「束、常間の反応はどうだ?」
大型の特殊トレーラーの中で千冬はインナースーツに着替えながら束に確認する。
「一時は別方向へ進んでいたけど今は私たちより少し先の方に行っているね。」
「本当にあの化け物と戦うつもりなのか・・・・最も私たちにはそれしか選択肢がないが。」
インナースーツに着替え終わると千冬はトレーラーのボタンを押す。
すると格納庫がスライドし、そこには全身青の装甲の強化スーツがパーツごとに分割された状態で置かれていた。
「まさかこんな代物を使うことになるとはな。」
「懐かしいね、白騎士とG3どっちを作るか迷った学生時代のあの頃を。あの頃、G3は兵器としての一面が強すぎたから白騎士を優先にしようとしたけど結局格好いいからどっちも作ってみようって毎日言い合いしながらやっていたよね。」
束はニヤニヤしながら装甲を千冬の身体に装着していく。
「本当に大丈夫なのか?学生時代と比べて私もずいぶん体型が変わっているから着れんかもしれんぞ?」
「フッフフフ、このてぇん~さいの束さんがいちいちそんな面倒な調整をしなくても済むようにオートフィット機能を付けてあるから問題ないよ。」
最期に頭部ユニットを装着させると束はオートフィットボタンを押す。するとG3-Xは千冬の身体にフィットした。
「おっ。」
「それにバッテリーも最新の物にしたから活動時間は従来のISのなんと5倍以上!依然として飛べないけどビルドのデータもインストールしているから武装の共有も可能!ある意味暮桜を使っていた選手時代のちーちゃんよりも強いよ!!」
「お前な・・・・・」
そんな物騒なものを作っている暇があったらいい加減にISの欠陥である適正認証の修正をしろと言いたかったが千冬はあえて言うのをやめた。
これから戦う相手はISなんかでは相手にならない。
このG3-X、実は過去に束がISを公式発表する以前に警察へのテロ対策チームの配備用として検討していたG3と呼ばれる強化服の強化版で元々は白騎士と同時に公開する予定だった。
G3はISのような突出した性能はないものの僅かな調整で誰にでも装着することが可能で拡張性がほぼ互角、絶対防御の代わりに特殊金属性の装甲で身を包んでいるため、露出の割合が高いISと比べれば安心感というものが感じられる。更にオプションの換装もその場ですぐに行うことと装着者によってのカスタマイズも安易に可能なことでISよりも早く戦闘の切り替えができるなど別の方向性で高い性能を秘めている。
だが、宇宙進出を夢見ていた彼女はG3の性能はISと比べて開発が安易な分兵器としての投入がしやすいこともあってG3の公表はやめた。
その時テスト装着を担当していた千冬すらも白騎士とは違う一面でG3の危険性を感じた。
“白騎士のような突出した性能ではないがISのようにコアからの書き換えによる製作と違い、G3は安定した性能で安易に量産が可能なため、間違いなくG3が採用され、兵器として扱われる”
二人は相談した結果、後継機としてより性能を向上させたG4の開発は設計図のみで中断し、G3は試作機を数機残してISが表舞台に出ることになった。
しかし、G3はやはりIS程ではないと言え十分な性能であることから束は各世代のISを開発するたびにそのデータを基に男性用ISの開発の一環としてG3の開発を再開した。
そして、このG3-Xは、第三世代のデータを挿入したテストベッド機で装着車をサポートするために高性能AIが組み込まれている。
「ほい、エンジンキー。」
束がアタッシュケースからステッキを出し、後方に置かされいるマシンのハンドルとして差し込む。
「私は先に常間と合流する。」
「はいよ、束さんもトレーラー止めたらすぐに追うから。」
