ガンダムビルドダイバーズ EXTREAM VS   作:TLS中毒患者

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stage3-1 戦略兵器のすゝめ

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 この学校のガンプラバトル部は主に四つの勢力に分かれている。

 

 まず一つにアケノミハシラ。比較的自由人が多く、特にこれと言った決まりも無く大らかだが、やるときはやると言うどこかそう言った凄みのある勢力。ここだけフォースマスターが二年生だが、どうやら訳ありらしい。ガンプラの傾向は宇宙世紀からアナザーまで大体揃っている。

 

 次に第08機甲師団。軍人気質のあるフォースで4大勢力の中では一番規則だの義務だのの項目が多い。階級も取り扱っており、部内での上下関係は最も厳しいが、それ故に後釜の育成はしっかりと行ってくれる。宇宙世紀の前半のMSを使う部員が多い。

 

 次に堕落園(ザ・フォールン)。占いだの魔女だの堕天使長だの宇宙世紀のガンダム作品ではまず聞かないような単語で溢れかえる独特の雰囲気があるフォース。その風変りな気質故か部員数は他の三部と比較すると少ないらしいが、個々の実力が相応に高いと言う少数精鋭。アナザー系や騎士ガンダムなどのSD出展作品を多く扱う。

 

 そして、ヴァリアント騎士団戦線。4大勢力の中で最も腕利きが集うとされている集団で、部員の分け方は完全なる序列制で、上位ランカーには二つ名が授けられる風習はここが発端だと言う。序列二位の女王を除き、残りの九機は全て聖剣、魔剣の名を冠したガンダムフレームが運用されている。

 

 

 ま、色々変わった連中が多いけど、退屈はしなさそうだぜ。

 

                          出典 ソースケメモより一部抜粋

 

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 フォース アケノミハシラ 修練場

 

 

 「改造案を、聞きたい?」

 

 日課としてユキナとのマンツーマン指導による、アーケード操作に頼らない通常制御でのガンプラ制御の演習を行うエイジだが、演習終了後にそんな事を彼女に尋ねていた。

 先程の戦闘で見事彼女に惨敗したテスタメントアストレイは、データハンガーで修理待ちの状態だ。ちなみに今回の演習でも右腕がスパークを起こしている。

 

 「あぁ、こう言うのって他人から案を聞いた方が良い物が浮かぶって言うからさ。何個かパーツデータガシャってのは回してみたんだけど、良い改造案が思い浮かばなくて……」

 

 「ちょっとガシャで出たパーツ見せて……ふぅん。タクティカルアームズの基礎フレームとかあるんだ」

 

 パーツデータガシャとはこのミハシラ学園が独自に設定、公開しているガシャで、ポイントを一定量消費して武装やパーツなどのランナーパーツを入手できる。ただし何が出るかは完全にランダムである。

 エイジは自分が引き当てたパーツリストをユキナに見せると、少し考えてから一つ訊ねた。

 

 「……ところでエイジ。何で毎回すぐ腕が駄目になるか分かってる?」

 

 「え? いや、うーん……」

 

 「君は敵の攻撃を回避では無く、全部トリケロスで受け切ろうとするでしょ? だから集中的に負担が行ってしまうんだよ」 

 

 「そこはもっとステとかフワジャンで回避しても良いんだぜ? あるいはミラコロで姿くらますとかさ」

 

 悩んでいたエイジに声を掛けたのは、何度か共に搭乗した事のある金髪のエルダイバーの少女ヤチヨと、ソースケだった。

 どうやら彼も彼で学園側から言い渡されたミッションをクリアしていたらしく、隣のハンガーにはヴォルテックスガンダムが寝かされている。

 アストレイは唯でさえ防御力が低めに部類される機体である。それを機体重量から来るフットワークの軽さによる高い機動力こそが持ち味だと言うのに、エイジは防御を重点に置く戦闘スタイルだった故に相性の悪さが出てしまったのだ。

 

 「とは言え、いきなり戦闘スタイルを変えろと言うのも無理な話かもしれない。僕ならこうするかな」

 

