黒猫の魔法使いと個性社会   作:オタクさん

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51話 湖井白部の過去 その4

仕事の話が頭の中をぐちゃぐちゃにして余計に食欲を失くし、「何か質問はありますか?」と七奈から言われても、分からないことだらけ故に思い付かない。そこで今日はお開きになり、明日から始まる仕事の為に早めに休むことになった。

 

六人は自室に戻る気になれず、談話室に集まり彼らだけで再度話をすることにした。

 

「.........」

 

とは決めたものの、先程出逢ったばかりで何から話せば良いのかは思い付かない。

気まずく時間だけが過ぎていく。一分経ったところでサラリーマン風の男性が話を切り出した。

 

「...このままでは埒が明きませんですし、私達は互いの名前を知りませんので、先ずは自己紹介をしませんか?」

 

男性の提案に白部達は頷いた。

その様子を確認してから男性は自ら自己紹介を先に始める。

 

「私の名前は町役 飛雄【ちょうやく とびお】と申します。貴方方に出逢えられたのも何かの縁、どうぞよろしくお願い致します」

 

サラリーマン風の男性飛雄が終わると、今度は顔の形が岩のようになっている男性の番になる。

 

「俺の名前は岩山 奮火【いわやま ふんか】だ」

 

顔の形が岩になっている男性奮火の自己紹介が終わると、話しやすい雰囲気になり次々と自己紹介が始まっていく。

 

「私の名前は鎌取 切子【かまとり きりこ】よ。よろしくね」

 

「オイラの名前は鳥獣 康太【ちょうじゅう こうた】です...」

 

「私の名前は海野 波子【うみの なみこ】と言います」

 

手が鎌になっている女性切子、蝙蝠のような男性康太、主婦みたいな女性波子と名乗る。

白部もまた続いて自己紹介をしようとするが───

 

 

「.........」

 

言葉が出なくなっていた。

目を合わせられないことはいつものことだが、それなりに就活していた為声が出ないことはあり得ないことだった。普段なら多少は話せる。今日は言葉が出ないどころか──

 

複数人同時で囲むようにしたのがいけなかったのか、それとも色々ありすぎたせいなのか、はたまた両方なのか、目を合わしていないのに過去の出来事がフラシュバックをして鮮明に思い出させる。しかも脳が疲れているせいで感情が制御出来ずに泣いてしまった。

 

「わ、私......」

 

過去の出来事を悟られたくない、他人に心配をかけたくない、嘲笑われたり引かれる恐怖を感じていた白部。必死に取り繕うとするが涙は勝手に溢れ流れ、声は蓋をされてしまったかのように出なくなる。

何か言おうとしていた白部の肩を波子が叩く。

 

「言いたくなかったのでしたら、言わなくて良いのですよ」

 

その反応は今までに見たことがないものであった。

面倒くさがられる、引かれる、優しくて対応が分からない故に狼狽える。波子の対応はどれでもなく白部は面食らう。

 

固まっている白部を波子はまじまじと見詰める。

 

「そうねえ...。名前を呼べないのは不便だし、言えるようになるまで、こちらから勝手にあだ名を付けて良いかしら?」

 

何も動きのない白部。

その姿を否定していないと捉え波子は話を進める。

 

「どんなものが良いかしらね?あだ名をつけるなんて学生以来で懐かしいわ。どうせなら...良いあだ名をつけたいわね。...あ!そうだ!」

 

 

「貴女の瞳、鏡のように綺麗だから、鏡さんと言うあだ名はどうかしら?」

 

波子の思いがけない言葉に白部の感情が崩壊する。

白部は"個性"が大大嫌いと共に、この目もまた大大嫌いだった。自分の人生を滅茶苦茶にし、他人の人生をも奪った"個性"の象徴である目を。

 

その目で見るな!と何度も言われ、お前は目で人を殺したんだ!とまるで怪物を見るかのように怯えられ、石や砂などで目を執拗に攻撃される。自分でも何度も潰した方が良いのかと悩むことがあった。

