黒猫の魔法使いと個性社会   作:オタクさん

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5話 日常の始まり

チュンチュン

 

ウィズが気持ち良さそうに寝ている中、鳥のさえずりで起きたキキがカーテンを開ければ、部屋に朝の日差しが柔らかく射し込む。

 

キキが軽くストレッチをしながら部屋を見渡す。

ベット、机、クローゼットといった最低限の家具に、ウィズの為にベット、トイレを用意してくれた。部屋の広さは四畳ぐらいの広さだ。この部屋はキキとウィズがこの世界にいる間与えられた部屋だ。

 

あの後余った給食を頂き、お部屋まで親切丁寧に案内してもらった後、夜遅く疲れきっていたことからすぐ寝たのであった。

 

髪の毛をとかしていつも通りに結ぶと、昨日渡された赤のジャージに着替えポケットにカードを入れて、ウィズを起こさないようにそっと部屋を出るのであった。

 

 

部屋から出て歩いていたが、暫くたつとあることに気が付く...。

 

(どこに向かえば良いのだろうか...)

 

昨日は両者とも色々あり、特に刃達にはかなり刺激が強く、困惑して詳しく説明されてはいなかった。

キキは辺りを見渡したが誰もいなかった。

 

「どうしたの?」

 

呆然と突っ立っていると、後ろから心配そうに声をかけられた。キキは藁にもすがる思いで素早く後ろを振り返る。

 

キキのことを心配したのは一人の女性だった。

ショートカットの焦げ茶色の髪の毛をちょこんと結び、髪の毛と同じ色の活発な瞳がキキを見る。女性はキキと同じくらいの年齢で、白のTシャツに青のジーンズといったラフな格好をしていた。

 

困った笑みを浮かべながらキキは説明をする。

 

「今日からここで非正規で働くことになったのだけど...実は...あまり説明を聞いていなくて、朝は集まることは知っているんだけど、どこに集まるのかが分からなくて困っていたんだ」

 

「へぇー、そうなんだ。分かった。案内するね。...ところで、あたしの名前は布里 舞梓【ふり まわし】って言うんだけど。あなたの名前は?」

 

「ボクの名前はキキ・レイラドル。よろしくね」

 

「うん!こちらこそ、よろしくね!」

 

そう元気よく返事をすると、舞梓はキキの手を取り案内をするのであった。

 

 

朝は職員室に集まるらしい。

職員室に着くと人が集まっていた。でも、まだ、全員が集まった訳ではないらしく多少待つことになる。

 

全員集まると朝礼が始まった。

朝の挨拶から始まり、次にキキの自己紹介をした。キキの事は暖かく拍手と共に迎えられた。最後に今日の予定の連絡をし、今日来る予定の来訪者の写真と来る時間をまとめたプリントが配られる。

 

朝の連絡が終わると慌ただしくなり、特にエプロンをつけた人達は忙しかった。

キキと舞梓は忙しくなかったので、朝食に行こうとしたが、キキは刃に呼び止められた。

 

「レイラドルさん。これから、もしかして朝食に行くの?」

 

「はい。そうですけど...。どうかしましたか?」

 

「いや、この後、渡さないといけない物や説明しないといけない場所があるから、一緒に行動して欲しいんだ。...ところで、布里さんと一緒にいるみたいだけど、もう仲良くなったのかい?」

 

「うん、そうだよ」

 

「はい!」

 

「そうか。それは良かったね。...ところで、私もご一緒しても大丈夫かな?」

 

「それは良いですけど...。どうかしたのですか?」

 

同席することが珍しいことなのか舞梓は首を傾げる。

 

「これから、レイラドルさんに説明があるからね。別々で食べて待つよりも早いからね」

 

「あー、そうですね。...でも、今度こそちゃんと教えてあげないと、レイラドルさん困っていましたよ」

 

「...ああ、今度はちゃんと教えるさ」

 

事情を知らない舞梓に小言を言われ、苦笑いを浮かべることしか出来ない刃だった。

 

 

朝食を食べる為を移動をするキキ達。

目的の場所に近づくにつれて、ご飯を炊く匂いなどの良い匂いが漂ってくる。暫く歩いて扉の前につくと『職員用の食堂』と書かれていた。

 

