黒猫の魔法使いと個性社会   作:オタクさん

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まだまだ、原作キャラに厳しい展開が続きます。


29話 難戦

これから戦いが始まるのだが、どうしてもワン・フォー・オールの謎が気になった白部は黒霧に尋ねてみる。

 

「緑谷達は...半殺しにして、先生様に送り付けましょう。...ところで、あのワン・フォー・オールはどうやって受け渡すのですか?」

 

「さあ...私にも分かりません...。取り敢えず送れば分かる筈ですから、私達は目の前のことに集中しますよ」

 

黒霧も本当に知らないようだ。

 

「ええ、そうですね。...殺りますか」

 

白部は決意をするまでの間、悠長に黒霧と話をし、脳無も命令されるまでは動かない。その隙に緑谷達は動き出す。

八百万は"個性"を使ってマトリョーシカを生み出し、白部達の足元に投げる。

 

「皆さん!」

 

溢れんばかりの光が周囲の人達の視覚を奪う。

あのマトリョーシカは実は閃光弾であり、敵を惑わす為に態と可愛らしいデザインにしていたのだ。八百万の合図で緑谷達は瞑って目を守り、油断をしていた白部達は目眩ましを食らう。

 

「クッ...!!目眩ましですか...猪口才な!」

 

「えっ!?何これ!?明る過ぎて目が見えない!?」

 

黒霧と白部は急いで目を瞑る。

この隙に、緑谷達は奥の方へと急いで逃げる。

 

 

 

鬱蒼と生えた茂みが足元に絡み、乱雑に落ちている木の枝が足元を不安定にさせる。

だが、一々気にする余裕はなかった。捕まれば死ぬ、助けはいつ来るのか分からない、敵(ヴィラン)との死の鬼ごっこが、限界まで疲れ果てている彼らを無理やり動かす。

 

「緑谷、大丈夫か!?しっかりしろ!」

 

緑谷を背負っている障子が必死に声を掛ける。

 

「僕は...ゴホッ...大丈夫だよ...」

 

口から血を垂らしながらも緑谷はなんとか応える。

 

「全然、大丈夫じゃねーよ!」

 

緑谷の酷い怪我に瀬呂は思わず突っ込んでしまう。

 

「緑谷も...俺達も...このままでは長くは持たないぞ!どこか休憩出来る場所はないのかよ!?」

 

「この辺りに住む鳥達よ。僕達が隠れられる場所に導きなさい」

 

切島の要望を口田が"個性"を使って応えようとする。

すぐにウミネコなどの海辺に住む鳥が、口田の元に集まり、案内するかのように飛び立つ。

 

緑谷達は体を休める場所を求め鳥の後を追う。

 

 

 

案内された場所は洞窟だった。

小さな洞窟であったが、全員が身を隠せる程の広さはあった。けれど、奥に逃げることは出来ず、もし敵(ヴィラン)に見付かってしまえば、あっという間に殺されてしまう場所であったが、それを覚悟の上でこの場所で休むことを決意する。

 

敵が来る前に緑谷の応急手当てを素早く行い、適当に腰を掛けて疲労回復を図る。落ち着き出した者から、今までの出来事を話し出し、みんなで状況を整理する。

 

「...緑谷さん...大丈夫ですか?」

 

「うん、大丈夫だよ八百万さん」

 

八百万が"個性"で包帯などを作り上げて、適切に怪我の手当てをしていく。

その甲斐あってか、吐血は止まっていた。だが、足は折れたままで、肋骨はひびが入っていた。緑谷は戦うことが難しい状態であった。

 

八百万の瞳から涙が溢れ落ちる。

涙を流しているのは八百万だけではない、他の女性メンバーも涙を流していた。嗚咽が洞窟の中で響き渡る。

 

「緑谷さん...私達は...悪い夢を見ているのですよね...?」

 

