黒猫の魔法使いと個性社会   作:オタクさん

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34話 世界が壊れた日 前編

『では...記念すべき最初の意見は...』

 

『雄英高校の教師達にしよう』

 

画面が雄英高校の記者会見に変わる。

子供ぐらいある大きな白い鼠、黒髪の長身の男性、白髪の筋肉質の男性の姿が映る。三人は座って質問を待っていた。そこに一人の男性記者が質問を投げ掛ける。

 

『夕日テレビです。質問をさせて頂きます。この質問は今までの質問と少し違いますが、答えて頂けますか?』

 

『勿論、質問には全てお答致しましょう』

 

白い鼠が了承をする。

 

『ありがとうございます。では質問をさせて頂きます...』

 

 

『教育者としての質問です。もし雄英高校で虐めなどの事件が起きたらどう対処していますか?虐めを起こさない為にどのような教育を行われていますか?虐めは今現在起きていませんか?』

 

『......えっ?何故いきなりそのような質問を?』

 

『私達の質問には答えると、先程言いましたよね。お答え出来ないのですか?』

 

『出来なくはないのですが...今までの話の流れとは随分と違いませんか?』

 

『確かに違いますが...これも質問なので答えてください。まさか...!?雄英高校で虐めが起こっていて答えられないのですか?!それとも...虐めを下らないと思っているのですか?!』

 

『...!?雄英高校では虐めは起きておりません!虐めを下らないとも思っておりません!勝手に話を大きくしないで下さい!』

 

『だったらなんで答えられないのですか?』

 

『それは貴方方の...!!』

 

『相澤【あいざわ】君落ち着いて。我々の学校には虐めなんて無いから堂々としていれば良いのだよ...』

 

『すみません校長...。いえ、起きてはいません。質問に驚いただけです。今までの話では雄英高校のセキュリティの問題、誘拐された爆豪の話でしたよね?何故急に虐めの話に変わったのですか?』

 

『質問を質問で返さないで下さい。質問にちゃんとお答えをしましたらお答えします』

 

『......分かりました...お答えしましょう』

 

ひと悶着の末に黒髪の男性が記者の質問に答え始める。

 

『雄英高校では虐めは起きておりません。勿論虐めを起きたりしないように気を付けております』

 

『具体的にお答え下さい』

 

『私教師どもが一人一人様子をちゃんと見ており、何か問題が起きれば、すぐに対処出来るようにしております』

 

『一人一人様子を見ている?普通の教師でさえも出来ていないのに、プロヒーローを兼用している貴方方がちゃんと見ている?そんな時間はあります?』

 

『...私どものプライベートの時間を削って作っております』

 

『そうですか...ところで、虐めは社会問題となっておりますが...。なんで虐めは起きると思いますか?教師としての意見をお聞かせ下さい』

 

『虐めが起きる理由ですか...それは...一つの部屋に大勢の人間を一緒にさせるからでしょう』

 

『それはそうですが、理由はもっと細かく教えて頂きませんか?』

 

『...色々なパターンがありますが、代表的なものは"無個性"などの立場が弱い者の場合は、集団生活によるストレスの発散する為に、普通の人は見た目が違う異形型の者は恐怖により虐められるのでしょう。強い"個性"を持っている者は嫉妬により虐められます』

 

『...それはそうですね。こんな当たり前のことを聞いて申し訳ございません』

 

『...僕からも質問良いかな?』

 

白い鼠が会話に割り込む。

 

『構いません』

 

『何故君は、当たり前だ思うことを質問をするのかい?』

 

『それは...後で嫌になる程分かりますよ...』

 

『後で嫌になる程?それはどういうことかな?』

 

『私の質問に答え終わったら分かりますよ。真実を知りたいのでしたら、早く質問を終わらせた方が良いです。では...虐めを防ぐにはどのようにしたら良いのですか?』

 

『生徒一人一人の様子を...』

 

『その話は先程聞きましたので大丈夫です。私の聞きたいことはそこではありません。私の聞きたいことは虐めを引き起こす負の感情の制御の仕方です』

 

『負の感情の制御の仕方ですか?...大人でさえも出来ていない人がいるのに、多感な時期である子供には難しいと思います。ですから私どもが、生徒一人一人を隈無く観察をし、問題が大きくなる前に速やかに解決をします。また、予め問題になりそうな生徒には指導をし、生徒同士何かと交流をさせ、虐めが起きないように仲良くさせます』