子供達と一緒に食べると思っていたキキは少し驚いた。大概の職員は職員専用の食堂で食べるらしく、子供達と一緒に食べるのは一部の人達だけらしい。

 

席を着くと昨日食べなかった分を補うように、しっかりと食べるキキであった。

 

 

朝食後は舞梓と別れ、キキは刃の元案内を受けた。

 

「先ずは、監視室だ」

 

キキが案内されたのはモニターだらけの部屋だった。部屋に居る人達はモニターを一心不乱に見ていた。

 

キキがじっと見ていると一人の女性が近づいてきた。

 

青みがかった黒髪と瞳。角ばった黒の眼鏡をかけ、スーツを着た如何にもお堅い雰囲気を持つ三十代前半の女性。

 

「初めまして、君がキキ・レイラドルか?私の名前は正筋 令【せすじ れい】だ。これから、ここで暮らしていくと思うが、絶対に覚えないといけないことがある」

 

そう言うと令は、机の引き出しから黒い塊を取り出してキキに渡す。

 

「これは何ですか?」

 

「無線機だ。何か非常事態が起きた際にこれで連絡をする。これはあくまでも練習用だ。これを使って、最低でも三日で覚えろ。"個性"の影響で猫になったウィズという女性にも伝えておけ。では、私は忙しいから失礼する」

 

伝え終えると令はきびすを返し元の場所に戻る。

 

「...まあ、次行こうか。次」

 

「うん」

 

キキと刃は令の態度に少し困惑をしていたが、特に歩みを止めずに先に進むのであった。

 

 

 

 

子供達の部屋、勉強部屋、図書室、プレイルーム、子供用の食堂、調理室、保健室、トレーニングルーム、リネン室、会議室、物置部屋、事務室、浴室、トイレといった重要な場所を覚えていく。

 

一通り説明を終えると職員用の食堂に戻った。

二人は椅子に向かい合わせに座ると、刃は紙を取り出しキキに渡した。その紙には『就職活動記録日誌』っと書かれていた。

 

「最後の説明だ。昨日も言ったけど、ここで働く非正規はいつか、ここを出ていかないといけない。と言っても、時間制限があるわけではない。正式に新たな職と住む家を決めてからだ。だが、どのように活動したのかをこの紙に書いて、月に一度提出してもらう。君には関係ないことだけど。一人だけ、貰っていないのはおかしいからね。建前だけど、受け取ってね。提出する際には何も書かなくて良い。だけど、みんなに見られるとまずいから提出日ギリギリに出してといてね。...では、私はこの辺で...後、言い忘れていた。君の部屋の前には、ペット専用のキャリーケージとウィズさんのご飯があるから」

 

「...そう言えば、何故ウィズはこの屋敷で自由に行動してはいけないの?」

 

立ち上がろうとした刃の動きが止まり、中途半端な姿勢で話し出した。

 

「単純にアレルギーの問題だ」

 

「アレルギー?」

 

「アレルギーとは人体の免疫反応が過剰に反応してしまう病気だ。症状としては、くしゃみ、鼻水、涙眼、眼の痒み、皮膚の痒み、蕁麻疹、そして、最悪の場合死に至る。アレルギーの原因は動物の毛、食べ物、埃などで起こる。だから禁止だ」

 

「えっ!死ぬ!?」

 

キキにまるで雷に打たれたような衝撃が走った。衝撃のあまりキキは跪いた。彼女の頭上に"ガーン"という擬音が見えるのではと思える程だった。

 

(えっ!?えっ!?嘘!?死ぬ!?今まで、色んな異世界に行ったけど、こんなの初めてだ!...この世界だけなのかはよく解らないけど。早くウィズを人間に戻さないといけない理由が増えた!...これって、他の世界でも起こってしまわないよね?!前に行った異世界でも起こらないよね!?もし、起こってしまうなら、誰かを殺してしまうところだった!?......そもそも、免疫反応って何?)

