MCUに磁界王として転生してしまったんだけど?   作:くろむす

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めちゃくちゃ遅くなりました…そしてめちゃくちゃ家で寝るだけの生活続けていました。終電逃して同僚宅に泊まるのもうアカン。。。

エクストリミスって高温を発生させるんなら金属とかしちゃいそうだけど、アーマーはすぐに溶かせなかったのである程度厚さがあれば行けそうかな??


アイアンマン3編 前編

―――昔、ある著名人が言った”人は自ら悪魔を創る”と。

著名人が言ったから私も言ってみた。これで二人の著名人が言った言葉になる…

私は…最初から話そう。物語の初めから。

 

 

 

 

1999年のスイス ベルンの夜。インセン、ウー博士。のちにスタークに関わる人々との一瞬の邂逅。そしてマヤ・ハンセンとキリアン。果たされなかったキリアンとの約束と、ハンセンの研究。仕組まれた運命のように一夜にして絡まってしまった3人の因縁は、13年後アイアンマンとなったスタークに新たな戦いを呼び込むこととなる。

カリフォルニア州マリブのスターク邸で、スタークがマーク42のテストを終えてテレビをつけている頃。

マリブに用意された仮の住まいで、カフェで買ってきたコーヒーを飲みながらテレビを見ていたエリック・レーンシャーもまた、突然の電波ジャックを目撃した一人になっていた。

 

「マンダリン?」

 

テロのニュースが飛び交う中、エリックはテーブルに置いてあった連絡用に渡されている端末を手に取る。スタークやその関係者からの連絡がないことを確認して連絡先からスタークのアドレスをタップする。目を離した間にテレビではアイアンパトリオットの映像が流れているようだが、今は雇用主への確認が先だ。

エリックが端末からスタークの連絡先を呼び出すより早く、操作していた端末が鳴る。

 

「やぁ、ホーガン。今スターク氏に連絡しようと思っていたところだ」

「レーンシャーさん、トニーには私から連絡するので、話を聞いてほしい」

「うん…?」

 

あくまで雇用主はトニー・スタークなのだが、ホーガン…ハッピーにも常日頃世話になっている自覚のあるエリックは迷った。今この時間ならスタークはペッパー・ポッツと一緒だろうか?自分の勤務時間でもなし、急いで連絡する必要はあるのか?

マンダリンの問題はアメリカの問題であり、ヒーローとして正体を公表しているスタークは関わらざるを得ないだろうが、しかし今すぐにマンダリンの棲家に突撃する訳でもなし。

出した結論は、ハッピーの話を聞くことだった。

 

「わかった、それでなんの相談だ?」

「先ほどのニュースを見ていたなら、予想はできると思うがトニーは必ず関わろうとするだろう。だがあなたもわかっていると思うが最近の…ニューヨーク以来トニーの様子がおかしい。ボディガードにあなたを雇ってはいるが、いざというときにあなたがそばいない可能性だって無いわけではない」

「そうだな、ホーガン。君の言う通りだ、が、スターク氏だってアイアンマンとして今まで戦ってきたヒーローなんだろう?俺がいないときに、例えばミサイルを撃ち込まれたとしても、スターク氏が簡単にやられるとも思えないが」

「ああ、そうだ。あの人は今やヒーローだ。だが無敵でもなければ不死身でもない。私が今護衛しているのはペッパーさんでトニーの護衛はあなただ。嫌な予感がする…心配性だと思うかもしれないが…あぁうまく言えないがヤバイ気がするんだ」

「いや、そうだな。わかるよ、人間の直感は侮れないものだ。俺も今のニュースで嫌なものを感じた。ただのテロリストというのは簡単だが、今のスターク氏の様子を鑑みるに用心に越したことはない」

 

そう同意すれば、少し弾んだ声が返ってくる。正直な話、エリックからすればマンダリンは良くいる自己顕示欲の強いただのテロリストという印象でしかない。しかしハッピーの言うようにスタークの様子が気がかりだった。

未だかつてない絶不調の今、なるべくトラブルは避けるべきだろう。

 

「何かあれば連絡する。スターク氏の方は任せてもらっていい」

 