 

『素晴らしい模範解答をありがとうございます。それはそうですけれど...どうして人間は感情のままに人を傷付けられるのですかね?』

 

『...それは私にも分かりません。ですが、そのような感情に振り回されないように育てることが、私ども教師の勤めです』

 

『回答ありがとうございます。ところで...根津校長、ブラドキング。イレザー・ヘッドの回答に何か付け足したいことがあったり、ご不満な点がありましたら何か仰って下さい。問題がなければ頷いて下さい』

 

白い鼠と白髪の筋肉質の男性が頷く。

 

『ありがとうございます。では...次の質問です...』

 

 

『雄英高校は日本一のヒーロー育成高校ですが、生徒が卒業をして将来ヒーローになった時、"個性"の相性の問題にぶつかると思います。そうなった時に学校では、どのような対応の仕方を教えているのですか?またプロヒーローであるイレザー・ヘッド、ブラドキングの御二人はその手の問題にぶつかった時、どのような方法で対処していくのですか?それとも...ヒーロー飽和を言い訳にして、戦わないことはないですよね?』

 

『そんなことはしません。市民を守る為戦います』

 

『そうです!我々は"個性"の相性なんかで見捨てることはしません!』

 

『御二人はそのような考えで良かったです。ならば、生徒達にもちゃんと対応の仕方を教えていますよね?具体的にはどのような感じでしょうか?』

 

『具体的と言われましても、私どもの担当をしている生徒は一年生です。まだ基礎を鍛える段階であります。具体的な内容は、生徒の成長具合を見てから決めるので今の段階では言えることはありません』

 

『ふーん...そうですか...。回答ありがとうございます。これが最後の質問となります...』

 

『"個性"の相性で戦わないヒーローがおりますが、同じ同業者としてどう思っているのですか?』

 

『...ヒーローを名乗ってはいけないと思います』

 

『同じヒーローとは思えません!』

 

『...全ての質問の回答ありがとうございました...』

 

 

 

質問攻めが終わると画面がAFOの姿を映し出す。

 

『次は君達市民の番だよ』

 

映像がどこかの街の駅前に変わる。

 

『はいは~い!やっと私の出番になりました~!』

 

黄緑色のショートカットの女性記者がハイテンションで話し出す。

 

『みんな~!これまでの話、テレビでちゃんと観た?観てなかった?質問に答えてくれたら、私としてはどっちでも良いよ!というわけで...』

 

 

『皆様念願の質問タイム~~~!私の質問には正直に答えてね♪では...早速...張り切って参りましょう♪...あれ~~?』

 

『なんでみんな逃げちゃうの?いつものみんなだったら喜んで答えてくれたり、カメラに移り込もうとするじゃない。私の質問がそんなに怖い?みんな大丈夫だよ!攻撃なんかしたりしないよ♪私の質問に正直に答えればいいだけだよ♪貴方達の気持ちを世界中に発信したいだけ!それとも...』

 

 

『みんなは先生の言う通り、敵(ヴィラン)以下の最低な人達なのかな?』

 

『ふざけんな!俺達善良な市民が敵(ヴィラン)以下じゃねえよ!!』

 

『そうだ!そうだ!俺はお前らと違って、真っ当に生きているぞ!』

 

『そうよ!私は貴方達と違って誰も傷を付けずに生きているわ!』

 

女性記者の発言に怒り狂った四十代の男性二人、三十代の女性一人が感情のままに叫ぶ。

女性記者はすかさず皆にマイクを向ける。

 

『あ~~反応してくれた凄く嬉しい~!早速!質問するね!貴方達は虐めとか、"個性"差別とかどう思っている?気持ちを正直にして答えてね♪』

 

『そんなの悪いことに決まっているだろう!!』

 

『そうよ!やってはいけないことに決まっているわ!』

 

『俺達はそんな酷いことをしない!』

 

『うんうん♪当たり前の答えをありがとう~。そうだよねえ~。差別とか、虐めとか、いけないよねえ~。だったら...』

 

『そういったことが目の前で起きたら、今度からは止めると、今ここで宣言をして下さい!』

 

『......はい...?』

 

『.........えっ...?』

 

『いや...それは......』

 

