「な...!!何で!?こんな所に居るんだ!?用事があったんじゃなかったのか!?」
緑谷が感情的に叫んだところで、黒猫の魔法使いも、ウィズも、冷たい目線で緑谷のことを射貫いていた。どうしてこんなことをしているのか?と緑谷は必死に考えようとしていたが、次々と繰り出される火球の中には、痺れや凍らせて動きを止めるようとする雷撃や氷撃、顔の近くには視界を奪う禍々しい闇の弾と共に、逆に眩しくして見えなくする純白の光弾。様々な属性の魔法が緑谷に襲い掛かる。
(どうして!?こんなことを...いや!今はそんなことを考えている場合ではない!何か対策を...そうだ!)
緑谷の体に緑色の閃光が走る。ずっと避けていてもきりがないと悟った緑谷は攻撃態勢に入り、全身に力を漲らした後、更に足に力を入れて黒猫の魔法使いを蹴ろうとする。
度重なる戦闘や"個性"による自傷ダメージにより、腕だけではなく蹴り技主体で戦うシュートスタイルを仮免試験が始まる前に生み出したのだ。
普段使わない足技に黒猫の魔法使いは一瞬驚く。だが、残念なことに通用しなかった。雄英潰しを行う他校の生徒達ぐらいの相手であれば通用して倒せていたのだが、相手は未知の世界を渡り歩いて戦い抜いた人物。戦い方が変わったぐらいでは形勢逆転することはない。瞬時に防御障壁を展開されて足技は防がれてしまう。
「こ...この!!」
防がれた時に発生した甲高い音が鳴り響く。
緑谷の蹴り技と防御障壁がぶつかり合う。緑谷の足技では防御障壁を壊すことは出来ず、壊そうと力を入れれば自傷によるダメージで足を負傷をし、戦いに支障がきたすだけではなく、試験である大事な救助にも影響が出るので出来ればこれ以上出力を上げたくない。かと言って、このままぶつかり合っているのも時間を無駄にするなものである。どうすれば良いのか考えていると、ふと違和感を感じる。
(どうして黒猫の魔法使いが堂々と暴れているのだろうか?ヒーロー活動として魔法を自由に使えているけど、許可をしたのは人助けの為であって、悪さをするようであれば魔法の使用許可は直ぐに取り消され、他のヒーロー達に取り押さえられて捕まる。いくら僕達の居る世界を助けに来た存在と言っても例外はない筈だ。なのにどうして...!!あ、もしかて──!!)
(敵(ヴィラン)による妨害を想定した救助試験なのか!?)
戦いながら緑谷は見事に見抜く。
こうして黒猫の魔法使いが暴れているのは試験だからだ。もし許可なく暴れていたら試験は中止になり、試験会場に居るヒーロー達の手によって捕まる。緑谷の考えていた通りに異世界から来た人と言えども例外はない。捕まらないのは試験管公認の下に暴れているからだ。では、何故、正式な試験にも拘わらず伝えなかったのには理由がある。それはこれもまた試験だからである。
被災現場で救助活動をしていたら敵(ヴィラン)に襲われ、敵(ヴィラン)との戦闘の最中に災害が起きることもある。大きな問題に対峙している最中、別の大きな問題が起きたから冷静に対処出来ませんでした、とかの言い訳は許されない。この試験では敢えて現役ヒーローが敵(ヴィラン)として暴れることは伝えず、受験生達がどのように対処するのかを観察しながら採点をし、正式にヒーローになれた時に少しでもに役に立てるように実戦に近い形を取っていた。
言わないやり方は卑怯かもしれないが、この程度の困難を乗り越えることが出来なければ現場に出ても足手まといになるだけであり、何よりも現実はもっと理不尽である。因みに試験官の口から敵(ヴィラン)が出てきたことは言わない。自分達だけで連絡し合うのも試験である。その為にも携帯電話を渡したのだから。
考え込んでいる内に事態は進展する。
防げていたのにいきなり後ろに下がって距離を取る黒猫の魔法使い。黒猫の魔法使いが後ろに下がるのと同時に、防御障壁が消えたことで緑谷の体勢が悪い状態になり、体勢を直す前に魔法による攻撃が緑谷の無防備な体に当たる。
「クッ...!!」
壁まで勢いよく叩き付けられた緑谷。緑谷は立ち上がりながら次の手を考えていた時、黒猫の魔法使いは思いもよらない行動に出る。
距離もあり、電撃によって痺れて動きが遅くなった緑谷を狙わずにマネキンに向けて魔法を放つ。
理解不能な行動に緑谷は動きを止めてしまうが、頭の中で目良が言っていたある言葉を思い出す。
“フックの皆さん、マネキンと人形を救助して下さい”
生きてはいなくても、今の緑谷達にとっては守らなくてはいけない存在。
体が勝手に動いていた。
自分も燃やされてしまうのにも拘わらず、緑谷は体を盾にしてマネキンを守ろうとし、そこに火弾が降り注いで容赦なく緑谷とマネキンを燃やそうとしていた。