後部の入口を開けるとロックは解除されG3-Xはマシンをトレーラーの外へと出し、追い抜かして現場へと向かっていく。
「さてと・・・・・私も行きますか。クーちゃん、お留守番よろしく。」
「了解しました。」
道路の端にトレーラーを止めて、束は外に出るとスマートフォンにボトルを挿入させてバイクへと変形させる。
「シャカシャカっと・・・・」
<ラビット!>
<タンク!>
<ベストマッチ!>
フルボトルをビルドドライバーに挿入し、レバーを回転させることでスナップライドホルダーが発生する。
<Are you ready?>
「変身!」
束が言うのと同時にハーフボディが組み合わさり、仮面ライダービルドの基礎フォーム ラビットタンクフォームへと変身する。
<鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!>
「私も行くとしますか。怪獣退治に。」
束ビルドもマシンビルダーに乗って現場を目指した。
<フィニッシュタイム!>
「ハア、ハア!」
<鎧武!>
<スカッシュタイムブレーク!>
壮一はアナザー鎧武に向かって必殺技を繰り出し、すれ違い様に大橙丸Zで切り裂き、子供の絵の如く歪んだオレンジ型のエネルギーに包み込んで爆散させた。
『ガアアッアアァ!?』
「はあ・・・・はあ・・・・・」
『ウゥウ!!』
「がっ!?」
しかし、倒したのも束の間アナザーエグゼイドの攻撃を受けて倒れてしまう。
市街地に来て最初にグロンギたちを率いたアナザー鎧武と交戦し、アーマータイムを駆使してグロンギ数体を巻き込んで倒せたのはいいものの敵が多すぎる上に体力の消耗が激しかった。
『フゥンッ!』
「くそ!」
壮一は大橙丸Zでアナザーエグゼイドを吹き飛ばすと腕に装着されているエグゼイドライドウォッチを使おうとするがゾンビのように蠢くグロンギたちに阻まれて動きを封じられてしまう。
「は、離せっ!?」
原作のように個体ごとに人格がないことはありがたいがここまで数が多いとキリがない。ティードの姿も今のところどこにもなく、このままでは体力が底を尽きて倒れてしまう。
『ウゥウウウウ!!』
「ヤバッ!?」
アナザーエグゼイドは壮一に向かって飛び掛かってくる。今は防御も避けることもできない。
絶体絶命だ。
『ウゥウウッ!?』
その直後何かがアナザーエグゼイドの側頭部に命中し、吹き飛ばす。壮一は何事かと飛んできた方を見るとグレネードを発射した千冬の姿があった。
「仮面ライダーG3-X!?」
「常間、早くそいつらから離れろ!」
千冬はマシンの後部座席にセットされているガトリング式機銃を掴み、解除コードを入力する。
<解除シマス>
「うげっ!?」
壮一は千冬が何をやろうとしているのか察し、必死こいてグロンギたちの拘束から脱出する。千冬はそれを確認した瞬間、「GX-05 ケルベロス」と呼ばれるガトリング式機銃を連射する。弾丸は次々とグロンギたちの身体を貫き、30以上いたはずの数があっという間に殲滅されていく。
「うわあぁ・・・・・・えげつねぇ・・・・・」
原作である「仮面ライダーアギト」でも十分すぎる火力であったがあれ程苦戦していたグロンギたちは今自分の目の前でただの肉塊へと変わっていくのを見て壮一は唖然とする。
『ウォオオオオオオオ!!』
そんな呆然としている壮一の隙を見てアナザーエグゼイドは襲い掛かろうとする。
「よそ見は禁物だよ!」
「えっ?」
『グオッ!?』
そのアナザーエグゼイドに向かって遅れてきた束ビルドがドリルクラッシャーで攻撃をする。
「今だよ!」
「あ、ああ!」
<ディ・ディ・ディ・ディケイド!>
壮一はこれ以上の体力の消耗は危険だと判断して使うウォッチを変更する。
<アーマータイム!>
<カメンライド!>