そんな目を家族以外で褒めてくれる人は初めてだった。事情を知らないとは言え、純粋に綺麗と褒めてくれたことがかなり嬉しかった。人との関わりが少ない白部にとっては、相手が何も知らないことは些細なことであった。

 

止めどなく涙が流れる。赤ん坊よりも泣く白部。もうどうやっても止まらない状態になってしまう。

泣き止まないどころか酷くなる様子に、波子は嫌がっていると勘違いをし慌て始めた。

 

「ご、ごめんなさい!そんなに嫌なら変えるわ。え、えっと!じゃあ......」

 

「...!!ま、待って!...良いんです!そのあだ名が良いんです!」

 

訂正される前に白部は叫んで意思表示をする。

白部の意思はちゃんと伝わり、波子達はきょとんとしたまま動かなくなる。

気まずい雰囲気のまま自己紹介が終わり、白部が話せない状態から、今日はそのままお開きとなり部屋に帰ることになった。

 

 

次の日

何事もなかったかのように新しい生活が始まる。仕事は割り当てられていないが、色々と準備がある為に朝早くから集まることになっていた。次の日から始める理由として、動かないで考え込んでいると悪い方向ばかりに考えてしまうからである。

 

白部は指定された場所に向かう。

白部が着いた時には既に全員が揃っていた。全員が揃っていたから、白部は自分が遅刻した焦るが新和はすかさずフォローする。

 

「大丈夫だよ、湖井さん。仕事はまだ始まっていないし、今日はやる仕事を決めて挨拶回りをするだけだから......」

 

昨日の白部の様子を知っている人達が肘でつつくなどをして新和の言葉を遮る。

遮られた新和は怒ることはなかったが、どうしてこんなことをしたんだ?答えてくれ、と言わんばかりに、つついた人達の顔をじっと見詰める。どうすれば良いのか分からなくなっていく最中、飛雄が新和の耳にこそっと呟き別室にて二人きりになる。少し経つと二人は戻ってくる。

 

「あー...。そちらの事情を知らないで話を進めて悪かった。湖井さんは大丈夫か?駄目なら休んでも良いぞ、別に急ぎでもないし」

 

皆の視線が一斉に白部の方に向く。

責められている訳でもないのに、心配されているのに、過去を思い出して辛くなり、居たたまれなくなった白部は早口で逃げるように返事をする。

 

「だ、大丈夫です!わ、私は平気です!だから!進めて下さい!」

 

「......無理はしなくて良いからな」

 

これ以上何も言えない、と思った新和は聞き入れることしか出来なかった。

 

 

それからはあっという間だった。やりたい仕事を決めて他の人達に挨拶回りをする。

疲れがある程度取れ、四人以上ではなかった為スムーズに自己紹介を終える。きちんと自己紹介が出来て不思議がられたり、驚かれたりしたが聞かれることはなかった。その触れない優しさに白部の心は打たれ、お礼を言えない自分を情けないと思いながらも甘えてしまう。

 

白部の仕事は清掃メインとした裏方の仕事だ。

掃除を丁寧にしながら、社会復帰を目指して人と話す日々。人と話すことに緊張をしてしまうが、それでも心穏やかに平和な日々を過ごす。白部の名前を知らなかったあの五人はどうやら、後から新和に聞いたようで湖井さんと呼ばれたり、波子がつけた鏡さんと日によって違う呼び方で呼んでいた。白部にとってはどちらでも構わなかった。

 

生活がある程度慣れた頃、白部は新和に呼び出される。理由はなんとなくだが白部には多少見当がついていた。

 

「湖井さん...。君には...悪いのだが..."個性"の練習をしてほしい」

 

どうやら新和は白部の過去を知っているようで、言いづらそうにしながらも己の仕事を全うする。

いつか言われるだろうと分かっていながら白部もまた、誰も何も言わないことを良いことにしらばっくれていた。

 

