この世界は悲しみに満ちている   作:スターダイヤモンド

25 / 30
謎は解けた!?

 

 

 

 

 

教師 :「それでは、また明日…あぁ、星空はあとで職員室に来るように」

 

 

 

凛  :「にゃ?凛が?」

 

 

 

花陽 :「凛ちゃん、なにかした?」

 

 

 

凛  :「身に覚えがないにゃ」

 

 

 

真姫 :「なくはないでしょ?どう考えても成績のことじゃない?宿題忘れたとか、テストの点が悪かっったとか…日常茶飯事でしょ?」

 

 

 

凛  :「にゃあ…かよちん、真姫ちゃん付き合って」

 

 

 

真姫 :「いやよ!呼ばれたのはアナタなんだから、自分ひとりで行ってきなさい!」

 

花陽 :「ごめんね…付き合ってあげたいのはやまやまなんだけど…ちょっと用があって…」

 

 

 

凛  :「用?…あ、うん、いいよ…それなら仕方ないにゃ…そうしたら待たせるのも悪いし、部活、先に行ってて」

 

 

 

真姫 :「わかったわ…じゃあ、私たちは部室に行ってるから…」

 

 

 

凛  :「うん!」

 

 

 

花陽 :「…」

 

 

 

真姫 :「さぁ、花陽、行きましょ」

 

 

 

花陽 :「あのね、真姫ちゃん…私、今日は用があるから部活お休みさせてもらうね」

 

 

 

真姫 :「えっ?」

 

 

 

花陽 :「急でごめん。今日のお昼、あの二人に助けてもらっちゃったから、どうしても『お礼』がしたくて」

 

 

 

真姫 :「あの二人…って…あの二人?」

 

花陽 :「うん。たいしたことはできないんだけど…」

 

真姫 :「…そう…少しお裾分けしてもらったくらいで、大袈裟な気もするけど…花陽がそう言うなら…」

 

花陽 :「うん、ありがとう」

 

 

 

真姫 :「…」

 

 

 

花陽 :「…ごめんね、お待たせしちゃって」

 

モブA :「話は終わった?」

 

花陽 :「うん」

 

モブB :「じゃあ、行こうか」

 

花陽 :「じゃあね、真姫ちゃん。みんなに宜しく伝えておいてね」

 

 

 

真姫 :「…わかったわ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛  :「かよちん、いる~?」

 

希  :「部室に来て早々、第一声がそれなんや…本当に凛ちゃんは花陽ちゃんのことが好きなんやねぇ」

 

凛  :「えへへ…」

 

真姫 :「それがね、凛…花陽なら『今日は休む』って言ってたわよ」

 

凛  :「え~!?聴いてないにゃ~」

 

真姫 :「私も凛が職員室に向かったあと聴かされたんだけど…『あの二人』にお礼がしたいから…って」

 

凛  :「あの二人?あぁ、お昼の件で?」

 

真姫 :「そうみたい」

 

希  :「花陽ちゃんは律儀やなぁ」

 

海未 :「はい」

 

穂乃果:「お米は花陽ちゃんにとって生命線だもんね!きっと命の恩人くらいに思ってるんだよ」

 

にこ :「命の恩人?…大袈裟ねぇ」

 

真姫 :「それで…凛はどうして呼び出されたの?」

 

 

 

凛  :「あっ!…それが…『学校の裏庭におにぎりが散乱してたんだけど、星空、お前、何か知らないか?』って」

 

 

 

一同 :「!?」

 

 

 

絵理 :「おにぎりが散乱?」

 

穂乃果:「おにぎりが卵産んじゃったの?じゃあ、中身はタラコか…イクラだったのかな?」

 

 

 

希  :「ふふふ…穂乃果ちゃん『産卵』やなくて『散乱』やないかな?飛び散らかる方の…」

 

 

 

穂乃果:「じょ、冗談だよ、冗談!…うん、もちろん知ってたよ!知ってた!」

 

 

 

海未 :「一瞬、おにぎりから稚魚が飛び出してくる様子を想像してしまいました…」

 

にこ :「やめなさいよ!…そういうこと言うと、今後食べるのに支障が出るじゃない」

 