<ワーオ!>
<ディケイド!ディケイド!ディーケーイードー!>
平成仮面ライダー10人目にして「世界の破壊者」という二つ名を背負う「仮面ライダーディケイド」の力を持ったディケイドアーマーへとなり、そこに更にエグゼイドライドウォッチをセットする。
<ファイナルフォームタイム!>
<エ・エ・エ・エグゼイド!>
ディケイドの文字が書かれていた顔がスライドし、顔がエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルXXの物へと変わり、壮一はRとLの二人に分裂する。
「わおっ!二人に増えた!?」
「「これで何とか行ける気がする!!」」
二人はライドヘイセイバーとジカンギレードを持ち合わせ、アナザーエグゼイドに斬りかかる。
『グッ!?』
突然二人に増えた壮一を見てアナザーエグゼイドは驚いたがその間も壮一たちは攻撃を緩めない。一方が取り押さえるともう一方が必殺技の態勢へと移行する。
「今だ!」
「よし!まずはこれだ!」
R壮一はライドヘイセイバーの針を動かす。
<ヘイ!ヘイ!ブレイド!!>
「よし!」
L壮一はライドヘイセイバーの刀身が雷を纏って巨大化した瞬間、アナザーエグゼイドから離れる。
<ブレイド!デュアルタイムブレーク!!>
『グオワァッ!?』
「まだまだ!」
<ヘイ!ヘイ!555!>
続いてフォトンブラッドを帯びて赤く発光する。
<555!デュアルタイムブレーク!>
「ハアッ!」
原点の555のスパークルカットのようにアナザーエグゼイドを宙に浮かせて拘束し、R壮一は一気に走り抜けてアナザーエグゼイドを斬りつけた。
『ガアアアアッ!?』
「一気に決めるぞ!」
「おう!」
L壮一はエグゼイドライドウォッチを、R壮一はディケイドライドウォッチを剣に装填し、ケリを付けようとする。
<フィニッシュタイム!>
<エグゼイド!>
<ギリギリスラッシュ!>
「そりゃ!」
『グウッ!!』
最初にL壮一が斬りつける。その後、R壮一がオーバーキルの如くライドヘイセイバーの針を回転させ続ける。
<フィニッシュタイム!>
<ヘイ!仮面ライダーズ!>
<ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘヘヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!>
「これで決まりだ!!」
R壮一は「ヘイセイ」の文字とライダーズクレストが描かれた20枚のカード型エネルギーを纏ったヘイセイバーでアナザーエグゼイドを切り裂く。
『グオオオオオワアアアアアアア!?』
<ディディディディケイド!>
アナザーエグゼイドはあまりの仕打ちに苦しみながら爆散する。同時に増援で駆け付けたグロンギたちもライドヘイセイバーの余波で全滅する。
「なんて奴だ・・・・。」
ケルベロスの弾倉を交換している中、千冬はその光景を見て言う。しかし、目の前の敵はほとんど殲滅できたものの壮一の体力はかなり摩耗していた。
「ハア・・・・ハア・・・・・ハア・・・・」
エグゼイドウォッチを外した瞬間に元の一人に戻り、壮一はその場で膝を付いてしまう。
「どうやら、親玉を除いて全滅できたよう・・・・」
<KUUGA>
「!?二人とも伏せて!!」
危険を察知した束ビルドはすぐに伏せるが降り注いだ破壊光線を目の前に壮一と千冬は吹き飛ばされた。
「「うわあぁあ!?」」
壮一は、体力の限界で変身が解除される。千冬は頭部ユニットが破損したものの酷い怪我はしていない。
『性懲りもなく抵抗してくるとは能天気な奴らだ。』
そこへアナザーアルティメットクウガが舞い降りてきた。壮一はまた変身しようと立ち上がろうとするがダメージと疲労の蓄積で思うように動けなかった。
