「くっ!」
俺は、咄嗟にアナザークウガの噛みつきを阻止する。
映画ほどの大きさではないけどやはりオリジナルである仮面ライダークウガを歪めたような姿は何とも凶悪に感じる。
『グアアアァアア!!』
こんな時に光学迷彩が解けたのは何とも不運なものだ。アナザーライダーは確か同じライダーの力でしか倒せない。関係なく倒すことができるジオウライドウォッチⅡはまだ手に入っていない・・・・となると優先的にクウガライドウォッチを装填してアーマータイムを使えばいい。幸い初期のウォッチの中にクウガライドウォッチもカウントされていたため、俺はアナザークウガの攻撃を回避しながらクウガウォッチを手に取り、起動させた。
<クウガ!>
『ゴシャアアアァァァア!!』
「うおっ!?」
次の瞬間、アナザークウガの爪が俺の前に伸び、クウガウォッチを危うく手放しそうになった。
「あぶねぇ・・・・・」
俺は距離を取り直してジクウドライバーの左側にクウガウォッチを装填し、ボタンを押して回転させる。
<ライダータイム!>
<仮面ライダー、ジオウ!!>
<アーマータイム!>
俺の目の前にかつてTVで見たクウガの巨大なマークが現れると同時にクウガアーマーが出現する。
<キュィン、キュィイン、キュイ、キュィイン・・・・・・・・クウガァ!>
炎に燃えながら音声に合わせてアーマーが分解し、体に装着されて顔の文字は「クウガ」へと変わり、俺は「仮面ライダージオウ クウガアーマー」へとなる。
このアーマーには仮面ライダークウガ マイティフォームの力が宿っており、アナザークウガに対しても十分な効果がある。
「待っててくれよ、織斑一夏。すぐに元に姿に戻してやるからな!」
『ダマレェェエエ!!』
正気を失っているのかアナザークウガは、口を開きながら俺に向かってくる。俺は落ち着いて構えを取り、彼の攻撃を受け流しながらカウンターを喰らわせる。
「ハッ!」
『グッ!?』
今まで自分と同じ力を持った相手と戦ったことがなかったのかアナザークウガは、俺の攻撃を諸に受けて僅かならが怯む。
「アナザークウガと言えば映画では強敵だったからどうしようかと思ったけど・・・・・なんか行ける気がする!」
『ホザケェエエエエエ!!』
アナザークウガは俺に向かって回し蹴りを披露するが俺は態勢を低くして身を躱す。
『オマエハ誰ダァアアアア!!オ前モ、オレニ食イ殺サレタイノカァアアアア!!』
「!?」
俺は目の前のアナザークウガの変化に驚く。
アナザークウガは地下の鉄パイプを捥ぎ取り、そのパイプを禍々しい大剣へと変化させたのだ。
「あれは・・・・まさかタイタンソード!?」
形状が原作である仮面ライダークウガに出てきた強敵 ゴ・ガドル・バ剛力体が使用していたガドルソードに近いが装飾は僅かながらオリジナルに近い。
『シネ!』
アナザークウガは目を紫へと変化させ、赤い体色は紫と黒に近い濁った灰色と変わる。
「くっ!間に合わない!」
<ジカンギレード!>
俺はジカンギレードでガードするがタイタンフォームに変化した影響なのか凄まじい力が体にかかる。
『シネ!シネ死ネ、死ネ、死ネ、シネ!!オレヲ、コンナ姿ニシタ奴モ、オレヲバカニシタ奴ラモ、ミンナ、シネ!!』
「まずい・・・・・完全に自分を見失いかけている・・・・・」
何とか態勢を整え直さなくては。
このままだと力押しで負ける。
だが、体勢を立て直そうにもアナザークウガ タイタンフォームのパワーの目の前には流石に同じ力を持つクウガアーマーでも対処しきれない。俺は攻撃を耐えるのがやっとで叩きつけられるたびに床にめり込んでいく。
「やば・・・・・流石にこれ以上は・・・・・・・」
<ゴリラ!>
<ダイヤモンド!>
<ベストマッチ!>
その時だった。
少し離れたところから聞き覚えのある電子音が聞こえた。
音が聞こえた方を見るとそこには篠ノ之束の姿があった。
でも、どういうわけか腰にはビルドドライバーが装着されている。
「ごめんねいっくん。悪いけど少し動けなくするからね。」
<Are you ready?>
彼女の周囲にはスナップライドホルダーが出現していた。
「変身!」
