これから戦いが始まるのだが、どうしてもワン・フォー・オールの謎が気になった白部は黒霧に尋ねてみる。
「緑谷達は...半殺しにして、先生様に送り付けましょう。...ところで、あのワン・フォー・オールはどうやって受け渡すのですか?」
「さあ...私にも分かりません...。取り敢えず送れば分かる筈ですから、私達は目の前のことに集中しますよ」
黒霧も本当に知らないようだ。
「ええ、そうですね。...殺りますか」
白部は決意をするまでの間、悠長に黒霧と話をし、脳無も命令されるまでは動かない。その隙に緑谷達は動き出す。
八百万は"個性"を使ってマトリョーシカを生み出し、白部達の足元に投げる。
「皆さん!」
溢れんばかりの光が周囲の人達の視覚を奪う。
あのマトリョーシカは実は閃光弾であり、敵を惑わす為に態と可愛らしいデザインにしていたのだ。八百万の合図で緑谷達は瞑って目を守り、油断をしていた白部達は目眩ましを食らう。
「クッ...!!目眩ましですか...猪口才な!」
「えっ!?何これ!?明る過ぎて目が見えない!?」
黒霧と白部は急いで目を瞑る。
この隙に、緑谷達は奥の方へと急いで逃げる。
鬱蒼と生えた茂みが足元に絡み、乱雑に落ちている木の枝が足元を不安定にさせる。
だが、一々気にする余裕はなかった。捕まれば死ぬ、助けはいつ来るのか分からない、敵(ヴィラン)との死の鬼ごっこが、限界まで疲れ果てている彼らを無理やり動かす。
「緑谷、大丈夫か!?しっかりしろ!」
緑谷を背負っている障子が必死に声を掛ける。
「僕は...ゴホッ...大丈夫だよ...」
口から血を垂らしながらも緑谷はなんとか応える。
「全然、大丈夫じゃねーよ!」
緑谷の酷い怪我に瀬呂は思わず突っ込んでしまう。
「緑谷も...俺達も...このままでは長くは持たないぞ!どこか休憩出来る場所はないのかよ!?」
「この辺りに住む鳥達よ。僕達が隠れられる場所に導きなさい」
切島の要望を口田が"個性"を使って応えようとする。
すぐにウミネコなどの海辺に住む鳥が、口田の元に集まり、案内するかのように飛び立つ。
緑谷達は体を休める場所を求め鳥の後を追う。
案内された場所は洞窟だった。
小さな洞窟であったが、全員が身を隠せる程の広さはあった。けれど、奥に逃げることは出来ず、もし敵(ヴィラン)に見付かってしまえば、あっという間に殺されてしまう場所であったが、それを覚悟の上でこの場所で休むことを決意する。
敵が来る前に緑谷の応急手当てを素早く行い、適当に腰を掛けて疲労回復を図る。落ち着き出した者から、今までの出来事を話し出し、みんなで状況を整理する。
「...緑谷さん...大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ八百万さん」
八百万が"個性"で包帯などを作り上げて、適切に怪我の手当てをしていく。
その甲斐あってか、吐血は止まっていた。だが、足は折れたままで、肋骨はひびが入っていた。緑谷は戦うことが難しい状態であった。
八百万の瞳から涙が溢れ落ちる。
涙を流しているのは八百万だけではない、他の女性メンバーも涙を流していた。嗚咽が洞窟の中で響き渡る。
「緑谷さん...私達は...悪い夢を見ているのですよね...?」
緑谷の傷を手当てしながら八百万は呆然と呟く。
この中で一番白部と仲良かった緑谷に思わず尋ねてしまう。現実だと理解していても、悪夢にしか思えず、誰かからの否定を欲しがっていた。
「そ...そうだよね!こ、これはヤオモモの言う通り!悪い夢なんだよね!?」
「どうして...」
「.......ケロッ....」
「悪い...夢か...」
「そうだよ!これはきっと、悪夢なんだよ!」
芦戸、麗日、蛙吹、耳朗、葉隠が思い思いに八百万の意見に同意をする。その様子を男性メンバーは痛々しそうに見守ることしかできなかった。だが...
