啓蒙99の狩人が発狂しているのは間違っているだろうか   作:ケツに腕を突っ込んで魔石を引き抜く変態

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小説は勢いがあるうちに書けるだけ書けってばっちゃが言ってた。
うん? 私にばっちゃっていたっけな……? あれ、いつの間にか横に人形が置かれてるな。なんかぬめぬめしてるけど、頭の方は――――

<●> <●> <●> 発 狂 <●><●> <●>



知ってるもの。夜の次は朝だって

「お帰りなさい、狩人様」

「ファッ!?」

 

 ベルが探索から戻ると、廃教会の地下室前で幻想的と呼べるほどの美女が出迎えた。

 2(メドル)を超える長身、ごく手入れのされた質の良い服。

 艷やかな灰色の髪と瞳、白く静謐な美貌がそこには宿っていた。

 

「あのっ、えっと、ど、どちら様でしょうか!?」

「私は人形。この夢で、あなたのお世話をするものです」

「お世話っ!?」

「狩人様。血の遺志を求めてください。私がそれを、普く遺志を、あなたの力といたしましょう。

 獣を狩り……そして何よりも、あなたの意志のために。どうか私をお使いください」

「お使いくださいっ!?」

 

 一体全体どういうことか分からないベルは初な表情を真っ赤にさせて混乱で目をグルグル回す。

 

「コラーっ! ボクのベル君に手を出すんじゃなーいっ!」

 

 そこに地下室から躍り出た一柱の女神がガシィッ! とベルの頭に抱きついた。

 

「騙されちゃダメだベル君! この子はきゅーけー君なんだ! 【狩人】君なんだぞ!」

「えっ!? きゅーけーさん!? いやでも、この方は女の人ですよね!?」

「きゅーけー君は自在に姿を変えられるんだ! そもそも君が連れてきた時だって一秒ごとに容姿が変わる不定形存在だったじゃないか!」

「えっ!? そ、そんなはず……あれ、でも確かにそうだったような……きゅーけーさんは【狩人】さん、【狩人】さんは獣狩り、獣は呪い、呪いは軛……輪舞マラソン……ヌヌ、ゴシアナ……うう、頭が……」

「はっ、しまった!? 思い出しちゃ駄目だベルくーん!?」

「うう、神様、僕は一体……かっ、神様ァッ!? 胸がっ、胸がっっ!?」

 

 ヘスティアの豊満な胸に押し込まれたベルは思い出しかけたことが全部吹き飛んでしまった。それが良いことか悪いことか、脳に瞳を持った者だけが知るだろう。

 

「ああ、お寒いでしょう。狩人様……」

 

 ワーワーと騒がしい彼らに、自分を人形だと思い込んでいる【狩人】は狩人様(ベル君)の世話をするために、ヘスティアを丁寧に引き剥がして少年をお姫様抱っこした。

 そのまま真っ赤になってガチガチに硬直するベルに微笑みながら地下室に連れて行く人形を、ポカーンと見送ったヘスティアが怒号を上げて追いかけるのだった。

 

 

 

 

<●> 99

 

 

 

 

 怪物祭(モンスターフィリア)と呼ばれる行事がオラリオにある。

 ギルド主催、【ガネーシャ・ファミリア】主導のモンスターの公開調教(テイム)である。

 パンとサーカスなどと揶揄されるものの、普段見られないモンスターの恐ろしさ、それに立ち向かう冒険者の勇ましさを一度は目にしようと、怪物祭に合わせ都市内外から多くの観客が集まっていた。

 舞台は円形闘技場(アンフィテアトルム)、座席という座席が多くの亜人(デミ・ヒューマン)で埋まった舞台の中央に、奴はいた。

 

 そう、頭からカリフラワーを生やし、啓蒙高き軟体踊りで体を高速振動させる【狩人】である。

 

「俺がガネーシャだ! そう、俺が【群衆と獣の主(ガネーシャのフレンズ)】だあああああああああああっ!!!」

 

 なぜ【狩人】がここにいるのか。それは暑苦しい男神の声からお察しの通りだ。

 

 ガネーシャは【狩人】と意思疎通が可能な稀有な神の一柱だった。

 互いに雄叫びを上げ存在を誇示し合う神と上位者は、その精神が夜空の星灯りの漿液湖に至り、共鳴する波長の軸芯融和を果たしたのである。

 よってガネーシャは【狩人】の言葉を知り、【狩人】は交信によってガネーシャの精神を汚染した。意気投合した一柱と宇宙的悪夢はその場のノリで協力が可能になったのであった。