『口だけだったら誰でも出来るよ。私、もうそういった回答にはうんざりなの。口先だけの人間なんて嫌い。貴方達だって口先だけの人間は嫌いでしょ?』

 

『.........き、嫌いではありません......』

 

『...それは...』

 

『時と場合によっては......』

 

『え、嘘!?自分が困っている時に、大変だねって言うだけ言って、見向きもしない人をなんとも思わないの?見殺しにされても平気なの?それが貴方達の本心なの?凄いね!私、尊敬しちゃう♪...あ!逃げないで♪逃げないで♪逃げたら貴方達は口先だけの人になっちゃうよ!...あっ...逃げちゃった...やりすぎちゃったのかな...?けどね...』

 

 

『みんな、口先だけだよね』

 

答えられなくなった三人は走って逃げる。

女性記者のその後ろ姿を見て暗い表情で呟く。

 

『みんな口先だけ、言葉だけ、本当に誰も反省をしていない。誰も行動で変えようとしない。ストレス発散になるから、都合が良いから、自分に被害が及ぶからってね...。だからね...私は...』

 

 

『この世界を壊すことにしたよ!それも貴方達のような数の暴力ではないの!貴方達の過去の仕出かしで壊すよ♪逃げられないよ♪覚悟をしていてね♪』

 

片目をウインクして舌をペロッとわざと出して明るく宣言をする。

彼女の口撃まだ始まったばかりであった。

 

 

 

『ねぇねぇ、そこの君、私の質問に答えてね♪』

 

『す、すすいません!私、急いでいるので!!』

 

『君が例の敵(ヴィラン)連合と繋がっている...』

 

『そこのヒーロー二人組も良いところに来ました♪貴方達にも質問があります。"個性"の相性で戦わないヒーローのことをどう思っている?貴方達は"個性"の相性で戦うことをやめないよね?今この場で嘘をついてもいいけど、後で調べるから、下手なことは言わない方が良いよ。それとね私、悪いことはしていないよ。いつも通りに質問を投げ掛けているだけ。犯罪なんかはしていないよ。それでも私を止めようとするのならば...貴方達ヒーローを、自分達にとって都合が悪いものを吹き飛ばす暴力装置と呼ぶよ』

 

『それは...』

 

『都合が悪いから、私の言葉を制限するの?そんなことをしたら言論統制になるよ。それでも良い?自信持って私に反論をすれば良いだけのこと。では...反論をどうぞ♪』

 

『も、勿論!"個性"の相性で戦わないのは駄目だ!』

 

『そうだよね♪それを...私の目を見てちゃんと話そうか♪あ...それと...上辺だけの言葉なんて私に通用しないよ。本心♪本心♪』

 

『......』

 

『あ...逃げた...。まあ、いいや。あ!そこのお姉さんも、私の質問に答えてよ♪』

 

『ご、ごめんなさい!!』

 

『そちらの若そうな奥様、貴女の意見も聞かせて下さいな♪...あっ...逃げちゃった...私のやり方そんなに駄目なのかな?う~ん...また挑発をしてみようか?みんな~~!このまま私に反論をしなくていいの?敵(ヴィラン)以下のレッテル貼りが成功しちゃうよ!言い返すチャンスは、ここでしかないよ!これが最後のチャンスだよ!言い返さなかったら、貴方達は負け犬だよ!それでも良い?...本当に反論をしないんだ...。ふーん......』

 

『あっ、そうだ!酔っ払っている人に聞こう♪お酒なら人の本性が丸分かりでしょ?私ったら冴えてる♪では、張り切って行きましょう!』

 

 

『早速、酔っている人を発見!では質問を始めましょう!そちらの旦那様、質問をするお時間を下さいな♪』

 

ベンチに寝そべっている六十代の男性にマイクを向ける。

 

『別に良いぞ姉ちゃん』

 

顔を真っ赤に染めている男性は快く質問を承諾をする。

 

『ありがとう♪では質問をするね♪旦那様は虐めとか、差別とか、どう思う?』

 

『そりゃあ...いけないことだろ...。なんで当たり前の質問をするんだ?』

 

『当たり前のことなのは分かっているよ。けどね、この手の問題って、社会問題となっているじゃん。だから、改めてたくさんの人達の意見を聞いて、問題を解決しないといけないからね♪』

 

『そりゃそうだけど...そんな大事な質問を酔っ払いに聞いて良いもんかね?』

 