この甘い日々を受ける取る代わりに、提供している側の言うことを聞かなければならない。

追い出されたくない、罪をばらされたくない白部は覚悟を決める。

 

「......はい......。分かりました......」

 

「そう怖がらなくても良い。"個性"を使うことだけが訓練ではない。"個性"を使えるようにするのも立派な訓練だ。そうだね...湖井さんの課題は...。目と目を合わせて話せるようにしよう」

 

悪の組織と言えば、ルールや使命を守らなかった者は酷い目に遭ったり、殺されると思っていた白部には新鮮に感じ、意外にもゆるいんだなあ、と思いながらほっと胸を撫で下ろす。

 

新和は白部の変化を気にも止めずに話を進める。

 

「先ずは...湖井さんと同じ日にここに入った、町役さん、岩山さん、鳥獣さん、海野さん、鎌取さん。同じ日になったのも何かのご縁、先ずはこの五人から話し掛けれてみれば良いんじゃないかな?湖井さんのこと物凄く心配していたし。勿論、他にも話したい人が居たら別だが...」

 

軽い世間話程度しかしていないことを新和は知っていて、結構ちゃんと見ているのね、と白部は感心するのと同時に、やはり人をよく見ている人が選ばれているみたい、と一人勝手に納得をする。

 

「......?何を考え込んでいるの分からないが、取り敢えずよろしくな」

 

用事を終えた新和は颯爽と去っていく。

こうして、白部が意識的に人と放す生活が始まった。

 

 

白部が一人目として選んだ相手は波子だ。

波子は同姓で話せやすいうえ、親しみやすい雰囲気が出ており、嬉しいあだ名をつけてくれた人物。最初に話すのに丁度良かった。

 

白部が探していた時波子は、何人かの同年代の女性達と昨日観たドラマや、食べ物の話をしていた。

ここは本当に、敵(ヴィラン)が集う悪の組織なのかな?と白部は本気で疑い始める。誰がどう見ても波子の姿は主婦の集まりにしか見えなかったからだ。

 

白部が話し掛けようか悩んでいると、気が付いた波子の方が先に白部に話し掛ける。

 

「あれ...鏡さん?どうしたの?立ち止まって。私に何か用があるのかしら?」

 

「え、えっと、その...。"個性"の訓練として...色んな人と話さないといけなくて...」

 

「あらそうなの?でしたらお話をしましょう。皆さんも良いですよね?」

 

「ええ、構いませんわ。席は...海野さんの隣で良いですね?」

 

「こんにちは、鏡さん。鏡さんは食べるのは好き?何か好きな食べ物はある?」

 

「鏡さん昨日ドラマ観た?最近活躍していているあの俳優さん格好いいよね~」

 

波子や周りの人達は乗り気であったけど結果は、白部はあまり話せずにもみくちゃにされるだけとなった。

 

二人目に選んだ相手は切子。

理由は単純に同性だから。もみくちゃされた白部はめげずに次の相手を探す。切子は庭で草刈りをしていた。どうやら"個性"の訓練をしているようだ。

 

「こんにちは、鎌取さん」

 

「こんにちは...鏡さん...?湖井さん...?貴女、どちらの名前の方が良いのよ?」

 

「私はどちらでも構いません」

 

「...そう言うのは困るんだよね、私達大した仲ではないし...。取り敢えず、本名の方で呼ぶわね。で、私に何の用?」

 

「え、えっと、その...。"個性"の訓練として、人との会話を...。鎌取さんも"個性"の訓練ですよね...?」

 

「ええ、そうよ」

 

「鎌取さんは凄いです...。"個性"を普通に使いこなせて...」

 

涼しい顔で"個性"を使う切子の姿を見て、白部は思わず本音が溢れてしまう。

白部の本音が聞こえた切子の表情は一気に変わり、まるで苦虫を磨り潰すまで噛み砕いたような顔になっていた。

 