 モンスターでも人間でもない冒涜存在である【狩人】を怪物祭(モンスターフィリア)に引きずり出す。それはガネーシャとギルドの主神の神意に沿う効果をもたらすだろう。

 

 絶対に外さない仮面に大量の目玉を取り付けようとしたが眷族に号泣されて止められたガネーシャは、大変不満ながら【ファミリア】の本拠『アイアム・ガネーシャ』の右腕を四本、左腕を三本に増やすだけで我慢していた。

 

『おおっとぉ! 【狩人】、ここで『吐き気を催す例の光』を放ちました! 精神を病まれた方は至急事前配布されたお薬をお飲みください! モンスターすら自我崩壊を引き起こす光ですのでどうぞご注意を!』

 

 実況は『喋る神秘魔法』を自称する【冒涜聖杯3000階層踏破者(エーブリエタースを継ぐ者)】ことイブリ・アチャーだ。肥大した頭部を被り【狩人】由来のサングラスを頭頂にちょこんと乗せるおちゃめな彼は、色々な粘液をだらだらと首筋に垂らしながら抑揚が裏返った金切り声で実況する。

 イブリの声以外シンと静まった舞台で【狩人】は体に巻きつけた触手を解いた。そして目の前で精神崩壊を起こし顔の穴という穴から液体を垂れ流す『シルバーバック』に近づき、秘儀【幸せな開放】を発動させる。

 相手の耳に触手を滑り込ませクチュクチュすることで相手を極度の幸福状態にし従わせる秘儀だ。水銀弾を触媒に発動するこの秘儀は、シルバーバックに脳に瞳を得たかのような晴れやかな幸福を与え、死ぬまで絶頂に導き続ける文字通り『幸せな開放』をもたらすのである。

 こうして調教(テイム)を完了した【狩人】はシルバーバックに乗り、冒涜的な踊りをしながら会場を後にする。

 観客は上々の反応で、頭を押さえ呻く者七割、現実を受け入れられない者二割、延々と笑いながら空に手を伸ばす者一割だった。

 

 今年の怪物祭(モンスターフィリア)も、例年の如く大成功のようであった。

 

 

 

 

 狩人、狩人、狩人。直近の【狩人】は自分の存在に疑問を抱いていた。

 自分は何の狩人だったか。【教会】か? 【貴族】か? はたまた【異邦】か?

 【狩人】にとって物忘れは珍しいことではないが、それを放置するのは嫌に気分が悪い。

 自己を明確に定めるため、肌から無数の白いミミズが生えている大猿の怪物に乗りながら【狩人】は思考する。

 そうしていると、辺りから獣の悲鳴が聞こえ始めた。ギョロギョロと瞳を回転させれば、名状し難い怪物たちが獣共らを追いかけている。

 その中にふと、小さくか弱い、少女のような獣を見つけ。

 

 【狩人】は己が何の狩人であったか、ようやく思い出すのだった。

 

 

 

 

 アイズ・ヴァレンシュタインはオラリオを駆ける。

 円形闘技場(アンフィテアトルム)から逃亡したモンスターを駆逐するためだ。

 風を纏い、飛翔するように屋根を走り抜け、人に襲いかかる怪物を一刀で斬り捨てる。

 

(数が多い……どうしてこんなに?)

 

 すでに数十の怪物を斬り払ったアイズは住人を逃がしながら困惑する。

 【ガネーシャ・ファミリア】はこんなにモンスターを捕まえていたのか? 調教(テイム)するにしても多すぎる数に思わず眉間に力が篭もる。

 幸い犠牲者は出ていないが、これでは時間の問題だ。急いで事態を収束しなくては、と麗しき金の【剣姫】は【エアリエル】の出力を上げる。

 そして怪物を探し、屠る最中、たった一人で歩く少女の姿を見つけた。

 

「!」

 

 避難誘導をするためアイズは側に着地する。魔法の風が吹き荒れるものの、少女はなんら気に留めた様子がなかった。

 

「大丈夫?」

「エッエッエッエッ……」

「ここは危険。早く逃げて」

「お父さん、お母さん、帰ってきてよう……寂しくって……怖いよう……いやだよう……グスッ」

「……はぐれたの?」

「一人はいやだよう……エッエッエッエッ……」

「……」

 

 アイズが話しかけても反応せず、少女はトボトボと歩いて行く。その姿に幼き日の記憶を刺激されるアイズは途方に暮れるが、少女の行く先に怪物の姿を捉え、キッと表情を鋭くする。

 

(……怪物を倒して、この子を安全な所に届ける。まずはそうするべき……!)