「くっ・・・・・・」
『フン、せっかく作った怪人たちも全滅か。まあいい、また別の場所で増やせばいいんだからな。だが、その前にお前だけは始末しておくか。邪魔になるからな。』
アナザーアルティメットクウガは、ノソノソと倒れている壮一の元へと進んでくる。
「まずいね・・・・」
束ビルドは距離が離れて救助に行けないと判断してフルボトルを変更する。
<海賊!>
<電車!>
<ベストマッチ!>
<Are you ready?>
「ビルドアップ!」
束ビルドは射撃と近距離戦も可能な海賊レッシャーフォームへとビルドアップする。
<定刻の反逆者!海賊レッシャー!イエーイ!>
『うん?』
壮一を叩き潰そうとした瞬間、アナザーアルティメットクウガの顔に何かが当たる。
「ほらほら!こっちだよ!」
<各駅電車!>
<急行電車!>
束ビルドは壮一から敵を離すべく、カイゾクハッシャーでアナザーアルティメットクウガを攻撃する。
『小賢しい!』
アナザーアルティメットクウガは破壊光線で攻撃をする。
「まずッ!」
<ロケット!>
<パンダ!>
<ベストマッチ!>
束ビルドは瞬時にボトルを変更する。破壊光線が命中し爆炎が上がると同時に炎の中から別な姿で目の前に現れる。
<ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ!イェーイ!>
『瞬時にフォームチェンジだと!?』
テレビ以上の形態の切り替えの早さに驚いている隙に束ビルドは壮一を回収して高速離脱を試みる。
『逃がすか!』
「ぐっ!?」
アナザーアルティメットクウガの巨大な腕をたたきつけられ、束ビルドはビルに衝突する。
「束!」
千冬はマシンからアタッチメントを取り出し、連結させることによって完成する「GXランチャー」で攻撃を試みる。
『無駄な抵抗を。』
「無駄かどうかは貴様が決めることじゃない!」
千冬はランチャーをアナザーアルティメットクウガに向かって発射する。命中すると同時に凄まじい爆発が起こるが致命傷には至らず、アナザーアルティメットクウガの腕に捕まってしまう。
「うっ!?」
「ちーちゃん!」
激突したビルの中から変身が溶けてボロボロの恰好になった束が壮一を担ぎながら叫ぶ。
『へっへへへ・・・・世界最強と言われてもこの程度だ。このまま握り潰してやる!!』
アナザーアルティメットクウガは千冬を握り潰さんと力を入れ始める。
「ぐううぅううう・・・・・」
いくら身体能力が常人を上回るとはいえ、所詮は人間での領域内。千冬の身体に徐々に圧力がかかり始める。
「ちーちゃん!」
束は、再度ビルドに変身しようと試みるが目の前に数体のグロンギたちが現れる。
「ぐっ!邪魔だよ!!」
<フェニックス!>
<ロボット!>
<ベストマッチ!>
迫ってくるグロンギたちに対して彼女は壮一を下ろして新しいボトルを挿入する。
「変身!」
<不死身の兵器!フェニックスロボ!イェーイ!>
束ビルドはフェニックスロボフォームへと変身し、炎でグロンギたちを焼き払う。元々再生能力が高いグロンギではあるがフェニックスのボトル成分で構成されている炎のためか一部は消し炭と化する。
「そこをどけ~!!」
『貴様はそこで雑魚を相手にしていろ。』
アナザーアルティメットクウガは視線を再び千冬に戻して今度こそ握り潰そうと力を籠め直そうとする。
「くそ!ただでは死なん!!」
千冬は左腕の二の腕の部分に装備されている「GK-06 ユニコーン」と呼ばれるコンバットナイフを展開して腕を斬りつける。
『ハッハッハハ!そんなものが効くわけ・・・・・グッ!?』