 ヤチヨが複数あるパーツデータの中から一部のパーツを選択し、更に別で呼び出したゴールドフレーム天自体のデータからマガノイクタチとトリケロス改を拝借、それらを組み合わせてデータハンガーで寝かされているテスタメントアストレイに被せていく。新規で彼女が設計した部分には靄がかかっているが、大まかな全体像は何となく見えた。

 

 「すげぇ、エルダイバーってこんな事も出来るのか……?」

 

 「アケノのガンプラ作りを隣で見てたら覚えただけだよ。汎用性と防御力を重点にしたいならこんな感じかな。他にリクエストがあるなら組み替えてみるけど……」

 

 「いや、これで行こう。コマンドの割り振りも何となく想像が付きやすいしさ」

 

 エイジは仮初だが新たな武装を身に纏った愛機を見て興奮すると、すぐさま彼女らにお礼を告げてからログアウトしてガンプラ制作に取り掛かるのであった。

 

 

 ◆◇◆

 

 ミハシラ学園 ガンプラ制作室 

 

 「エイジ先輩、こっちのパーツヤスリがけ終わりました~」

 

 「肉抜き穴の埋め込みはもうすぐ終わるぜ。塗料はどうする?」

 

 「あぁ、アケノさんに貰ったテスタメントの塗料データ有るからそいつと同じにしてくれ」

 

 「……(ポリポリ)」

 

 「作業の手を止めるんじぇねぇぞ……」

 

 前回入手したポイントで半期分のガンプラ制作室利用の権利を勝ち取ったエイジたちは、ギャアギャアと慣れない共同作成作業に追われていた。ちなみに他に部員はいないのでここまで騒いでも平気である。ヤスリがけ担当のシイナ曰く、『せっかくチームで組むことが多いんですし、オペレーターだけでなく先輩たちをサポートしたいです』と、何かと世話を焼いてくれた故の行動だった。ちなみに彼女もここ最近自分に合った新型を作ろうとしており、その案は既にエイジやソースケから貰っている。机の上にはトリケロス改と、専用バックパック、そして可変型の大剣、タクティカルアームズの基部が転がっていた。エイジのテスタメントの改良は今回は主に武装の追加だけなのでそれほど時間は掛から無さそうだ。

 とは言え、シイナの新型の手伝いもあるので、これだけで終わりでは無い。むしろそっちの方が本番まである。

 

 新たな愛機の完成と、自機の改良を急がせるべく、エイジたちは数日ほど時間ギリギリまで校舎で粘っていた。 

 

 ◆◇◆

 

 GBN内 ミハシラ学園用コロニー・サーバー フォース アケノミハシラ領地 天守閣 

 

 

 「さて、皆さまごきげんよう。アケノミハシラ代表、ミカガミ アケノです。この度、第08機甲師団との試合が決まりました。内容は52対52による総力戦、詳細ルールに関してはまた後程メールにて送付いたします。では、我々のフォースから出場するメンバーを発表しましょう」

 

 部員総勢150名前後を誇るフォース、アケノミハシラ。その統領であるアケノは全員を天守閣に集めると、大体的にスクリーンで翌日に控えた大規模戦闘のマップとお知らせを表示していた。

 場所は通称「テキコロ」と呼ばれる大規模戦闘用に調整されたテキサスコロニーで、マップの限界値が1VS1用のフィールドなどと比較すると非常に広いのが特徴だ。所謂陣地取り合戦であり、中継地点を確保しつつ敵のMSを撃破したり、本拠地にダメージを与えたりするとゲージが減少していく。それらを削り切るか、制限時間到達時により多くのゲージを残している方が勝者となる。

 

 アケノが次々に作戦に連れて行くメンバー、より正確にはその小隊単位を告げていく。彼女の手元に記された巻物には小隊の使う機体名も書かれているのだが、とある小隊の機体構成が変わっている事に気が付き、その口元を僅かに歪める。

 

 「……以上で、今回の作戦に参加するメンバーの発表を終わります。各員はガンプラのメンテナンスを怠らないように」

 

 その言葉を皮切りに照明が付き、部屋が明るくなる。時間はまだあるので部員は各々ミッションを受けたり、ログアウトして現実でガンプラの整備をしに行くものなど多岐に渡る。

