戦国自衛隊 小田原の戦い   作:佐藤練也

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第15話

...小田原城から支援物資が届いた。約束通り家臣から米や味噌など、その他の食品、合わせるとかなりの量だ。米に至っては現代ではあまり見られなくなった米俵が山なりに台車に載せられ家臣達により村へと運ばれていく。その一団を取り仕切るのは北条家家臣、大道寺政繁である。

 

 

「伊庭殿、此度はまた野盗を蹴散らしたと殿からお聞きしましたぞ。」

 

「いえ。我々は、当然なことをしたまで...世話していただいている村の方々を、輩からお守りしたまでのこと。恩義には報いなければなりません。」

 

 

「ははは。やはり殿の言う通り、仁義に熱く芯の通ったお方ですなぁ伊庭殿は!この戦国乱世において我らの民の光となりましょう。」

 

 

「大袈裟です、大道寺殿。」

 

 

笑顔で問答打つ、伊庭と大道寺。そこへ子供達が数名やって来ては2人に挨拶をする。元気の良いのは良いことと思うが早いか、大道寺はしゃがみながら子供達とも会話を始めた。

 

 

「はははっ!童は元気が良いのが一番じゃ、して!元気かお前たち!」

 

 

「お侍さま!はい!元気です!」

 

 

そこへ村長もやって来て、村人数名に荷を蔵へ入れるように指示を出しながら大道寺へと感謝を述べつつ頭を下げた。

 

 

 

「ありがとうございます!お侍様!これでしばらくの間、持ち堪えられます!」

 

 

「うむ。御礼なら、こちらにおられる伊庭殿に申すが良い。しかしお主も難儀であったな。幾度となく野盗に苦しめられるとは....。」

 

 

「いえ、滅相もない。全てお侍様方、伊庭様方のおかげこそ...。」

 

 

 

伊庭はこの時代でも、自らの力は、部下達の力は確実に発揮されていると確信した。平和な時でも、有事でもだ。自らの指示がなくとも現に隊員達は率先して物資の運搬を行ってくれてるあたり、もはや村の住人と言っても良いだろう。隊員と村人の和が保たれている。

 

 

「こらっ!」

 

 

「あははっ!良太兄ちゃんー!」

 

 

 

何か騒がしい様子。その方へ目をやれば、1人の自衛官が村の子供達と共に戯れている様子が目に映る。微笑ましい光景だ。伊庭は苦笑いを浮かべつつも、それはさながら保護者、親御のような気分であろう。大道寺や村長も笑顔が絶えない。乱世の中とは思えぬ平和な瞬間を、自らも噛み締める。

 

 

 

「我々も、この村の方々に。そして北条の方々に迎えられること、嬉しく思います。」

 

 

「左様でござるか....。それより伊庭殿、近々殿を筆頭に我等家臣の内にて軍議を開く予定。伊庭殿もそこへ御参加いただきたいと、殿は仰せにござる。」

 

 

「...きたる、豊臣方との戦ですな?」

 

 

「如何にも。」

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