「はぁ...!?私だって好きで使っている訳ではないわ!あんな...自己中で...!身勝手で...!他人を傷付けてなんとも思わない..."個性"を好きで使っている奴らの方がサイコパスなのよ!平気で使える方が可笑しいのよ!私がそんな馬鹿で!狂っている奴らと一緒にしないで!!......フー...フー......」

 

真っ赤に染まった顔は鬼のような形相となり、言葉になっていない思いを息を切らすまで叫び、過去の怒りを白部に八つ当たりする切子。

八つ当たられた白部は怒ることもなく、ただ言われたことが理解出来なくて呆然としていた。だがしかし、理解が追い付いた時には自分がやらかしてしまった、と白部目にも留まらぬ速さで謝り出す。

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

深呼吸をし、息を整え終えれば、思考が元の状態に戻り、自分がやらかしてしまった、と切子は気が付いても後の祭りだった。

切子は白部以上に頭を下げて謝罪を述べる。

 

「私の方こそごめんなさい!」

 

「え、え、でも...私が失礼なことを言ってしまっただけだから...」

 

白部はしどろもどろに自分が悪い、と主張をするが、切子は白部の意見を頑として否定した。

 

「そんなことないわよ!貴女は褒めただけ。勝手に過去を思い出して、八つ当たりした私が完全に悪いのよ。けど...気を付けて。貴女にそんな意志がなくても、私のように激怒して怒鳴り散らしてくることがあるから...」

 

言うだけ言った切子は、しゅんと項垂れて話が出来ない状態になってしまう。

白部は自分の失言に深く反省をし、改めて自分以外の人にも深い事情があることを深く実感をすることとなった。

 

 

女性陣と話し終えたので次は男性陣へと移る。切子の次に選んだ相手は飛雄だ。

彼は男性の中でも話しやすく、また六人の中でも一番コミニュケーション能力の高い男性。異性に慣れていない白部には丁度良い練習相手だった。

 

飛雄は受付で仕事をしており、一般人に対しても愛想よく仕事をしていた。

どんな人でも話せる飛雄の姿に感心しながらも仕事が終わるのを待ち、頃合を見計らって話し掛ける。仕事終わりで疲れているのにも関わらず、疲れ一つ見せずに笑顔で対応してくれる飛雄。いつか彼みたいになろう、と白部は決意をする。

 

「こんにちは、湖井さん。私に何かご用ですか?」

 

優しく話し掛けられても、白部は萎縮してしまって話すことが出来ずに黙り込んでしまう。

何話せばいいのかと悩んでいると、ふと、左手の薬指に指輪をしているところが目に入る。気になった白部は質問をしようとしたが、既の所で、切子の時の二の舞になってしまうと気が付いた白部は慌てて自分の口を塞ぐ。その様子に飛雄は首を傾げつつも話を進める。

 

「...どうかしたのですか?」

 

「え、えっと...あの、その...」

 

歯切れの悪い言葉に飛雄は疑問を抱いたが、時折、白部が左手の薬指を見ていることに気が付く。

 

「ああ...これですね。結婚指輪ですよ」

 

結婚指輪。

それは人生を共にする伴侶を見付け、愛する人との子供が作れる、上手くいっていれば人生においての勝ち組と言える一つの形。

 

そんな順分満帆そうな男性がここに居ることに、白部は酷く驚いて本音を呟いてしまいそうとなったが、白部が言う前に飛雄が自ら疑問を答えた。

 

「私みたいな人が居るのは疑問に思うのは当然ですよ。結婚することは幸せなの象徴の一つとされていますからね。知られたくなければ...この結婚指輪を、どこか別の場所で保管しないといけません」

 

「ど...どうして...皆の目が入ってしまうかも知れないのに、町役さんは指輪をつけているの?」

 

白部の質問に飛雄は苦笑いを浮かべる。

その姿はまるで自分自身でも分かっていないようであった。答えを探すかのように、じっと結婚指輪を見詰めながら飛雄は語り出す。

 

「そうですねえ...私はきっと変わり者ですからかね...」

 

「町役さんが...変わり者...?それは一体どういうことですか?」

 