緑谷は転がりながら己についた火を消そうとする。一先ず安全だと思われる場所まで離れると、マネキンを立たせて黒猫の魔法使いに反撃をしようとしたが、いつの間にか黒猫の魔法使いは緑谷の前から姿を消していた。あまりにも意味が分からない行動に思わず悪態をつきそうになったが、冷静さを維持したままクラスメイトに携帯電話をかける。
「障子!」
苛つく気持ちをどうしても抑えきれず、緑谷は感情的に相手の名前を怒鳴ってしまう。
だが、電話先の相手である障子は怒ることはなく、それ以上の剣幕で緑谷の話を遮る。
「こっちも大変なんだ!」
緑谷がみんなと別れてから少し経った後のこと。
緑谷と同じように探しに行った者と、各々の役割を全うしながら救助を行っていた者と別れて行動をしていた。索敵が得意な障子、耳郎、口田はフック、人形やマネキンを探し出している場所を伝え、八百万は必要な道具を造りながら指示を出し、麗日が"瓦礫を浮かして救助活動を行いやすくしていた。
「大丈夫ですか!?もう安心して下さい!俺達がついていますから!」
「ありがとうございます。私は大丈夫ですが...友人が...」
「分かりました。後は我々が必ず助けますのでご安心して下さい。さあ、こちらへ...」
「ええ、ありがとうございます...」
「こちらの方は自力で歩けるけど、頭から血を流していて一刻も早く応急措置が必要!友人の方は呼び掛けても応答なし!慎重に運んだ後、安全な場所でもう一度意識があるかの確認とAEDの準備を!砂藤!この人運ぶの一緒に手伝って!」
「おう!」
「八百万!包帯作れるか!?包帯が足りなくなってきた!」
「はい!只今作ります!」
少数精鋭で救助活動を行う一年A組の生徒達。
試験前まであった居心地の悪さや敵意に満ちた視線は嘘のように消えてなくなり、万全に近い状態で試験に挑んでいた。何もかも順調に進んでいた時、障子が救助を求めている人達を探していると不意に、他校の生徒達よりも敵意や憎悪に満ちた視線が障子の体に突き刺さる。急いで振り返って見れば、視線の先には蜂蜜色の髪を腰まで伸ばした女性がこちらを睨んでいた。訳も分からない敵意に障子は一瞬戸惑ったが、すぐに構えて様子を伺う。障子に気が付かれたことに相手の女性は舌打ちをする。女性は苛ついた状態を隠さないまま、ウエストポーチから黒い塊を取り出すと地面に叩き付ける。叩き付けられた黒い塊から煙が出てきて女性の姿を隠す。煙が消えた頃には女性はいなくなっていた。
障子が困惑している間にも事態は容赦なく進み、別の場所から悲鳴が聞こえてくる。障子が複製した目で様子を見ようとした時には救助者を巻き込んだ戦闘が始まっていた。障子が戦闘に加わろうとした瞬間、障子に渡された借りの携帯電話が鳴り響く。
「障子!いきなり何故か襲撃されたんだ!様子はどうなっている!?」
「済まない!俺にも分からない!俺も襲われそうになったのだが、俺に気が付かれたら俺を襲うのは止めてどこかに逃げた。その後すぐに戦闘が始まったから俺にも分からない。俺もすぐに加勢するから何とか耐えてくれ!」
「そうか、そんなことがあったのか。分かった!俺達も自分達で何とかするから!そう落ち込まないでくれ!」
自分達の方が大変なのに障子の心配をする切島の声を聞いて、障子は複製腕の羽根を広げて地に降り立つ。
障子が降り立った時には現場は荒らされ放題だった。パニックを起こして逃げ戸惑うフックの人達、そんなフック達を落ち着かせようと呼び掛けをする芦戸、蛙吹、葉隠、麗日、個性で作り出した盾や氷、体を硬くして自ら盾になったりしてみんなを守る八百万、轟、切島。常闇や砂藤は"個性"を使って襲撃者を追い払おうとしていた。ヒーロー科のある高校の中ではトップクラスの実力の持ち主であり、学生ながら実戦経験があるのにも拘わらず、苦戦を強いられていた。
苦戦を強いられていた理由の一つとして、敵(ヴィラン)役の人がフックの人達の中に紛れていたからだ。フックの中に紛れていなければ、敵(ヴィラン)役の人達がこちらに近寄ってくる前に取り押さえることは出来たのだが、始めから紛れ込んでいた為にパニックを起こしているフックの人達に当たる可能性を恐れ、離れた位置からでも攻撃が出来る青山、芦戸、上鳴、耳郎が"個性"を使えずにいた。唯一触れてもくっつくだけで特に害はない峰田だけが、紫色のボンボンを投げて敵(ヴィラン)役の人達の動きを止めようとしていたのだが、それでもフックの人達に当たってしまったら動けなくなってしまう為、いつもの調子で投げられずにいた。
「何だよこれ!今回の試験は救助試験だけで!戦闘が入っているとは言っていなかったじゃねぇか!」
頭から血を流し必死に投げ続けながら愚痴る峰田。他の人達も同意をしたかったが、余裕がなかったので返事は言えなかった。峰田の愚痴が空しく消えていく。