一人の少年だけは違った。
「今起きていることは全部、悪夢じゃねえよ!現実だろがあぁあ!!このボケが!!!」
爆豪が口汚く八百万達の考えを否定する。
あまりの言い種に飯田、上鳴、切島、瀬呂が注意をしようとするが、爆豪は彼らの反応を気にせず話を進める。
「相手は殺す気満々だろうがあ!!それなのに認めねぇとか、頭お花畑かあ?ああ!?」
女性メンバーは爆豪に顔を向けるだけで何も言わない。
「その目は節穴かあ?その耳は飾りかあ?だからおめえらは、弱いんだよ!!...んなことより!おい!クソナード!!」
粗方言い終えた爆豪は、今度は緑谷のところに行って詰め寄る。緑谷が大怪我をしているのに構わず、胸ぐらを掴んで無理やり立ち上がらせる。他の人達は止めようとしたが、話の内容が気になって、無意識の内に動きが止まる。
「てめぇは前に、人から貰った"個性"だとほざいていたけどよ!灰髪女の言ってたことは本当のことか?!ああ!?」
「......」
緑谷は何も言わない。ただ、時間だけが過ぎていく。
爆豪の怒り狂った強烈な睨み、心配と真実を知りたい追及心が交じり合わせたような皆の視線。このままだと切りがない思った緑谷は、観念をして話し出す。
「......そうだよ...かっちゃん...みんな...。僕がオールマイトから"個性"を受け取ったんだ...」
緑谷は正直に白状をする。
その答えに皆は狼狽える。けれども、ここでも爆豪だけは怒鳴るのを止めなかった。
「はぁあ!?てめぇみてぇなクソナードが!?何も出来ねぇ"無個性"の木偶の坊がぁあ!?あのオールマイトから貰ったのかぁあ!?あぁあ!?何でだ...!何でだ!!てめぇみてえなぁ"無個性"を選ぶんだぁあ!?俺何かよりも...!!こいつの方が.........ケッ!!どうせ、"無個性"だから、同情で貰ったのだろうがぁあ!!?」
「かっちゃん......」
口汚く罵る爆豪。
誰からどう聞いても差別発言であり、聞いた者を不愉快にさせる最低な言葉。だが、オールマイトの"個性"を授けると言う、神様のような力を貰った緑谷に嫉妬をしてしまい、爆豪の言動と行動を無意識のうちに納得をしてしまう。
怒鳴られている緑谷も爆豪の立場に同情をしていた。
いや、彼の幼馴染みだからこそ、この中で一番彼に同情をしていた。
小さい頃から彼と共に遊び、オールマイトに憧れていた経験があるから分かる。
どれくらい憧れていたのか、どんな風にオールマイトを見てきたのか、爆豪と幼馴染みだった緑谷には、彼の気持ちが痛くなる程伝わってくる。
「皆さん、こんなところにいらっしゃったのですか?」
聞き覚えのある声であり、今は聞きたくない声。
洞窟の入り口に白部が立っていた。先手必勝と言わんばかりに爆豪、轟、切島、常闇、障子、砂藤が動き出そうとしていたが、白部が先に制する。
「ここで私を殺そうとするのは構いませんが、貴方達の攻撃が私に届く前に、脳無が洞窟を破壊して貴方達を生き埋めにしますよ。それでもよろしければどうぞ」
そう言われてしまえば、攻撃を断念せざるを得なかった。白部は頭に手を当てて溜め息を吐く。
「はぁ...。全く...貴方方は、本当にヒーローらしく脳筋なのですね...。それに、今までの出来事のせいで頭が可笑しくなるのは分かりますが、だからと言って、馬鹿みたいに騒がない方が良いですよ。今みたいに、簡単に敵に見付かってしまいますよ」
飽きれ果てたから本音が出てしまったのか、それとも最後に残された良心なのか、白部は彼らにアドバイスを与える。
「全てこうなったのも...!お前のせいじゃんかよおーー!!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃに汚した峰田が言い返す。
「ええ、そうですね。私のせいでございます。けど、貴方達が原因なのですよ」
「一々人のせいにするんじゃねぇーよ!」
白部の問いに上鳴は吐き捨てる。
上鳴の言い方に白部は眉をひそめる。
「人のせい?いやいや、貴方達の行いのせいですよ。現に洞窟での会話を聞かせてもらいましたが...」
白部の雰囲気が一気に冷たくなる。
