そこから更に数ヶ月が経過...。北条方の山城は、第1中隊が駐屯する山中城、八王子城を始めとし、残りわずかに迫った豊臣方との戦に備えて急ピッチにて築城作業は進められていた。一番先に戦火に見舞われることとなる山中城には現在約4000名の守備兵が駐屯しており、築城、警備の任に就いていた。軍議にもその顔を見せていた山中城の城主、松田康長は敵方を睨む。
「来るなら来るがいい、我らが相模国を貴様等に取らせはせぬわっ!」
山中城に配備されている兵力の中にも第1中隊の隊員も含まれていた。60mm迫撃砲2門、84mm無反動砲1門、予備弾薬をヘリによるピストン輸送にて迅速な段取りを実施した。それが出来ることは、この戦国時代においてはかなりの強みになる。更に図らずも途中から合流した2輌の戦車、74式戦車と61式戦車という心強い味方も、陣に控えているのだ。
「さて...。次はいつ始まるか...だな。」
敵が現出するであろう方向へ向けて、無反動砲の砲門を向けながら3等陸曹根室正平はポツリと呟いた。
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「.....。」
主力を三分する形となった48連隊1中隊は、主要防衛ラインを西の山中、北は八王子とに定めた。南の下田に関しては敢えて守備に手を加えず山側の守りを堅牢にする構えであった。野戦築城に専念する佐藤浩二2等陸曹の頭には、もはや八王子に配置されたことで討ち死にする覚悟の上でこの場に臨んでいる。北条方が皆殺しになった山城だ、凄惨な戦いになるに違いない。
「...よし。」
浩二の現在実施している作業というのは、地雷の埋設である。史実通りならばこの彼が今いる地域...小宮曲輪は越後の上杉勢の奇襲を受け、更に金子曲輪、松木曲輪から押し寄せた前田勢の攻撃により陥落....そしてその先に待つのは....。
一族郎党、総撫で斬りである。
「豊臣方に容赦はいらん...か。」
最後の地雷の埋設と共に、額の汗を手拭いで拭う。まだ血に染まらない八王子城は史実のそれ以上に堅牢な守りを構えていた。最後に重要な立て札を地雷原地域の前に突き立て、安全管理もバッチリである。
"『この先、地雷原につき入るべからず。』"
「それから.....、おい。ちょっと手伝ってくれ。」
近くにいた北条方の守備兵や自衛官を捕まえて次に取り掛かる作業は、かなり大掛かりなものだった。対戦車地雷を先程構築した地雷原と間隔を空けてそのまま敷設し始め..,.さらにそこへ地雷原処理に用いられる為の爆索を設置したのである。攻め込んでくる上杉勢は、最初地雷原で悲鳴を上げながら突撃してくる、更にその後に追い討ちをかけるが如く凄惨な攻撃が待っているのだ。攻めれば攻めるほど、自らを窮地に追いやる策略を浩二は考えたのである。今自分達が設置しているものを、足軽達は何も知らずに運び、そして曲輪に置く作業を繰り返している。...これだけの対人地雷と対戦車地雷だ、きっと地形が変わるほどの威力に違いない。
「これは、なんじゃ?」
「豊臣方が一番嫌がる罠さ。多分な。」
史実で撫で斬りをやってのける奴等に目に物見せてやる。浩二はこの作業に、力を注いだ。