戦国自衛隊 小田原の戦い   作:佐藤練也

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第18話

数ヶ月が経ち、48連隊第1中隊の野営地に朝が訪れた。隊員達は変わらず村人達と朝の挨拶を交わすことから始まり、そこから昨日に下達された通りの段取りを始める。...ことの経緯はこうである。

 

ーーーーーー

 

 

相模国 小田原城天守閣

 

 

北条氏直、を筆頭に、先代城主氏政。そして家臣。北条氏照、千葉直重、佐野氏忠、北条氏光などが一同に立会いの下、軍議を開くところであった。そこへ家臣の1人、大道寺政繁が伊庭を伴い、軍議へと参列した。

 

 

 

「此度、皆に集まってもらったのは、他でもなく。近いうちに行われる豊臣方との間にて行われるであろう、戦に備える為じゃ。此度の戦、我等の思う事、以上に熾烈を極めることとなると覚悟の上、事に臨んでもらう!よいかっ!!」

 

 

「ははぁっ!!」

 

 

 

そこから軍議は始まり、順を追って家臣等が情報共有を図る。そこは伊庭も多いに助かったことだろう。万が一に備え15歳から70歳の男子を対象に兵を募り、大砲鋳造のために寺の鐘を供出させたこと、それから箱根の山岳地帯、要となる八王子城、山中城、韮山城を含む要害の増強、小田原城の増強などを実施中という点。北条方も備えは盤石であった。それを容易く蹴散らす精鋭豊臣20万の軍勢は、やはり強敵であろう。伊庭は耳をかっほじる想いで、軍議に参加していたその最中にもまだ紹介が及んでいない面々からその都度浴びせられる鋭い視線に動じる様子はなく、平静を崩すことなく一指揮官の担力を示す。そこで軍議の内容は一時合戦の話を交えつつ、一同は新たに加勢する勢力。陸上自衛隊についての話に耳を傾けることとなった。

 

 

「皆の中にも承知の者もいることだろうが、ここで改めて皆に伝えるべき由がある。此度の戦を勝ちに導くに無くてはならぬと言っても良い、御仁がおる。伊庭殿。」

 

 

「はい。」

 

 

氏直の声に応える伊庭の顔は、まさに武士のそれと変わらぬものとなりつつある。伊庭は毅然とした姿勢と視線にて、一同に向かい言う。

 

 

 

「氏直殿より、過分なる紹介を承り恐縮です。...陸上自衛隊東部方面隊東部方面混成団、第48普通科連隊第1中隊、中隊長の伊庭晶と申します。此度の相模国にて行われる豊臣方との戦、氏直殿、ひいてはこの場に参上いただいた諸侯の方々と共に、この国の民を護るという気概にて臨む所存。」

 

 

 

粛々と述べる伊庭に、集う将の顔はどれも真剣そのものである。

 

 

 

「私を含め、配下の者共一同。出し惜しみは致しませぬ。この相模国にて、恩義を賜りました故。」

 

 

「それはどの様な恩じゃ。」

 

 

 

そこへ氏政の弟、氏照が鋭く問いかける。臆することなく伊庭は答えた。

 

 

「先の世から来たという我々の一語一句を戯言と思わず行き場の無い身分を知った上匿って下さった、心優しい方々の御厚意に報いるべく。それを踏み躙らんと迫る豊臣勢を蹴散らしてご覧にいれます。」

 

 

今この瞬間、陸上自衛隊一個中隊の戦力が、北条方へ加わった歴史的な瞬間が実現したのである。

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