 

 

 

 

 

「なに?出勤?いやその必要はない」

 

次の日エリックがスタークに、休みの予定だったが出勤するかどうか伺いの連絡を取ったところ返ってきたのは実にあっけらかんとしたNOの返事だった。

 

「今日は先約があってね。アイアンパトリオットの彼と会ってくる。夜はペッパーも来るし、君の出勤は予定通り明日で構わない」

「なるほど、そういうことなら明日行ったときに話そう」

「マンダリン?」

 

エリックがyesと答えればスタークは軽く笑って、すぐにマンダリンなんて名前聞かなくなると答えた。

スタークも気にはなっても、所詮人間のテロリスト程度の認識なのだろう。宇宙人やらを相手にしていたのだし、今更感があるのかもしれない。

そうエリックは考え無理に行くことはないと思い直す。

 

「じゃあ出かける支度がある、また明日会おう」

「ああ、何かあれば連絡を」

 

スタークとの通話が切れるといよいよエリックも手持無沙汰になった。今日はもう出勤するつもりでいたので、予定など何も考えていなかったのだ。

マリブの街に出るか考えたが休みなのだし今の仮住まいでゆっくりするのもいいだろうと結論を出し、能力を使いキッチンに置きっぱなしにしていたコーヒーを手元に移動させる。

そして、手近にあった読みかけの雑誌を開く。スポーツの雑誌だったようで、特に興味のわかない内容が綴られているが、暇つぶしくらいには役に立つ。

ベースボール選手のインタビューを読みながら、エリックはそういえばと、たまに想像する家族のことを考え始めていた。

息子は今何をしているのか。もしかしたらベースボールが好きかもしれない。そこそこ自分もできるだろうが、若いころから鉄の球を投げる方が得意だったと考え思わず苦笑いを浮かべる。

何事もなくテレビを見て、簡単な料理を作り昼を終え、たまに端末を確認しても連絡がないので、さてこのまま一日は何事もなく終わるだろうと、エリックが思い始めたのは日が落ちてきた頃だった。

夜は外に出て何か食べるか、買うかするかと思考を巡らせていたエリックの端末が音を立てる。

一瞬にして手元に引き寄せた端末の通話ボタンを押せば、昨夜話したばかりのハッピーの固い声が聞こえてきた。

 

「レーンシャーさん、頼みがある。今夜は私の護衛についてきてくれないだろうか」

 

逡巡するのはほんの一時の間で、エリックはその頼みを引き受けると、いつものコートを片手に部屋を出る。

指定された街までは時間がかかるが、おそらくマリブからでもハッピーと待ち合わせた時間に間に合う範囲のはずだ。

 

「急ぐがひとつ条件がある。ベルトでもなんでもいいが金属を多く身に着けていてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

トニーのボディガードである、エリック・レーンシャーに連絡を取ったものの、ハッピーに待つ時間はなかった。キリアンの部下を調べ、後をつけていたら何やら様子がおかしい。

手に持ったケースに誰かを待っているかのような素振り。おそらく取引か何かだろうとあたりをつけたハッピーが人の波に交じり、様子を窺う。

エリックに連絡を取ったのは、ハッピー曰く、嫌な予感がしたからだ。エリックがいるのはマリブだし、間に合わない可能性の方が高い。トニーが専属で雇う彼が何やらすごいパワーを持っているのは知らされていたが、それがどういったパワーなのかわからないハッピーからしてみれば、何かあった時の保険だった。

トニーの近くから彼を引き離すのは少し不安があったが、これで何か掴むことができればポッツやトニーにとってもプラスになるだろう。

いよいよキリアンの部下が動いたのは、エリックに連絡を取ってから一時間程度だろうか、過ぎた時だった。

精悍だが、どこか覇気のない男性とキリアンの部下は簡単なやり取りをして、そのまま男性にスーツケースを渡し離れていく。

 

(今だ…!)