 そんな中、腕試しに通常サーバーへと向かおうとする一行が申請を送って来た。

 

 「新たな力、存分に振るって来なさいな」

 

 アケノはそう呟くと、了承の判を押すのであった。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 GBN 通常サーバー ギガフロート

 

 

 空へと物資や人を乗せて打ち上げるマスドライバーと、それを支える人工島。そこに襲撃を掛ける三機の機影が見えた。

 自立飛行できる中では最も速度の出るユキナのアヴァランチ・ブランシェが先行し、守備部隊のストライクダガーを左利き用GNソードで切り刻む。

 ソースケのヴォルテックスはハイパービームライフルをジェネレイトドラグーンの形成したプラフスキーパワーゲートに向けて照射。固定砲台などの建造物を焼き払うと同時にミサイルを発射する。

 同時に基地側がECMジャマーを起動させたのか、ミサイルが空中でコントロールを失いかけた、が

 

 「私の出番ですね……っ!!」

 

 二人の陽動を仕掛けて出来た隙に海中から上陸していたのは、黒いアッガイだった。とは言え、サンダーボルトに登場する機体がベースなのか機体サイズは一回り小さく、腕や背部には多種多様な装備が搭載されている。前線に出る事を苦手としたシイナが、生き残りつつサポートする為に最低限の自衛装備と高性能電子機器を満載した、久方ぶりの自分の機体、その名も

 

 「シイナッガイの底力、見せちゃいますから!!」

 

 左腕のレーダーポッドが開き、背部装備の一部が稼働してグラウンドソナーを打ち込み、機体を固定させる。その瞬間にコックピットに出現する多種多様のコントロール。シイナは深呼吸してから「アイハブコントロール」と呟くと、目にも止まらぬ速度でコマンドを入力。すると、コントロールを失っていたソースケの放ったミサイルの制御が一瞬にして回復し、次々と守備隊や砲台を破壊していく。

 

 「流石に誘導切り付与は無いか……」

 

 「……?」

 

 「いや、こっちの話。それよりも、エイジの奴は……」

 

 物陰に隠れて左腕のレーダーを展開し、近づく相手を右腕に接続されたマシンガンと火炎放射器、ミサイルランチャーの複合兵装で迎撃しているシイナを、上空で敵弾を回避しながら見届けるソースケは、センサーを巡らせて姿を消したままターゲットへ向かっているはずのエイジの姿を探す。

 その次の瞬間だった。最奥部で待ち構えていたレッドフレーム改の足元にどこからか射出された1本の槍が突き刺さり、爆発を起こす。

 

 「流石に誘導には期待できないかっ!!」

 

 不意打ちを外したエイジはミラージュコロイドを解除し、その姿を現す。その腕には今までには無かった大型の武装が握られていた。ベースこそブルーフレームの持つタクティカルアームズⅡの様だが、刃とウイングを兼ねるパーツがマガノイクタチその物になっており、ガトリングガンでは無くレールバズーカを改造した電磁加速投射砲の四角い砲身が覗いている。

 外したと分かるとタクティカルアームズを変形させてバックパックに装着、入れ替わりで腰部後方にマウントされていたトリケロスTをマウントし直す。

 

 (確かに俺の戦闘スタイルはガード多用型、けどアストレイにその戦い方は合わない。それでも!!)

 

 アローフォームで構えたレッドフレーム改の曲がる狙撃。こちらに向かってくることが分かっているのでそれを真正面から()()()トリケロスで受け止める。形状こそゴールドフレーム天が装備しているトリケロス改と全く同じだが、右腕用の物を多少調整して左腕で使えるようにした故に上下反転しているが、それ故に腕を振り上げただけで刃が敵を向く構造になっている。

 

 左腕のトリケロスから発生させたビームサーベルで飛び込み切り、トリケロスTによる抜き手と連続攻撃を浴びせ、更にサマーソルトで蹴り飛ばすが、ソードモードに変えたタクティカルアームズを盾にされて防がれた挙句、相手は刃を展開したまま背部に装備し直して構える。