 

キキが頭を抱えてしゃがみこんでしまう。そ

んなキキを見て焦ったのか、刃の笑みはひきつり声もつまった。

だが、それでも、優しく宥めるように声をかけた。

 

「.....あ、ああ、最悪の場合だけど。だから、そこまで気にしなくていい。それに、アレルギー自体必ず起こるわけではない。とは言え、対策を怠ってはならないだけだ。君の部屋にもコロコロという粘着性の強い白い紙を置いてある筈だから、今度からは念入りにやってから来てね」

 

「.........はい」

 

数十後に遅れてきた元気のない返事に苦笑いをする刃。刃は優しく微笑みながら次の行動に移した。

 

「じゃあ、私は忙しいから次に行くね。...確認なんだけど、次どうするか分かるかい?」

 

「次は...外に出て獣宮 豹朗【けみや ひょうろう】に会って仕事の振り分けをしてもらう」

 

「そう、分かっているなら大丈夫だね。また後でね」

 

刃は去っていき。キキも気持ちを切り返し自分の部屋に戻った。

 

 

 

「おはようにゃ....あれ?どうしたのにゃ?」

 

ウィズは如何にも寝起きといったのんびりとした挨拶をする。しかし、右肩に黒と白を基調としたバックを提げて、ご飯を持ってきたキキの様子が明らかにおかしかった。そんなキキにウィズは不思議に思った。

 

「ウィズ....」

 

 

「早く人間に戻さないと!今すぐに!!」

 

キキの声はか細く今にも倒れそうな青白い顔だったが、力強く宣言するのであった。

 

 

「ふーん。私がここを自由に出入り出来ない理由がそういうことだったのにゃ」

 

ウィズはご飯を食べながら言う。

ウィズのご飯は、白米に透けて見える程の薄ピンク色をふりかけ、その上に茶色のスープかけたものだった。

 

それを食事しながらウィズは物申す。

 

「全く、キキは慌てん坊だにゃ。そこまで気にすることではないにゃ。大体、アレルギーとやらもこの世界で初めたことだにゃ。他の世界にもあるって決まったことではないにゃ。それに必ず起きるって刃も言っていないにゃ。...まあ、この姿も中々悪くないから気にすることはないにゃ」

 

呆れながらも慰めるウィズ。

そんなウィズに有り難みを感じるキキだが、その姿のままに過ごすことに満足しないでほしいと思った。

 

 

 

「やあ、初めましてレイラルドさん。改めて言うが、俺の名前は獣宮豹朗。教育担当を勤めている。よろしくな」

 

「こちらこそ、よろしく」

 

キキと豹朗は挨拶の握手をする。

 

 

あの後、ウィズがご飯を食べ終えるの待って、キキはその食器を洗って片付けてから、外で待っているのであろう新人の教育担当の獣宮豹朗のところに行く。

 

身長百七十五cm前後の三十代前半の男性。見た目は豹をそのまま二足歩行にし、がたいがよくなり、頭には体毛と同じく淡い黄褐色の毛が生えていた。肉食獣の鋭い目つきだが、その声は反して陽気で朗らかだった。

 

「で、レイラドルさん、改めて聞くが。外の仕事で構わないんだね?」

 

「うん、構わないよ」

 

ここでの仕事は主に外と中で分けられている。

 

キキが何故このことを知っているのかというと、朝礼が始まる前に渡されたプリントに書いてあったからだ。自己紹介が終わった後、どちらにするかと質問をされ、キキは外の仕事に就くことにした。

 

では、仕事の内容を具体的に言うと。

 

外の仕事の場合─

 

外の仕事は主に警備員の補佐をすること。といっても敵と直接やり合うことはないが、朝や夜の見回りを手伝ったり、建物の周辺に不審者いないかと目を光らせたり、庭に変な物が落ちていないかと気にかけたりする。

体力や腕っぷしに自信がある人達が外の仕事に就くことが多い。

 

中の仕事の場合─

 

中の仕事は主に職員の補佐をすること。中の仕事は幅広く色んな仕事を行う。来客をお出迎えをしたり、他の職員にお茶を出したり、電話対応等の雑務、保育士や調理師などの補佐をしたりする。

現場での作業で実践的に勉強が出来るため、保育士や調理師といった資格を取りたい人達が多い。

 

"因みにどちらの仕事も余裕があれば子供達を優先とする"と紙に書いてあった。

 