 

鏡ごしにそのやりとりを確認したハッピーが男性に近づき、偶然を装いぶつかると体格の大きなハッピーとぶつかった男性は派手によろけてスーツケースを取り落とす。

 

「おっと失礼」

 

地面に落下したスーツケースが衝撃で開き、中から何か金属のようなものが散らばった。ハッピーは男性が気づかないようその中の一つをくすねその場を立ち去ろうとする。

だが、今度はそんなハッピーに誰かがぶつかった。ハッとしたハッピーが衝撃のまま振り向けばそこには、その場を去ったはずのキリアンの部下の姿があった。

 

「よぉ!あんたか、こんな夜に一人何をしている?これからデートでも?」

「ああ、パーティはおしまいって映画を見に行くんだ。主役はお前たち、これがチケット」

 

ハッピーが掲げた金属の何かを見た、キリアンの部下の顔色が変わる。「それはお前のじゃない」短く吐き捨ててハッピーの手から奪おうと手を伸ばすが、ハッピーがかわす方が早い。

一瞬のにらみ合いののち、動いたのはハッピーだった。切れのあるジャブが男の顔を狙うが一発目は軽く避けられる。フェイントを入れ二発目を頬に叩き込んだが、ハッピーの予想に反して男がダメージを受けた気配はない。

 

「⁉」

 

数歩よろけただけで、すぐに体勢を立て直した…いや、よろけたのも演技だったのか、ハッピーの方に顔を上げた男の頬は赤く光りを帯びていた。軽く笑った男の頬の光が収まると、そこにあるはずのハッピーが殴った痕は完全に消えている。

何事もなかったかのように、立っている男に殴ったハッピーが困惑に引きつった表情のまま硬直する。しかし足元から駆け上がってくる得体のしれない不気味な寒気に今度は大振りに拳を突き出す。男をとらえるはずだったハッピーの拳が、悠々と避けた男の横を通り過ぎる。

そしてその勢いのままハッピーの腕を掴むと、男は力任せに腕をねじり上げ大柄なハッピーを軽々と投げ飛ばす。

声もでないまま宙を舞うハッピーだったが、ガラスを突き破る直前に重力に逆らって体が宙に再び引き上げられた。

 

「ぐっ⁉」

 

頭を大きく揺さぶられたが、落下の衝撃がないことに恐る恐る目をあければ、宙に浮いた自分とそれを悲鳴交じりに見上げる一般人の群れ。

離れたところで目を見開いていたキリアンの部下が正気に戻り、ハッピーの方へ走りこんでくる。仰向けのまま宙に浮いたため、頭がガクンとのけぞり、天地が逆さになった状態でそれを視界に収めたハッピーが焦りに身をよじった。

 

「間に合ったな、先にパーティを始めているとは…いや予想通りか」

 

かなり飛ばしてきたが、途中捕まらなかったのは運がよかった。そう言って笑うエリックの姿が足元にあったのに気づいたハッピーが「レーンシャーさん⁉」とひっくりかえった声を上げる。

宙に浮いたハッピーの横に並んだエリックが手を向ければ、眼前に迫っていた男の体が急に後ろに吹っ飛んだ。人のいなかった出店に突っ込んだ男に驚いたハッピーが、エリックと吹っ飛んで姿の見えなくなったキリアンの部下を見比べるように顔をきょろきょろさせていた。

そんなハッピーをゆっくり地面に下ろしながらエリックが声をかける。

 

「それで、あれがあなたの敵か?」

「わからないが、おそらくトニーの敵だ、…キリアンの側近で名前は確かサヴィン」

 

なるほど。とつぶやいたエリックが再び手をかざす。近くの車や出店に使われていた鉄材が次々と宙に浮く様を見て周りの人々が悲鳴を上げて広場から逃げ去っていく。

 

「レーンシャーさん!」

「逃げてくれると助かるな、派手にできる」

 

混乱しながら逃げる市民を見て思わず非難の声を上げるハッピーに薄い笑みを敷いたまま答えると、エリックはそれをキリアンの側近…サヴィンに向けていつでも落とせるよう待機させる。

広場にはエリックとハッピー、出店に埋もれたサヴィンのみ…いや、もう一人の姿が現れる。人が逃げ去ったあと、座り込んでサヴィンから受け取った金属の吸入器のようなものから何かを吸い上げる男性が一人。