緑谷の傷を手当てしながら八百万は呆然と呟く。

この中で一番白部と仲良かった緑谷に思わず尋ねてしまう。現実だと理解していても、悪夢にしか思えず、誰かからの否定を欲しがっていた。

 

「そ...そうだよね!こ、これはヤオモモの言う通り!悪い夢なんだよね!?」

 

「どうして...」

 

「.......ケロッ....」

 

「悪い...夢か...」

 

「そうだよ!これはきっと、悪夢なんだよ!」

 

芦戸、麗日、蛙吹、耳朗、葉隠が思い思いに八百万の意見に同意をする。その様子を男性メンバーは痛々しそうに見守ることしかできなかった。だが...

 

一人の少年だけは違った。

 

「今起きていることは全部、悪夢じゃねえよ!現実だろがあぁあ!!このボケが!!!」

 

爆豪が口汚く八百万達の考えを否定する。

あまりの言い種に飯田、上鳴、切島、瀬呂が注意をしようとするが、爆豪は彼らの反応を気にせず話を進める。

 

「相手は殺す気満々だろうがあ!!それなのに認めねぇとか、頭お花畑かあ?ああ!?」

 

女性メンバーは爆豪に顔を向けるだけで何も言わない。

 

「その目は節穴かあ?その耳は飾りかあ?だからおめえらは、弱いんだよ!!...んなことより!おい!クソナード!!」

 

粗方言い終えた爆豪は、今度は緑谷のところに行って詰め寄る。緑谷が大怪我をしているのに構わず、胸ぐらを掴んで無理やり立ち上がらせる。他の人達は止めようとしたが、話の内容が気になって、無意識の内に動きが止まる。

 

「てめぇは前に、人から貰った"個性"だとほざいていたけどよ!灰髪女の言ってたことは本当のことか?!ああ!?」

 

「......」

 

緑谷は何も言わない。ただ、時間だけが過ぎていく。

爆豪の怒り狂った強烈な睨み、心配と真実を知りたい追及心が交じり合わせたような皆の視線。このままだと切りがない思った緑谷は、観念をして話し出す。

 

「......そうだよ...かっちゃん...みんな...。僕がオールマイトから"個性"を受け取ったんだ...」

 

緑谷は正直に白状をする。

その答えに皆は狼狽える。けれども、ここでも爆豪だけは怒鳴るのを止めなかった。

 

「はぁあ!?てめぇみてぇなクソナードが!?何も出来ねぇ"無個性"の木偶の坊がぁあ!?あのオールマイトから貰ったのかぁあ!?あぁあ!?何でだ...!何でだ!!てめぇみてえなぁ"無個性"を選ぶんだぁあ!?俺何かよりも...!!こいつの方が.........ケッ!!どうせ、"無個性"だから、同情で貰ったのだろうがぁあ!!?」

 

「かっちゃん......」

 

口汚く罵る爆豪。

誰からどう聞いても差別発言であり、聞いた者を不愉快にさせる最低な言葉。だが、オールマイトの"個性"を授けると言う、神様のような力を貰った緑谷に嫉妬をしてしまい、爆豪の言動と行動を無意識のうちに納得をしてしまう。

怒鳴られている緑谷も爆豪の立場に同情をしていた。

いや、彼の幼馴染みだからこそ、この中で一番彼に同情をしていた。

 

小さい頃から彼と共に遊び、オールマイトに憧れていた経験があるから分かる。

どれくらい憧れていたのか、どんな風にオールマイトを見てきたのか、爆豪と幼馴染みだった緑谷には、彼の気持ちが痛くなる程伝わってくる。

 

 

 

「皆さん、こんなところにいらっしゃったのですか?」

 

聞き覚えのある声であり、今は聞きたくない声。

洞窟の入り口に白部が立っていた。先手必勝と言わんばかりに爆豪、轟、切島、常闇、障子、砂藤が動き出そうとしていたが、白部が先に制する。

 

「ここで私を殺そうとするのは構いませんが、貴方達の攻撃が私に届く前に、脳無が洞窟を破壊して貴方達を生き埋めにしますよ。それでもよろしければどうぞ」

 