海未 :「私が悪いのですか?そもそも、穂乃果が…」

 

 

 

穂乃果:「わぁ、海未ちゃん!ストップ、ストップ!…え、えっと…それで…凛ちゃんと、そのおにぎりと…どういう関係があるの?」

 

 

 

凛  :「それが…凛に…『これは小泉が撒き散らかしたものじゃないのか?』って…」

 

 

 

希  :「!!」

 

真姫 :「!!」

 

海未 :「!!」

 

 

 

凛  :「ん?どうかしたにゃ?」

 

 

 

海未 :「い、いえ…」

 

 

 

穂乃果:「そっかぁ…先生も『おにぎり=花陽ちゃん』っていうイメージがあるんだね」

 

凛  :「早弁してるところ、見られたりしてるからね」

 

絵里 :「だとしたら、どうして直接訊かないのかしら?」

 

にこ :「確証がないからでしょ?疑ったはいいけど、そうじゃなかったら、色々面倒だから…一番、仲の良さそうな凛にさぐりを入れてみた…ってことじゃない?」

 

絵里 :「なるほど…」

 

 

 

真姫 :「それで、あなたはなんて答えたの?」

 

 

 

凛  :「『違うと思います!』って言ったにゃ」

 

 

 

絵里 :「そうね。どんな状況であれ、花陽が食べ物を粗末にするなんて、ありえないもの」

 

にこ :「ましてや、自分で捨てるなんて」

 

 

 

希  :(…そやけど…自作自演やったら…)

 

真姫 :(…でも…いくらなんでも……)

 

海未 :(…そこまでするでしょうか…)

 

 

 

絵里 :「希?」

 

凛  :「真姫ちゃん?」

 

穂乃果:「海未ちゃん?」

 

にこ :「どうかした?」

 

 

 

希  :「ん?」

 

真姫 :「えっ…べ、別に…」

 

海未 :「はい…それで…」

 

 

 

凛  :「うん!凛ももちろん、そう言ったよ。『かよちんは、お米命の人だから、絶対にそんなことするハズない!』って」

 

にこ :「当たり前ね」

 

凛  :「それに…『今日はかよちん、お弁当忘れて来ちゃったから、そんなことできないし』って。そうしたら『まぁ、そんなハズはないと思いつつ、他に思い付く者がいなかったから一応訊いてみたんだが…そっか…それじゃ、小泉じゃないな』って…」

 

穂乃果:「そうだ!今日、花陽ちゃん、お弁当忘れちゃったんだもんね!」

 

凛  :「穂乃果ちゃんなら、持ってきたのを忘れちゃうことがあるかもしれないけど」

 

穂乃果:「凛ちゃん?」

 

絵里 :「そういえば、穂乃果はパンを持ってきたの忘れて、パンを買っちゃった…って言ってたわね」

 

にこ :「バカなのよ、バカ。天然とかじゃなくて、何にも考えてないのよ、アンタは」

 

穂乃果:「うぅ…ことりちゃ~ん、みんなが虐めるよぅ…」

 

 

 

海未 :(苛める?)

 

 

 

穂乃果 「…って、あれ?そういえばことりちゃんは?」

 

 

 

海未 :「えっ?あっ…来てないですね…穂乃果は聴いてないのですか?」

 

 

 

穂乃果:「私?えっ?聴いてないけど…」

 

にこ :「アンタ、またいつかみたいに忘れてるだけじゃないの?」

 

穂乃果:「そうかな?そう言われると自信ないけど…」

 

海未 :「まったく、あなたって人は…」

 

穂乃果:「いやいや海未ちゃんこそ、聴いてないの?」

 

海未 :「はい」

 

穂乃果:「勘違いってことない?」

 

海未 :「断じてありません!!」

 

穂乃果:「あはは…そうだよね…」

 

 

 

真姫 :(まただわ…また花陽がいない時に…)

 

 

 

穂乃果:「…で…どこ行ったんだろう?」

 

絵里 :「さぁ…理事長のところかしら?」

 

穂乃果:「今日、花陽ちゃんがお弁当を忘れちゃったんだよ…って報告しにいったのかな?」

 