視線だけで人を殺せる程目が鋭くなり、見た者を怖じ気づかせる。
「貴方達って、ヒーローらしく、立派な差別主義者ではありませんか」
「差別主義者...だと?!それは一体...どういうことだ!?ぼ、俺達はそんなことをするつもりはない!そもそも、ヒーローがそんなことをする訳ないではないか!!」
飯田が精一杯反論をする。
しかし、白部は、道端に唾を吐き捨てた人を見てしまったかのように、汚ならしいそうに飯田を睨み付ける。
「へぇー......。まだそんなことが言えるのですか?私、ちゃんと聞いていましたよ。つい先程前まで爆豪君が"無個性"に対して、差別的な発言をしていましたよね?」
「あっ!?てめぇには関係ねぇだろうが!このボケが!!」
爆豪が怒鳴って言い返すが、その行動はかなり間違っていた。
爆豪以外の全員が後悔をすることになる。
白部が今まで以上に怒っていたのだ。
白部の瞳から強い意思を感じさせ、溢れ出る殺気と威圧感が、実戦経験のあるヒーローの卵達を脅えさせる。
「ええ、私と貴方達と何にも関係はありません。ですが...!私は貴方達と違って、"無個性"を差別する屑ではないので!!」
白部は力強く言い捨てる。
叫びには想いが詰まっており、彼らは気が付かない内に白部の地雷を踏んでしまったようだ。
「貴方方のような屑は嬲(なぶ)って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って......」
「殺してあげますよ」
白部が並みの敵(ヴィラン)より邪悪に嗤いながら宣言をする。もう──
逃げることは出来ない。
緑谷達は観念をして洞窟から出る。
意外にも脳無の力を使って、洞窟を破壊することはなかった。白部曰く、自分と脳無に嬲り殺されるのが相応しいですと、正面からの戦いを求める。
緑谷は怪我を言い訳に、態と遅く歩いて作戦を考えているが...
「緑谷君、作戦を考えても無駄です。ここは圏外ですので助けは呼べませんし、貴方方と脳無のスペックの差はあまりにも開いておりますので、何やっても無駄です。例え、脳無が遊ぶ程度に手加減をしたとしても......」
高を括っていた白部の体が突然、氷で包まれる。顔ギリギリまで凍らされていた。
「敵の前で余裕ぶっているお前の方こそ馬鹿だ」
轟が"個性"を使った白部を凍らせる。
「轟、出かしたぞ!」
「よっしゃあ!確保だ!」
白部を捕まえたことにより、緑谷達は思わず喜んでしまっていた。
脳無も命令がないと動けないのか、白部が捕まっていても無反応であった。そのことが更に、緑谷達の喜びに拍車を掛ける。
「......そうですか...」
捕まっているのにも関わらず、白部は反応は無に近かった。そのことに気が付いた緑谷達は、喜ぶことを止めて警戒体勢に入る。
「ところで...。私の顔は凍っていませんけど、これでよろしいのですか?私の顔まで凍らせて、窒息死させなくても良いのですか?止めを刺さないのですか?暴力装置として、私を殺さなくて良いのですか?」
「は?何でヒーローが人を殺さねぇといけないんだ?大体、お前は...」
白部の言い分にムッとした轟は白部の真正面に立ってしまい、目と目が合う。
反論をしようとするが...
それが間違いであった。
白部の銀色の瞳が妖しく光る。
すると──
白部の左側から炎が現れ、体を凍らせていた氷が溶けていく。
「そちらの方こそ、お馬鹿さん♪私ヴィランの言葉に挑発されてしまうなんて、少しは怪しんだ方が良いですよ」
「う...嘘だろ...お前...なんで」
白部が轟の"個性"を使って氷から脱け出す。
自分の"個性"を使われた轟は動揺を隠せなかった。
「簡単な話ですよ。ほら、B組の物間【ものま】君みたいな"個性"ですよ。というか...私が悠々としていた時点で、罠とか何か思いませんでした?」
馬鹿にしたような感じで説明をする白部。
「死ねえぇぇーー!!この灰髪女!!」
白部が説明をしている最中に、爆豪が空から襲撃を仕掛ける。
白部は爆豪と真正面になれる位置に立ち、目と目を合わせると、左側の掌を爆豪に向ける。
BOOOOON!!