 

 疑問を置いてアイズが走り出そうとした、次の瞬間。

 怪物の懐に、いつの間にか少女の姿があって。

 

 醜悪な外皮を貫いていた小さな手が振り抜かれた直後、モンスターは大量の血を吹き出して絶命した。

 

「――え?」

 

 少女は血の雨に打たれていた。

 両目を腕で覆い、泣き続ける少女。血と肉がこびりつく右手には、何かがひらひらと揺れている。

 呆けるアイズの目の前で、少女に更なる怪物の影が迫る。

 

「エッエッエッエッ……」

 

 顔も上げず、泣き暮れる少女は。

 怪物の爪を紙一重で躱し、無防備な鳩尾へ腕を突き刺し、千切り抜く。

 響く怪物の断末魔。立ち止まったまま鮮血を浴びる少女。

 続々と現れるモンスターたちに、少女は泣きながら歩み寄り――虐殺が始まる。

 

「アイズ! 加勢に来たわよ、って……」

「どうしたのティオネ、早くアイズを手伝わないと……なに、あれ……」

 

 立ち尽くす【剣姫】に駆け寄るアマゾネスの姉妹は、その光景に同じように動きを止めた。

 

 モンスターに囲まれ、けれど傷一つ負わぬ少女。

 紙一重で攻撃を躱し、【加速】し、怪物の臓物を抜き千切る姿。

 泣きながら一切の容赦なく異形を屠る右手に巻かれた、血塗れの赤リボン。

 それは冒険者たちの間で有名な、だが決して地上に現れぬはずの、ダンジョンにのみ見える異質。

 

「アイズたーん、どないしたんやー? って、な、なんやアレは!?」

 

 マイペースにやって来て仰天するロキに、アイズはポツリと呟いた。

 

「――オーゼイユ」

「は?」

血涙(ちなみだ)の、オーゼイユ」

「ア、アイズたん? なに言うとるん?」

「泣いている少女の形をした――【狩人】」

「はあっ!? アレが【狩人】やとぉ!?」

 

 目を剥く道化の女神を他所に、アイズは見続けていた。

 怪物を殺し、殺し、殺し、ただ殺す、赤リボンを巻いた少女を。

 やがて殺し尽くし、死闘の後なお一人立つ――血塗れの【狩人】、“血涙のオーゼイユ”を。

 

「エッエッエッエッ……」

 

 顔を伏せ、左腕で覆いながら少女は歩き出した。

 アイズたちの方へ。硬直し息を潜める彼女たちの前に立ち――少女は血の雨を浴びた顔をアイズに見せ、静かに問いかける。

 

「……あなた、だあれ? 知らない人、でも、なんだか懐かしい臭いもするの。

 もしかして、獣狩りの人かな?」

「……」

「だったら、お願い、お母さんを探してほしいの。獣狩りの夜だから、お父さんを探すんだって……それからずっと帰ってこない。

 私ずっと……でも、寂しくって……」

「……」

「な、なあアイズたん、なんで黙ってるんや? 少しくらい話たっても……」

「「ロキは黙ってて!!」」

「なんでや!?」

 

 恐る恐る声をかけるロキにティオナとティオネが凄まじい剣幕で怒鳴りつける。ロキはビビッて縮こまり、アイズは強い緊張を滲ませる表情で、毅然と言い放った。

 

「駄目。私たちはあなたに協力できない。決して――たった一度でも」

「……わかり、ました。ごめんなさい、獣狩りさん、お話ししてくれてありがとう。

 お仕事、がんばってね」

「……」

「エッエッエッエッ……エッエッエッエッ……」

 

 顔を伏せ、涙を流しながら少女は去っていく。それを固い表情で見送って、アイズ達三人はふーっと一様に息を吐いた。

 

「どういうことなんや……ただの子供にしか見えんかったけどなあ」

「あのねえ、ロキ。いくら無害そうに見えても【狩人】なのよ? 関わっちゃいけないに決まってるじゃない」

 