 

 「マガノイクタチは、こっちにもあるんだよ!!」

 

 ゲームと違い視覚化されないレッドフレーム改のマガノイクタチのエネルギー波、しかし、エイジは再びタクティカルアームズを抜刀するとソードモードで展開、更に相手と同じく刃を開き、鉤爪状になっている先端がレッドフレーム改の胴体を捉える。

 

 「いくら強化されていようが、直接吸収には勝てないだろ!!」

 

 刀身に走る黄金色のスパーク。それがレッドフレーム改に伝播すると、一瞬にして対象のエネルギーを奪い、ソード内部の増設バッテリーコンデンサに蓄積される。エネルギーを吸い尽くされ、沈黙するレッドフレーム改。エイジは止めとばかりにゼロ距離でレールバズーカを打ち込み、機体を大破させた。

 

 「いけるぜこの新装備!! 明日は絶対勝とうぜ!!」

 

 「「「お~」」」

 

 高らかにタクティカルアームズ(マガツ)を構えるエイジに、チームメイトの声が続いた直後、ミッションコンプリートの表示が響き渡るのだった。

 




遂に四機編成が出そろいました、という事で今回は完成形主人公機と支援機を紹介!!

 
  機体名:ガンダムテスタメントアストレイ

 武装:多機能攻循システム『トリケロスT』、軟鉄製日本刀、トリケロスR(リバース)、タクティカルアームズ(マガツ) 

 特殊機能:ミラージュコロイド、コネクトストライカー

 バーストアタック:マガノイクタチ(ハイパー・バースト)

 ヤチヨが提案した新装備を追加し、火力、防御力、機動力を強化したテスタメントアストレイ。
 新たなバックパックであるコネクトストライカーはそれ単体では特に何もないが、共通ジョイントの内臓により様々な機体のバックパックを使い回すことが可能。

 トリケロスRは元々右腕用だったトリケロス改を調整して左腕で使えるようにしたもので、その特性上、上下が反転しているが、振り下ろさないと攻撃できない本家とは違い刃が正面を向いているので、腕を振り上げただけで咄嗟に攻撃が出来る。
 
 最大の大型武器であるタクティカルアームズ禍はゴールドフレームの代名詞とも呼べる装備を満載した一品で、マガノシラホコによるアンカー引き寄せやレールバズーカによる砲撃、そしてマガノイクタチによるエネルギーの吸収が可能。更にマガノイクタチの外側は限界までエッジが効かされており、斬撃武器として使える様になっている。

 その他にも本体側も肩部や脚部に微細な改修を施しており、総合力の高い機体となっている。余談だが追加された装備は全て盾として使える物ばかりであり、エイジのガード多用型スタイルを崩さない方向で調整されている。
 


 機体名:シイナッガイ

 武装:複合兵装ユニット『ヒッカム』、背部クラスターミサイルシステム『ネス』、頭部ロケットランチャー、補助腕内蔵ビームサーベル

 特殊装備:左腕レーダーポッドシステム『ローレンツ』、フリージーヤード

 前線に出る事に自信が無いシイナ用に考案された支援用の黒いアッガイ。名称の由来はアッガイ(ダリル搭乗機)の略称がダリッガイなことから。ベース機がサンダーボルト版のアッガイなのでサイズが一回り小さい。
 主に後方でのEWAC機としての運用が主だが、自衛用として火器を満載しており、その火力は存外高い。

 右腕の複合兵装にはベルトリンク式のハイパーマシンガンと小型ロケットランチャー、火炎放射器を内蔵しており、頭部の増加センサーと合わせて意外なほどの命中率を持つ。先端にはヒートホークを銃剣として装備。

 背部のクラスターミサイルシステムは弾頭自体をやや小型化する事でレーダーユニット連動のグラウンドソナーと同時に装備が可能になっている。撃ちきり武装だが火力は絶大で、こちらも単体で高精度のミサイルの管制誘導が可能。

 小型故に見つかりづらく、各種装備はパージが可能な為いざと言う時の逃げ足も速い。総じて小心的なシイナ向きの機体と言えるだろう。
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