に戻す。
「...あっ...やっちゃった...。お母さん!私は大丈夫だよ!面白い動画を観ただけだよ!」
「...えっ...?そう...なの...?けど...」
「本当に大丈夫だから!心配しないでね!」
「...本当に?」
「本当に!本当だよ!私を信じて!!」
「............分かったわ...。本当なのよね?」
「うん!お母さん、私を信じて!」
「そう......。白部がそこまで言うのなら信じるわ。...その代わり......」
「もう二度と独りで抱え込まないでね」
女性の母親が念入りに尋ねる。
「大丈夫だよお母さん。私は...もう立ち直れているよ。学生時代は散々だったけど、職場の人達には恵まれているから...大丈夫!だって私!仕事するのが楽しくてしょうがないもん!皆良い人達だから、毎日が充実して楽しいもん!」
女性は出来るだけ明るい声で説得をする。
「...それは良かった。白部は昔から、抱え込みやすい子だったけど...その様子だと本当に楽しそうで良かったわ...」
部屋の扉の前で女性の母親は納得をする。
扉があって顔は見れなくても、声だけでも心底心配をしていたことが分かる。女性は心配を掛けてしまったことにより、心を鷲掴みされたように痛くなる。
女性の母親が階段を降りていった音を確認をしてから、女性は他の人に聞かれないように気を付けて呟く。
「...いつも心配掛けてごめんねお母さん...。けど...私...この生き方を選んでいったこと...後悔していないよ...。いざという時なったら...ちゃんと...」
女性はこの先を言うことを止める。
それから大きな溜め息を吐いて気持ちを切り替える。
「...これ以上先を言ったって...私には関係ないわ...。だって...私は"先生様"の意思を全面的に同意しているからね☆...さてと...いつまでも落ち込んではいられないね♪私は私の仕事をしないと!...といっても...出来るだけ...自分で探す時間は減らしたいのよね...。あ!そうだ!こんな時はあれを使おう!」
女性は携帯を操作してとあるサイトを開く。
そのサイトはヒーローに関する情報を取り扱っており、その手の情報ならなんでも揃っているサイトだ。"個性"のことから、家族や恋人の有無まで...ありとあらゆる情報がごったになっていた。
ここに書かれている情報全てあっている訳でもないが、それでも一つの情報手段として有益なものであり、やってみるだけの価値はかなりある。
女性はさっさと疑問を解決する為に文字を打ち込む。
『黒猫の魔法使いって誰から力を借りているんだ?』