海未 :「希らしいオカルトチックな話ですね。それが実話だとしても、そのAさんの思い込みといいますか…極限状態における幻覚のようなものだったのではないでしょうか?実際は起こっていないことを、さもあったかのように感じてしまうという…」
希 :「そういうことも、ありえるやろうね…でも…この事件に関しては、ある仮説があってな…」
海未 :「仮説…ですか?」
希 :「遺体を掘り起こしてたのは、Aさんやったんやないか…っていう」
一同 :「!?」
にこ :「自分で埋めて、自分で掘り起こしてるの?」
穂乃果:「だったら気付くよね?」
凛 :「うん」
真姫 :「…ひょっとして…夢遊病?…」
希 :「さすが真姫ちゃん!お医者さんの娘やね!」
絵里 :「夢遊病?」
真姫 :「正確には『睡眠時遊行症』って言うの。無意識の状態で起きだし、歩いたり何かをした後に再び就眠するけど…その間の出来事を記憶していない状態を指すわ。その時間は、30秒から30分までの長さになり得る…」
穂乃果:「ひょえ~」
凛 :「真姫ちゃん、ウィキペディアみたいにゃ」
真姫 :「べ、別に…大したことじゃないわよ。医者を目指すものなら、知ってて当然のことだから」
にこ :「つまり…そのAっていう人は、本人の意識が無いまま、遺体を堀り起こしていて…朝、起きて自分がしたとも知らず、ビックリしてた…ってわけ?」
真姫 :「興奮状態のまま眠りに就いたり、精神的なストレスが夢遊病の原因とされているから…吹雪の雪山、パートナーが死亡…という状況で発生したというなら、ないこともないかも…」
穂乃果:「あれ?じゃあ、このあいだの合宿の時、穂乃果が岩の端っこで寝てたのも、夢遊病状態で歩いていったのかな?」
海未 :「あなたにストレスがあるようには思えませんが…」
穂乃果:「いやいや、それなりにあるんだよ!…海未ちゃんに怒られたりとか、海未ちゃんに叱られたりとか、海未ちゃんに…」
海未 :「もういいです!!それなら私の方がよっぽどストレスが溜まってますよ!」
穂乃果:「…ごめん…」
真姫 :「…で…どうしてそんな話をしだしたのよ?」
希 :「ん?真姫ちゃん、ウチに言うてるん?」
真姫 :「他に誰がいるのよ?」
希 :「そやね…。えっと…えりちを恐がる姿が可愛くて…」
絵里 :「希!!」
希 :「…な~んてな…」
海未 :「…ひょっとして…上履きの話ですか?」
真姫 :「上履き?…えっ?まさか…」
希 :「そう…あくまでも可能性のひとつとしてやけど…花陽ちゃんが、自覚も記憶もないまま起こしたことやないやろか…なんて思ったりしてな」
にこ :「前フリが長いわ!」
凛 :「かよちんが、眠ったまま家からここまで歩いて来たってことかにゃ?」
穂乃果:「それは無理だよぅ」
希 :「確かに、眠った状態で…っていうには無理があるやろうね。…でも、そういう無意識の行動って、普段でもたまにあるやろ?」
穂乃果:「うん!あるある!テレビ見ながらお菓子食べてるとさ、知らないうちに全部なくなってることとかあるもんね!『あれ?いつの間に食べた?』みたいな」
海未 :「その例えが適切かどうかはわかりませんが…」
希 :「まぁ、そういうこともありえるんかなぁ…っていう、うちの妄言やね。さっき誰かが言うてたけど…こんなことをして誰が得するんやろう…って考えても、思いつかないやもん」
海未 :「はい…」
ことり:「あれ?まだみんな練習始めてなかったの?」
花陽 :「本当だ。私たち来るの待っててくれたのかな?」
穂乃果:「おお、ことりちゃん!」
凛 :「かよちん!」
ことり:「ごめんね、遅くなっちゃって…そこで、かよちゃんと一緒になったんだぁ」
海未 :「どこに行ってたのですか?」
花陽 :「あれ?伝わってなかったかな?私はアルパカさんの…」
海未 :「えぇ、花陽のことは聴いてますよ。ですが、ことりは…」
ことり:「あれ?穂乃果ちゃんに言ってなかったっけ?…ちょっと用があって…」
穂乃果:「えぇ!そうだっけ?ごめん全く覚えてないや」
海未 :「まったく、あなたって人は…」
穂乃果:「ひえぇ~…こ、これも無意識な行動ってやつだよね?知らないうちに聴いていた…っていう…」
真姫 :「それはただの健忘症じゃない?」
凛 :「アルツにゃ、アルツ」
真姫 :「よかったら、いい病院紹介するわよ」
穂乃果:「お、お願いしようかな…勉強したとこも、すぐ忘れちゃうし…」
海未 :「それとこれとは話が別です!!」
穂乃果:「やっぱり…」
一同 :「あははは…」
海未 :「…では、全員揃ったので練習を始めますよ」
一同 :「は~い!!」
~つづく~
この作品の内容について
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面白い
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誰が犯人だ?
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可もなく不可もなく
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犯人がわかった
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