キキは今までの経験を活かせるのは外の仕事だと思い、そちらを選ぶ。

キキがそんなことを考えていると、豹朗からバシッと背中を思いっきり叩かれた。しかも肉食獣特有の鋭い爪が背中にほんの少しだけ刺さる。キキはヒリヒリする痛みで睨み付けたが、当の本人はこれまた豪快に笑っていた。

 

「ガハハハハ。そんなに筋肉がついているなら大丈夫だ!ろくに鍛えてもいないのに敵(ヴィラン)と戦おうとする妙な輩がいるからななあ!確認だ!確認!まあ!そんだけ鍛えておれば大丈夫だな!ガハハハハ!!」

 

キキのジト目にも気にせず笑い続ける豹朗。

暫く笑い続けた後に、豹朗は涙眼を拭うとやっと本題に入る。

 

「さてと、そろそろ本題に入るか。ある程度プリントで知っていると思うが、詳しく説明するぞ」

 

豹朗は先程までのおちゃらけた雰囲気は、真面目な雰囲気へと変わる。キキも雰囲気に呑まれて自然と背筋を正しす。

 

「昨日君も見た通り、大概は子供達と遊ぶか庭の手入れだ。やるべきことをやれば、中の仕事よりは楽だ。だが、もう一度聞く。...本当に外で良いのか?いざという時、中も外も関係ないが、外の方が遥かに敵(ヴィラン)と鉢合わせする可能性が高い。契約書には戦わせないと書いてはあるが、そんなの緊急事態が起きた時には関係ない。法律で"個性"を使ってはいけないがここでは緊急事態の場合に限り、正当防衛として、国から特別に許可を貰っている。戦いからは逃れられない。...もう一度聞く、それでも良いのか?」

 

豹朗の真剣な眼差しがキキを射抜く。

キキもまた真剣な眼差しで、豹朗を片時も見逃さない様に言う。

 

「構わない」

 

キキのたった一言に豹朗は眼を細める。

優しく笑うと、先程までの雰囲気を吹き飛ばすかのように豪快に笑う。

 

「ガハハハハハハ!そんだけ覚悟がありゃ大丈夫だ!それにお前さんの眼も澄んでいて悪くない!まあ、安心しろ!戦うと言っても緊急の緊急の場合だ!プロである俺達が倒す!だから、大船に乗ったつもりで安心したまえ!...よし!気分が良いし!早速!仕事を教えよう!...と言っても、もう午前中の部は終わった。後は子供達と遊ぶか、庭のごみ広いか手入れをしてくれ。午後の部といっても、子供達が学校から帰ってくる間は仕事はあまりない。ここまでで何か質問あるか?」

 

「ある」

 

「何だ?」

 

「何でそんなに庭の手入れをするの?」

 

「ああ、何だそのことか。危険な物が落ちているか、何か変わったことが起きていないかを確認するためだ。"個性"を使えば何だってありだからな。常に見張っといた方が良い。それに大人が居れば、それだけで犯罪を防ぐことが出来る。......後、これは馬鹿げた話なんだが、俺達職員が、常に歩き回って見張っていると、近隣の住民から気味悪いと言う苦情の電話があったらしく。何かしらやれと上から命令があって、それで庭の手入れに力を入れることにしたんだ...」

 

元気よく説明をしていたのだが、近隣住民とのトラブルを思い出す度に豹朗の眼が死んだ魚の様になってしまう。

ああ、相当大変だったんだなあ。とキキは悟るのであった。

 

説明が終えると豹朗は違う所に行ってしまう。

残されたキキは、庭を見回りながら探索をすることにする。そのお陰で場所を把握することが出来た。

 

見回りを終えた後は子供達と遊ぶ。

残っている子供達は、学校に通っていない五~六歳くらいの子供だった。

 

昨日、キキを見て怖がっている子もいたが、服装が違っていた為大丈夫だった。また、ウィズのことを知っていた為、ねだっていたはが、今日は休みだよと優しく言って説得をする。ウィズを触れなくてシュンと悄気(しょげ)てしまったが、何とか気を取り直してくれた。

 