笑いながら侮辱しようとしたアナザーアルティメットクウガの顔に何かが衝突する。同時に捕まっていた千冬は拘束が解かれ、地上に落下していくがぶつかった何かは建物から飛び移って彼女をキャッチし、地上へと下ろした。
「あ・・・・あれは・・・・・・」
ようやく動けるようになった壮一はその姿を見てすぐに正体が分かった。
「い、一夏・・・・・・」
それは学園から来たアナザークウガこと一夏だった。一夏は、千冬を地上へと下ろすとすぐにアナザーアルティメットクウガの元へと向かう。
『くたばり損ないが。まだ、俺に抵抗する気になったか。』
アナザーアルティメットクウガは顔を押さえながら一夏クウガを見る。大きさからにして明らかに勝ち目はないように見える。
『 今更何しに来た?人間でもアナザーライダーでもないお前が戦いに来てなんになる?』
『・・・・・オレハ、オ前ヲ許セナイ。』
『 許せない、ハッハッハッハハハ!!あの時の時点で力の差は明らかだっただろう!お前は抜け殻!俺が本体のようなものなんだよ!!』
『ソンナノ関係ナイ・・・・・俺ハ、誰カヲ守リタイト思ッテ強クナリタイトネガッタンダ。コンナトヲスルオ前トハ違ウ!』
『ハッハッハッハッ!!おめでたい奴だな!!』
対峙している一夏クウガに対してアナザーアルティメットクウガは笑いながら言う。
『お前の正義感なんてただの偽善者みたいなもんなんだよ。誰かを守りたい?具体的には誰をだよ?世界中の人間か?だとしたら馬鹿としか言いようがないな。誰もお前みたいな化け物のなり損ないになんて助けを求めねえんだよ!』
『・・・・・イイサ、ソレデ。』
『何?』
「一夏・・・・・・」
自分の考えをすべて否定された上に見た目のことを言われた一夏を見て千冬は心配するが一夏クウガは、動じなかった。
『化ケ物デモ、人間デナクテモイイ。千冬姉、束サン・・・・・箒ガ俺ノコトヲ必要トシテクレルナラソコガ俺ノ居場所ダ。俺ハ、ナニモ言ワナイウチニ逃ゲヨウトシテイタンダ。ダカラ、モウ逃ゲナイ。』
『・・・・クックックックックッ・・・・・・ハッハッハッハッハッハッ!!最高のバカだよ!織斑一夏。俺はお前のそういうところが嫌いだったんだ!!そうやって何があっても人のために動こうとするその貴様の信念がなっ!!』
アナザーアルティメットクウガは巨大な腕で一夏クウガを攻撃する。一夏クウガは体色を青に変化させて高く飛びあがり、後ろに回ると赤に戻って背後からキックを繰り出す。
『グッ!?』
『俺カラ見レバ、オマエコソガ化ケ物ダ!!人ノ命ヲ弄ンデ怪物ニ変エテ、更ニ他ノ人タチノ命モ奪ッテ!!』
バランスを崩して前の建物に倒れ込んだアナザーアルティメットクウガに一夏クウガは電柱を捥ぎ取り、巨大な大剣へと変化させて叩きつける。
『グオッ!?』
『俺ハ戦ウ!オ前ノヨウナ奴ラノタメニ、大事ナモノヲ亡クシタ人タチヲ悲シマセナイタメニ!!』
『この出来損ないが・・・・』
『ミンナノ“笑顔”ノタメニ!!』
『ガアッ!?』
「い、今のは・・・・・」
壮一は、一瞬一夏クウガの姿が原作のクウガの本来の変身者である五代雄介の姿と重なった。だが、アナザーアルティメットクウガは一夏クウガの足を掴み、持ち上げた後に勢いよく地面に叩きつけた。
『グウゥウ!!』
『悲しませないために?笑顔のためにだとっ!?』
『ガフッ!!』
何度も地面に叩きつけた後、アナザーアルティメットクウガはその巨大な足で一夏クウガを踏み続けた。
『それが偽善者だって言うんだ!!お前のような考えの人間なんてこの世界で腐るほどいる!!』
『ゴフッ!!』
『だが、どうして世界は変わらないと思う?どいつもこいつも嘘つきだからさ!!』
『ガバッ・・・・・・』
『表ではいくらでも善人みたいなことを吐けるけどな、所詮は人間、みんな悪人みたいなもんなんだよ!!』
『ブフッウゥ・・・・・・・』