そう言われてしまえば、攻撃を断念せざるを得なかった。白部は頭に手を当てて溜め息を吐く。

 

「はぁ...。全く...貴方方は、本当にヒーローらしく脳筋なのですね...。それに、今までの出来事のせいで頭が可笑しくなるのは分かりますが、だからと言って、馬鹿みたいに騒がない方が良いですよ。今みたいに、簡単に敵に見付かってしまいますよ」

 

飽きれ果てたから本音が出てしまったのか、それとも最後に残された良心なのか、白部は彼らにアドバイスを与える。

 

「全てこうなったのも...!お前のせいじゃんかよおーー!!」

 

涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃに汚した峰田が言い返す。

 

「ええ、そうですね。私のせいでございます。けど、貴方達が原因なのですよ」

 

「一々人のせいにするんじゃねぇーよ!」

 

白部の問いに上鳴は吐き捨てる。

上鳴の言い方に白部は眉をひそめる。

 

「人のせい?いやいや、貴方達の行いのせいですよ。現に洞窟での会話を聞かせてもらいましたが...」

 

白部の雰囲気が一気に冷たくなる。

視線だけで人を殺せる程目が鋭くなり、見た者を怖じ気づかせる。

 

 

 

「貴方達って、ヒーローらしく、立派な差別主義者ではありませんか」

 

「差別主義者...だと?!それは一体...どういうことだ!?ぼ、俺達はそんなことをするつもりはない!そもそも、ヒーローがそんなことをする訳ないではないか!!」

 

飯田が精一杯反論をする。

しかし、白部は、道端に唾を吐き捨てた人を見てしまったかのように、汚ならしいそうに飯田を睨み付ける。

 

「へぇー......。まだそんなことが言えるのですか?私、ちゃんと聞いていましたよ。つい先程前まで爆豪君が"無個性"に対して、差別的な発言をしていましたよね?」

 

「あっ!?てめぇには関係ねぇだろうが!このボケが!!」

 

爆豪が怒鳴って言い返すが、その行動はかなり間違っていた。

爆豪以外の全員が後悔をすることになる。

 

白部が今まで以上に怒っていたのだ。

白部の瞳から強い意思を感じさせ、溢れ出る殺気と威圧感が、実戦経験のあるヒーローの卵達を脅えさせる。

 

 

「ええ、私と貴方達と何にも関係はありません。ですが...!私は貴方達と違って、"無個性"を差別する屑ではないので!!」

 

白部は力強く言い捨てる。

叫びには想いが詰まっており、彼らは気が付かない内に白部の地雷を踏んでしまったようだ。

 

「貴方方のような屑は嬲(なぶ)って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って、嬲って......」

 

 

「殺してあげますよ」

 

白部が並みの敵(ヴィラン)より邪悪に嗤いながら宣言をする。もう──

 

 

逃げることは出来ない。

 

 

 

緑谷達は観念をして洞窟から出る。

意外にも脳無の力を使って、洞窟を破壊することはなかった。白部曰く、自分と脳無に嬲り殺されるのが相応しいですと、正面からの戦いを求める。

 

緑谷は怪我を言い訳に、態と遅く歩いて作戦を考えているが...

 

「緑谷君、作戦を考えても無駄です。ここは圏外ですので助けは呼べませんし、貴方方と脳無のスペックの差はあまりにも開いておりますので、何やっても無駄です。例え、脳無が遊ぶ程度に手加減をしたとしても......」

 

高を括っていた白部の体が突然、氷で包まれる。顔ギリギリまで凍らされていた。

 

「敵の前で余裕ぶっているお前の方こそ馬鹿だ」

 

轟が"個性"を使った白部を凍らせる。

 

「轟、出かしたぞ!」

 

「よっしゃあ!確保だ!」

 