爆豪と白部の"個性"がぶつかる。
爆発で生まれた煙が二人の視界を覆い、互いの姿を見えなくする。
「おら!!」
その隙に切島が白部の背後に立ち、"個性"で硬くした腕で、背中を思い切りぶん殴る。
「ひゃっ!?いつの間に!?」
白部は殴られた衝撃で、かなり遠くの方まで吹き飛ばされる。
「尾白!」
「分かっている!」
白部が吹き飛ばされた先には尾白がおり、切島の要望通りに、太い尻尾で白部の体をきつく縛る。
「出かしたぞ!尾白!」
緑谷達は尾白に賞賛の声を送る。
白部は特に抵抗をすることもなく、大人しく捕まっていたが、先程の例もあって、緑谷達は警戒心を緩めなかった。対応は何も間違っていない筈なのに、緑谷達の中の嫌な予感は止まらなかった。
白部が叫ぶ。
「脳無!」
「私ごと、やりなさい!!」
とんでもない命令を下す。
脳無は躊躇なく襲い掛かる。尾白が白部を突き放した時には既にもう遅かった。
「ぐっは..!!」
オールマイトにも劣るとも勝らないスピードで、尾白と白部の両方に殴りかかる。
たった一撃で尾白は動けなくなってしまう。
「尾白君!!」
葉隠が尾白の元に駆け寄る。
尾白は血反吐を吐いて苦しそうにしているが、幸いにもなんとか生きているようだ。
「葉隠か...俺は何とか...生きていられている...みたいだけど......。これで...お遊び程度...かあ...?ガハッ!!」
「尾白君、しっかりして!」
「私も...動けそうではありませんね...」
尾白とは真逆の方向に吹き飛ばされた白部が呟く。
白部も尾白と同じくらいのダメージを負っていた。
緑谷は白部の様子を注意深く観察を始める。緑谷はあることに気が付く。
「湖井...お前...まさか!?」
「脳無、私の前に立って目を合わせなさい」
脳無が超スピードで白部の前に立つ。
白部は"個性"を使って回復をして、何事もなかったかのように立ち上がる。その様子に緑谷以外の全員が絶望に陥る。だが、あることに気が付いた緑谷だけは、度肝を抜かれてそれどころではなかった。
「私が何ですか?」
「痛みを感じていないだろ!?」
明らかに痛みを感じていないからだ。
氷に閉じ込められた時も、切島の"個性"で殴られた時も、尾白の尻尾で締め付けられた時も、脳無に吹き飛ばされた時も、反応はしているとはいえ、痛みを感じる様子はなかったのだ。
白部は緑谷の質問に呆気なく答える。
「はい。そうですよ。それがどうかしましたか?」
「なんで...そんなに..."個性"を持っているんだ!?」
「ああ、そのことですね。先生様から"個性"をいただいたのですよ。"痛みを失くす個性"と、"どんな時でも理性的になれる個性"と、"限界を越える個性"のお陰で、こうやって戦えるのですよ。貴方達を何が何でも殺す為にね」
自分の血で顔を汚し、狂気に満ちた笑顔で話す白部。
"個性"は一人一つという常識を捨てて、痛みを捨てて、今までの生活も捨てて敵(ヴィラン)になり、緑谷達を殺す為に如何なる時も理性だけは捨てずに。
そのことを理解してしまった瞬間、緑谷達は背中にナイフを刺されたようなゾクリとした寒気が走る。
「...どうして...どうして...!?湖井さん!何でここまでするの!?私達が知らないうちに怒らせてしまっておるんやら...謝るから!こんなことはもう止めて!!」
麗日は泣きながら必死に説得を試みる。
けれど白部の心には響かず、フンと鼻を鳴らし、小馬鹿にしたように笑う。
「別に貴方達は私に悪いことはしておりませんよ」
「だったら、どうして!!?こないなことをするの!?」
「しつこいですね。最初にちゃんと言ったでしょ」
面倒臭そうに白部は言う。
だけど、話す気はあるのか、深呼吸をして話し出そうとする。
「良いですか、私は」
「ヒーローも」
「社会も」
「人間も」
「全てが大嫌いだ!!!!」
ここいる人達の鼓膜を破る勢いで叫ぶ。
「だから、私はこの身を犠牲にしても!」
「この汚い社会を壊し!」
「平気で他人を馬鹿にする人間を!」
「殺すことをここに誓います!!」
仁王立ちをして宣言をする白部。
その姿はまるで...