『お前だってそうだ!!口先だけで何もできやしない!!お前もそういう奴らの仲間なんだよ!!』
何度も踏みつけられ続けて一夏クウガの全身から大量の血が流れてくる。
「やめろ!これ以上、一夏を傷つけるな!!」
千冬は、先ほどの握り潰しで左腕を負傷しながらも突撃銃で目を狙うがほどんど無意味だった。
「いっくん!ぬうぅ・・・・もう、いい加減にしてよ!!」
いくら攻撃しても湧き続けるグロンギたちに対して束ビルドは堪忍袋の緒が切れてドライバーのレバーを連続で回す。
<Ready Go!>
<ボルテックフィニッシュ!>
<イェーイ!>
一体のグロンギをロボットアームで掴み、全身に炎を纏って飛び上がると他のグロンギたちも巻き込んで灼熱の炎に身を包んで体当たりをする。それでも次々と湧き出て、助けに行くことができなかった。
「くっ・・・・・・・・」
壮一は、起き上がってドライバーをセットするがライドウォッチを起動させる前にグロンギたちに襲われ、ジオウライドウォッチを落としてしまう。
「しまった!」
変身ができない中、一夏クウガはボロボロの状態でほとんど動かなくなった。
『ハア、ハア・・・・・本当にクソむかつく奴だ。』
最期にとどめともう一度足を振り上げ、踏みつぶそうとすると千冬とは違う方角から弾丸が飛んできた。
『今度は誰だ?』
振り向くと、そこにはG3-Xの前身機であるG3が銃を構えていた。
「あれはG3!?」
「嘘っ!?使わないからって学園の格納庫にしまっておいたのに!?でも、いっくんがここに来たってことはまさか・・・・・」
「うおおおおおお!!」
G3は、マシンから高周波振動ソード「GS-03デストロイヤー」を装備してアナザーアルティメットクウガに向かっていく。
『邪魔だ。』
「うわっ!?」
しかし、ぎこちない動き上に簡単に弾き飛ばされ、壁にぶつかると頭部ユニットはあっという間に外れて箒の素顔が露わになった。
「し、篠ノ之!?」
「やっぱり・・・・・」
『ホ・・・・・箒・・・・・』
『ほう、この期に及んでメインヒロインが来たか。』
アナザーアルティメットクウガは、一夏クウガを踏みつけるのをやめて立ち上がろうとした箒の足を摘まみ上げた。
「う、うわあっ!?」
「箒ちゃん!」
『ナ、何ヲスルツモリダ・・・・・・』
『何ッて?お前にさらなる絶望を与えてやるのさ。』
アナザーアルティメットクウガは爪で箒の身体を切り裂いた。
「うわぁあ!?」
幸い、装甲が引き剥がされただけだがインナースーツも僅かながら傷がついていた。
『このままコイツをお前たちの目の前でみじめに晒して切り裂いて殺してやる!』
『ヤ、ヤメロ!!』
一夏クウガは、瀕死の状態でアナザーアルティメットクウガの身体に飛び移って攻撃を加えるが箒を離す様子はない。アナザーアルティメットクウガの爪が更に箒のインナースーツを剥ぎ取り、彼女の裸体に微かに傷がつく。すぐ目の前に死が迫っていると感じ、恥ずかしさよりも恐怖が体を支配した。
『いい体してるな、次はそのきれいな肌を剥ぎ取ってやろう。』
「あ・・・・あぁ・・・・・・」
『ヤメロオォオオオオオオオオオ!!』
一夏クウガは頭部に飛び移り、クラッシャーから牙を剥き出しにしてアナザーアルティメットクウガの複眼を食い潰す。予想外のところへの攻撃にアナザーアルティメットクウガは思わず悲鳴を上げた。
『ぐわあああああ!?俺の目がぁああああ!!』
「きゃあああああ!!」
『クッ!!』
その瞬間に、箒は放り出され地上へと落ちそうになる中、一夏クウガに抱きかかえられる。
『箒・・・・・』
全身が血で汚れている中、一夏クウガは無意識に箒を強く抱きしめた。そんな彼のことを箒は受け入れる。
「私に心配かけさせるな・・・・馬鹿・・・・」
