黒猫の魔法使いと個性社会   作:オタクさん

48 / 69
オールマイトVSAFOの戦いは省略致します。あの熱い戦いは原作で楽しんで下さい...と思っていましたけど、やっぱり書きたいと思ったので、どれくらい掛かるのかは分からないけれど、オールマイトVSAFO戦を後で追加します。
神野区編はこれにて終わりです。


47話 夜明け後の世界

夜明けと同時に事件の決着がつく。

先に戦いを終えた魔法使いが、"弱き者"達を他の人達に任せてオールマイトの所に加勢をする。勝者はヒーロー側だった。ヒーロー側が勝ったとはいえ...無傷ではなく、甚大なる被害が多く出ていた。

 

被害の大きさは戦場になった神野区よりも...全国各地で暴れ回った"弱き者"達による被害の方が大きく、一般市民の家、学校、病院、スーパー、ヒーローの事務所など...。どこもかしこも荒らされており戦場になっていた。

児童養護施設オアシスで働いている"非正規"の職員いわば、"弱き者"達と似たような境遇でありながら立ち直った者、そのような人達が止めに入らなければ被害はもっと大きくなっていたのであろうと...誰もが戸惑いながら実感をしていた。

 

また...この事件の影響は日本だけではなかった...。直接被害を受けていなかった海外にも影響を強く受けていた。

海外の方が色々な人種、民族が入り交じっており、価値観や思想が日本よりもばらばらで、"個性"が生まれる前の時代から紛争や戦争が度々起きてしまっていた。そんな負の連鎖が続いている海外で黒猫の魔法使いとウィズ、異世界の住民、彼女達の冒険段を語った放送は畏怖と尊敬と驚愕を与えていたことは言うまでもなかった。

 

朝日が昇る頃、世界は大きく変わった。

 

 

 

『次のニュースです。先日、神奈川県横浜市神野区で起きた事件で死者六千五百四十一人。負傷者一万八千九十ニ人となる、大規模な事件となりました。草壁さん。まさか...事件がここまで大きくなるとは思いもよりませんでしたよね』

 

『はい...。オールマイトがいるから...いつものように爽快に事件を終わらせてくれると信じておりましたから。あの..."個性"じゃなくて......魔法でしたっけ?黒猫の魔法使い...あの人の言った通りになりましたわね。ねえ、盛田さん』

 

『そうですよ!分かっていたのなら、始めからもっと頑張ってほしいですよ!』

 

『やはり......。この事件の責任は...黒猫の魔法使いにもあるということですか...?』

 

『当然ですよ!彼らの苦しみが分かっていたのでしょ!でしたら、我々が理解出来るまで話をすることは義務ですよ!彼女達は世界を救う為に異世界に飛ばされるのあれば、いくら民衆と問題が起きてしまったことは言い訳になりませんよ!他の世界ではそれこそ、命懸けで戦ってきたのでしょう!?だったら、私達の世界だけ手を抜くなんて酷すぎますよ!』

 

『本当、盛田さんの言う通りですね。彼女達が頑張っていれば...こんなことにはならなかったのでしょうね...』

 

『勿論です!こんなこと言ってはなんですが、彼女達は他の世界に期待しすぎなんですよ!あの人達が今まで旅してきた世界では、彼女達よりの考えだとしても、他の世界でも我々と似たような考え方を持っている世界はあるでしょ!いや、寧ろ、私達と同じような考え方の方が多い筈です!』

 

『確かに...それはそうですね...。色んな世界を旅してきていても、まだまだ旅をしていない世界もいっぱいあるでしょうし...それ故に......。これは...経験不足による悲劇なのでしょうね』

 

『そうです!普段から力付くで問題を解決するから、"弱き者"達を言葉で納得させないといけない場面でも出来なかったでしょ!これを機に、言葉で解決するように努力をし......』

 

ブチッと断末魔のような音を立てて画面が消える。

不愉快に感じた根津がテレビの画面を消し、辺りには静寂が支配する。

 

神野区事件の翌日。

事件を終わらせたキキ、ウィズ、八木、"弱き者"の白部と深く関わりがあった一年A組の人達、その担任である相澤、雄英校長の根津は今後のことを決める為、雄英学園の空き教室に集まっていたのであったが......

 

「......酷すぎてごめんね。この世界の住民の一人として君達に謝るよ...本当に済まなかった!君達の言葉を真剣に言葉を傾けるべきであった!本当に済まなかった!」

 

根津が勢いよく土下座をしてキキとウィズに詫びる。静かな空間に根津の頭をぶつける音が響いた。

その様子にキキとウィズ、一年A組の人達も戸惑い、暫くの間根津の土下座が続く。

 

根津の土下座を終わらせたのはウィズの言葉だった。

 

「......もういいにゃ......。根津はなんにも関係ないにゃ......」

 

「しかし...!」

 

「もういいにゃ!」

 

ウィズの拒絶の叫びが木霊する。

叫びには周囲の人達に対しての拒絶、耳を傾けてくれなかったことへの侮蔑。そして...何も出来なかった自身への呆れと怒りが混ざっていた。

 

過去の行いが、反論の言葉が出ないことが、沈黙になりて全てを肯定する。

一年A組のメンバーの中で不満そうにしていた人が数人程いたのだが、反論をしたところで怒りを買うことは目に見えていたので押し黙る。そもそも、キキやウィズ側にとっては、何も言わなくても言われなくてもはじめから出来ているのが当たり前。出来ない方が可笑しいのである。

 

耐え難い沈黙の中で根津は立ち上がって意を決する。

 

「ウィズさん、魔法使いさん...不満だらけで役に立たない僕達のやり方についていきたくないだろうし、言いたいこともいっぱいあると思うけど今は...これからの話を...いや...過去の話をしよう」

 

「過去?一体誰の過去の話?それって、これからの話をするのに必要なことなの?」

 

「あー...確かに...」

 

「それもそうだよな...」

 

根津の言葉にキキは怪訝そうな顔をする。キキの意見に他の人達も声に出して賛同をする。

根津はゆっくりと首を縦に頷いて同意の形を示す。

 

「君達が疑問に思うことは当然のことなのさ!だけど、これからの話をする為にも必要なことなんだ」

 

いきなり根津は勿体ぶって話を止める。

根津の態度に他の人達も疑わしそうに根津を見つめる。根津もまたこの場にいる全員の目を見つめ返し、大きく息を吸い込んでから本題を切り出す。

 

「この事件の重要人物である"弱き者"。その内の一人であり...君達のお友達であった......」

 

「湖井白部さん。彼女の...彼女達の過去に答えがあった。この問題を本当の意味で解決する為に、AFOから聞き出した全てのことを知る必要がある」

 

白部の過去と聞くと怪訝そうな顔から、戦闘状態に入ったかのように真剣な顔付きとなる。泣き出した者もいたが、必死に涙を押さえ込んで話を聞く体勢に戻る。

その様子に根津もまた応えるかのように、姿勢を正して話がちゃんと伝わるように口の動きを意識する。

 

今──真実を知る為の過去語りが始まる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。