悪に立ち向かう、正義のヒーローを彷彿させる。
「さあ、この人達を嬲って殺しにいきますよ!脳無!」
脳無が白部の命令通りに動き出す。
一方的な殺し合いが再び始まってしまうのであった。
「あう!?」
脳無が早速、青山を体当たりで吹き飛ばす。
青山の体は枯れ葉の如く吹き飛ばされる。
「えい!この!」
青山がやられた怒りで芦戸は、泣きながら脳無に大量の酸を飛ばして当てようとする。
「させないです!」
脳無にぶつかる前に白部が脳無の"個性"を使って、酸をパンチの衝撃で吹き飛ばす。
「...えっ......?嫌ああああ!!?あっ...」
酸は白部の"個性"によって吹き飛ばされたが、撃ち漏らした酸が白部の体に付着する。
対脳無用に作られた強力な酸だった為、頬や腕の皮膚を簡単に溶かし、筋肉をもあっという間に溶かし、骨が見える。あまりにもショッキングな出来事に芦戸は、動けなくなり脳無に吹き飛ばされる。
「......痛くないはないのですが...。これ...先生様に"どんな時でも理性的になれる個性"がなければ、動けなかったでしょう...」
白部も自分の体の変わりように驚いていた。
「まあ...いっか...。これで!貴方達を殺しやすいですしね!!」
すぐ前向きに捉えて緑谷達に襲い掛かる。
近くにいた峰田に狙いを定める。
「こっち、来んなあああああ!!」
見るに耐えない白部の姿に、怖くなった峰田は泣き叫んで、全力で拒否をする。
「何を言っているのですか?これは貴方達がしたことですよ。ちゃんと最後まで向き合いなさい!」
泣き叫んでいる間にも峰田は吹き飛ばされる。
他の仲間達もそうであった。白部が視界に入る度に目を瞑ってしまい、その間に脳無に吹き飛ばされる。
始めから勝ち目のない戦いだったのに、状況は更に最悪になる。
(考えろ...!!考えろ...!!この状況を打破する為の解決する為の策を!!"個性"の反動で何もできない役立たずの僕が、唯一できるのは策を練ることだろうが!!)
緑谷だけはオールマイトの"個性"の件もあり、一人だけ放っておかれていた。その間に緑谷は必死に策を練る。
(あ...!そうだ!!あいつらはワン・フォー・オールの受け渡しの条件を知らない!だったら、その話をダシに使って...みんなを...!助けないと!!)
「おい!敵(ヴィラン)ども!!」
「なんでしょうか?」
今まで黙って見ていた黒霧が反応をする。
「オールマイトの"個性"の条件を知りたいのだろう!」
「まあ...知りませんが...ですが、先生に直接聞けばよろしいことですし、そのまま"個性"は奪えますので、聞きたいことは何もありません」
("個性"を奪える!?与えるだけじゃないのか!?奪うことも出来るなんて...そんな...!?.........ん?待てよ。じゃあ....なんで......)
敵の親玉の"個性"の強さを知り、緑谷は焦ってしまうのだが、ある不自然点に気が付く。
「じゃあ!!なんで今まで奪わなかったんだよ!!!」
気が付いた時には緑谷は叫んでいた。
「ほう...」
緑谷の問いに黒霧は何も言えなくなる。
「お前達のボスが出来なかったから、こんなことをしているのだろうが!!」
「この"個性"を貰ったのは僕だけはない!なのに!今まで奪われることはなかった!それは"個性を奪う個性"でも、奪えなかっただろうが!!違うか!?」
「お前達が僕を連れて行っても無駄だ!」
「この"個性"は奪えない!」
叫び終えた緑谷は息を整える。
「確かに...君の言う通りですね」
緑谷の意見に納得をした黒霧は話を聞く体勢に入る。
「だったら!みんなを解放しろ!そうしたら色々と教えてやる!」
「いや、それは出来ませんよ。というか、君は...今の自分の立場を分かっていますか?私の命令一つで君達は死ぬのですよ」
黒霧は呆れたように言う。
「皆さんを殺すが私達の役目です。君の意見に従うことはありません」
「だったら......」
「僕が死んでやる!」
緑谷は自殺をすると宣言をする。
「ほう...。では、どのようにして?...脳無!止まりなさい!!」
緑谷は"個性"を使って、今まさに殺されそうになっている麗日の前に立つ。そのことに気が付いた黒霧は急いで脳無の行動を止める。
「みんなの盾になってだ!!」
「それは困りましたね。君の話が本当かどうか、確かめなければなりませんし...。では...私はこうしましょう」
黒霧はそう言って消える。
敵が一人減って喜んでいた緑谷だったが....
「貴方の家族と友人を人質にします」
緑谷の母親とキキが無理やり連れて来られる。
緑谷の行動は人質を増やすのと同時に──
超強力な助っ人を呼び寄せることに成功をする。