その言葉を聞いて一夏クウガは、五代と話していた時に明確に出ていなかったものが出た。
何故、彼女が自分のことを拒まなかったのか。
どうして、心配してくれたのか。
(そうか・・・・箒は俺のことを大事に思ってくれていたんだ・・・・・こんな、化け物の姿になり果てた俺のことを・・・・いつもそばにいてくれて・・・・・なんで今まで気づかなかったんだろう・・・・)
そんなことを感じている中、アナザーアルティメットクウガは、目を抑えながら落下中の二人を睨みつける。
『この蛆虫どもが・・・・・・この世界から最初に消えろォオオオオオオオオオオ!!!』
口から今までとは比べ物にならない威力の破壊光線を発射する。
「あ、危ない!!」
ウォッチを何とか回収しようと応戦している壮一は、一夏クウガに向かって叫ぶ。
『箒!』
一夏クウガは何とか箒だけでも助けようと焦るが落下中のためどうすることもできない。
「一夏!」
箒ももうだめだとばかりに彼を強く抱きしめる。破壊光線は既に二人の目の前にまで迫って来ている。
(箒だけは死なせたくない!せめて・・・・せめて彼女だけは・・・・・)
だが、同時に考えた。
彼女だけ助かったとしても自分がいなくなったらどうなってしまうのか?
光線が命中すると同時に一夏クウガの身体に亀裂が走る。
(俺がここで箒を失えばこの先絶対に後悔する・・・・・・箒だけ助かれば、俺と同じように後悔するんじゃないのか?ずっと俺のことを想って・・・・・・)
今までは自分はどんなに傷ついてもいいと考えていたこともあった。姉の背を見て、自分のことを顧みずに自分のことを守ろうとしてくれたことが強い影響だったのかもしれない。でも、姉自身ももし自身がいなくなった時の自分のことまで考えていたのだろうか。
(俺は・・・・・・)
胸の内の何かが熱くなった。
同時に腰部の禍々しかったベルトが剥がれ落ち、中から古代文字が刻まれ赤く発光するベルトが現れる。
(俺は・・・・・もっと・・・・・もっと生きたい!)
続いて全身がボロボロと崩れ始める。それはまるで蛹を脱いで成虫になろうとする昆虫のように見えた。
(俺は・・・もっと彼女と共に生きたい!もう、彼女が泣くところを見たくない!ずっとそばにいてくれた彼女に笑顔でいてほしい!)
ベルトの光がさらに増して二人を包み込んだ。
「そんな・・・・・・」
壮一はやっとジオウライドウォッチを回収したのも束の間、二人が破壊光線で爆発したのを目にする。
『ハッハッハッハッハッ!!これでクウガは俺一人になった!!そして、ライダーも必要ない!!俺一人であればいい!!』
アナザーアルティメットクウガは残った三人を始末しようと動き始める。
「うぅううう・・・・・・よくも・・・・よくもいっくんと箒ちゃん・・・・を?」
やっとグロンギたちを片付けて怒りを露わにしていた束ビルドは、アナザーアルティメットクウガの背後で光っている何かを見てキョトンとする。
『ん?』
束ビルドの反応を見てアナザーアルティメットクウガも後ろを振り向く。破壊された瓦礫の中でその光は徐々に薄れてその赤い鎧に頭部に逞しい金色の角を持った仮面の戦士が箒を抱えているのが見えた。
「・・・・・・・・」
『な・・・なんだと!?そんな馬鹿な!?』
アナザーアルティメットクウガが唖然としている中、少し遠く離れた建物の屋上で壮一と別れた神がワイングラスにシャンパンを注ぎながら一言呟いた。
「ハッピーバースデー・・・・・・・ここに正真正銘、この世界で最初の仮面ライダーが誕生した。」
そして、彼はグラスを掲げてさらに一言いう。
「織斑一夏、仮面ライダークウガに乾杯!」
編集が途中で読み込まなくなったので途中から通常の物になってしまいました。(修正済み)