戦国自衛隊 小田原の戦い   作:佐藤練也

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第28話

櫓から敵方が来ると思われる方角を監視する、1人の隊員。正平は双眼鏡越しに起伏の激しい箱根に開かれた箱根路の彼方...そこからやってくるであろう豊臣軍を待ち構えていた。...だが戦はもう少し待ってからのこと。

 

 

「...まだ来ないか。」

 

「なあ、おめぇ。それを覗くと、そんなみえるだか?」

 

「ああ。試しに覗くといい。」

 

「どれどれ...。」

 

 

 

一緒に櫓にて番をする足軽と話を交えながら、自身が持っている双眼鏡を手渡して見せてみる。

 

 

「ほほあぁぁ.....。えらく近くに見えるぞお!」

 

 

「....問題は...一回きりで倒せるかだな...。」

 

 

 

敵は22万のうち、7万の大軍で押し寄せる波の如く勢いで山中城を取りに来る。それに対しこちらは4000。守る側とはいえ、戦力からして差があるのは明らかだ。しかもその上敵を食い止める上で要となる、戦車の身動きが中々取りづらい地域だ。74式戦車の車幅は3.18m、61式戦車は2.95m。どちらの幅を見ても容易に当時の山道を通れるものではない。61の操縦士、望月3曹は落胆の表情を見せた。

 

 

「文字通り、ここが棺桶みたいになっちまうのかぁぁ....。」

 

 

険しく聳える箱根の山々を見ながら、望月は言う。敵の関所の前からこちら側まで辿り着けたのは奇跡だが、せいぜいそこの間を行き来出来るくらいだろう。仮に抜け出すことができたとしても、戦車を動かす為の軽油が手に入らないようじゃ状況は好転しない。

 

 

 

「とりあえず、まずは豊臣秀吉をやっつけないことには俺たちは生きてはいけないわけだ。」

 

 

 

砲塔の上から敵方を見渡す菊池曹長を見て、望月は深くため息を吐くのだった。

 

 

----------------

 

 

惣無事令。豊臣秀吉が発した施策で、大名同士の争いを禁止する上にそれらを自らの掌握下に置くことの出来る。秀吉が天下を治めることの足掛かりにしたものだが、それに従わない相模国、北条に対し上洛の指示を出す書面を送るがそれを断り、ただでさえ大名同士の争いを禁じているのにも関わらず、上野国沼田領において名胡桃城を乗っ取る事件が発生し、それがいよいよ秀吉の怒りに触れた。

 

 

 

「国境を越えよ...。北条を討つのじゃ!」

 

 

「御意!」

 

 

----------------

 

 

 

「いよいよ青筋を立てよったなぁ、あの猿め。」

 

 

みみずが這ったような文字の羅列が記される書簡に目を通す伊庭だったが、氏直に渡された後に見ても何が書いてあるのかちんぷんかんぷんである。とにかく読み解ける部分があったので読んでいくと...。

 

 

"小田原へ向け兵を差し向ける"

 

 

とのことであった。

 

 

 

「来るか...撫で斬り猿。」

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