白部を捕まえたことにより、緑谷達は思わず喜んでしまっていた。

脳無も命令がないと動けないのか、白部が捕まっていても無反応であった。そのことが更に、緑谷達の喜びに拍車を掛ける。

 

「......そうですか...」

 

捕まっているのにも関わらず、白部は反応は無に近かった。そのことに気が付いた緑谷達は、喜ぶことを止めて警戒体勢に入る。

 

「ところで...。私の顔は凍っていませんけど、これでよろしいのですか?私の顔まで凍らせて、窒息死させなくても良いのですか?止めを刺さないのですか?暴力装置として、私を殺さなくて良いのですか?」

 

「は?何でヒーローが人を殺さねぇといけないんだ?大体、お前は...」

 

白部の言い分にムッとした轟は白部の真正面に立ってしまい、目と目が合う。

 

反論をしようとするが...

 

それが間違いであった。

白部の銀色の瞳が妖しく光る。

 

すると──

 

 

白部の左側から炎が現れ、体を凍らせていた氷が溶けていく。

 

「そちらの方こそ、お馬鹿さん♪私ヴィランの言葉に挑発されてしまうなんて、少しは怪しんだ方が良いですよ」

 

「う...嘘だろ...お前...なんで」

 

白部が轟の"個性"を使って氷から脱け出す。

自分の"個性"を使われた轟は動揺を隠せなかった。

 

「簡単な話ですよ。ほら、B組の物間【ものま】君みたいな"個性"ですよ。というか...私が悠々としていた時点で、罠とか何か思いませんでした?」

 

馬鹿にしたような感じで説明をする白部。

 

「死ねえぇぇーー!!この灰髪女!!」

 

白部が説明をしている最中に、爆豪が空から襲撃を仕掛ける。

白部は爆豪と真正面になれる位置に立ち、目と目を合わせると、左側の掌を爆豪に向ける。

 

BOOOOON!!

 

爆豪と白部の"個性"がぶつかる。

爆発で生まれた煙が二人の視界を覆い、互いの姿を見えなくする。

 

「おら!!」

 

その隙に切島が白部の背後に立ち、"個性"で硬くした腕で、背中を思い切りぶん殴る。

 

「ひゃっ!?いつの間に!?」

 

白部は殴られた衝撃で、かなり遠くの方まで吹き飛ばされる。

 

「尾白!」

 

「分かっている!」

 

白部が吹き飛ばされた先には尾白がおり、切島の要望通りに、太い尻尾で白部の体をきつく縛る。

 

「出かしたぞ!尾白!」

 

緑谷達は尾白に賞賛の声を送る。

白部は特に抵抗をすることもなく、大人しく捕まっていたが、先程の例もあって、緑谷達は警戒心を緩めなかった。対応は何も間違っていない筈なのに、緑谷達の中の嫌な予感は止まらなかった。

 

白部が叫ぶ。

 

「脳無!」

 

 

「私ごと、やりなさい!!」

 

とんでもない命令を下す。

脳無は躊躇なく襲い掛かる。尾白が白部を突き放した時には既にもう遅かった。

 

「ぐっは..!!」

 

オールマイトにも劣るとも勝らないスピードで、尾白と白部の両方に殴りかかる。

たった一撃で尾白は動けなくなってしまう。

 

「尾白君!!」

 

葉隠が尾白の元に駆け寄る。

尾白は血反吐を吐いて苦しそうにしているが、幸いにもなんとか生きているようだ。

 

「葉隠か...俺は何とか...生きていられている...みたいだけど......。これで...お遊び程度...かあ...?ガハッ!!」

 

「尾白君、しっかりして!」

 

「私も...動けそうではありませんね...」

 

尾白とは真逆の方向に吹き飛ばされた白部が呟く。

白部も尾白と同じくらいのダメージを負っていた。

 

緑谷は白部の様子を注意深く観察を始める。緑谷はあることに気が付く。

 

「湖井...お前...まさか!?」

 

「脳無、私の前に立って目を合わせなさい」

 

