「...。」
「野武士には違いないが...。」
倒した野盗の遺体を見て回りながら残党狩りと並行しつつ、遺体の収集に当たる第一中隊の主力の一部。どれも足軽クラスの者達で、やはり戦に敗れ、または領地を追い出された者達同士が集まり自然と出来た野盗集団だと見て取れた。
「運ぶぞ。あげる用意、あーげっ。」
「いち、にっ!」
息を合わせて遺体を決められた場所へ持ち運び、そこで土葬という形で遺体を収容する。いくら野盗とはいえ彼等も人間である、最低限弔いはやるべきだろうというのが第1中隊の総意である。
ーーーーーー
近くか、それかもうすぐそこで聞こえるけたたましい鉄砲と思われる音が響いた。鉄砲というものはこの時代ならば、一回撃てばしばらくには装填に時間がかかる為、次の発射までには時間がかかる。どうやら隊列を組んで射撃をしているわけでもない。だが、その射撃音は絶えることなく鳴り止まない。ある1人のまだ年端もない、あどけなさが全面に出ている男の子が1人、その方へ身を屈ませながら巧みに気配を殺しつつ近付いていた。...その男の子の姿は、中隊の駐車場で良太が会った六助だった。長い髪を後ろに纏めて、こ綺麗な農民の装束を身につけて向かったその先には。野盗と戦う良太と進の姿があった。連続して怒涛の射撃を浴びせる彼の勇姿をじっくりと眺める、その目はしっかりと良太に向けられていた。
「(鉄砲って、あんなに撃てるものなんだ...頑張って良太兄ちゃん!)」
陰から応援する六助の健気な姿。それに気付く筈もなく、2人は無我夢中で撃ちまくる。もそっと近くで見たくなった六助。ゆっくりと危険な中、2人のいる歩哨壕へ近付いていく。更にもう何人か応援に駆けつけたようで、そのうちの1人がスライディングして歩哨壕へ滑り込んできた。二等陸曹の佐藤浩二である。更に近づく六助。壕の中で身を固めて徹底抗戦する男達の中に、気付かれずにそーっと入っていく。なんと六助は戦闘中の歩哨壕の中にまで入ってしまった。
「おらっ!!」
進が思い切ってピンを抜き取り投げた手榴弾が、野盗数名を吹き飛ばした。それを合図に野盗が撤退を始める。追撃をせずにそれを見送る3人。64式の弾倉を交換してからまた前方を見やる進の目の端に、ヒラッと装束の端が映る。まさかなと思いながら、良太へ顔を向ける。その足下、良太の服裾を引っ張る可愛らしい顔立ちをした男の子が1人、微笑みながら彼の顔を下から覗いていた。