『色々な人の意見を聞かないと駄目なのです!そこには酔っ払いとか関係ありません!』

 

『そうかい...姉ちゃんは仕事熱心だねぇ...。分かった本音で語ろう...』

 

『ありがとうございます!』

 

『で...やはり虐めは良くないかな...』

 

『そうですよね!だとしたら...』

 

 

『目の前で起きたら、今度からは止めると、今ここで宣言をして下さい』

 

『.........』

 

『やっぱり出来ないのですか?やはり貴方も口先だけ...』

 

『宣言をすれば良いだろ?宣言をするよ。私は今度から、虐めとか差別とかそういった現場を見たら、止めると...』

 

『...自分の言っていることを分かっていますか?今テレビに映っているのですよ。貴方の顔や声が全国の人達に観られているのですよ。この意味が分かっておりますよね?』

 

『......分かっているさ。だけどさ、姉ちゃん...』

 

 

『見て見ぬ振りも辛いんだぜ』

 

『姉ちゃんには分からんと思うけど、昔、俺は...会社に勤めていた頃...よく誰かを見捨てていた。職場での嫌がらせ...言わばパワハラだ。ロッカールームとかで若い女性が泣いても知らん振りをしていた...。犯人は知っていたし、俺の方がそいつよりも上の立場だったけど...面倒だったからを見なかったことにしていた...そんな事件がよく起きていたが、俺含めて会社の全員が見て見ぬ振りをしていた...そんな生活を当たり前のように送っていた...』

 

『だけど、仕事を辞めてから罪悪感に苦しめられることになったんだ。泣いている人達の姿が忘れられねぇ...俺はあいつらに手を出していないんだけどなあ...』

 

『そんな訳で仕事辞めてから色んなことを考えてしまう癖がついてな、酒飲むのがやめられなくなったんだ...で、姉ちゃんの話を聞いたら余計に...だからさ、せめて...』

 

『駄目なもんは駄目と、酒の力を借りてでも言わないといけねぇと、思ったんだ。今更俺が言っても意味は無い。それどころか、見捨てた奴らから罵倒をされるんだろうな...当たり前だよな...』

 

『そんな訳で俺は宣言をする。もう俺は二度と見捨てねぇ、絶対に止める。今更遅いと罵倒されても、俺は今からでも動き出す。...どうせもう後が短い人生、最後は男として格好よく生きたいもんだ。で、姉ちゃん、まだ何か聞きたいことはあるか?』

 

『.........今更...遅いよ...』

 

『そうだな...言い訳はせん...罵っても構わん』

 

『...おじさんを罵っても意味ないから言わないよ。さような...』

 

『お前さんが例の敵(ヴィラン)連語と繋がっている人か?確か...昔、虐められたとかで敵(ヴィラン)連合に入っているだろう?そんな下らないことを、いつまでたっても覚えているから...』

 

違う酔っ払いが絡んできて話を中断させる。しかも絡んできた酔っ払いは女性記者を過去を軽視する。

軽視をした瞬間──

 

画面が真っ赤に染まり、一般市民の意見を言う機会はここで終わってしまうのであった。

 

 

『おや...全国各地でも同じようなことが起きているみたいだね...。まあ、いいか...さて最後は、ここにいる選ばれたヒーロー達による反論で終わらせよう』

 

AFOの画面へと戻る。

AFOが"個性"を使って口だけ元の状態に戻す。

 

『先ずは...シンリンカムイ、君からだ』

 

『......ケホケホ!!』

 

シンリンカムイの顔が映し出される。

むせている彼を無視して話はどんどんと進んでいく。

 

『シンリンカムイ、君は...確か...ヘドロ敵(ヴィラン)の時、"個性"の相性で戦わなかったみたいだね?それはどうしてかな?君なりの理由があるんだろう?教えてくれないかい?』

 

『............!?!?』

 

『話さないと先に進まないよ。そんなに言えないことなのかな?』

 

『わ...我は......!!!』

 

『やっぱり話があるじゃないか。君の意見を......』

 

 

『奥さんと娘さんを亡くした男性の目を見て、話をしてみなさい』

 

『う...っ!!ううわわわわゎーーーー!!!!』

 

『叫んだって意味は無いよ。そんなに罪悪感に苦しめられるのなら、最初から"個性"の相性で戦うことを諦めなければ良かったのにね。今更遅いと思うよ。もし、あのヘドロ敵(ヴィラン)の時、間に合わなかったら、爆豪君の御家族になんて言い訳をするつもりだったのかな?今みたいに叫んで終わり?そんなこと、許されると思っているのかい?』