手段を封じ込められる一年A組と違って、あちらはパンチや蹴りだったり"個性"による直接攻撃は勿論のこと、一発でも当たったら痺れて動きづらくなるスタンガンと同じ効果がある弓矢を放っていた。
この戦闘は神野区事件を再現したものであり、何時だって悪党は卑怯な手を使い、弱者を装ったり、その立場を利用してくる故に、敵(ヴィラン)と戦わなければいけないヒーローとって必ず乗り越えないといけない問題だった。
遅れながら戦闘に参加することになった障子は、腕を広げ盾にするようにしてフックの人達を守りながら、どうすれば良いのかと悩んでいた。
「待ちたまえ!爆豪...!これは敵の罠かもしれないんだぞ!少しは慎重に...」
「ああ!うるせぇんだよ!!敵がいる以上放っておけるかよ!そんなに怖ければ、お前だけここで待っていれば良いじゃねぇか!!!」
機動力がある爆豪と飯田がペアを組んで救護者探していたところ、偶々黒猫の魔法使いを見付けて戦闘する気満々になった爆豪が襲い掛かろうとし、慎重派である飯田が爆豪を止めていた。
オールマイトの勝っている姿でヒーローに憧れた爆豪にとって、救助試験しかないこの仮免試験に疑問を感じていた。そんな時に黒猫の魔法使いが他校の生徒に攻撃しているところを偶然にも目撃をしたのだった。黒猫の魔法使いが爆豪と飯田を見掛けても攻撃することはなく、背中を向けて逃げ出していた。その行動に苛立ちを覚えた爆豪は後先考えずに追い掛ける。罠だと思った飯田は爆豪を止めようとしたが、これ以上言っても無駄だと感じ、また、敵を放置してはいけないと言う意見は別に間違ってはいないので飯田も爆豪と一緒に追い掛けることにした。
黒猫の魔法使いを追い掛ける爆豪と飯田。
地上では飯田が、空中では爆豪が、互いに追い込もうとするが捕まらなかった。二人が黒猫の魔法使いを追い込んだと思った時、ある場所に辿り着く。そこは──
数多くの他校の生徒達が協力しあって、救助活動をしている場所だった。
書いていてヒロアカの民度ってかなり悪いなと思うことがあったけど、現実も中々民度が悪いなと思う出来事があった。
別のサイトでの話。自分と違う意見や価値観を持った人を面白半分で叩き、止めてと言ってもずっとからかったり、wをつけるな!と書けばwを大量につけて煽る人達。事が大きくなったら被害妄想、自意識過剰、思い込みが激しい、気のせいというコメントをして逃げる。(きちんと馬鹿にされていた人のコメントに何度も馬鹿にするコメントを返信したり、wを大量につけた返信をしていた。相手のコメントレスつけて返信している以上被害妄想や自意識過剰とは言えない。相手のコメントにレスをつけない、同じサイトに居るだけの人に対して言ったのならば自意識過剰と言われても仕方がない。と言うか、馬鹿にしてきた本人も煽れて楽しいとコメントしていた。)被害者にはネットの言うことを一々気にするな、気にする方が悪いと言い、触れたらヤバい奴扱いをする。
こんな最低な人達が居るからSNS規制とか言う話が出てくるのですよね。でもねぇ...SNS規制って本当に怖い。全うに誹謗中傷だけを規制するのならともかく、政治的なコメントを消されるのかもしれない、そのような危惧されている方の意見を聞くと怖くなって...。この作品を作るに至って参考にさせて頂いている終末シリーズを考察した深蒸し饅頭さん曰く、情報を制限したら戦時中と言っていました。実際に第二次世界大戦の時は日本は劣勢だったのに優勢だ、勝っている!だと嘘をついて国民を乗り気にさせていましたよね。また、SNS規制は憲法第21条を違反していると言われていたりします。人間は何度も同じ過ちを犯すことはよくあるし、権力を持った人間が暴れることはよくあることなので結構怖い。全うにやってくれるのかな...。
それで、なんで、こんな話をしたかと言うと、この作品もまた変わった意見の持ち主であるオリ主達を叩く場面はよくありますが、その理由は自分達が納得するまで話をしてくれなかったから逆恨みをして叩いていると言う...これも大分酷い理由ですが、面白半分で自分と違う考えの人は叩くと言う最低な考えをヒロアカ市民に当てはまるかどうかを考えたかったからです。
アンパンマンやレミオロメンと言った現実にあるものがヒロアカにも存在しており、現代日本と価値観が近いものだと思っています。ですが、完全に同じものだと言えません。ヒロアカの方が民度が良かったり、若しくは個性の影響で現実よりも酷くなっているのかも知れません。アンチヘイト作品を書いている以上説得力はあまりありませんが、人様が書いた作品を借りて書いているのでモブとはいえ出来るだけ悪く書きたくはありません。
皆様はどう思いますか?ヒロアカは現実よりも民度が良い?悪い?折角二次創作を書くほどはまったので、考察をしながらどんどんしていきたいと思います。