にこ :「アホか」

 

凛  :「でも、それなら家に帰ってからでもよくないかにゃ?」

 

穂乃果:「そうだよね」

 

にこ :「だからそもそも、そんな報告しないでしょ!前提が間違ってるのよ」

 

 

 

真姫 :「…!?…前提が間違ってる?……」

 

 

 

穂乃果:「えっ…」

 

 

 

真姫 :(…なによ、それ…だとしたら私たちは、何かとてつもない思い違いをしてるかも知れない…)

 

 

 

凛  :「真姫ちゃん、どうかしたにゃ?」

 

 

 

真姫 :「…なんでもない…独り言…」

 

 

 

穂乃果:「あっ…ねぇねぇ…さっきのおにぎりの話だけどさ…実は…もらったおにぎりがあんまり美味しくなくて、花陽ちゃんが捨てちゃった…ってことはないかな?」

 

 

 

希  :「!!」

 

真姫 :「!!」

 

海未 :「!!」

 

 

 

絵里 :「ないわね!」

 

凛  :「あるわけないにゃ!!」

 

にこ :「絶対ないから」

 

 

 

海未 :(…なんでしょう、この違和感は…先生はなぜ凛に話を訊いたのでしょうか…)

 

 

 

穂乃果:「…おぉ?みんな冷たいなぁ…速攻で全否定されたよ…でもさ、偶然だとしたら怖いよね?花陽ちゃんがお弁当忘れた時に、おにぎりが庭に散らばってるなんて」

 

 

 

凛  :「本当に不思議にゃ」

 

穂乃果:「何かの怨念だったりして」

 

絵里 :「やめてよ、そういうこと…言うの…」

 

 

 

希  :「怨念がおんねん…な~んてな…」

 

 

 

一同 :「…」

 

 

 

希  :「まぁ、今のはウチが悪かったやね」

 

 

 

にこ :「はいはい、つまらないコメしてないで、ほら、さっさと着替えて、練習に行くわよ」

 

 

 

希  :「!!…コメやって?…」

 

 

 

にこ :「な、なによ!急に大きな声出して!コメントのことよ…言うでしょ?コメする…って…アタシ、おかしなこと言った?」

 

 

 

穂乃果:「あぁ、お米とコメントを掛けたんだね?」

 

凛  :「にこちゃん、寒いにゃあ」

 

にこ :「寒いって言うな!…たまたま、その話題に言葉が引っ張られただけだから」

 

 

 

希  :(…なんやろ…今、一瞬頭の電球が光った気がするんやけど…コメする…コメ…する…)

 

 

 

絵里 :「希?」

 

 

 

希  :「ごめん、ちょっと黙ってて!!…」

 

 

 

絵里 :「ひぇっ?…えぇ、ごめんなさい…」

 

 

 

海未 :(…)

 

真姫 :(…)

 

希  :(…)

 

 

 

穂乃果:「…」

 

にこ :「…」

 

凛  :「…」

 

 

 

海未 :「あっ!」

 

真姫 :「あっ!」

 

希  :「あっ!」

 

 

 

真姫 :「わかったわ!」

 

希  :「ウチもや!」

 

海未 :「はい、私もです!」

 

 

 

穂乃果:「なにがさ?」

 

 

 

海未 :「今回の事件の…犯人…です」

 

 

 

穂乃果:「今回の…って、おにぎりの?」

 

 

 

海未 :「はい。そして恐らく…」

 

希  :「例の落書き事件も同一犯やね」

 

真姫 :「そうね…はぁ…どうして気が付かなかったのかしら…まったく我ながら情けないわ…」

 

 

 

凛  :「誰にゃ?」

 

絵里 :「待って…聴くのが怖いんだけど…」

 

穂乃果:「…でも…そうも言ってられないんだよね?」

 

 

 

海未 :「はい…」

 

 

 

にこ :「それで誰なのよ!?」

 

 

 

希  :「…犯人は…」

 

 

 

 

~つづく~

 

この作品の内容について

  • 面白い
  • 誰が犯人だ?
  • 可もなく不可もなく
  • 犯人がわかった
  • つまらない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。