 

シンリンカムイの叫びは強制的に止まる。

サラリーマン風の男性が、シンリンカムイの背中を思い切り踏みつけていた。

 

『泣いて叫んだら許されると思っているのですか!?泣きたいのは妻や娘、見殺しにされた人達、遺された家族なんだよ!!!』

 

『辛かったのも!!』

 

『怖かったのも!!』

 

『苦しかったのも!!』

 

『妻や娘みたいな人達なんだ!!お前らみたいな無能ヒーローが泣いてもウザいだけだ!!』

 

『ごめんなさい...ごめんなさい...』

 

『泣いて謝ったところで、妻と娘は帰って来ないんだ!!』

 

『ごめんなさい...』

 

『これはもう...僕の話を聞いていないみたいだね...。仕方いないね、彼の行動が悪かったのだから...次はグラントリノ、君の番だ』

 

殴る蹴るなどの暴行を続ける男性にAFOはやれやれと、面倒くさそうに溜め息を吐く。男性を止めることなく次に進む。

グラントリノの顔が映し出される。

 

『...お前...!約束は守らんのか?!』

 

『約束...?ああ...僕が手を出さないという約束でしょ?約束はちゃんと守っているよ。僕は手を出していない。彼が勝手に手を出しただけだ。それとも...グラントリノ、君が、シンリンカムイの代わりに反論をしてくれるのかい?テレビを観ている皆も、彼の行動に納得をしているだろうね。勿論、反論があるのなら、君が代わりにどうぞ』

 

『...こんなことしても!家族は帰って来ないぞ!!』

 

『うるさい!黙っていろ!!』

 

『うまくいかなかったね』

 

『うまくいかなかったねではないだろ!!お前ならあいつを止められるのだろう!?あいつを止めろよ!!』

 

『そうは言っても、彼の暴走する気持ちは僕でさえも止められない。それに..."個性"の相性で戦わなかったシンリンカムイが悪い。この事実に反論出来たら止めてあげるよ』

 

『......』

 

『出来ないみたいだね。まあ、良いけど。ところで...グラントリノ、この中で君が最年長だと思うけど、この世界に対してどう思っている?"個性"の相性で戦わないヒーロー、学校や職場での虐め、それを見て見ぬ振りのする人達、"個性"による差別、元敵(ヴィラン)やその子供達への嫌がらせ等々...これら全て問題になっているけど、君はどう思う?』

 

『どうって...最低なことに決まっているだろ!!』

 

『そうだね。最低なことだね。だけどさ......』

 

 

『今まで誰も問題を解決しようとしなかったね』

 

『それは嘘じゃ!!解決しようとしている!』

 

『いやいや、そんなことはない。だって...問題は解決をしていないじゃないか。"個性"の相性で戦わないヒーローは多いし、虐めなどによる自殺はよくあることで片付けられ。"個性"差別、元敵(ヴィラン)への過剰暴行は見過ごされる...。これらの問題は山積みで、悪いと思っていても、未だに終わることはない。本当に解決するのかな?』

 

『そ...それは...』

 

『しかもこの手の問題は"個性"が発見する前から、ずっと、行われていた。だけど...解決することはなかった...。学校での虐めは話し合い、職場での虐めは被害を受けた側が退社、犯罪者の家族への嫌がらせ、肌の色の違いによる差別...数えていたら切りがない。で...この手の問題が収まったことは一時でもあったかな?』

 

『......』

 

『そうだよね。一度でもないよね。そして僕のことを慕ってくれる人達は皆、被害者だ。僕はそんな彼らに力を貸したい。だからこうした。君達はどうやって問題を解決をする?』

 

『話し合いとか...心掛けとか...』

 

『そんなことで解決をするのなら、もうとうの昔に解決しているよ。そんな解決をしない方法は要らない。他の方法は?』

 

『.........』

 

『無いみたいだね。君には悪いけど、先を急いでいるんだ。メインディッシュである...オールマイトとゆっくりと話をしたいからね。では、皆さん御待ちかね...オールマイトの意見を言う番だ!』

 

オールマイトの顔が映し出される。

因縁の対決が今、変わった形で始まろうとしていた。

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