脳無が超スピードで白部の前に立つ。

白部は"個性"を使って回復をして、何事もなかったかのように立ち上がる。その様子に緑谷以外の全員が絶望に陥る。だが、あることに気が付いた緑谷だけは、度肝を抜かれてそれどころではなかった。

 

「私が何ですか?」

 

 

「痛みを感じていないだろ!?」

 

明らかに痛みを感じていないからだ。

氷に閉じ込められた時も、切島の"個性"で殴られた時も、尾白の尻尾で締め付けられた時も、脳無に吹き飛ばされた時も、反応はしているとはいえ、痛みを感じる様子はなかったのだ。

 

白部は緑谷の質問に呆気なく答える。

 

「はい。そうですよ。それがどうかしましたか?」

 

「なんで...そんなに..."個性"を持っているんだ!?」

 

「ああ、そのことですね。先生様から"個性"をいただいたのですよ。"痛みを失くす個性"と、"どんな時でも理性的になれる個性"と、"限界を越える個性"のお陰で、こうやって戦えるのですよ。貴方達を何が何でも殺す為にね」

 

自分の血で顔を汚し、狂気に満ちた笑顔で話す白部。

"個性"は一人一つという常識を捨てて、痛みを捨てて、今までの生活も捨てて敵(ヴィラン)になり、緑谷達を殺す為に如何なる時も理性だけは捨てずに。

 

そのことを理解してしまった瞬間、緑谷達は背中にナイフを刺されたようなゾクリとした寒気が走る。

 

「...どうして...どうして...!?湖井さん!何でここまでするの!?私達が知らないうちに怒らせてしまっておるんやら...謝るから!こんなことはもう止めて!!」

 

麗日は泣きながら必死に説得を試みる。

けれど白部の心には響かず、フンと鼻を鳴らし、小馬鹿にしたように笑う。

 

「別に貴方達は私に悪いことはしておりませんよ」

 

「だったら、どうして!!?こないなことをするの!?」

 

「しつこいですね。最初にちゃんと言ったでしょ」

 

面倒臭そうに白部は言う。

だけど、話す気はあるのか、深呼吸をして話し出そうとする。

 

「良いですか、私は」

 

 

「ヒーローも」

 

「社会も」

 

「人間も」

 

 

「全てが大嫌いだ!!!!」

 

ここいる人達の鼓膜を破る勢いで叫ぶ。

 

「だから、私はこの身を犠牲にしても!」

 

「この汚い社会を壊し!」

 

「平気で他人を馬鹿にする人間を!」

 

 

「殺すことをここに誓います!!」

 

仁王立ちをして宣言をする白部。

その姿はまるで...

 

 

悪に立ち向かう、正義のヒーローを彷彿させる。

 

「さあ、この人達を嬲って殺しにいきますよ!脳無!」

 

脳無が白部の命令通りに動き出す。

一方的な殺し合いが再び始まってしまうのであった。

 

 

「あう!?」

 

脳無が早速、青山を体当たりで吹き飛ばす。

青山の体は枯れ葉の如く吹き飛ばされる。

 

「えい!この!」

 

青山がやられた怒りで芦戸は、泣きながら脳無に大量の酸を飛ばして当てようとする。

 

「させないです!」

 

脳無にぶつかる前に白部が脳無の"個性"を使って、酸をパンチの衝撃で吹き飛ばす。

 

「...えっ......?嫌ああああ!!?あっ...」

 

酸は白部の"個性"によって吹き飛ばされたが、撃ち漏らした酸が白部の体に付着する。

対脳無用に作られた強力な酸だった為、頬や腕の皮膚を簡単に溶かし、筋肉をもあっという間に溶かし、骨が見える。あまりにもショッキングな出来事に芦戸は、動けなくなり脳無に吹き飛ばされる。

 

「......痛くないはないのですが...。これ...先生様に"どんな時でも理性的になれる個性"がなければ、動けなかったでしょう...」

 

