「何?」
...今この少年から聞いた言葉に耳を傾ける氏直。聞き返すや、六助は続けて国主の耳へ言葉を送り届けた。
「オラ。先の世のお役人様にいっぱい、色々教えてもらって...。そのお役人様は、この国やみんなの為に戦に行くって言ってた!そのお手伝いをオラもしたい!」
「小童...よいか。此度は遊びではない。戦なのだ。」
純粋な気持ちを言ったところで、である。いくら万が一の場合を考え領民を徴兵していると言え、このような幼い少年をも戦に駆り出すことは、氏直は考えてもいなかった。
「お主の手には負えぬ。死に急ぐな。」
「お願いします!...オラ、守られてばかりじゃなく戦いたいんです!」
「「「お願いしますっ!」」」
......気付けば、六助の後ろには数多くの子供達がいた。どの子達を見ても皆真剣な面持ち、彼と同じくらいの子供が背中や手に89式小銃と弾倉を携えながらその場にて氏直へ熱意の籠った視線を向けていた。それには付き従う家臣の武将達も、偽りなきものか視線を注ぐ。それでも六助達の決意は揺らがないようだ。
「....お主等、歳はいくつじゃ。」
「皆、9つか10歳程です。」
「親はおるのか?」
「いえ、...いません。病や戦、...それから野盗に...。殿様、俺たち六助の言うように戦いたい!お父やお母がいなくなった後、面倒見てくれた村のみんなを守りたい!」
「.....。」
小五郎の言葉に、しばし考える氏直。子供まで戦に駆り出すのは忍び無い、しかし確かに現状兵力が足りていない5万の軍勢を以って籠城するにしても、相手はその4倍の軍勢を率いる豊臣秀吉だ。...しばしの沈黙の後氏直は答えた。
「あいわかった....。...お主等の気持ち、しかと受け止めたぞ。」
「....!ありがとうございます!!」
その場には伊庭の姿もあり、氏直の傍らにて子供達の喜ぶ姿を見ていた。やはりまだ幼い、伊庭の目から見ても彼等がまだ戦に向かうには早過ぎることは明らかだった。しかし、だからこそこの溢れる熱意をいたずらに否定することも違うような気もする。それに彼は、自分の部下である佐々木士長と共に子供達が訓練を積んでいる姿を幾度も目にしている、故になおさらその気持ちが強いのだろうと納得している部分もあった。...戦闘帽のつばを深く被る伊庭の視線は、子供達へ向け...次いで氏直へと向ける。
「伊庭殿...お主には我が領民の命は幾度も救われておる。...ゆえにじゃ。」
「....?」