穂乃果:「…こ、ことりちゃんのあんなセリフ、初めて聴いたよ…」
凛 :「…こ、怖かったにゃ…」
にこ :「…お、怒らせたら、絶対ダメなタイプの人間ね…」
ことり:「…で?…ふたりは、まだ言い逃れしちゃうのかなぁ?」
モブA :「…」
モブB :「…」
モブA :「…す、すみませんでした…」
モブB :「…ご、ごめんなさい…」
ことり:「あは、もう認めちゃうんだぁ」
希 :「そりゃあ、あんな凄まれ方されたら、やってなくても、やった…って言ってしまうやん」
絵里 :「確かに…」
真姫 :「…そのSDに証拠があるって…じゃあ、あなたは初めから全て知ってたってこと?」
ことり:「う~ん、始めから…っていう訳じゃないけど…」
海未 :「では…ことりが独りで行動していたのは…」
ことり:「みんなにバレないようにカメラを仕掛けてたんだ…」
穂乃果:「もう!なんで言ってくれなかったのさ…」
凛 :「そうにゃ!そうにゃ!」
ことり:「ごめんね…だけど…」
真姫 :「花陽が止めたのね?」
一同 :「!!」
にこ :「みんなに迷惑掛けたくなかったから?」
凛 :「かよちん…」
絵里 :「どういうことか説明してくれるかしら?」
花陽 :「…」
絵里 :「仕方ないわね…花陽は教えてくれそうもないから…あなたたちに話を聴く方が早そうね」
海未 :「あなたたちは花陽に何をしていたのですか?」
モブA : 「…う、羨ましかったんです…」
モブB : 「…えっと…その…クラスでも一番大人しそうな小泉さんが、ステージで輝いてるのを観て…」
モブA : 「…最初は…素直に凄いなぁ…って思ってたんですけど…そのうち…」
モブB :「騙された…っていうか、裏切られたような気分になって…」
真姫 :「騙された?」
凛 :「裏切られた?」
モブA : 「普段の姿が嘘なんじゃないかっていう…」
希 :「それで上履きを隠したん?」
モブB :「…ちょっと悪戯して、困らせてやろう…くらいのつもりだったんです…」
モブA : 「だから、翌日にはすぐ返したんですけど…でも…作戦は失敗しました…」
真姫 :「失敗?」
モブB :「星空さんのとこに入れたハズの上履きが、どういう訳か小泉さんのところから見つかった…って…」
真姫 :「あぁ、それ?入ってたわよ、凛のところに」
モブA :「えっ?」
モブB : 「えっ?」
真姫 :「色々と騒ぎになるのが面倒だから、花陽のとこから見つかったようにしただけで」
モブA :「そうだったんだ…」
モブB : 「知らなかった…」
海未 :「…ところで、なぜわざわざ、凛のところに戻したのですか?」
モブA : 「それは…小泉さんが星空さんを疑えば、仲、悪くなるかな…って…」
海未 :「やはり…ふたりの関係性を知ってのことでしたか…」
凛 :「呆れたにゃ…凛とかよちんの仲はそんなことで、壊れないにゃ!」
真姫 :「それで…思い通りの展開にならなくて、第2段の犯行に及んだ…って訳?」
モブA : 「…少し違うかな…実は…小泉さんを狙った理由がもうひとつあって…」
希 :「花陽ちゃんが、ことりちゃんと仲良くしてるのが、気に入らんかった?」
モブA :「…はい…」
モブB :「…その通りです…」
海未 :「嫉妬…ですか…」
モブB :「以前、外でふたりが仲良く買い物してるところを見てしまって…それからずっとモヤモヤしてたんですけど…」
モブA :「私たちが上履きを隠した次の日…屋上でお昼食べてる時に、南先輩が小泉さんのところに来て…買い出しに誘ったんです」
モブB :「その時までは、南先輩に近づける方法を探っていたから…会えて話せたことは嬉しかったけたど…それと同時に…」
モブA :「小泉さんに軽く『殺意を抱いた』というか…」
一同 :「!!」
モブB :「…いえ、本当に『殺してやろう』なんて思ってないですよ…なんて言えばいいんだろう…」
モブA :「本気で憎らしくなっちゃたんです…小泉さんのことが。どうしてこんな人が南先輩みたいな人に可愛がられてるんだろう…って思ったら…存在自体が許せなくなっちゃって…」
真姫 :「はぁ…勝手過ぎるわ…」
絵里 :「ことりは、それを知ってたの?」
ことり:「ううん…まだ、この時は…。でもね、かよちゃんの上履きがなくなった…って聴いて、直ぐにカメラを買って、靴箱の上の方に仕掛けたんだぁ…そうしたら…」
希 :「ウチらの上履きを悪戯するふたりの姿が映ってた?」
ことり:「うん!」
海未 :「偶然にも、ことりがふたりに会ってしまったことで、彼女たちの嫉妬心に余計な火を点けてしまった…ということですか?」
絵里 :「どうして私たちの上履きを?」
真姫 :「それは学校の中で一番影響力のあるふたりだもの」
穂乃果:「生徒会長と副会長の上履きが悪戯されたとなれば、それは学校に対する一種の反乱だもんね!」
凛 :「それが、かよちんの靴箱に入ってたなんていったら、大騒ぎになるにゃ」
ことり:「幸いにも、たまたま絵里ちゃんたちが学校に来るのが遅くて、大きな騒ぎにならなかっけど」
希 :「なるほど。ウチのスピリチュアルスーパーラッキー危険回避能力のお陰で、事件にならずに済んだ…ってことやね」