白部は困惑して飛雄の話についていけなくなる。

まだ出逢ったばかりだが、白部にとって飛雄のイメージは率先として動き、誰とでも話せる人。少なくとも変わった人ではなかった。色々と質問をしたくなったが、口下手な白部には、黙って相手が答えてくれることを望むことしか出来なかった。

 

「私は...。湖井さんや皆さんと違って、過去を隠したいのではなくて知ってほしいタイプ...言わば、吐き出してスッキリするタイプです」

 

「そうなのですか...。色々な人がいるのは当たり前ですし、別に可笑しくないと思いますよ」

 

過去の話を自分から切り出せない飛雄、聞きたいが自分からは聞けずに当たり障りのない返事しか出来ない白部。貴重な休み時間を無駄にしていく。

結局、天気などの無難な話に変えて飛雄との会話は終わることになった。

 

 

 

最後は噴火と康太。

白部にとってどちらも異性で話しづらい人達。この二人に関しては先に会った順で会話しようと決めていたのだが、この二人は気が合うらしく、二人で居るところを白部が出会ったのでまとめて話すことになった。とは言え、難易度が一気に跳ね上がった為白部は話せなくなる。今の白部には挨拶をするだけで精一杯だった。

 

「......うん...?どうかしたのか?何か言いたいことがあれば遠慮なく言っても良いぞ」

 

「...湖井って確か...。町役から聞いたんだけど、"個性"の練習として、人と話をしたいらしい...」

 

「そうなんだ。と...言われてもなあ...。本人は固まっているし、俺達も軽く挨拶をする程度だし...俺達と話さないといけない程なのか?」

 

噴火からの質問に白部は、首を一生懸命に振って肯定をする。

何とか口を動かして事情を話す。

 

「あ、あの...!上から!こ、"個性"の練習として!色んな人と仲良くしないといけなんいんです!」

 

「そうか...けど...。湖井がそんな状態だと話にならんし、俺達が率先して話し掛けたしたところで意味ねえよな...」

 

腕を組んでいて康太がある案を閃く。

 

「要は仲良くなれば良いんだよな?だったら湖井、お前はソシャゲとかしないのか?」

 

「ソシャゲ......?」

 

ソシャゲ。

携帯でお手軽に基本的に無料で遊べるゲーム。白部もまた暇潰しとしてパズルゲームなどをちょこんとやっていた。どんな物なのかは理解していても、話に関係ないと思っている物が急に出てきた為、白部はポカンとしてしまう。

 

けれども案が思い付いた康太は熱弁を振るう。

 

「そう、ソシャゲ!今時やっていない人はほぼいないだろうし、あれなら湖井でもやってそうだから話を作れるだろ!要は仲良くなる切っ掛けがあれば良いんだろう!ゲームと言う共通の趣味を作れば良い!しかもどのゲームで遊ぶのかを決めるのも、話す練習になる!丁度良いじゃないか!」

 

「まあ...それはそうだけど...湖井がゲームじゃなくて他の趣味が良いって言ったらどうするんだ?」

 

「その時はその時で話し合えば良いじゃん。何が良いのか決めるのも、折り合いをつけるのも、コミニュケーションだろ。湖井も案がなければこれで良いよな?」

 

「...あ、はい!その案で大丈夫です!」

 

白部が了承したことにより康太の案で進み、康太と噴火は趣味で繋がる仲となった。

 

 

 

波子と飛雄では趣味の話をし、切子では今時の若者らしくファショッンなど話題で盛り上がり、康太と噴火の件から色んな趣味を作って色んな人と話す。

そんな生活をして早三ヶ月。新しい生活にもなれ、家族にも住み込みの仕事が決まったと伝えることが出来、着実に進歩してきて今日頃このごろ。新和の口から終わりを告げられる。

 

「今日、先生からのお告げで。湖井さん、表に出て仕事をすることになった。拒否権はない」

 

こうして白部は、温かい日常から、自分を追い詰め拒絶された世界に戻ることとなった。

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