同時に彼女にハーフボディが合わさり、仮面ライダービルド ゴリラモンドフォームへとなった。
<輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ!>
「はああああ!!!」
ビルドへと変身を終えた束は、俺に攻撃しているアナザークウガに向かってゴリラハーフボディで形成された右腕を打ち込む。
「えい!」
『ガアッ!?』
俺を始末することに夢中になっていたアナザークウガは、束ビルドの存在に気づかずそのまま壁へと激突する。
「今だ!」
俺は自由になると同時にジカンギレードを捨て、ベルトのジオウとクウガのライドウォッチを押し、ベルトをスライドさせる。
<フィニッシュタイム!>
<クウガ!>
「悪いがここで決めさせてもらう!」
俺は原点の仮面ライダークウガのように構えを取り、アナザークウガに向かって走り出す。そして、飛び上がると同時にヘルとを回転させた。
<マイティタイムブレーク!!>
「オリャアアアアアア!!」
俺は一回転するとアナザークウガに向かってキックを繰り出す。
『グッウウウ!!』
アナザークウガは、最初のキックを防いだものの、続く二度蹴り込んで吹き飛びし、身体に打ち込まれた紋章が俺の足裏にある「キック」の文字に変わり、勢いよく爆発した。
『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「いっくん!?」
束ビルドは思わず爆散したアナザークウガを見て漠然とする。
この後厄介な話になりそうだな・・・・。
俺は着地すると爆心地を見る。
原作通りならアナザークウガの変身は解け、その場には気を失った一夏と砕けたアナザークウガウォッチが落ちているはずだ。
「なっ!?」
だが、そこには一夏ではなく、依然とアナザークウガが倒れていた。その横にはアナザークウガウォッチが砕けていない状態で落ちている。
「なんでだ?同じ力をぶつけたから元に戻るはずなのに!?」
<タカ!>
<ガトリング!>
「!?」
俺はビルドドライバーの音声を聞いて後ろを振り向く。その直後、ホークガトリンガーが俺の顔に突き付けられていた。
<天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!>
束ビルドは、ホークガトリンガーを突きつけながら俺を見ていた。
「あ、あの・・・・・」
「君、何者なの?その恰好を見ると只者じゃないようだけど・・・・・そんなことよりもなんでいっくんを攻撃したの?彼は私たちと同じ人間なんだよ、もし殺したりなんかしたら・・・・・・・!」
束ビルドが俺に尋問をしようとした瞬間、俺たちの目の前にあった壁が崩れた。
「うわっ!?」
「おっと!」
瓦礫に埋まる俺を他所に束ビルドは背中の「ソレスタルウィング」を展開して、回避する。
『グシャアァアア・・・・・・』
「えっ?」
俺は瓦礫から顔を出すと驚かずにはいられなかった。
「あ、アナザークウガが・・・・・・・・二体!?」
そこにはもう一体のアナザークウガがいた。ただ、一夏クウガと違い、こちらは映画に出てきたのと同様の大きさで左肩には「2000」の文字が刻まれている。
アナザークウガは倒れている一夏クウガの方を見ると俺たちのことを気にすることなく、向かっていく。
「いっくんに手は出させないよ!」
束ビルドは、ホークガトリンガーでアナザークウガを攻撃しようとするがアナザークウガが手を翳した瞬間、弾丸はすべて止まってしまった。
「えっ?」
唖然とする束ビルドを他所にアナザークウガは、一夏クウガの前に来ると変身を解いた。
「・・・・・こんな形で回収できるとはな。」
変身を解いたアナザークウガの正体は俺も見たことがある男だった。
彼は、一夏クウガの目の前に転がっているアナザークウガウォッチを拾うと少し笑みを浮かべる。
「何年間も馴染ませた甲斐があったな。これとこのウォッチを融合させればようやく完成する。」
俺はこれはまずいとばかりに動く。すると男は俺の方を向いた。
「仮面ライダー・・・・ジオウ・・・・か。」
そこには俺が映画で見たスーパータイムジャッカー ティードの姿があった。
感想待ってます。