キキは悄気させてしまった分子供達と全力で遊んだ。

 

おままごとをしたり、鬼ごっこをしたり、かくれんぼ等をしたのであった。全力で遊んだので子供達の受けも良かった。

特に受けが良かったのは高い高いだ。子供を高く持ち上げて、その場でクルクル回るのがお気に入りになったらしい。また、子供を肩に担いで走り回るのも気に入ってくれた特に男の子に。

 

その様子を離れて見る職員達の中で、微笑ましく見る者とハラハラと見る者で二つに別れていたのだった。

 

十二時になると昼休憩になるが、全員一斉に休憩するのではなく、二つに別れて休憩するものであった。

 

キキは最初に休憩する方に分けられた。

 

食堂で食べるのも良いし、自分の部屋でゆっくり食べても良い。時間さえ守れば何でもOKだった。

 

キキは自分の分とウィズの分のご飯を持って、自分の部屋で食べることにした。

 

 

 

十三時。お昼休憩は一時間だけだ。

 

キキは時間に遅れないようにと外に出て、働いていた職員と交代をする。

 

この時間帯は子供達のお昼タイムなので暇だった。なので箒を片手にとり掃除をする。他の職員達も草木の手入れだったり、座り込んで雑草を取っていた。

端から見ればのんびりとしているだけに見えるが、誰一人も気を抜いていなかった。

 

 

 

仕事に夢中になっている間に時間が経つ。時間が経つに連れて、年齢の低い子供達から学校から帰って来た。

正規の職員は外に出て、周りを見張りながらお出迎えをする。非正規の職員も子供達と遊ぶ人と見張る組と別れながら仕事をする。

夕焼けが建物を照らし、どこからか音楽がなり、外で遊んでいる子供達に帰るようにと催促の放送が流れた。

 

部活などの一部の子供以外が帰ってきた頃には、この日のキキの仕事は終わることとなった。

 

 

 

夜間の部の人達と代わるとキキは自分の部屋に戻った。ウィズは気持ち良さそうに寝ていたが、扉の開ける音で眼が覚めたようだ。

 

「おかえりにゃ。仕事はどうだったのかにゃ?」

 

「うん、大丈夫だよ。今までと比べたら楽だよ」

 

「そりゃそうだなにゃ」

 

キキはベッドに腰を掛けて談笑をする。

 

「...あ、そうだウィズ。これを覚えてだって」

 

キキは令から受け取った無線機をウィズに見せる。

 

「何なのにゃ?」

 

「無線機。これで何かあった際には連絡を取り合う物らしい。後三日で覚えないといけないよ」

 

「にゃにゃ!?これを三日で覚えろとは無茶言うにゃ!」

 

ウィズは抗議の声をあげる。

 

「仕方ないよ。何かあったらこれを使うから」

 

キキはウィズを宥める。

ウィズは納得すると溜め息を吐く。

 

「...はぁ、分かったにゃ。これって、私も覚えないといけないみたいだけど...。そもそも、猫の身体でも使えるのかにゃ?」

 

「それは分からないけど、でも、覚えないといけないと言われたよ」

 

「ふーん。そうなのにゃ」

 

「そうだよ」

 

「...ところでにゃキキ。ご飯とかお風呂とかって、どうなっているのかにゃ?」

 

ウィズは気になっていたことを質問する。キキは思い出しながら話をする。

 

「えっと、確か...。ご飯もお風呂も時間指定はされていないよ。ただ、お風呂とかは早めに入ってほしいらしい。後、明日の仕事に支障きたされなければ、好きに起きていても良いけど、煩くすると他の人達に迷惑がかかるから気を付けてくれと言われたぐらいだよ」

 

「そうなのにゃ」

 

「じゃあ、ご飯持ってくるよ」

 

「宜しくにゃ!」

 

キキがそう言って立ち上がると、ウィズは満面の笑みで嬉しそうに言う。

 

キキは今日は働いていないくせに、と心の中で毒づきながらも取りに行く。その後は二人でご飯を食べて、ゆっくりした後はお風呂に入って疲れを取る。

布団に入りながらキキは思う。たまにはこんな日も悪くないと。眠気に身体を委ねて眠るのであった。

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