「すごいっ!袋の中で一人でに水がお湯になった!」
村人や祐希の心配を他所に、六助は戦闘後の腹ごしらえを決めようとしている最中だった。中隊に備蓄されて大量に余っている"戦闘糧食"の使用要領を良太から手ほどきしてもらっているようだが、六助にとっては不思議なことばかり。目を丸くしながら煮沸される様子を見ている。
「あとは何分か待って、一緒に入れた飯を取り出して....。」
「おっ、今日はカレーだ。」
進も戦闘糧食を準備し始めながら、今日のメニューに喜ぶ。待つこと数分、熱い熱いと言いながら袋の中から取り出して容器に開けられるご飯とカレー。命のやり取りを終えたあと、束の間のひと時が心に平穏を与えてくれる。良太と六助は2人隣あって、食べる前に合掌をする。
「合掌。」
「いただきます!」
これを食べ終わったあとにはとりあえず歩哨は下番出来るしひとまずゆっくりは出来そうだと思いながら、良太は隣で美味しそうにカレーを食べる六助を見る。...戦国時代の子供っていうのは、たくましいんだなと思いながらふと思い出し、腰回りのダンプポーチに手を入れる。何かを探している仕草を見て、六助も手を止めた。
「良太兄ちゃん?」
「....はい、デザート。」
「?...でざーと?」
「あとで食べてくれ、キャラメルだ。」
目をキラキラさせる可愛らしい六助を見て、良太は心なしか癒される気がした。...そしてこの場に、戦闘中であるにも関わらず、六助が何故来たのかも聞こうと、一旦手を止める。
「六助。...お前、怖くなかったのか?」
「えっ?」
「戦っている最中、...俺のすぐ近くにいただろ?」
「.....なんでかな?....わからないや。だけど、良太兄ちゃんが...。兄ちゃんが近くにいると、...ちょっと安心する気がする。それに、鉄砲の音が気になったから、撃ってるとこ見てみたかったし。」
「....そうか。」
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北条家、屋敷にて....
「若様、氏政様。富士丸、ただいま帰参して御座います。」
密室にて忍びの帰りを待つ氏直と氏政の2人の下へ、1人の少年が音もなく襖を開けて入って来た。忍びの名前を富士丸と言う、まだ少年の見かけにもよらず巧みな身のこなしやその忍びとしてのスキルも氏政や氏直、その家臣達から一目置かれている存在である。
「よく帰った、待っておったぞ。」
「はっ。...御命令の、自衛隊の監視の任で御座いますが。偶然にも野盗が村を襲撃したもので。その経過をお伝え致します。」
「ふむ.....聞かせよ。」