白部も自分の体の変わりように驚いていた。

 

「まあ...いっか...。これで!貴方達を殺しやすいですしね!!」

 

すぐ前向きに捉えて緑谷達に襲い掛かる。

近くにいた峰田に狙いを定める。

 

「こっち、来んなあああああ!!」

 

見るに耐えない白部の姿に、怖くなった峰田は泣き叫んで、全力で拒否をする。

 

「何を言っているのですか?これは貴方達がしたことですよ。ちゃんと最後まで向き合いなさい!」

 

泣き叫んでいる間にも峰田は吹き飛ばされる。

他の仲間達もそうであった。白部が視界に入る度に目を瞑ってしまい、その間に脳無に吹き飛ばされる。

 

始めから勝ち目のない戦いだったのに、状況は更に最悪になる。

 

(考えろ...!!考えろ...!!この状況を打破する為の解決する為の策を!!"個性"の反動で何もできない役立たずの僕が、唯一できるのは策を練ることだろうが!!)

 

緑谷だけはオールマイトの"個性"の件もあり、一人だけ放っておかれていた。その間に緑谷は必死に策を練る。

 

(あ...!そうだ!!あいつらはワン・フォー・オールの受け渡しの条件を知らない!だったら、その話をダシに使って...みんなを...!助けないと!!)

 

「おい!敵(ヴィラン)ども!!」

 

「なんでしょうか?」

 

今まで黙って見ていた黒霧が反応をする。

 

「オールマイトの"個性"の条件を知りたいのだろう!」

 

「まあ...知りませんが...ですが、先生に直接聞けばよろしいことですし、そのまま"個性"は奪えますので、聞きたいことは何もありません」

 

("個性"を奪える!?与えるだけじゃないのか!?奪うことも出来るなんて...そんな...!?.........ん?待てよ。じゃあ....なんで......)

 

敵の親玉の"個性"の強さを知り、緑谷は焦ってしまうのだが、ある不自然点に気が付く。

 

 

「じゃあ!!なんで今まで奪わなかったんだよ!!!」

 

気が付いた時には緑谷は叫んでいた。

 

「ほう...」

 

緑谷の問いに黒霧は何も言えなくなる。

 

「お前達のボスが出来なかったから、こんなことをしているのだろうが!!」

 

「この"個性"を貰ったのは僕だけはない!なのに!今まで奪われることはなかった!それは"個性を奪う個性"でも、奪えなかっただろうが!!違うか!?」

 

「お前達が僕を連れて行っても無駄だ!」

 

「この"個性"は奪えない!」

 

叫び終えた緑谷は息を整える。

 

「確かに...君の言う通りですね」

 

緑谷の意見に納得をした黒霧は話を聞く体勢に入る。

 

「だったら!みんなを解放しろ!そうしたら色々と教えてやる!」

 

「いや、それは出来ませんよ。というか、君は...今の自分の立場を分かっていますか?私の命令一つで君達は死ぬのですよ」

 

黒霧は呆れたように言う。

 

「皆さんを殺すが私達の役目です。君の意見に従うことはありません」

 

「だったら......」

 

 

「僕が死んでやる!」

 

緑谷は自殺をすると宣言をする。

 

「ほう...。では、どのようにして?...脳無!止まりなさい!!」

 

緑谷は"個性"を使って、今まさに殺されそうになっている麗日の前に立つ。そのことに気が付いた黒霧は急いで脳無の行動を止める。

 

「みんなの盾になってだ!!」

 

「それは困りましたね。君の話が本当かどうか、確かめなければなりませんし...。では...私はこうしましょう」

 

黒霧はそう言って消える。

敵が一人減って喜んでいた緑谷だったが....

 

 

「貴方の家族と友人を人質にします」

 

緑谷の母親とキキが無理やり連れて来られる。

緑谷の行動は人質を増やすのと同時に──

 

 

超強力な助っ人を呼び寄せることに成功をする。

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