村の野営地にて良太と六助、小五郎達は輪を作って何かをしているようだ。子供達は良太を中心に、何かを熱心に勉強をしている様子。それを遠巻きから見るのは進であった。
「...子供に射撃教えてるよ。」
「アイツもいよいよ本格的に教える立場だってことを理解し始めたか。」
進の隣に腰を屈める浩二。小田原城からの貢物を村人と共に運ぶ作業を終え、タバコを吹かし進と一緒に良太や六助達の様子を見守る。この時代に来たばかりに、良太が決して変なことをしないよう目を光らせていた2人だが。時の流れは、その時点で違う方へ流れを変えていた。歴史という存在が、戦国時代への自衛隊という存在の介入を良しとしたという確信はまだ100%持てない。しかし、全員が全員、村人への恩義という自ら感じた気持ちから導き出した"正しい行い"のおかげで、今のところこの時代で迷いなく行動を起こせている。浩二はこの時思った。中途半端な行動が、歴史に埋もれる一番の原因となり存在が抹消されてしまうのだと。積極的にこの時代の人間と交流を交える良太を見て、彼は...今回の一連の出来事が歴史の気まぐれな遊びではなくこの戦国で如何にこの面々が生き死んでいくのかを、見る為に俺たちをこの時代に寄越したに違いないのだと。
「いいことじゃないか。こういうのんびりとした時でもなければ、ああいう風に穏やかに教えることもままならん。」
「まだ9歳や10歳そこらだぜ?アイツら。」
「それでも野盗に親を殺された身だ。仇を討ちたい、仇を討たなくとも自分が殺されないように力を付けるに越したことはない。良太はその手助けをしているに過ぎん。...それにな。あの子らの顔、見ろ。だんだんと元気になっているようだ。」
良太に射撃姿勢のイロハを教わる六助や小五郎達、それを見れば皆真剣な表情の中にも活き活きとした何かを感じる。良太は自然と子供達に見えないものを育んでいるというのか。
「それから、進。お前も最近絡みがあったんじゃないか?お前も気に入られたようだなこの時代に。」
「時代に気に入られるって....愛想尽かされたら大変だよ。」
浩二も、もはやだいたいのことは抑えたらしい。自衛隊の面々はこれからこの相模国大住郡より、この時代へ更に干渉をすることとなる。
「近いうちに軍議も開かれるという噂だ。伊庭3佐が小田原城に出立し、そこでの軍議の結果で俺たちがここを動くかそうでないかが決まる。」
「..,。ゆっくりするのも今のうちか。」
「ああ。だからこそ...。やりたいことをやっておくんだ、アイツのようにな。」