にこ :「いや、むしろ証拠を抑えてたんなら、事件にした方が良かったんじゃない?」
絵里 :「でも…学校の体面上…それは避けたかった?」
ことり:「せいか~い!…お母さ…理事長にも相談したんだけど…結果として何も起きなかったんだから、事を荒立てるのはよしましょう…ってなって…」
穂乃果:「だけどさぁ…ふたりがそういうことをした…ってわかってたんだったら、注意くらいするべきだったんじゃ?」
ことり:「今、思えばそうだったかも…。…でも、その時はまだ、ふたりの意図がわからなかったし…行為に及んだのは確かだけど、何か別の理由があるかも…ってことで」
真姫 :「暫く様子を見た?」
海未 :「つまり…ふたりを『泳がせた』ということですか?」
ことり:「言葉は悪いけど…そうなるかな?」
凛 :「ことりちゃん、ふたりの事はかよちんに伝えたんでしょ?」
ことり:「もちろん、伝えたよ!でも『何かの間違いかも知れないし…μ'sも大事な時だから』って」
穂乃果:「花陽ちゃんらしい…って言えば花陽ちゃんらしいけど…」
希 :「下手に藪を突っついて逆ギレされても困るしなぁ」
海未 :「私たちもライブ前に変な噂は立ってほしくないと思っていましたから…」
真姫 :「そっちのふたりも、きっとそれをわかってた…ってことね」
モブA :「…」
モブB :「…」
海未 :「ふたつの悪戯が上手くいかなかったからかどうかはわからないですけど…それからは大人しくなったのですね」
ことり:「それが…」
真姫 :「そこから、花陽にμ'sを辞めるよう、直接脅すようになった…」
海未 :「真姫…」
真姫 :「あれだけ、ことあるごとに花陽を呼び出していれば、そう考えるのがスジじゃない?もっとも、今だからそう言えることだけど…」
希 :「アルパカ小屋で見つけた『おにぎりのゲー』は、花陽ちゃんがそのストレスで吐いたもの…」
絵里 :「おにぎりのゲー?」
希 :「詳細は聴かんでおいて…」
絵里 :「?」
海未 :「ことりが花陽と弓道場の脇で話をしていたのは…その後だったんですよね?」
真姫 :「花陽はあの時、アルパカ小屋に行ってた…って言ってたけど、本当はあなたと居たんでしょ?」
海未 :「私には花陽がことりを呼び出した…と言っていましたが、実際は逆だったのではないですか?」
希 :「花陽ちゃんが告白したんやなかったんやね」
ことり:「うん…アルパカさんのところにもカメラを仕掛けておいたから…ことりも…花陽ちゃんが虐めらてるのに気が付いて、話をしたんだけど…」
穂乃果:「虐められてた…って言うけど、叩かれたり、蹴られたりはしなかったの?」
海未 :「そういうことをすれば、私たちに直ぐ気付かれますから…」
希 :「バレたら警察沙汰になるやろうし…そこまではできんかったんやろ」
真姫 :「だから…精神的に追い詰める方法を選んだ…」
海未 :「ずっとμ'sを辞めるよう迫られていたのでしょうね」
にこ :「アンタが話をした時、花陽はそうされてることを認めなかったの?」
ことり:「認めないことはなかったけど…でも、これは自分の問題だから…μ'sにとっても大事な時だから…って…」
にこ :「…はぁ…まったく…バカなんだから…」
凛 :「かよちんは、バカじゃないにゃ」
にこ :「わかってるわよ、そんなこと…」
穂乃果:「アルパカの具合が悪くなったのは、やっばり偶然なの?」
ことり:「うん…獣医さんの言った通りじゃないかな?…花陽ちゃんがストレスを抱えるようになって…アルパカさんも移っちゃんだ…。でも、それはふたりにとっても予想外だったと思うよ」
モブA :「…」
モブB :「…」
ことり:「だけど、それさえも利用しようとしたんだよね?」
モブA :「…」
モブB :「…」
真姫 :「なるほど…アルパカが倒れたのは『花陽の自作自演』って噂を積極的に流したのは、あなたたちだった…ってことね」
凛 :「酷すぎるにゃ…」
希 :「そやけど…花陽ちゃんの気持ちが折れることはなかったんやね」
にこ :「強くなったわね」
海未 :「ですが…いえ、だから…と言うべきでしょうか…ふたりは…もっと強硬な手段に出たのですね?」
絵里 :「それがあの落書き?」
穂乃果:「最低だよ…」
~つづく~
今年一年、お世話になりました。
来年も(更新が滞っている他の作品含め)ボチボチ書き進めていこうと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。
よいお年を!
この作品の内容について
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面白い
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誰が犯人だ?
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可もなく不可もなく
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犯人がわかった
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つまらない