 

「あれは…!」

 

ハッピーが気づき身構えると同時に男性の体が赤く光りだした。いや違う、先ほどもなにか頬が光っていたような気もする。

 

「助けて…!助けてく、れ…‼」

 

体中から赤い光を放ち始めた男性が助けてくれと懇願の声を上げる。エリックも意識を一瞬そちらに持っていかれた。しかし注意をそらした一瞬で、サヴィンの埋もれていたはずの崩れた出店が赤く光り覆いかぶさっていた木片がはじけ飛んだ。

 

「!」

 

再びサヴィンの方へ視線を向け、一気に空中に待機させていた車を叩き落す。その間にも助けてくれと懇願する男の声が聞こえていたが、それよりサヴィンの方だ。もう一方の手をかざし、サヴィンを引っ張り出そうとするが手ごたえがないことに気づく。

先ほどは反応したサヴィンの身に着けていた金属が反応しない。仕方なく宙に浮かせたままだった鉄材を追加でくれてやろうとエリックが身構えたその時。

 

「レーンシャーさん!何か…!!!」

 

おかしい。そういうつもりだったのかハッピーが焦りも濃くエリックに向き直った。

しかしハッピーの言葉よりはやく、助けを求めていた男性の体がさらに強く光りだした。あたかも弾ける前の恒星のように。

エリックができたことはまだ近くに止めてあった車をハッピーと自分の前に引き寄せることだけだった。

間に合ったかどうか確認できないまま、強い衝撃と熱を感じた瞬間車ごと吹き飛ばされ、エリックの意識はぶつんと途切れた。

広場全体を吹き飛ばすほど大きな爆発は、人間が起こしたものだった。その爆発を起こした張本人は、爆発と一緒に吹き飛んだが。

広場から逃げた人々が今度は大きな爆発に新たな悲鳴をあげ、付近にいた人々も逃げまどい、運悪く被害を受けた建物も一部は吹き飛び、崩れひどい様相を呈していた。

 

「………ッ⁉」

 

車と共に吹き飛ばされたエリックが意識を取り戻した頃、あたり一面は炎と煙、瓦礫にまみれ、まるで戦場の…いつかのニューヨークのようだった。意識を飛ばしていたのは数分のようだったが、すでに周りに人の姿も、何店舗かあった出店の形も残っていない。

幸い大きなケガがないだけ幸運だったのだろう。上体をなんとか起こしながらあたりを見回せば、近くで倒れているハッピーの姿がある。薄く目を開け周囲を見回しているので命は助かったようだ。

安堵の息をついたエリックだったが、遠いところの瓦礫が崩れ、寄りかかるように身を起こした男の姿に愕然と目を見開いた。

赤く光る足で広場の外に向かってよたよた歩く男は、徐々にその姿勢を正していく。修復されている。肉体が…!

その様を見たハッピーもまた驚愕に顔を引きつらせて息を荒くしている。

 

「…ミュータント…」

 

吐き出すように零れ落ちたエリックの言葉はハッピーの耳には届いていなかったようだ。

近づいてくる消防と救急車の音を聞きながら、エリックとハッピーは去っていくサヴィンの姿を見送るしかなかった。

 

 

 




サヴァンの名前はエリックっていうそうで。因縁は作るもの…!

トニーはマンダリンがアイアンマン1のテロ組織のボスって知ってるんだろうけど、エリックはその因縁も知らないので、ただのテロ組織っていう印象しかなかったんです。
人間爆弾で吹っ飛ばされるまでは。

映画のマグニートーなら二人同時に処理(相手は死ぬ)くらいどうとでもできるだろうけど、このエリックはナチ狩りもしてなければ、今まで戦闘らしい戦闘なんてニューヨークまでしたことないので、実際の経験値はすごく少ないんじゃないかなということで、こうなりました。

ひとまず書けるとこまで書いたので後から直したり、追加したりしたいと思います(スヤァ

クイックシルバーですが、X-MENのピーターかMCUのピエトロかどちらがいいでしょう…

  • X-MENのピーター
  • MCUのピエトロ

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