亜琉帝滅屠麗埿偉〜ultimate lady〜   作:大岡 ひじき

1 / 3
試験的に最初の1話だけ。
かなりののんびり更新になるかと思われ。


譜露楼愚〜prologue〜(※挿絵あり)

「藤堂家の後継(あととり)である貴様を、あんなチャラチャラした世界に、いつまでも置いておけると思うか。

 どうしてもと言うならば俺を倒せ。

 この父を説得したくば、言葉ではなく力で語るのだな!!」

「どっかの大魔王みたいな台詞を吐くなクソ親父!!」

 いつもなら10枚は被っている猫を全て引き剥がして叫び、居合の構えを取る父に続いて自分も刀を構えた瞬間、父は実に楽しそうな…他人の目には『悪そう』としか表現できない笑みを浮かべた。

 幼い頃、乾いた布に水が染み込むように、父が教えた技を全て己のものにした私を、誇らしげに見ていた時と同じ顔だと……

 

「蒼龍寺超秘奥義・暹氣(しんき)龍魂(りゅうこん)!!」

 

 …気付いた時に既に私は、その父の最大奥義によってぶっ飛ばされていた。

 

「…さあ、約束だぞ(あきら)

 貴様の進路を賭けた勝負、負けたからには、俺に従ってもらう。

 この3年ほどで腑抜けた貴様に相応しい地獄を、既に用意してあるのだからな!」

 

 ☆☆☆

 

 小学校高学年の頃、たまたま頼まれて引き受けたモデルの仕事で売れっ子になった私は、15歳までという条件付きで父からようやく許可を得て、その仕事を続けていた。

 だが本心はなし崩しに、このままそれを足がかりに、夢だった芸能界に足を踏み入れるつもりでおり、幼稚園からエスカレーター式に通っていた名門校の学業の合間に密かに明け暮れていたのは、武術の修業ではなくダンスや歌のレッスンだった。

 そして15歳の誕生日を迎えた夏、ようやくデビューが叶う筈だったその席に現れた父は、事務所に10倍の違約金を置いて私を強引に連れ帰り、冒頭の言葉を口にしたのだった。

 芸能界デビューを志し武術の修業を怠っていた私と、財閥の運営に忙しく立ち回りながらも、ただでさえ強いものを更なる高みを目指して、日々の鍛錬を欠かさなかった父とでは、結果は火を見るより明らかだった。

 私は藤堂財閥の次期後継者としての教育を、改めて受け直す事となったのだ。

 

 そして、その父が私に施す帝王学として、選んだ私の進学先は……

 

「男塾……!?」

「そうだ。俺の母校でもある。

 あの場所でならば、貴様の根性もたたき直せよう。

 心技体、かつて天才と謳われながら、惰弱な夢とやらで衰えさせたものすべてを、地獄の底で取り戻してこい!!」

「いや待って!!

 自分で言うのも何だけど、それ飢えた狼の群れの中に、いたいけなか弱い仔羊を放り込むようなものじゃないの!!」

「その通り。

 故にあの場所で生き抜く為には、貴様は最初の1日目から頂点に立たねばならん。

 学年筆頭となれば、望めば個室が与えられようからな。

 頂点(テッペン)取れなきゃ、そもそも女としての貴様の人生終わるぞ?」

 そう言って父・藤堂豪毅は、一人()の私に、また悪そうな笑みを向けた。

 だが次の瞬間にはその笑みは消え、真剣な眼差しが私を捉える。

 社交界で未だに騒がれる引き締まった顔立ちの、形のいい唇から、張りのある厳しい声が発せられた。

 

「父親として、そして藤堂財閥現総帥として、俺が貴様に命じる!

 藤堂(とうどう)(あきら)よ、最低3年間女としての自身を封印し、男として自分の力で生き残って、未来の貴様の足場を盤石にしろ!!」

「意味わからんわクソ親父!!」

 …だが勝負に負けた以上、父の命令は絶対だ。

 私は父の母校でもある、色々な意味で名高い男塾で、男として自身を磨き上げねばならない。

 その為には頂点に立たなければ、身を守ることすらできないのだ。

 

 ・・・

 

 ……とりあえずこの件を、父の代理で海外を飛び回っている母に電話で愚痴ったら、

 

「私に言われても困る。

 あの人の行動パターンを一番的確にシミュレーションできるのは貴女でしょう。

 事前に予測することが可能だったにもかかわらずそれを怠り、備えをしていなかったのは、貴女の落ち度です」

 とあっさりバッサリ斬り捨てられた。

 どうやら私には味方がいないらしい。滅べ。

 

 ええもう自棄だ!取ってやるわよ、頂点(テッペン)!!

 

 ☆☆☆

 

「合格である!名を名乗るがよい!!」

「藤堂(あきら)!この男塾を制覇致します!!」

 入塾試験を一発合格した私は、その足で塾生の総筆頭を務めている江戸川という男に会いに行った。

 私の父よりも年上であるらしいその男は、挑んできた私にあっさりと勝負を譲り、私は入塾の日を待たずに、総筆頭の座を明け渡される事となったのである。

 

 そして……三号生の春を迎えたある日。

 

 その男は、現れた。




藤堂(とうどう) (あきら)
【挿絵表示】

男塾三号生筆頭および男塾総筆頭。
藤堂財閥の次期総帥で、藤堂豪毅の一人娘。
中学までは、幼稚園からエスカレーター式の私立名門女子校に通っており、一方で少女モデル『ARISA』として、ギャル系ファッション雑誌の表紙を飾るほどの売れっ子だったが、本格的に芸能界入りを目指したところで父親からまさかの反対をくらい、夢を賭けた勝負にも負けて、父との約束により財閥次期総帥となるべく、帝王学の一環として、男塾に入塾させられる事となる。
父譲りの才能に加え、幼い頃から武に親しむ環境に居た為、刀剣術や拳法は達人レベル。
一号生となる前に総筆頭であった江戸川に挑んでその座を奪い、三号生となった今も揺るぎない地位を築いている。
細身で長身のモデル体型。
長いまつ毛と切れ長のキツそうな目が印象的な、父親似の悪役顔美女(笑
あと、やっぱりくせ毛(爆
割と頭の中身は残念なタイプ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。