…
モブA:「…それで…わざわざ『スクールアイドル辞めない宣言』をする為に、こんなところに呼び出したの?」
モブB:「てっきり『諦めます宣言』なのかと思ったけど」
花陽 :「残念ながら、その期待には応えられないよ…μ'sのみんなに『花陽は不要だ』って言われたら考えるけど…」
モブA:「自覚がないって怖いねぇ。先輩方は優しいから口にしないだけで、本当は辞めてほしいと思ってるんだよ?」
モブB:「そうそう…私たちはそれを代弁してあげてるわけ」
花陽 :「…余計なお世話…だよ…」
モブA:「はぁ?」
モブB:「なんか言った?」
花陽 :「ふふふ…余計なお世話だよ…って言ったんだよ?聴こえなかった?」
モブB:「えっ…」
モブA:「随分強気じゃない」
花陽 :「言ったよね?今の花陽は半年前の花陽じゃないって!あなたたちがどんな嫌がらせしようと…私は負けないから」
モブA:「偉そうに」
花陽 :「μ'sは私が見つけた自分の居場所…。みんなと一緒に歌って踊って、おしゃべりしてご飯食べて…この大切な時間をあなたたちの嫉妬で奪われたくない!だから…私はどんな嫌がらせをされても耐えるって心に決めたんだ」
モブA:「嫌がらせ?冗談じゃないわ」
モブB:「そうだよ…人聞きの悪い…」
モブA:「まさか、おにぎりが無くなったことも、私たちのせいにしようとしてるわけ?」
モブB:「いやだなぁ…自分で忘れたのを人のせいにするなんて…」
モブA:「ふふふ…まぁ、疑うのは勝手だけど…それなら証拠を見せてみな…ってね」
モブB:「でも、こっちもたかだかおにぎりのひとつやふたつのことで因縁付けられても、困るんだよね」
花陽 :「…たかだか…おにぎり?」
モブA:「な、なによ…」
花陽 :「…わかったよ…」
…
絵里 :「コメデブ…って…つまり…それが花陽のことなの?」
希 :「花陽ちゃんをデブと呼ぶのは、いささか忍びないんやけど…お米を食べすぎてダイエットさせられた実績があるし…他に当てはまるメンバーもおらんから…」
凛 :「うぅ…許せないにゃ…許せないにゃ!!」
真姫 :「凛、落ち着いて」
凛 :「落ち着いてなんていられないよ!!かよちんが殺されちゃうかもしれないんだよ!!」
真姫 :「わかってるわよ!私だって頭にきてるのは一緒よ!今の今まで、そのことに気が付かなったことにもね!」
凛 :「…真姫ちゃん…」
希 :「これはあくまで推測やけどな…あの時差し入れ、みんなはチーズケーキやったけど…花陽ちゃんだけ、おにぎりやったろ?あれ、そういうことやったんないやろか…」
絵里 :「そういうことって?」
希 :「ウチらには『花陽ちゃんのことを想って、おにぎりを用意した』…と見せかけておいて…実は…『わかってるやろな?このコメデブっていうのは、お前のことやからな』っていう…」
絵里 :「脅しの道具?…」
穂乃果:「じゃあ、花陽ちゃんは最初から最後まで知ってたってこと?だとしたら、どうして黙った単だろう」
希 :「そこはこれから確認しなきゃ…やけど…」
真姫 :「『ひとに迷惑を掛けたくない』…って、たぶん…ただそれだけじゃない?…」
穂乃果:「真姫ちゃん…」
真姫 :「花陽って、そういう娘でしょ?」
穂乃果:「わかってるけどさ…」
凛 :「…打ち明けてほしかったにゃ!」
真姫 :「凛…」
凛 :「凛、かよちんのことならなんでも知ってると思ってたし…困ってるなら相談してほしかったのに…親友失格だにゃ」
にこ :「そう思ってるのは、アンタだけじゃないわよ。アタシだって、なにか悩んでるのを知ってて手を差し伸べなかったんだから…こんなことだとわかってれば、もっとやりようがあったのに」
凛 :「…にこちゃん…」
絵里 :「そうね…でも、今それを言っても始まらないわ。ここまでのことは花陽が考え抜いて出した結論だと思うの。だから、今はその気持ちを汲みましょう」
穂乃果:「そうだね!」
凛 :「で、でも…かよちん、このままじゃ殺されちゃうかもしれないんでしょ…なんとかしないと」
にこ :「!!…ねぇ…アイツ、今日『二人にお礼しないと』…って言ったんでしょ?…その意味って」
海未 :「!!…ま、まさか!?『お礼』ってそういう意味ですか!?」
希 :「…うそやん…花陽ちゃん…」
海未 :「大変です!!花陽を止めないと!」
絵里 :「どういうこと?」
希 :「『お礼参り』…虐げられていた側が『報復行為』をする…隠語やね…」
穂乃果:「『卒業式に不良が先生を襲う』っていうアレだよね」
絵里 :「!!」
にこ :「真姫ちゃん!花陽はどこ行ったのよ!?」
真姫 :「わ、わからないわ…『じゃあ、行こう』って言ってたから、教室からは出て行ったとは思うけど…」
希 :「凛ちゃん、電話!」
凛 :「今、掛けてるけど…電源…入ってないにゃ」
にこ :「あのバカ!!」
海未 :「とりあえず、校内を手分けして探しましょう!」
絵里 :「学校内にいるかしら?」
海未 :「わかりません。ですが、やみくもに外を探しに行っても意味がありませんので」