 一人訳の分からないロキはボヤくように言い、ティオネが苛立ち混じりに説明する。

 

「冒険者はアレを“血涙のオーゼイユ”って呼ぶわ。ダンジョンにしか現れないはずの、女の子の振りをした【狩人】。何を頼まれても絶対に答えちゃいけないヤツよ」

「あー、聞いたことあるようなないような……でもなんでや? 答えるくらいええやんか、泣いとる子放置するとか胸糞悪いで」

「……ロキもあれを見れば、そんなこと言えなくなるわ。応えて、知って、もしついていこうものなら……思い出したくもないわ……あんな、おぞましい……」

 

 知らず冷や汗を流すティオネの強い警戒心にロキは黙りこくる。

 同じように警戒を解かないティオナと、アイズの瞳の中で。少女は延々と泣きながら、とぼとぼと歩いていった。

 

 こんなにも晴れ渡った空の下で。暗いトンネルの奥へ、消えていくように歩く少女を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【狩人】

不定形で確かな姿を持たない【狩人】には、だがその有名と不吉さから別の名を与えられた姿がある。

“血涙のオーゼイユ”もその一つだ。

血塗れの赤リボンを右手に巻いた、俯いて泣き続ける少女。

冒険者たちは彼女をおして、三つの禁句を共有している。

応えるなかれ。関わるなかれ。共に歩むなかれ。

それを破った冒険者は、迷宮の届かざる領域に辿り着くという。そして奥底の、人に到底理解し得ぬ神秘に出会った者は――

“血涙のオーゼイユ”。

血の涙を流すのでなく、血を涙で洗う少女。最も幼く、無慈悲で、危険な【狩人】。

 

という建前のヤーナムの少女を摸倣した【狩人】の姿。

あいにくと【狩人】は豚を一撃の元にリボンエンチャで沈めた少女の行く末を知らないので、狩りの最中に覚えている記憶を自分だと信じている。

不穏なのは全部【狩人】のせい。明らかに善良な少女なのにそれが自分だと思い込む【狩人】は少女と【狩人】脳で合体事故を起こし、最終鬼畜ヤーナム少女が爆誕した。

なおヤーナムの少女の名前は作者の知る限り公開されてないので適当につけました。ググればすぐ分かるんじゃないかなニャルラトホテプ。

 

ガネーシャのフレンズ

【狩人】と交信を果たしてしまった不運な男神。本人は全く不運だと思っていないしむしろ新たなるガネーシャ、【ネオ・ガネーシャ】の一形態が開かれたのでとにかく良しとしている。

怪物祭(モンスターフィリア)における怪物大脱走の責任を負わされて『アイアム・ガネーシャ』の七本腕を二本腕になるまでへし折られる罰を受けた。本人は絶対に嫌だと泣き喚き許しを乞うたが決して許されることはなかった。

なお、脱走したモンスターの大半は【狩人】が円形闘技場(アンフィテアトルム)周辺に勝手に持ち込んで隠したモンスターであると後日判明するが、やはりガネーシャが許されることはなかった。

アメンドーズみたいなガネーシャ像気持ち悪いんだよ。それがガネーシャ以外の神の総意なのだ。

 

イブリ・アチャー

聖体を拝領し地底人となった男。過酷な聖杯探索を啓蒙の果てに得た神秘魔法によって走り抜け、ついにエブたそに見えた幸運な眷族。

その鍛え抜かれた肉体と全身に装備した神秘血晶によってLv.6に到達した【ガネーシャ・ファミリア】最強の冒険者。

なお神秘血晶とエブたそから貰った肥大した頭部(あとサングラス)以外何も着ていないので、どこに出しても恥ずかしくない変態である。

変態と罵られると喜んで神秘魔法(意味深)を撒き散らすので刺激しないように(byシャクティ・バルマ38歳独身)

 

【幸せな開放】

本作の【狩人】の台詞はネットに転がってるブラボ解析情報からコピペしてるんですけど、なんか没っぽい秘儀一覧の中にあった。

他にもとても興味が引かれる秘儀の名前がかかれていた。その名も聖液受領。

 

聖 液 受 領

 

聖 液 受 領

 

やっぱフロム・ソフトウェアってド変態の集まりだわ

 




ハーメルンで特殊タグ遊び、あ^〜たまらねえぜ(活用率1.145148108939311919889464364364%)
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