希 :「そやったら、靴があるか確認すればいいやない?」
海未 :「そうですね。では、まずはそちらに向かいましょう」
…
モブA:「それで…」
モブB:「なにがわかったの?」
花陽 :「あなたたちを…許すことができない…ってことかな」
モブA:「許すことができない?」
花陽 :「…私は何をされても耐えるよ…どんな有名なアイドルだって『アンチ』は必ずしるし。ちょっとバッシングされただけでつぶれるようなら、芸能界なんて生き残れないんだろうから」
モブB:「へぇ…言うわね」
花陽 :「でも…でも…お米への冒涜だけは…絶対に許さないからぁ!!」
モブA:「はぁ?」
モブB:「そこ?」
モブA:「絶対に許さない…って、どうかされちゃうのかしら?私たち」
モブB:「だけど…そんなことしたら…あなたはおろか、μ'sにも学校にも迷惑かかるんじゃない?」
花陽 :「…だから、なに?」
モブA:「えっ!?」
モブB:「へっ!?」
花陽 :「今の花陽は怒りに打ち震えてるよ!たぶん…花陽の人生史上、一番怒ってる…だから…謝るなら今のうちだよ?」
モブA:「バ、バカじゃないの?たかが、おにぎりくらいで」
モブB:「キレるところがおかしいでしょ」
花陽 :「…死ぬのは私じゃなくて…」
モブA:「!?」
モブB:「!?」
花陽 :「あなたたちかもしれないね?」
モブA:「えっ…」
モブB:「な…」
…
凛 :「かよちんの靴…ないにゃ…」
海未 :「…ということは…少なくとも校舎内にはいない…ということですね」
穂乃果:「どうする?」
希 :「花陽ちゃんは、まだ校内におる!」
一同 :「えっ?」
希 :「ウチのカードがそう告げてるんよ」
にこ :「当てになるの?」
希 :「任せとき!」
にこ :「…いいわ、信じわよ…溺れるものは藁をも掴む…ってこういうことを言うのね」
穂乃果:「おぉ!難しい言葉を知ってるねぇ!」
にこ :「常識よ!」
絵里 :「そんなこと言ってる暇はないわよ」
海未 :「携帯電話が繋がらないなら、外に行っても、砂漠で宝石を探すようなものです」
真姫 :「そうね、まずは校内を探したほうがいいわね」
海未 :「はい!…とはいえ、全員バラバラになってもあれなので…私は穂乃果と周ります」
穂乃果:「うん!」
真姫 :「凛、一緒に行くわよ」
凛 :「了解にゃ!」
希 :「じゃあ、ウチはえりちと、にこっちの3人で…」
絵里 :「えぇ、行きましょう」
にこ :「アタシたちが行くまで早まったマネをするんじゃないわよ!!」
…
ことり:「か~よちゃん!」
花陽 :「!!」
ことり;「なにしてるのかな、こんなところで」
モブA:「南先輩!?」
モブB:「どうしてここに!?」
ことり:「ふふふ…どうしてだろうね?…」
花陽 :「…ことりちゃん…」
ことり:「なぁに?」
花陽 :「申し訳ないですけど…ここは席を外してください。μ'sのメンバーを巻き込むつもりはないですから」
ことり:「…巻き込む?…その二人を…どうするつもりなのかなぁ?…」
モブA:「み…南先輩、聴いてください!小泉さんが…」
モブB:「私たちを『殺す』って…」
ことり:「…殺す?…へぇ…かよちゃんが?…ふふふ、おもしろい冗談だね?…」
…
希 :「何か『事を起こす』なら…人目に付かないとこやろうと思ったけど…」
絵里 :「アルパカ小屋にはいないみたいね」
にこ :「逆にもっとも疑われる場所じゃない?」
希 :「それもそうやね」
…
海未 :「この間、花陽はことりとここで会ってました」
穂乃果:「弓道場で?」
海未 :「内容はわかりませんが…はい…」
穂乃果:「こんなところに連れてくるかな?結構、人通りあるよ?」
海未 :「えぇ…ですが練習が始まってしまえば、部員は休憩以外の時間、中から出てくることはありませんので…」
穂乃果:「そっか…」
海未 :「…ですが…いないみたいですね…」
穂乃果:「うん…」
海未 :「しかたありません、他をあたりましょう」
…
凛 :「体育館の裏?」
真姫 :「定番じゃない?人を呼び出すときの」
凛 :「確かに」
真姫 :「花陽!いるの?いるなら隠れてないで返事しなさいよ」
凛 :「かよち~ん!かよち~ん」
~つづく~
この作品の内容について
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面白い
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誰が犯人だ?
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可もなく不可もなく
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犯人がわかった
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つまらない